黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

怪談~その3

2015年08月13日 | 夏向きの話
週末が近づき、お盆休みに入っている人も多かろうと思う。我が家でも旦那が夏休みとやら(一般社員でも夏中にとらないといけない夏休みなる休暇制度がある会社が存在するのだ、私にすれば意味不明なのだが。もちろん学校関係ではない)で合計4日連続で家にいる。今年みたいな猛暑だと少しツラいが普通だと、墓参りでも行ったりするものである。
これはやはり私が学生の頃の話である。ある年のお盆に、我が家でも墓参りに行った。ただしこの年いつもと少し違ったのはそれが人間のお墓ではなく、動物霊園だった。約一か月前、我が家では犬が一匹死んでいた。病で苦しみ死んでいったその犬を、その時うちでは当時初めて知った動物霊園に引き取ってもらった。まだ苦しむ様が記憶に新しいこともあり、家族のだれが言うとでもなくその年のお盆は動物霊園へ行くことに決まった。(もちろん後日、先祖への墓参はきちんとした。)
お参り自体は滞りなく終わった。だが真夏の炎天下で家族全員ひどく疲れた。私もぐったりしてしまい、帰宅後すぐに昼寝してしまった。物凄い一発がやってきたのはそんな時である。
金縛りである。それもいつもとは全く違う強烈さだった。強烈すぎて息が出来ない。真昼間にすぐ隣に家人がいる状態での金縛りというのも初めてだった。
度々金縛りにあう人間というのはその人なりの何らかの解決法を持っているものだ。声をだす(それも出ていけとか離れろとかいう強めの言葉で)、南無阿弥陀仏などの経を唱える、等々。しかしながらその時の私はそのどれも不可能だった。声どころかうめき声すら出ない。すぐ手を伸ばせば両親が居たのだが、手を伸ばすどころか体のどこも一ミリと動かない。息すら吸えない。重みはどんどん強くなっていって、胸に置いた手の指があばら骨の間に食い込んでくる。
「5分続けば死ぬな」
静かにそう思ったのを覚えている。
幸い、私があの世へ行く前に金縛りは解けたが、霊的なそれで一番ピンチだったのはこの時である。恐らく霊園で何か引っかけて来てしまったのだろう。チャンネルの合いやすい人間はいつでも要注意、である。

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