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【献本】つぶやき進化論「140字」がGoogleを超える! エリック・クォルマン

2010-07-31 17:44:25 | レビュープラス献本
つぶやき進化論 「140字」がGoogleを超える! (East Press Business)
エリック クォルマン
イースト・プレス

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レビュープラスさんから献本いただきました
いつもありがとうございます

今回も先行レビューというかたちで 出版前にPDFファイルで一足先に読ませていただきました
iPadは持っていないのでノートPCで読んでますが 
擬似電子書籍体験といった感じで なかなかおもしろかったです

◇◇◇

社会経済のあり方が大きく変わろうとしている
ふつうの人たちが経済を動かす「みんなの経済(ソーシャルノミクス)」の時代がやってくる

企業やマスメディアが動かしてきた情報や商品の流れを 
今や 「ふつうの人たち」が主体となって動かしつつあり 
その基盤となっているのがtwitterやFacebookをはじめとするソーシャルメディアだそう

ソーシャルメディアを使えば誰でも簡単に情報を流せる

今までも 「クチコミ」を利用して商品を流通させるビジネスはあったけど 
クチコミがデジタル化したともいえるソーシャルメディアが 社会や経済“全体”に影響を及ぼすようになる
というのが これまでとは大きく違う点
この本の中では その影響の大きさを実感できるような例が いくつもあげられている

ふつうの人が 自分の考えや好み・感想などを手軽に流せるようになった今 
企業は 消費者から支持される商品やサービスを提供しないと生き残れないし 
今までのように莫大な宣伝広告費や仲介業者も要らなくなる

わたしたち消費者のメリットは大きい
山積みの情報・商品の中から手間暇かけて必要なものを自分で選び出すのではなく
これからは 
はじめから自分に役立つものだけを受け取ることが簡単にできるようになる
“むだ足をふむ”とか“二度手間をかける”という言葉は いずれこの世から消えるかもしれない

情報もモノも時間も 徹底的にムダは省かれ より効率化された社会になるんだろう

社会全体の効率化
こうした波が押し寄せつつあるのを感じる中 ふと思い浮かんだのは
“役に立たない=必要ない”と言い切ってしまっていいのかなぁ?という疑問

自分にとって本当に役立つものだけを手に入れられる 
それはもちろん 大きな恩恵
でも もし 
ちょっとした間違いや無駄もぜんぶ 不要なものとして切捨てられる世の中になったら 
それはそれで 何だか切ないし息苦しいなと思ってしまうのだけど

たとえば
友達に「この人は私の役には立たない」と思われたら 「必要ない」と離れられてしまうのかなぁとか…考えすぎかな?


それから ソーシャルメディアの持つもうひとつの大きな利点は 
人々が“自分の人生を見直すきっかけになる”こと
自分の生活を公開することで かっこいい自分でありたいと思う
例えば 休日に家でゴロゴロTVを見ているより 高級リゾートで楽しく過ごす自分でありたい 
充実している姿を自慢したくなるので 生産的な活動や社会貢献により積極的に関わろうとするようになるんだそう
まぁ一見 動機は不純かもしれないけど 
自分で自分をプロデュースすることで 人生が楽しく豊かになるのなら それもよいことなのかなと思う


これから先 本当に社会や経済の流れが大きく変わるのかもしれない 
この本を読んでいると そんな予感がしてくる

ソーシャルメディアによるこれらの変化は 
良い悪いにかかわらず もう後戻りすることはできないだろうし
正しいかどうかわからなくても 受け入れるしかないなら 
それによって 私たちが受け取るものと 失くしてしまうかもしれないものについて 
この機会に すこし考えた方がよいのかなとも思う


流されたり 足をすくわれて おぼれてしまうことのないよう 
しっかりと自分の足をつけていようと思う


時間を惜しんでケータイの画面を見つめて情報集めるよりも 
青い空を見上げてぼーっとする方が好きな 
『無償で楽しみのために書いているフリーのブロガー』の 140字から大きくはみ出る“つぶやき”でした

◇◇◇

今回もまたレビュープラスさんに先行レビューのお話をいただき感謝しております
「先行レビュー」「献本」に興味のある方はこちらをごらんください
 ↓
レビュープラス




◇◇◇

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3びきのかわいいオオカミ ユージーン・トリビザス

2010-07-22 12:02:54 | ★ま・や行の作家
3びきのかわいいオオカミ
ユージーン トリビザス
冨山房

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「三匹のこぶた」の逆バージョンの絵本

か弱くいたいけな三匹のおおかみと 粗暴な大ブタのお話

おかあさんのもとを離れて自立するおおかみ三兄弟は まずレンガのおうちを建てますが いじわるなブタに壊されてしまいます

なにしろこんなブタですから

結構怖いです この人相…豚相っていうのか?!

