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録画人間の末路 -

人は記録をしながらじゃないと生きていけない

わたしがAPUをおすすめするワケ

2012-10-08 22:37:44 | AMDブログ
A10-5800Kについて何かブログに書けと言われたら、定番ベンチマークの数字をはかったりゲームが指標として出しているベンチマークで計測したり、というところを中心に書くのが普通だと思います。わたしがそれをやらなかったのは、そっちの方面はもともとやらない方だからです。動画屋としては動画のことだけで攻めてみるのが正当でしょ、ってことでAMD主催APU勉強会でいただいたA10-5800KとTrinityに関しまして好き勝手なこと書いてきましたが、如何でありましょうか。なお、再生やエンコードだけでなく、もう一つ肝心の録画の方ですが、約5日間、1日の2/3はPT3経由で録画しっぱなしという少々過酷な条件に見事耐え、天候のせいで起こったドロップなどを除けばちゃんと映像をHDDに保存してくれました。商業サイトによればA10-5800KはTDP100Wにも関わらずアイドル時には他の低電圧CPUに負けないほど消費電力が低くなるようですので、ほとんどアイドル状態である録画用としても十分使えるものです。ただ、なぜかこのPCでアクセスするとブラウザやファイヤーウォールの設定にかかわらずgooブログ系へのアクセスが遅くなるのが欠点と言えば欠点なのですが、理由は謎なので。
使用感はこのくらいにして、最後に半分AMDへの感謝をこめた宣伝を兼ねた総括を持ってAPUをおすすめしたいと思います。


もともとわたしはずいぶん前から単体のグラフィックボードをあまり買わなくなっていました。その理由の一つは、いまや2スロット専用の外部の排気型クーラー搭載機や外部電源が当たり前になったため、搭載に圧迫感を感じるようになったためです。GeForce系のみ、半分調査用として常時一枚だけ使用していますが、RADEON系は2600が確か最後です。
それともう一つ、グラフィィックボードを使用しないVGA環境に希望が持てるようになったためです。AMDが初めてGPUをチップセットに内蔵したAMD680Gを初めて使用したときは、軽いカルチャーショックすら感じました。それまでの内蔵にありがちだった
・体感速度が重く遅い
・低い解像度しか使えず、フルカラーが24ビットモードのみのものも
・D-SUBしか使えないうえに画質が悪い
・動画再生支援機能が弱い
と言った言葉が通用しない、ごく普通に使えるレベルに達していたからです。ただ、当時現役より一世代前のロークラスより明らかに劣る、という基本能力が意図的に抑えられている点からの脱却は出来ていませんでした。それでもそれ以降わたしはチップセット内蔵GPUへ移行を始めました。AMDはもちろん競合であるnVIDIAのチップセット内蔵GPUやIntelのGPU統合型CPUも使ってきましたが、それらを経て、ようやくこのAPU・Trinityにたどり着いた、という感があります。もはや安いグラボの代用品ではなく、APUというシステムとしてGPU機能を持つに至ったTrinityは、現役単体GPUの機能を全て持っています。能力はロークラスの真ん中かやや上と言ったところでしょうが、総合力では一世代前を上回ります。SocketのFM2は少なくとも次の世代のAPUも使えるということなので、APUを交換すればCPUとGPU、両方の能力をアップさせることが出来るようになるということです。楽しみです。

ネット上では定番ベンチマークソフトのはじき出すCPU能力の数字のみを持って揶揄する声もあります。ですが、TrinityはベンチマークソフトのためのAPUではありません。実際、ベンチマークによってはほぼ同じ数字になるLlanoとTrinityのCPU部分を、動画エンコードソフトという実際利用するソフトで性能を比較した場合、明らかにTrinityが速度で上回っています。ベンチマークソフトの出す数字は指標の一つに過ぎず、実際に自分の使うソフト、特に実行に時間の掛かる重いソフトで比較しなければ意味はないんです。通常のソフトを快適に実行するために最低基準は十分満たしているんですから。もちろんエンコードはわたしにとって重要でも全くそうで無い人もいますから、そういう人にとっては参考にならないでしょうし、それもあくまでLlanoとの比較で速いと言っているに過ぎず、8スレッドを使えるFX8120には歯が立ちません。定番ベンチマークソフトで数字を出すことが利用の目的だ、という人もいるでしょうからそういう人にはTrinityは全くお勧め出来ないのも確かです。自分の使いたいソフトで能力を発揮できない機能などあってもしょうがないし、使う機能ならば欲しいと誰しも思うところ。
ですが、GPUは必ず使うんです、ある意味CPUの機能以上に。ブラウザをPCで使わない人はいないでしょうが、最近のブラウザはGPU負担が案外大きいものになってます。だからこそ快適にブラウザを使えるんです。特にストリーミング配信される動画をスムーズに再生するにはGPUの性能が高いに越したことはないでしょう。動画の再生、画像の表示はもちろんWindowsそのものもGPU性能がある程度あれば快適になります。少なくとも、A10-5800KのGPUはそれらを行うときにパワーが足りず、CPUの力で性能を補う必要があるという事態に陥ることは少ないでしょう。

