戦争を挟んで生きた女性の回顧録

若い方が知らない頃のセピア色に変色した写真とお話をご紹介いたします。

22/12/19  ジングルベルは暗かった戦後の暮を思い出すメロディ・・・

2010-12-19 16:26:36 | Weblog

クリスマス が来ればもう後はお正月を迎えるだけ。戦後の暮は貧しかったがみんな浮かれていた。お父さんが何処かに遊びにいってしまい、悲しかった私は松が峰教会のミサに行って祈った事もあった。私はクリスチャンではないが、幼稚園がここだったのでいくらかお御堂についても覚えていた。数年が過ぎ、私も短大に通うようになりそれなりのボーイフレンドも訪れるようになった。でも、わたしにとって恋などとは未だ縁の遠いものだった。ある日店を訪れた彼は私のおばあちゃん、とりに私が未だ帰省していないと告げられて、帰省したらいつも行っていたみどりという喫茶店でクリスマスイブに「デコレーションケーキを上げたいから8時に待っている」と告げて帰った。いつもいない私との連絡はおばあちゃんが間に入って私に伝えていた。おばあちゃんは暮で忙しく、すっかり忘れてしまった。電話の上に小さい黒板があり、メモを書くようになっていたのに。それを思い出したのは私の幼い妹や弟の為に父が大きいクリスマスのデコレーションケーキを買って来た後だった。クリスマスイブのその時間はとっくに過ぎていた。彼はどんなケーキを買って私にプレゼントしようとしたのか今は知る由もない。甘党でない彼はそれを誰に食べさせたのだろうか?それ以来彼とは特に遠くなった。時々何かのイヴェントで顔を合わせることがあるが、大変偉くなられた彼と私はいつも苦笑いして会釈するだけ。お互いの胸に去来するのはクリスマスのデコレーションケーキだろうか?

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