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いのちなりけり 葉室麟

2010-05-19 19:46:27 | ★な・は行の作家
いのちなりけり
葉室 麟
文藝春秋

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これほどまでに一途に想い続けてもらえるのが とても羨ましい


水戸光圀と将軍家の謀略渦巻く中 一度は夫婦となりながらも引き裂かれるふたり 咲弥と蔵人
実直で不器用な蔵人に 和歌が好きな咲弥はひとつの問いを投げかける

『どのような和歌をお好きかで、その方の心映えがわかると存じます。蔵人様にとって、これこそご自身の心だと思われる和歌を教えていただきたいのです。』

答えが見つからないまま離れ離れになって もう一生会うことはないかもしれないのに
それでも蔵人は 日々懸命に生きていく中で 咲弥に想いを伝えるため ぴたりと心に沿う和歌を探し続ける
何年も 何十年も…


長い間会わなければ忘れられてしまう
会える見込みがないならなおさらのこと
一度逃したタイミングはもう戻ってこないし 熱は簡単にさめる
声や顔 その人の感触が薄らいでいくにつれて 想いも消える そう思ってたけど

会わずにいる間に より一層つのる想いってのもあるらしい
いつかきっと… そう信じる強い想いが生きる力になることもある


『春ごとに花のさかりはありなめど あひ見むことはいのちなりけり』

いつでも何度でも そしてこれからもずっと 会うたびに違う君を好きになる
会うことそれ自体が 自分のいのちのようなものだと そのために生きてるといっても過言ではないと


そんな風に想われることも 想える相手がいることも
どちらも幸せだろうなと思う


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