あなたのすきな本は何ですか?

桔梗です
訪問ありがとうございます
いろいろな想いを残してくれたお気に入りを紹介しています

GetNavi 4月号

2010-02-28 17:19:58 | 番外編
GET Navi ( ゲットナビ ) 2010年 04月号 [雑誌]

学習研究社

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尊敬する書評の先輩がおりまして
いつもいろいろ教えて下って 仲良くさせていただいてる 書評ブロガーさんですが

彼女の読書ブログがなんと雑誌に紹介されました!!

GetNaviという これは若めの男性向けの雑誌でしょうか
その中の「ザ・ブロガーズ・ベストバイ」という特集

ブログ評論家の岡部敬史さんが ブロガーさんへの取材を元に 様々な分野のおもしろブログを紹介されています

その中のカルチャー編で紹介されている 書評の先輩・板栗香さんのブログがこちら

マロンカフェ~のんびり読書~

雑誌の紹介記事のとおり 本の感想や情報が丁寧に綴られていて 
読みたい本を探すときにいつも強い味方になってくれる素敵な読書ブログです


また その特集ページの中で 岡部さんが興味深いことをおっしゃっています

ブログが流行りだした当初は日記代わりに使っている人が多かったが
最近は発信したい情報を持っている人が その知識や体験談などを伝える媒体として使っている割合が増えてきている

ブロガーの質が変わり ブログの存在価値が変わりつつあるそう


私のこのブログ
一日の閲覧数(PV)が150~400 訪問者数(IP)だと100~150
更新が数日間空くととその5~7割程度といったところでしょうか

芸能人や有名人でなくても
板栗香さんのような人気ブロガーになるとさらに桁がひとつ上がるそうで
そうなってくると 確かに個人の日記というよりは 情報発信ツールとも言えますよね

読んだ本の備忘録として始めたこのブログ 
自分の読書感想を書き留めるだけでなく 伝えたいことを表現する
まだいろいろ試行錯誤しながらなのですが
今後そういうふうに活用していけたらいいなと思いました


1Q84 BOOK1・2 村上春樹

2010-02-24 13:37:53 | 村上春樹
1Q84 BOOK 1
村上 春樹
新潮社

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1Q84 BOOK 2
村上 春樹
新潮社

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今まで読んだ村上春樹の中でもかなり好き
ファンタジックな恋愛小説だと思う


10年以上も前の ほんのわずかなひとときの繋がり
何かを言葉で伝えたわけではない 一分にも満たない 
ただ見つめ合ってぎゅっと手を繋いだ時間 
互いにその温もりをずっと大事にして その情景をずっと心の支えにして 
違う道をそれぞれ苦しみながら生きてきた「青豆」と「天吾」

ずっと重なることのなかったふたりの人生が
1Q84年 何かに引き寄せられるかのように近づいていく

現実の1984年と異なり ずれて存在するかのようなもうひとつの世界 1Q84年
その不思議な世界では 空にふたつの月が浮かんでいる

多分その世界の底 ずっとずっと深い底には 青豆の想いが沈んでる
長い時間をかけて澱のように溜まった青豆の強い想いが 作り出した世界のように思える


冷静な判断力と強い意志 鍛え上げられた身体をもつ クールな青豆
天吾を救うためなら自分は消えてしまってもかまわないと思う

会えなくてもいい 幸せでいてくれたらと願う その気持ちは嘘じゃない
でも会いたい 一瞬でもいいから触れたい その気持ちも嘘じゃない

ずっと昔のことを未だに覚えていて しかも会いたいなんて
そんなのは重いしうっとうしい 天吾だって気味が悪いに決まってる
相手が望んでいないであろうことは 自分も望まぬようにしようと
重みをひとりですべて抱え込む青豆の姿が痛々しい

青豆は強くなんかない
どうしよう どうしたらいいと何度も何度も迷う

“天吾 早く青豆を見つけて”
“壊れちゃう前に見つけて抱えてあげてよ”
そう願いながら読んでいたのだけど…


同じ空 同じ月を 同じ時間に見上げ
同じことを思う
それなのにすれちがってしまうふたり

ふたつめの月は誰にでも見えるものではない
同じもうひとつの月を見る目をもつひとというのは とても大事な存在なのに

結局1Q84年でふたりの道が交わることはないんだろうか…

『一人でもいいから、心から誰かを愛することができれば、人生には救いがある。たとえその人と一緒になることができなくても』
これは青豆の言葉 
相手がどう思ってるかはあまり関係なくて 
自分の想いが一方通行な勘違いであっても 
そして幸せにはなれなくても 
それだけ好きになれた人がいるってこと自体に救われる気がするのかもしれない


