感染症の特効薬開発でノーベル医学・生理学賞を受賞した北里大特別栄誉教授の大村智氏ら3氏を、心から賞賛します!!
ロイターが同日夜に次のように伝えました。
『今年のノーベル医学生理学賞に北里大学名誉教授の大村智氏(80)ら3人が選ばれた。スウェーデンのカロリンスカ研究所が5日発表した。寄生虫に起因する感染症に画期的な治療法を確立したことが受賞理由という。
大村氏のほか、アイルランド出身のウィリアム・キャンベル氏、中国のトゥー・ユーユー氏が受賞した。
大村氏とキャンベル氏は共同受賞。河川盲目症やリンパ管フィラリア症に効果がある薬剤イベルメクチンを開発した。
トゥー氏はアルテミシニンという化合物を発見、マラリアによる死亡率の大幅低下に寄与した。』
筆者には専門外の分野でありますので、詳しい方より引用させて頂きました。
10月5日に公表された「日本科学未来館コミュニケーターブログ」によれば、これらの成果の概要は次の通りです。
『(大村智博士(北里大学)とウィリアム・キャンベル博士(ドリュー大学、アメリカ)の)お二人は、河川盲目症と象皮病という両方の病気を治療できるイベルメクチンという薬を開発しました。河川盲目症はオンコセルカ症といい、ブユを媒介して約1800万人が感染しており、そのうち約27万人が失明し、さらに50万人が視覚障害を持っています。オンコセルカ症は世界第2位の失明原因です。(メルクマニュアルより)
象皮症はリンパ系フィラリア症といい、蚊が媒介する病気です。現在何百万の人がこの病気にかかっています。体の中に虫が入ると、象の足のように足が太くなり、皮膚がかたくなります。
いまも、熱帯の国々の多くの人たちがこれらをはじめとした感染症にかかります。
さて、大村博士はもともと、微生物を研究されており、たくさんの菌を発見しては同定をしていました。その中のひとつが、今回ノーベル賞の受賞理由になった「放線菌(Streptomyces)」という細菌を静岡県伊東市のゴルフ場の土の中から発見しました。
この放線菌を大村博士からもらい、その中に感染症に有効な成分が含まれていることを発見し、薬の開発を進めたのが同時受賞の寄生生物学のウィリアム・キャンベル博士です。
キャンベル博士は、もらった放線菌からエバメクチンを抽出しました。エバメクチンは動物の感染症に効くことがわかりましたが、人体に副作用が出ることがわかったため、人体にも効果をもたらす形に化学的に修飾を行ったイベルメクチンを開発しました。
この薬が、ミクロフィラリアと呼ばれる多くの回虫を撃退することができるのです。しかも、年に1~2回、経口投与で飲めば、副作用もなく、様々な範囲の寄生虫を撃退するのに効果があります。これは従来の薬よりも長期間効果がある、画期的な薬なんです。(中略)
受賞後に行われた記者会見でのお話で、大村先生は、お母様に「人の役に立つことを」を行うようお話され、「人のやっていないことをしよう」という意識を持ちつづけながら研究を進められてきたとお話されていました。大村先生は年間で様々な場所から土を拾いつづけ、2000~3000サンプルを同定されています。』
『1960年代後半の中国。政府は薬剤耐性を持つマラリアに効く、新たな抗マラリア薬の開発を科学者に命じます。その一人がトゥ博士でした。トゥ博士は漢方に注目し、様々な薬草を試す中で、マラリアに効力があると思わしき1つの薬草に出会います。それがキク科ヨモギ属の青蒿(セイコウ:Arteminia annua)でした。
しかし、その効果は不安定で、実用化にはほど遠い状態...。悩んだトゥ博士は原点に立ち戻り、340年に東晋朝で書かれた古文書、中国で初の救急医療書にヒントを見つけたのです。その中の記述には「青蒿の絞り汁が病に効く」とありました。トゥ博士は、それまで高温で抽出していたことで成分が変成してしまったことに気づき、低温抽出を行うことでマラリアに効力のある「アーテミシニン(Artemisinin)」の抽出に成功したのです。1972年のことでした。
それまでの抗マラリア薬への耐性があるマラリア原虫にも効果を効力を発揮し、またクロロキンやキニーネに比べて副作用が低いアーテミシニンは、中国内では1980年代から使用され始めます。そのめざましい効果は注目を集めますが、政治的な背景から世界保健機構(WHO)に認可されたのが2000年、本格的に使用され始めたのが2006年と、世界中で多くの命を救い始めるまでに30年近くもかかってしまいました。
しかし、アーテミシニンがマラリア治療に加わったことで、現在では死亡率が20%下がり(子どもでは30%)、アフリカに限れば、毎年10万人もの命が救われているそうです。』
本当に、この3氏の涙と努力の積み重ねが、人類に感染症への脅威に対する治療への、ひいては個人の安全保障に大きな貢献をもたらしました。
筆者を含め、多くの皆様もそれぞれの分野で働いたりしていますが、この3氏の大きな成果に何か参考になる点もあろうかと存じます。
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