黒と茶の幻想 (上) (講談社文庫)恩田 陸講談社このアイテムの詳細を見る |
2・3年前に読んだのだけど ある登場人物の記憶がスッポリ抜け落ちてることに気がついて 再読
屋久島を旅する学生時代の同級生だった4人の男女
旅の目的は『非日常』と『美しき謎』
普段の生活から離れ ときに思い出話に花を咲かせ そしてそれぞれが提示する美しい謎を解きながらゆっくりと旅は進んでいく
何か事件が起こるわけではない
ただ4人がそれぞれの視点で語っていくだけ
過去と自分の内側を深く深く見つめなおし掘り下げる作業が続く
それだけなんだけど
恩田陸さんの本の中ではかなり好きな作品
登場人物たちと一緒に考え込んだり共感したり 自分でも見えてなかった自分に気付かされたり…
で 抜け落ちていたのは
主人公達4人ではなく そのうちの一人・容姿端麗な彰彦の姉
紫織
これがまた強烈な印象の女性
読み返してすぐ思い出したけど なんでキレイに忘れてたんだろ…
絶対に手に入れられないものに恋をしてしまった彼女は
その相手を誰の手にも入らないようにすることで 逆に自分の手に入れてしまってる
その行為は 直接寝てしまうより はるかに官能的だと思う
なんて情の深さなんだろう
こういうふうに相手の心を自分に縛り付けてしまう方法もあるのかと ちょっと恐ろしくなる
受け入れられないとわかってる想いを秘めてる そんな眼差しで見つめられて
でもいくら抱いても 心はそこにはない
そりゃ 男は虜になるだろな。。。
4人ともみな頭もよく冷静で 客観的に物事を見られるタイプなのだけど
不思議と自分のことは わかってなかったりする
誰でも一番わからないのは自分の心
いちばん『美しい謎』は 自分自身なのかもしれないと思った
◇◇◇
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