一番印象に残っているのはこのひとこと
『心から一歩も外に出ないものごとなんて、この世界には存在しない』


続編のBOOK3が4月発売予定だそうで…楽しみです
1Q84 BOOK 3
村上春樹
新潮社

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オンライン書店ビーケーワンにも書評を投稿しています


CM撮影の現場から

2010-02-22 16:20:37 | 番外編
本日は突撃レポート第2弾
緊急企画「クーリエ・ジャポンCM撮影の現場から」をお送りします


事の発端は一通のメール

“クーリエ・ジャポンのテレビCMを製作することになりました。読者の立場から魅力を語って頂くという形で製作したいので参加しませんか。”

メールの発信主は クーリエ・ジャポンのレビューコンテストそして編集部訪問の際もお世話になった レビュープラス(R+)さん
突然の話にびっくりしたものの 滅多にない機会だし 
気軽に参加してというR+のOさんの言葉につられて行ってみることに♪


参加者にそれぞれインタビュー形式で話をしてもらいながら撮影しますとのことで 
いくつかの質問を事前に頂いてました
そのお題に対する回答も 昨夜一応自分なりに一所懸命考えて カンペも用意
準備はばっちりと思いながら ふらふらと都内某所の撮影スタジオへ…

スタジオの中はこんな感じ


撮影したのはレビューコンテストの参加者を中心に6人
ひとりずつ呼ばれて撮影に入るので 順番待ってる間はわりとヒマ


差し入れのドーナツ食べたり クーリエ・ジャポンぱらぱら見たりしながら 
他の参加者とおしゃべり
ここでもみんなiPhoneでtwitterしてたのがちょっとした衝撃
いま若い子達の間では このふたつは必需品なんですね


どんな感じなのか 他の人のインタビューをチラ見しにいったり
本番は音の関係でドア閉めちゃうので 開いてる隙に激写!!

で そんなこんな 和気あいあいと楽しく待ってるうちに いよいよ自分の番

 
撮影スタッフが忙しく準備してる間に 私はメイク室に連れて行かれました
“やっぱり顔作らないと撮影できないのか?!”と思ったら 
照明が強いのでテカらないようにパウダーをはたいてくれただけでした


本番前の照明とマイクの調整 
それからインタビュアーさんから軽く目線や答え方のレクチャーを受ける
ここまでは全然緊張してなかったのですが…

いざ「本番いきまーす!」の声と共にドアが閉められ 
撮影スタッフさんや講談社の方やR+の方 10人ぐらいにずらーっと囲まれた状態で 
カメラが向けられる …


まっしろです

はい 
あたまんなか真っ白になりました

質問の答えもある程度頭に入れておいたし カンペのメモも手に持ってたのに
途中から自分でも何しゃべってるのかよくわかんなくなりました
正気に戻った今も何言ったか思い出せません 
質問も事前に聞いたのと違うのが混じってたりしたし

自分ではわりと肝据わってる方だと思ってたのですが まるっきりダメでした


CMの放送枠とか具体的なことはまだこれからとのこと 
撮った全員の分を使うとも限らないそうです 
そりゃそうだ テレビCMなんてたったの15秒ですもんね 

もし クーリエ・ジャポンのCMを目にすることがあったら 
ひきつった笑いを浮かべて 目を泳がせながら
ヨレヨレしゃべってる女が数秒映るかもしれないので探してみてください

それ わたしです(笑)


最後に クーリエ・ジャポンの図書カードをお土産にいただいて帰ってきました
ありがとうございます

撮影の本番はとっても緊張してしまい 出来上がりを想像すると 
穴があったら入りたいほど恥ずかしいのですが
CM撮影というめずらしい体験を楽しませていただきました


クーリエ・ジャポンさま 講談社のFさん R+のOさんとYさん
そしてCM製作・撮影スタッフの皆さまお世話になりました 
この場を借りてお礼申し上げたいと思います
このたびはとても貴重な経験をさせていただき 本当にありがとうございました

自分の映像は使われなくても ちょっとでも係われたというだけで
クーリエ・ジャポンのCM放映が楽しみです♪

◇◇◇

クーリエ・ジャポン
クーリエ・ジャポン公式サイト

ブログ専門ネットワークのレビュープラス(R+)
レビュープラス
“献本”というシステムご存知ですか?
あちこちの書評ブログでよく見かける“献本いただきました”
R+に登録して、レビューを書く。
それだけであなたにも本をもらえるチャンスが♪
詳しくはこちらR+(レビュープラス)さんのサイトをご覧ください!!