重いソフトならCPUが重要ですが、そのうちのいくつかはGPGPUによるOPEN CL実行で代用できます。現にファイルの圧縮と解凍、静止画像のフィルタのような処理にはOPEN CLに対応し、CPUのみで行うより快適な処理が出来るものがいくつか登場しています。AMD APP ZONEではOPEN CL対応のソフトのいくつかを紹介しています。日本語化は9月下旬から10月上旬オープンという話でしたが残念ながら遅れているようですね。登録ソフトもまだ少ないですが、有名どころ無料ソフトの名もチラホラ見受けられます。OPEN CLはC言語に近いプログラミング言語を用意することにより、扱いやすい開発環境を提供している、とのことですから、増えることも期待できるでしょう。
Trinity内蔵GPUの性能はネットゲームなどなら問題なく動く、という視点で語られることが多いようですがおそらくAMDから見ればそれは普及のキッカケとなるものに過ぎないと思われます。OPEN CLが快適に動く環境の普及、それによって性能的に優位に立ち、選ばれるAPUになることが目的でしょう。これらは特に、GPUの追加交換が出来ないモバイル環境でものを言います。CPUにAPUを使えばそれつで自動的にOPEN CLもサポートされるのですから。
また、AMDはヘテロジニアス・システム・アーキテクチャ(HSA)という財団の設立の中心メンバーでもあります。この財団の目的は単にOPEN CLの管理ではなく、ARMやそれに最適化されたAndroidのアプリを、OPEN CLへのコンパイルを容易に(おそらく最終的にはコンパイル無用もしくはコンパイルと実行を同時に)することにあります。Windows上でAndroidアプリを動かすソフト、BlueStacks App Playerというものが存在しますが、AMDはこの開発元ブルースタックスと提携し、AMDチップでAndroidアプリを利用できるよう開発を進めています。そのチップとはRADEONのことであり、APUであるでしょう。また、x86向けAndroidへの協力も行っているようです。ただ、わたしらが使うようなデスクトップ機でAndroidアプリが動いてもそれほど嬉しくありません、本領発揮はWindows8環境でのタッチ操作を前提としたスレートPCです。Windows用ソフトとAndroid用アプリが両方とも動くタッチ操作PCなら、十分な競争力が出るでしょう。AMDはARM陣営やAndroidと競合するのではなく、共存共栄の道を模索しているのです。Windows面からだけではなく、Androidからの恩恵もあるSoftWareのいわゆるエコシステム、それを確立するために、AMDはAPUを作ったのです。

わたしがAPUを進める一番の理由、それはわたし自身がこれらの未来に魅力を感じ、その恩恵を受けたいからです。APUが売れなければ全ては絵に描いた餅。従来とおりの、古い性能基準の延長のCPUが続くでしょう。われわれはどちらを選ぶか、なのです。

もちろん現状でもAPUは選ぶに足る実力を持っています。どうしてもハイクラスのCPUが必要なHD動画エンコード(まだVCEはどうなるか分かりませんから)や、消費電力を気にせず高機能グラボを必須とする重量級ゲームのようなはっきりした目的のある人にはお勧めできませんが、そうでない安くて一通りのことが出来るコストパフォーマンス重視のPCやサブマシン、ネットゲームや動画の録画再生のような目的重視なら、Trinityを選ばないことに理由が必要なくらいにはお勧めできるものです。現在2コア程度のCPUをチップセット内蔵VGAで表示させているPCからの買い替えにも最適。ただ、先代APUのLlanoからの買い替えは少し待ったほうがいいでしょう。動画の再生能力に差がありませんので、Llanoでもほとんどの環境に十分な性能を与えてくれるからです。VCEなど新機能の環境がそろうか、次の世代までは待つべきです。

最大の問題は、やっぱりノートPCの選択肢の少なさ、これに尽きますね。せっかくデスクトップ用よりも先行して登場したにもかかわらず、Trinity搭載ノートPCはメーカーの中でも通販専門のラインナップにしかないケースが目立ち、しかもその多くは中型で解像度の低い液晶パネルを搭載したものしか見当たらず、物足りません。たとえるならASUSのZEN BOOKのような、そんなAPUPCが量販店にいくつか並んでいる状況が理想なのですよ、わたしとしては。こればかりはメーカーに作ってもらうしかないので、奮起を期待するものであります。安いのにHDMI出力から内蔵ディスプレイとは別のデスクトップや映像の表示が出来る、そんなノートPCも欲しくないですか?

