BRAVA DIVA MIWA | |
美輪明宏 | |
キングレコード |
月刊MOKU3月号の対談は、美輪明宏さんだった。私は美輪さんの本は何冊か読んでいるのだが、読んだことがないこともいくつかあって、特に印象に残ったのは原爆に被爆したときの話だった。
当時美輪さんは縁側で宿題の絵を描いていて、全体の様子を見ようと2,3歩下がったときにすごい閃光が走ったのだそうだ。美輪さん自身、後年原爆の後遺症と思われる症状に苦しんだが、美輪さん自身は「原爆の影響だと思いたくはなかったんです。原爆で、もっと、もっと苦しんでなくなって行った方をたくさん見ているから。」と答えている。
また、鈴木安蔵らが作った『憲法草案要綱』がGHQ原案の作成のたたき台になっていることも初めて知った。(しかし、戦力や交戦権の規定はこの要綱にはなかったから、この部分が加えられたのはGHQの意図であることは間違いないだろう。)
また法華経の諸法実相の思想の根拠となる「十如是」の概念も初めて認識した。「相・性・体・力・作・因・縁・果・報・本末究竟等」の因果律によってものごとの真実を解き明かそうという考えで、美輪さんはこの考え方で戦争の本質を考えたのだという。
また、諸行無常の世の中の中で、変わらないものは自分の信念や心だけであり、変わらないでいることは大変な修行だけれども、自分の人生でそれをやってみようと思ったのだという。これは正直すごいと思った。
結局、自分の知をもとに、自分の持つ信を貫いて生きようという生き方。それで、愛というものを歌い続けているのだと思った。
私は何度かジァンジァンのライブで美輪さんの歌と話は聴いたことがあるのだけど、何と言うかあまりに特異で、まだやはりよくわからないところが多いのだなと思ったのだけど、出発点はすごく知的で、意志的であることは、改めて感じたのだった。