◇◇◇

突撃レポート第1弾はこちら「クーリエジャポン編集部訪問レポート」
http://blog.goo.ne.jp/kotonoha2007yuki/e/ab0c050774e08fca94557ae5657f33fc

クーリエ・ジャポン ギフト券プレゼントキャンペーンのお知らせ

2010-02-20 11:10:30 | 番外編
☆ブログ読者の皆様に耳寄りな情報ですo(^-^)o♪☆

日頃お世話になっているR+(レビュープラス)さんと、先日、本ブログで紹介した雑誌 COURRiERJapon(クーリエ・ジャポン)様のご協力により、このブログの読者の方を対象に、下記のギフト券プレゼントキャンペーンが開催中です!!

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【キャンペーン内容】

1)クーリエ・ジャポンのブログレビューを読み、本キャンペーンにお申し込み頂いた方の中から抽選で合計100名の方に、
Fujisan.co.jpにてご利用できるギフト券1,000円分をプレゼント致します。
※本ギフト券はクーリエ・ジャポンのご購入時にご利用頂けます。


詳細・応募はこちらヘ
クーリエ・ジャポン ブログレビューコンテスト Fujisanギフト券プレゼントキャンペーン

【キャンペーン応募期間】

第1期:2010/2/17 - 2010/2/20
第2期:2010/2/21 - 2010/3/9

【当選人数】

第1期、第2期 各50名

【ブログ読者への当選発表】

各期終了後直ちに抽選を行い、当選者の方にはメールにてご連絡させて頂きます。
発表はメールでのご連絡をもって替えさせて頂きます。


第1期は本日締め切りになってしまいますが、皆様、ふるってご応募ください♪

◇◇◇

参照:
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関連記事:
COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)2010年3月号
http://blog.goo.ne.jp/kotonoha2007yuki/e/1c70d2372273f00bf9bad9d5469b3668

COURRiER Japon ( クーリエ・ジャポン ) 2010年3月号

2010-02-18 21:55:02 | 番外編
COURRiER Japon ( クーリエ ジャポン ) 2010年 03月号 [雑誌]

講談社

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今回もクーリエ・ジャポンレビューコンテストに参加しています。
第6回クーリエ・ジャポンレビューコンテスト

◇◇◇

クーリエ・ジャポン3月号
今回の特集は、オバマ大統領就任から1年「貧困大国(アメリカ)の真実」。

オバマ大統領が就任して1年―アメリカ国民の目の前に輝いていた「CHANGE(変革)」や「HOPE(希望)」が今徐々に色褪せつつある。
期待したような変化は起きず、貧富の差は大きく広がり、貧困層は拡大している現状。
その実例として4つの項目が挙げられている。

①頑張って働いても食べるものさえ買えない「フードスタンプ(食料配給券)」受給者の増加
②医療保険に入れないため適切な治療が受けられなかったり、加入していても破産に至るという医療崩壊の現状
③富裕層を優遇する大学と、授業料の高騰や高金利学資ローンに苦しめられる一般家庭の学生
④民営化で加速する「刑務所ビジネス」に搾取され続ける貧困層


今回その中でも特に、薬剤師という仕事柄、医療崩壊についての記事を興味深く読んだ。

オバマ大統領が最重要課題として掲げていた、医療保険改革。

アメリカには日本のような皆保険制度がない。
公的健康保険は低所得者向けのメディケイドと高齢者向けのメディケアのみで、国民の約60%は民間保険に加入。そしてなんと15%は無保険だ。
保険に入ってるからといっても安泰ではない。
民間保険は加入しても自己負担金が高かったり、治療内容が限定的で、決められた薬や治療でなければ給付は認められない。そして医療費が限度額を超えたら給付はストップ。
結果、急な病気やケガという不測の事態に充分な保障が受けられず、最悪、医療費による破産という事態が多く発生する。なんと、個人破産の原因の半数以上が医療関係だそう。

その改善策として掲げられた「単一支払い皆保険制度」だが、製薬・保険業界からの反発により排除。事実上、医療改革は形骸化した。

だが、国民は指をくわえて、変化が起きるのをただ待っているだけではない。

例えば、ベッサー郡での貧困者対象の医療制度「ケア・リンク」。
医療費の抑制を目標に、医療提供者と価格交渉することで、顧客の収入に応じた医療費の請求を行ったり、予防治療にも重点をおき、予防注射の提供などもしている。

