栗太郎のブログ

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三陸ふたり旅(4) 釜石市立鉄の歴史館 

2012-11-28 02:35:12 | 見聞記 東北編

釜石は、いわずと知れた製鉄の町。
同じ鉄でも、先日の「たたら」のような古代製鉄でなければ、幕末の反射炉でもない。
ここは、明治以来、日本の経済成長を支えた近代製鉄で栄えた町なのだ。
その町も、最盛期に9万人の人口も減少の一途。
かつて、この地をホームタウンとした新日鉄釜石ラグビー部は強かった。
こうしてここに来てみて、ここから全国各地へ遠征に出かけることを想像してみた。
釜石は、海にこそ近いが、鉄道や道路の便のいい内陸部まで出るだけでも2時間はかかるだろう。
そう思えばなおさら、資金や労力、時間と手間、どれをとってもそうとうの負担なんじゃないかと余計な心配をしてしまう。
それを克服して黄金期を築いた選手たちの気持ちには、間違いなくこの町にたいする誇りと愛があったにちがいない。


津波の怖さを知る旅を続けてばかりじゃ、太郎ちゃんの気が滅入ってしまうので、ここでちょっと息抜きがてら鋳造体験を。
行った先は、釜石市、鉄の歴史館
ここは高台なので、被害はなかったのだ。





  鉄鉱石が露天で展示されていた


入場料、大人500円。高校生300円。
展示内容は、明治以来の釜石の歴史です。


そして、鋳造体験一人100円。
100円なのです、びっくりです。ただし、予約制。
教えてくれるオジサン(こういう呼び方で失礼はないか心配なのだけど・・・)の都合しだいなのです。


まずは、用意された型のなかから好きなデザインのものを選びます。
僕はイルカ、太郎はリス。

イルカと、型取り用の枠と、小道具。
枠は二つに分かれていて、重ねると芯だしができるようになってます。




枠のなかに型を置きます。
初心者用の型なので、造りやすいように裏面は平らになってます。




「油砂アブラスナ」を用意。
「はなれ砂」とも言うそうで、ぱらぱらとほぐれている赤土のような触感。これを枠の中に詰めていきます。





半分くらい詰めては、隙間を埋めるように棒で突っついて固めます。




枠からはみ出るくらいに敷き詰めて、




板できれいにさらって、平らにします。




逆さにすると、化石を発掘したかのような状態のイルカがいます。




もう片方の枠をかぶせ、イルカと重ならないように塩ビのパイプをちょこんと立てます。




同じように、油砂を敷き詰めます。




塩ビのパイプを抜きます。




上の枠を外すと、塩ビのパイプの跡があります。




イルカをきれいに取り出します。
パイプの跡を少しほじくって、そこから、イルカへつながる溝を掘ります。




そして、さっき外した枠をもう一度載せて、これでこちらの作業は終了。
あとはオジサンにおまかせです。


ここからオジサンのお仕事。
鍋の中には錫(すず)が230℃に熱してあります。
正確には、錫+銅が数%とのこと。
ちなみに、錫+鉄でブリキ。錫+鉛だとハンダになるのです。




オタマで、錫を穴に流し込みます。




冷めればすぐに固まります。
枠を外せば、イルカの形に固まった錫。これをペンチでパチンと切って、バリを取れば完成。
油砂も、錫も、再利用して使うようです。





リングをつけて、かわいいキーホルダーの出来上がり。







見晴らしのいい館のロビーからは、正面に釜石観音がみえる。(空の白色と同化して見難いですが)




その向こうの湾には、世界一の規模を誇る釜石港湾口防波堤がある。
いや。防波堤が、あった。今回の大津波で、ものの見事にぶっ壊された。
総工費1200億円もの予算を投じて建設された、深さ63mの自慢の防波堤だった。
しかし、無力だったわけではなく、防波堤のおかげで市街地への浸水を6分遅らせることができて、津波の高さも抑える効果(13mを、7~9mに)があった。
止めることはできなくても、じゅうぶんに役目を果たした。まるで、捨て身の立ち往生。
釜石の町を通り過ぎるときに、ほかの沿岸部の被害にくらべて町並みが残っているように思えたのはこの防波堤のおかげだったのだ。



(5)へつづく



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