氷菓 (角川スニーカー文庫)米澤 穂信角川書店このアイテムの詳細を見る |
さくさく読めちゃう軽めのミステリー
日常の謎系という点では 北村さんや加納さん・若竹さんなんかと近いですかね でも良くも悪くももっとあっさり
軽いんだけど 軽薄というのではなく
誰もが少しは抱えてるような屈折感とか劣等感みたいなものをさらりと書き出してる感じがしました
「青春」とは「いつも熱く爽やかで薔薇色」と定義されがちだけど ちょっと違う空気の青春をうまく描き出してると思います
『やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければならないことは手短に』をモットーに生きる何事にも熱くならない高校生ホータローが
ひょんなことから「古典部」という文化系ブカツに入り 好奇心旺盛な騒がしい友人達に巻き込まれて いろいろな謎を解いていく
北村さんの円紫シリーズと似ているようで 表と裏のよう
主人公の二人が 立ち位置は同じなのに向いている方が逆で背中合わせになってる そんな感があります
部活や恋に熱くなる同級生達をシニカルな目線で見つつも そんな自分にちょっと疑問を持ってもいる奉太郎くんの 揺らぎや悩みには誰もが共感を覚えるかもしれない
「氷菓」の謎は 明かされても“え?”といった感じで どうしてそれをおじさんから聞かされた千反田が泣き叫んだのかよくわからなかったのですが。。。
かつぎあげられ犠牲となったのに声すらあげられなかったおじさんの無念ってことでしょうか?
『きっと十年後、この毎日のことを惜しまない。』
まだ続きがあるこのシリーズ 友人達の影響で 自分のモットーに疑問を持ち始めたような感じの省エネ少年ホータローくんが どのように成長していくのか楽しみです