このブタから自分の身を守るため レンガからコンクリート そして鉄筋と
どんどん硬くて頑丈な材料で おうちを作るおおかみ達
でも 結局全部壊されて 最後につくったおうちはというと―


基本的に本はたのしめればOKだと思ってます
絵本も 子ども達が“本っておもしろいな”“お話って楽しいな”と思ってくれればいいと
そこに教訓めいたものがあったり 何かを教えたりする必要はないと思ってるのですが

それでも  どんなことでもいいから 何かを感じてくれたら嬉しい


この本も 家を作る材料が すごくポイントになってるお話だなと思ってます
どんどん硬くすることで ブタの攻撃を防ごうとして失敗するおおかみ達ですが
最後は発想の転換で とても素敵な材料でおうちをつくります
その家を見たブタの気持ちや態度はくるりと変わります

そんなおうちのように在れたらいいなぁと思います

天地明察 冲方 丁

2010-07-13 19:17:00 | ★あ行の作家
天地明察
冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)

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はじめから自分の道が見える人というのは稀だろう

人は 人と出会っていろいろなことを考えて 悩みながら何かを探して
そして見つけていくものなんだと それでいいんだと
この小説を読むとあらためてそう思う

江戸中期の泰平の世 
名門の碁打ちの家に生まれた渋川春海の仕事は “安井算哲”の名を受け継ぎ碁を打つこと
碁の才はある 
とはいっても 仕事で打つ碁は真剣勝負ではなく 代々伝わる決まった譜をただ再現するだけ
相手に勝つために自由に打てる碁ではない
安泰たる勤めではある

だが 春海は 餓える

碁を打つことを一生の仕事と定め 情熱を傾けることがどうしてもできない春海
繰り返される同じような日々の中で ふつふつと湧きあがる 己の人生への飽きと餓え

唯一の救いが 大好きな算術そして天体観測と暦学
ふと神社で耳にした『からん、ころん。』という算額絵馬の音 
その転がるような音に導かれるように 様々な出会いがあり 春海の運も転がりはじめる
そうして 見つけた己の道は 天を測り地に起こることを明らかにし 新しい暦を作ること

たかが暦 されど暦
八百年以上も使われてきた暦を捨て 新しい暦を作りだすという国を挙げての一大事業は 
朝廷や幕府それぞれの思惑が絡み 一筋縄ではいかない

長い年月をかけ 算術や観測の師たちからいろいろなことを学び 将来を託され
同志たちとはときにぶつかりながらも認め合い 互いに精進し 
保科正行や水戸光圀などの力ある者や 妻の存在や憧れの女性への想いに支えられ
そして 自らが得たものをあとから歩いてくる者たちへ残し 伝える

人は人と関わることで生かされてるんだと思う


『雁鳴きて菊の花咲く秋はあれど 春の海べにすみよしの浜』

“春海”という名はこの伊勢物語の歌からとられているそうだ
『雁が鳴き、菊の花が咲き誇る優雅な秋はあれども、自分だけの春の海辺に、“住み吉”たる浜が欲しい。居場所というだけではなく、己にしかなせない行いがあって初めて成り立つ、人生の浜辺である。』

自分だけの春の海辺を探すこと それが生きるってことだと思う



それから 印象的だったのは 
春海が想いを寄せていた女性“えん”との再会
一度は違う道を歩き始めたふたりが 再び出会うことになる不思議な縁
生真面目で えんを待たせてばかりの春海がもどかしくもあったけど
安易に踏み出せずにいたのは それだけ彼女が大切な存在だったんだろうとも思う
最後に ようやく見つけた春の海辺を穏やかに笑いながら歩いているかのようなふたりが 羨ましく思えた


ほかにも心に残ったところをいくつか

神道についての春海の言葉
『天地に神々はあまねく存在し、その気は陰陽の変転とともに千変万化しながらも常にこの世に漲っている。捨てる神あれば拾う神あり、というが、その正しい意義は星の巡りであり神気の変転である。神気が衰えることは古い殻を脱ぐ用意を整えるということであり、蛇が己の皮を脱いで新たに生まれ変わるのとまったく同じなのだ。』
『神道は、ゆるやかに、かつ絶対的に人生を肯定している。』

神道というのは すべてのものをゆるやかに肯定し大きく包み込んでしまう
そんな宗教なんだろうなと思う

天測や暦についての春海の語り
『星はときに人を惑わせるものとされますが、それは、人が天の定石を誤って受け取るからです。正しく天の定石をつかめば、天理暦法いずれも誤謬無く人の手の内となり、ひいては、天地明察となりましょう。』


「天地明察」このすっきりと晴れやかな言葉の印象どおりの 素敵なお話でした

【献本】マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1 ケチャップの謎

2010-07-04 16:25:37 | レビュープラス献本
マルコム・グラッドウェル THE NEW YORKER 傑作選1
ケチャップの謎 世界を変えた“ちょっとした発想”

