先週末の福岡出張の際に空いた時間で何件かオーディオSHOPに立ち寄ったときの話。
憧れのALTECに逢いたくてとあるお店に顔を出したんだけど、これがなかなか良い経験だったんだ。そこの社長はつっけんどんな人で僕が来たときはもの凄く迷惑そうな顔をしてる。その理由はすぐにわかった。
「あんたのように音を聴かせてくれという人は全国からたくさん来るが、それは音を聴きたいんであってモノを買いたいわけじゃない。最近はめんどくさくなってね」
鋭い突っ込みである。いやこちらにも言い分はある。ただでさえ高額な商品である。音も聴かずにモノも見ずにそんな大枚は出せない。そもそも生産中止になってから何十年も経つ代物だ。そうそうお目にもかかれない。ALTECでもA5やA7は何度か見た事があるが817になると見た事もない。それがこのお店にはとりあえずエンクロージャー(箱)だけはストックしているという情報を得ていた。出来れば拝みたい。そう思うのは僕にとって自然だった。しかしお店側にすれば良い迷惑である。視聴させるということはかなりのリスクが要るし労力も要る。それで成約に繋がれば良いが全国からどこの馬の骨とも分からぬ輩が押し掛けては「音を聴かせろ」と言ってくるのだ。そりゃ嫌になって当然だろいう。
僕にそのお店で視聴出来たら、そして満足のいく音が確認出来たら、そのお店でALTECを買うのか、と問われたら正直答えに窮するだろう。まず即座に支払う現金が無い。部屋側の体制も整っていない。あくまでも視聴は将来の導入への布石でしかない。さらに全てがクリアされていよいよそのお店で買うかと言われたら自信もない。中古品は縁のものだからだ。
勿論そこの社長はこちらの事情も十分理解していた。そのうえでこういうことを話してくれた。
「オーディオは買ってからが勝負なんですよ。」
言わんとしてることは分かる。お店で聴いて良い音を鳴らしていると、「このスピーカーとアンプとプレーヤー、ケーブルもそっくりそのまま売ってくれ」という客が良くいるそいうだ。しかし社長は断言する。その客がそのお店で鳴っていたオーディオ一式を丸ごと彼の部屋へ持ち込んでも絶対に同じ音では鳴らない。高級オーディオほどこの傾向は強く、ケーブル1本、プラグ1個でも音は変わる。そしてオーディオで最も大きな要素である部屋、エアボリュームに内装の素材、部屋形状に堅牢さなどこれらの要素で音はあっさり変わってしまう。ではALTECとは、いったいぜんたいどれが本当の音なんですか?。
「全て本当の音なんです」
今聴いてる音、配置を替えて聴こえる音、アンプやプレーヤーを替えて聴こえる音、全てがALTECの音なのだ。だから自分好みの音に仕上げていく楽しみがオーディオにはある。社長の言うオーディオは買ってからが勝負というのはそういう意味だ。なんとも厄介な趣味なのである。
僕の憧れであるALTECの場合、社長に言わせると意外にもA5よりもA7の方が鳴らし方が難しいという。そんな馬鹿な!?あらゆるオーディオ本では弟分であるA7より兄貴分であるA5のほうが難しいと書いてあるではないか!と僕は反論したが、「そんなこと書いてる奴は分かっとらんのです。私の経験ではA7の場合、100台いて良い音で鳴っているのは2、3人でしょう。」さらに「A5より817のほうが鳴らしが楽です。」だそうだ。む、むむ。やはり俺は817に行くべきなのか。残念ながら値段でいうと817が一番高い。そのお店に置いてあった817箱だけで50万円もする。これにユニットを装着すると これ以上計算するのはよそう。
車もそうだが、ハチロクをどんなにフル改造したところで、所詮フェラーリには勝てない。本当に良いものを求めるなら最初に一番高いものを買ったほうが早いのだ。しかし全ての人がフェラーリを買えるかというと話は別。だからハチロクにはハチロクの楽しみ方がある。フェラーリを買えない人は予算内で買える車を買っていけばいいのだ。しかし肝なのは自分が楽しんでいるものにはまだ上の世界があるということを知っておくことべきだということ。
最後に社長から「お金が貯まったらまた是非いらして下さい」と声を掛けられ店を後にした僕。普段提供する側にいる僕だが、客側に立って気付くことはたくさんある。今回も多くのことを思い出したし新たな発見もあった。こういう貴重な経験はインターネットや量販店では得られない貴重なものだ。買い物ってとても楽しいし人と人の対話って素晴らしいと再認識した1日でした。
本日のSNAP-SHOT!
新生リフト前田くん
ブルポのLEDライト(ECFLED215J)を購入です。さらにスナップオンのフランクドライブラチェッティングレンチSET(SOEXRM710)
もご注文いただきました!後ろで棚を開けて品定めしている高嶋ボスが気になります。
それではまた!
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