あおり文句は。こいつら、タダものじゃない。
そりゃあ、もう。。このキャストに、文句のつけようのあるわけがなく。<11/2のつづき>
長い物語は、『リア王』から始まるが。父の鰤の十兵衛(吉田鋼太郎)は、重厚な佇まいが素敵。長女のお文(高橋惠子)は女っ気が強く、次女のお里(夏木マリ)はきかん気が強く。ふたりはきっちり対等に張り合っている。だからこそ、末娘のお光(篠原涼子)の正直さが際立つ。『ハムレット』よりは。お文と弟に殺されて、息子に恨みごとを吐く亡霊(西岡徳馬)。まさかここで、笑わされるとは思わなかった。徳馬さんの、ちょっとすかした演技がいつも好き。次は『マクベス』『オセロ』より。お里と恋仲になり、夫を殺害するも苦しみの淵に立つ幕兵衛(勝村政信)は。全編中、とても真っ当な人物に見えた。そして、勝っちゃん(←勝村氏愛称)が。ここまで正統なシェイクスピア演技をみせてくれたのを、意外ながら嬉しく思う。
やはり、『ハムレット』より。父が亡くなり呼び戻された息子、きじるしの王次(藤原竜也)は。登場するだけで、舞台に華が咲いたよう。彼が亡くなる瞬間には、客席から悲鳴がもれるほどで。以前から、ハムレットはアイドルなのだと主張し続けてきたけれど。ここまで体現してもらえると、本当にむくわれる。そして。すげぇよ、竜也くん。こんなに喜劇がいける役者さんだったなんて! それで、舌が長いのね(←意味のない覚書♪)。特筆するなら。ストーリーテラーの木場氏と呼吸を合わせ、歴代の「to be, or not to be.」の日本語訳の演じ分け。それが見ごたえあったこと。 あ、なんだかひとりだけ行数くってるぞ(笑)。
彼の言葉に傷つけられる、許嫁のお冬(毬谷友子)は可憐で、実際の年齢差を感じさせない。彼女は浮舟太夫と二役で。こちらでは『ロミオとジュリエット』を演じるのだけど、恋人との行き違いは哀しく。佐吉(高橋洋)は、素直で清涼感でいっぱいで。ふたりの心中をどうにも止めたくて、それが叶わない幕切れはひどく切ない。
『マクベス』の魔女のように、ふいに現われて。予言を与える清滝の老婆(白石加代子)は、あいかわらずの怪演で。その予言どおりに、のし上がっていく佐渡の三世次(唐沢寿明)は。陰謀の口説きの、『リチャード三世』よりの出典だから。人の気持ちの悪意の部分に入り込み、あやつりの台詞を駆使するのだけれど。狡猾な悪党というだけでなく、卑小さを醸(かも)す趣向が面白かった。
実力揃いの役者さんが、各人の解釈で演技力を発揮すると。ややもすると、まとまらない印象を受けることがある。それを杞憂にしたのは、隊長(木場勝己)。がっちりと舞台上で全体をまとめあげる、みごとな存在の仕方だった。蜷川幸雄氏の手綱、あってこそだとしても。
そりゃあ、もう。。このキャストに、文句のつけようのあるわけがなく。<11/2のつづき>
長い物語は、『リア王』から始まるが。父の鰤の十兵衛(吉田鋼太郎)は、重厚な佇まいが素敵。長女のお文(高橋惠子)は女っ気が強く、次女のお里(夏木マリ)はきかん気が強く。ふたりはきっちり対等に張り合っている。だからこそ、末娘のお光(篠原涼子)の正直さが際立つ。『ハムレット』よりは。お文と弟に殺されて、息子に恨みごとを吐く亡霊(西岡徳馬)。まさかここで、笑わされるとは思わなかった。徳馬さんの、ちょっとすかした演技がいつも好き。次は『マクベス』『オセロ』より。お里と恋仲になり、夫を殺害するも苦しみの淵に立つ幕兵衛(勝村政信)は。全編中、とても真っ当な人物に見えた。そして、勝っちゃん(←勝村氏愛称)が。ここまで正統なシェイクスピア演技をみせてくれたのを、意外ながら嬉しく思う。
やはり、『ハムレット』より。父が亡くなり呼び戻された息子、きじるしの王次(藤原竜也)は。登場するだけで、舞台に華が咲いたよう。彼が亡くなる瞬間には、客席から悲鳴がもれるほどで。以前から、ハムレットはアイドルなのだと主張し続けてきたけれど。ここまで体現してもらえると、本当にむくわれる。そして。すげぇよ、竜也くん。こんなに喜劇がいける役者さんだったなんて! それで、舌が長いのね(←意味のない覚書♪)。特筆するなら。ストーリーテラーの木場氏と呼吸を合わせ、歴代の「to be, or not to be.」の日本語訳の演じ分け。それが見ごたえあったこと。 あ、なんだかひとりだけ行数くってるぞ(笑)。
彼の言葉に傷つけられる、許嫁のお冬(毬谷友子)は可憐で、実際の年齢差を感じさせない。彼女は浮舟太夫と二役で。こちらでは『ロミオとジュリエット』を演じるのだけど、恋人との行き違いは哀しく。佐吉(高橋洋)は、素直で清涼感でいっぱいで。ふたりの心中をどうにも止めたくて、それが叶わない幕切れはひどく切ない。
『マクベス』の魔女のように、ふいに現われて。予言を与える清滝の老婆(白石加代子)は、あいかわらずの怪演で。その予言どおりに、のし上がっていく佐渡の三世次(唐沢寿明)は。陰謀の口説きの、『リチャード三世』よりの出典だから。人の気持ちの悪意の部分に入り込み、あやつりの台詞を駆使するのだけれど。狡猾な悪党というだけでなく、卑小さを醸(かも)す趣向が面白かった。
実力揃いの役者さんが、各人の解釈で演技力を発揮すると。ややもすると、まとまらない印象を受けることがある。それを杞憂にしたのは、隊長(木場勝己)。がっちりと舞台上で全体をまとめあげる、みごとな存在の仕方だった。蜷川幸雄氏の手綱、あってこそだとしても。