また、医療ボランティア団体が開催する、貧困者を対象に無料で診察を提供する「フリー医療フォーラム」もある。
2009年8月に行われた同フォーラムには、治療を受けられずに困っている人が1週間で8000人も殺到し、ボランティアの医師らが治療にあたった。

さらに、先日、職場で購読している雑誌「日経ドラッグインフォメーション」にも興味深い事例が紹介されていたので挙げておく。
アメリカのアッシュビル市では10年以上前から「アッシュビルプロジェクト」というカウンセリングプロジェクトが続けられ、医療費の削減に大きな効果をあげている。
これは慢性疾患の患者が、薬剤師のカウンセリングを定期的に受け、病気や薬・生活改善の知識を身につけることによって、病状を改善したり、早期に治療でき、結果として医療費の抑制につながっているというもの。

少しずつではあるが、医療の現場で動き出して、成果をあげている人々がいる。


アメリカの医療保険制度の破綻は人ごとではない。

日本でも増大する医療費は財政を圧迫しつつあり、国民皆健康保険を維持するために、度々制度の見直しが行われている。
つい先日も、22年度の診療報酬改定の基本方針がまとめられ発表されたばかりだ。
今後は、医療費削減のため、安価なジェネリック医薬品推奨の動きがさらに加速することになるようだ。

現時点ではこういった公による医療改革が中心だが、日本でもいずれ、アメリカのように、末端の現場でも改革が求められていくことになるだろうし、また、私たちでも何かを変えることが可能なのではないかと思う。
医師だけでなく、看護師や薬剤師、栄養士など地域の様々な医療スタッフの力の見せ所なのではないだろうか。
私たちにもできることはあるはずだ。


今回の特集の責任編集者である、ジャーナリスト・堤未果さんの言葉が印象的。

『チェンジは待つものではなく起こすもの』

アメリカでは、失望しながらも、自ら立ち上がり、変化を起こし始めた人たちがいる。
今、私たちも誰かが変えてくれるのを待つだけではなく、自分達で動き始める時なのかもしれない。
そう思わせてくれる特集だった。


最後に、クーリエ・ジャポンという雑誌について。

3ヶ月前、レビューコンテストに応募するにあたり読み始めたクーリエ・ジャポン。
ふとしたきっかけで手にした雑誌は、世界中のメディアの中から選ばれた記事が、翻訳・編集された、とても読み応えのあるもの。

大量な情報が氾濫する今、月刊誌という形態は、テレビやインターネットに比べると、スピードや鮮度という点からは不利かもしれない。
それでも、じっくりと考え練られ、深く掘り下げられた記事の数々は、一部の表層的なメディアとは一線を画す良質なものだと思う。
様々なメディアが発信する情報には、ときに誇張されたものや捏造されたものが紛れ込む。クーリエジャポンは、それらの多種多様な情報から本物を選び取る手助けをしてくれるのがありがたい。

政治経済など硬質なテーマにとどまらず、食やファッション、カルチャー、スポーツなど幅広い情報を提供するこの雑誌は、読んで、考え、気づき、そして自ら動きたくなる、そんな新しい「チェンジ」の扉を開けるきっかけを様々な人に与えてくれるだろう。


最後に、このブログを読んでる皆さんのために、そして自分のためにもう一度。

『チェンジは待つものではなく起こすもの』である。


◇◇◇

ブログ読者のみなさまへ
クーリエ・ジャポンからギフト券プレゼントキャンペーン実施中です。
詳細はこちらの記事から→ギフト券プレゼントキャンペーンのお知らせ

◇◇◇

関連記事:
クーリエ・ジャポン編集部訪問レポート
http://blog.goo.ne.jp/kotonoha2007yuki/e/ab0c050774e08fca94557ae5657f33fc

COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)2010年1月号
http://blog.goo.ne.jp/kotonoha2007yuki/e/8cd07ff314504176e34108d9653cfb82

COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)2010年2月号
http://blog.goo.ne.jp/kotonoha2007yuki/e/aafb92a1bd27a9b71849fe97b8e86347

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“献本”というシステムご存知ですか?
あちこちの書評ブログでよく見かける“献本いただきました”
R+に登録して、レビューを書く。
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詳しくはこちらR+(レビュープラス)さんのサイトをご覧ください!!

