黒猫亭日乗

題名は横溝氏の「黒猫亭事件」と永井荷風氏の「断腸亭日乗」から拝借しました。尚掲示板が本宅にあります。コメント等はそちらへ

わすれえぬ谷さん

2010年09月13日 | Weblog
谷啓さんの追悼ダイアリーを書いたのが、一昨日。一昨日の内容は、訃報を知ってからすぐに書いたものなので、今さらながら書き足りない感がして仕方ない。ドリフの長さんやクレージーのほかのメンバーのハナさん、植木さんなどと比べて、どうも私の中喪失感が一番大きい様だ。おそらく、事故によるご逝去という事が大きいのだろう。しかしながら、老耄が進んでいた事を考えると、谷さんはもう精一杯、生きたとも思う。
ハナさんの元お弟子さんのなべおさみさんが、谷さんに借金を頼みに行ったところ、お金はかしてもらえず、代わりに本を渡された。と、後日谷さんから「本の36ページを見ろ!」との電話がある。なべさんが本を開いてみると、そこには30万円の現金がはさんであった、とか。同様のお話を、昔、こちらは植木さんのお弟子さんだった小松政夫さんも語っている。お金がなくて、千円でもいいから貸して欲しい、と谷さんに頼んだ所、一日俺を精一杯持ち上げていい気分にさせてくれたら、お金をやろうとの事。小松さんは一日大奮闘するが、帰りがけに谷さんはタバコを1箱渡すと、すっと去ってしまった。小松さんは去っていく谷さんに、思わず悪態をついてしまったが、後で開けたタバコの箱には、一本抜いたタバコの代わりに、くるくると巻いた一万円札が代わりにささっていた。それを見るなり、思わず涙が流れてきた…、との事。どうやら谷さんはやさしくてシャイな人だったようです。
そして、もうひとつ個人的に忘れられないシーン。これは小松さんの芸能生活何十周年(すいません、昔見たテレビ番組なので、数字がはっきりしません)を記念したスペシャル番組だったのだけれど、縁のある出演者がそれぞれドッキリ的な演出をするものだから、小松さんは持ち上げられたり落とされたり、と見ている私がなんだか複雑な気持ちになる演出方法が取られていた。コレだったら、普通に記念番組を作ってくれた方が楽しめたのに。ラスト近くになり、記念パーティの場が用意されていたと知り、喜び勇んでギャグを総出しにして奮闘するも、気がつくと皆に去られてしまってまたもや悲嘆にくれる小松さん。と、そこへ別の仕事を終えた谷さんが、ドッキリの事など何も知らず「ごめんね、遅れちゃって。パーティ終わっちゃった?」と言って駆けつける。ラストシーンは誰もいないステージで二人、よもやま話に花を咲かせながら酌み交わす二人。やっぱり谷さんはこういう役回りが似合っているお人柄だったのでしょうねぇ。忘れえぬ谷さんです。


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