デスクトップ用は現在のところ、なかなか好評なようでほっとしています。APUが常に次に買うPCの選択肢の一つにある、そんな将来がここから始まることを、願ってやみません。

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18 コメント

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Unknown (諦めて型落ちVAIO F を買った者)
2012-10-09 11:38:45
APUの利点は低コストでフルHD以上の高解像度ノートPCが作れることに尽きると思うんですが、どこも出しませんね
こんなものを作るとi7搭載のフラッグシップ地デジノートPCが売れなくなるからでしょうか
筐体サイズと電源の都合でCPU、GPU共に極度の高性能を望めないノートPCでは最高の選択肢なのにもったいない
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Unknown (ねず)
2012-10-09 18:24:14
gooのブログページが開けないのはAPUのせいなんですかねー。
自分はHPの既成品を買ったのでHPの入れたソフトが悪さをしているのかと思ったのですが。不思議ですね。
一度に沢山のタブを開いてブラウザに負荷をかけると開きやすいようですが。
しかしgooのブログだけってw。意味わからんです。
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Unknown (krmmk3)
2012-10-09 21:20:41
>諦めて型落ちVAIO F を買った者さん
AMDの場合、イメージのせいである程度の価格が許される高性能PCに使うことがメーカーには出来ないのでしょう。欲しいかほしくないかと言われれば欲しいのですけど、それは分かっている人だけでしょうから。

>ねずさん
そちらでの同じ状態になりましたか。ちょっと相性かバグを疑わざるを得ませんね。同じ例が他にもあったら、ドライバ面から直してもらうしかないですね。
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Unknown (emanon)
2012-10-11 00:42:15
 季節の変わり目からか調子崩して休んでいました 気がついたら10日も過ぎていてあらびっくりw 肩こりからくる頭痛が直らないのです 

>ARMやそれに最適化されたAndroidのアプリを、OPEN CLへのコンパイルを容易に 
これはWin8になると使えそうですね 
次にノートPC買うなら動画や音楽を手元でタッチ操作テレビで視聴と言うような事を考え中 操作はWin8でやるとして動画出力と動画サーバーをどうするかだな… 
AVアンプの設置しPCからのD4動画もD3でHDブラウン管に出せるようになりHDFURY3 を満喫中です 頭痛さえなければもっと楽しいのに 
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Unknown (krmmk3)
2012-10-11 23:05:41
>emanonさん
次ノート買うとしたら、タッチ操作が出来るものに限りますね。出力は、手元のパネルで操作するのならたいていの再生ソフトで、サーバーも共用さえ出来ればなんでもよさそうです。
頭痛は集中力を奪いますから、つらいですね。肩こりはキツイですが、わたしはなぜか2年前くらいから全くでなくなりました。
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Unknown (たん)
2012-10-12 17:38:09
本日、HPからTrinity搭載のノートPCが発表になりましたので、
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20121012_565655.html
APUをカスタマイズでA10に出来ないか、問い合わせしてみましたが、
残念ながら今回発表のモデルはカスタマイズ不可との返事でした。
米国のサイトも見ましたが、一応A10を搭載したモデルはあるのですが、17インチのモデルのみでした。
というわけで本日の地点でもA10搭載のノートPCはレボノのみです。
ただ一応来週には、知人と会って最終的に買う機種を決める予定ですので、もう少し選択肢が増えてほしいところです。
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Unknown (たん)
2012-10-12 22:54:57
すみません追記ですが、
その後HP ENVY dv6-7200(パフォーマンスモデル)のスペックを見ると、
液晶の解像度がフルHDだったり、GPUがデュアルだったりと外回りは強力のようです。
APUを少し妥協することになりますが、予算の範囲に入るのでこちらを少し優先的な候補として考えます。
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Unknown (krmmk3)
2012-10-12 23:28:33
>たんさん
わたしもそのRADEONのデュアル化、気になってました。GPUはAPU内蔵で十分なので、A10採用して欲しいなぁと(^^;)1920x1080パネルありはうれしいですけどね。
A8も2CUなのでA10との性能差は少ないと思います。検討対象にはなりそうですね。ひそかにSleekbookなんていう新分野だしてますが、なんでE1-1200が残念。A4で出して欲しい。
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Unknown (諦めて型落ちVAIO F を買った者)
2012-10-15 19:51:12
妥協したとたんにHP ENVY dv6-7200が発表されてしまいました
TRINITY、フルHD、BD搭載でこの条件での価格はまだ出ていませんがおそらく7万円と、ほぼ自分の理想ですね
良くを言えばこれで13,3インチなら完璧だったんですが、それは欲張りすぎですね
しかし今更どうしようも無いのでこれがヒットして次世代では同様な構成で他社も参入してくれることを願います
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Unknown (krmmk3)
2012-10-16 02:06:39
>諦めて型落ちVAIO F を買った者さん
出ちゃいましたねぇ。確かに13.3インチならもっとよかったんです、AMDですからそれを望むのは贅沢かも。でも、そんなのも探せば買えるくらいAMDノートが出て欲しいですね、物はいいので。
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