マルコム・グラッドウェル(著)
勝間和代(訳)
講談社

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アメリカで人気のビジネス書著者 マルコム・グラッドウェル 
彼が「ニューヨーカー」誌に連載していた記事を厳選し収録した「THE NEWYORKER傑作選」
その全3部作の第1弾がこちら


世には知られていないけれども 大きな仕事をした人々に光をあてた物語
サブタイトルは『マイナーな世界の天才たち 偏執狂か先駆者か』
今まで誰も思いつかなかったことを やり始めるとする
まるで何かに取り憑かれたようにこだわり続ける
はじめは否定され 変わってる狂ってると冷笑される
それでも
成功すれば世間の見方はくるりと変わり その瞬間から“先駆者”となる

ある出来事があったとき 
私たちが知りたいのは 行動や事実そのものよりも
登場人物たちが どのように考えどんな気持がしたかということである
他人の思考を追うということはとても心躍る楽しい作業だ
自分の身には起こりえないことも 他の人の物語を読むだけで疑似体験でき
いろいろな発見をして わくわくどきどきする
まるで自分自身の冒険のように―
それが本を読むことの醍醐味であると思う

マルコム氏いわく『これらの記事を“他人の頭の中をめぐる”という意味で「冒険」だと思っている。そのつもりで書いたからだ。冒険を楽しんでいただければ、と心から願っている。』

さあ― 先駆者の頭の中をめぐる冒険の旅に出てみよう


旅の第1章はTVショッピングの王様ロン・ポピールの物語

画期的なキッチン用品を開発 さらに自らの実演販売で売り上げて富を得た男
有能な販売人である一方 自宅のキッチンにこもり納得いくまで試作を繰り返す 
まるで時間を忘れて工作に熱中する少年のような一面も持つポピール
今までの常識的なやり方を変えるためのちょっとした“気づき”と“発想の転換”
そして“こだわり”
成功するのに必要なのは なにも特殊な才能なんかじゃないのかもしれない


第2章の舞台はアメリカのケチャップ市場

誰もが普遍的においしいと思える味を追求していた食品業界
ところが調査をしてみると 意外に好みのばらつきが大きく
皆がおいしいと答える“ひとつの完璧な味”が存在しないことが判明
そうして マスタードやパスタソースなど様々な食品において 商品の“多様化”で成功をみている
唯一の例外がケチャップ
今まで多くのメーカーがハインツの牙城に挑んできたのに崩せないのはなぜか
多様化では超えられないハインツケチャップの魅力は何なのか…

私たちが至福を感じる“何か”は 珍しいものや新しいものだけでなく
本当は私たち自身がはじめから持っているのかもしれない
それを呼び覚まして拡げてくれるものを 人は心地よいと感じるのだろう


第3章のブローイング・アップ(吹っ飛び)の経済学では二人の投資家の姿が描かれる

ひとりは大邸宅で豪奢な生活をし 常に強気の投資をするニーダーホッファー
かたや今までの定石をやぶり ウォールストリートの反体制の中心人物ともいわれるナシーム・タレブ
正反対とも思えるふたりの生き方 その結末は―?

投資の成功は分析や理論によってもたらされるだけではない
成功し続ける人が明日には運に見放されて吹っ飛ぶ(大損失を出す)可能性だってある
その吹っ飛びを回避し 小さな損失の積み重ねに耐えながら
いつか大きな利益に転じる日を信じて待つというタレブの戦略

一度も見たことがないからといって それが存在しないという証明にはならないし
一度も起こったことがないからといって 今後もずっと起こらないとは限らない
経験は貴重な財産だが それを信じすぎるというのは危険でもある
世の中は何が起こるかわからない
“自分は何でも知っている”そんな過信が命取りになる可能性だってある
自分の知らないことはまだたくさんある 教えてくれる周囲の声を受け入れることも大事だろう


この本には 何かを成し遂げた人たちの物語がある

世の中には自らは何もせず 何も成さず
そして自分だけ何も起こらないことをただ嘆く人たちも多くいる
両者の間にある違いは一体何なのだろう…?

本書にはその問いに対するたくさんの答えがあったように思う
その中でも一番大切なのは
自分の内なる声と導いてくれる周囲の声との両方を 信じて素直に従うことではないかなと
3つの冒険の旅を終えてそう思った


◇◇◇

偏執者…いや先駆者!(笑)の頭の中をめぐる冒険 存分に楽しむことができました
ただ 私自身は翻訳ものってやはりちょっと苦手…
最初から日本語で作られたものは文章に好いリズムがあるのですが 翻訳ものだと読んでいて小さな違和感があります
原著ではきっとリズムがあるのでしょうけど 別の言語に“訳す”という作業で消えてしまうような気がして 何となく読みにくさを感じてしまいます


今回は先行レビューということで 発売前のこの本 6章ある中の3章をゲラで読ませていただきました
続きが楽しみなので 出版されたらぜひ全文を読んでみたいと思います

講談社さんおよびレビュープラス(R+)さんの献本に感謝です
ありがとうございました






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