レビュー専門ブログネットワークのR+(レビュープラス)
R+レビュープラス


恋文の技術 森見登美彦

2010-02-16 20:19:25 | ★ま・や行の作家
恋文の技術
森見 登美彦
ポプラ社

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いつもどおり軽妙でリズム感あふれる 妄想満載の森見ワールド

真面目でやさしい 多分頭も良い でもどこか可笑しい守田一郎
京都の大学から辺境の実験所に飛ばされた守田は 友達や先輩や妹や元教え子 
そして作家の森見先生にまで次から次へと手紙を書きまくる

言うなれば 文通の武者修行
それもこれも 愛しい女性を恋文でめろめろにしようと(←この発想がまずおかしいですけど) 己の恋文の技術を磨くためである

この手紙の数々が くだらなかったりたまにまじめだったり 
そして文章を書くということや手紙を書くことの本質をついていたり
笑わせながらも時々どきっとするような一言が書いてあったりする


『俺たちは自分の想いを伝えるために文章を書くというように言われます。だがしかし、そこに現れた文字の並びは、本当に俺の想いなのか?そんなことを、誰がどうやって保証するのか。書いた当人だって保証できるかどうか分からない。自分の書いた文章に騙されているだけかもしれない。』

『相手に話しかけるように手紙を書いていく楽しさであるとか、相手の返事を待っている間の楽しさであるとか、いざ返事が届いて封筒を開けるときの楽しさとか、手紙を何度も読み返す楽しさとか。手紙の中身なんて大した問題ではなかった。』

『伝えなければいけない用件なんか何も書いてない。ただなんとなく、相手とつながりたがってる言葉だけが、ポツンと空に浮かんでる。この世で一番美しい手紙というのは、そういうものではなかろうかと考えたのです。』


言葉のやりとりというのは
そう 中身なんてホントはどうでもよく
ただつながっていたいという想いを お互い確かめたいだけなのかもしれません

つみきのいえ 平田研也・加藤久仁生

2010-02-08 22:44:24 | ★な・は行の作家
つみきのいえ
平田 研也
白泉社

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おじいさんがひとりぼっちで暮らしてる家がありますが
実はこの家 ちょっと変わっていまして…

この町では 海の水位がだんだん上がっているのです
なので 住んでいた家が海に沈んでしまうとその上にまた家を作って
つみきのように どんどんどんどん 家が積み重なっていきます

おじいさんは ある日 海の中に落してしまった大工道具を探しに行きます
ずっとずーっと下の 一番下の海の底のおうちまで…
潜りながら おじいさんはいろいろなものを見つけます


他の人はこの町を捨てて新しい住みやすい所へ移って行くのに
この家に住み続けるおじいさん


家はただの家だし 物はただの物でしかない
そうかもしれないけど
でも 私も捨てられない

大切な思い出や人の想いは 物じゃなくて 自分の記憶の中にある

それはわかってるけれど
それでも 例えば 大事な人からもらったものに触れるだけで 
手渡された瞬間の顔や交わした会話や くるりと背を向けて歩き出した後ろ姿や…
そんなものが鮮やかに思い浮かぶので
たった一枚の紙切れですら 簡単には手放せなかったりします


おじいさんが生まれ育って 恋をして 温かい家庭を作って暮らしたつみきのいえは 
今までの思い出がぜんぶ積み重なった大切なおうち おじいさんの人生そのものです


読み終わると柔らかい光が心の奥底まで射してくるような そんな絵本です


遠くの声に耳を澄ませて 宮下奈都

2010-02-03 00:23:14 | ★ま・や行の作家
遠くの声に耳を澄ませて
宮下 奈都
新潮社

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すこし不器用な女の子達が 迷い傷つきながらも 自分の足で立とうともがいて 
そして前に一歩を踏み出す
そんな彼女達のごく当たり前の平凡な日常を切り取った12の短編集
12コの話はすこしずつ繋がっていて 
いろいろな女の子達を見つめるやさしい視線がどの章にも流れ
読み終わると 短編集というよりはひとつの長編作のようだとも思う


ある章で描かれる依子は 付き合っている彼氏の気持ちが離れていくのを感じている 
はじめは彼の方が熱心で 穏やかでよく笑いよくしゃべる人だったのに
今は不機嫌そうで 他の女性の影も見える

『一緒にいさえすれば取り戻せるわけでもないとわかっている。でも一度でも断ればそれで終わりになってしまいそうで、怖い。』

そう  終わるのが何より怖い

置いてきぼりになって 色を失った甘い言葉と 実現する見込みのない約束だけがいつまでも残るのはつらい

何をどうしたいのかもわからないまま でもこのままじゃいけない なんとかしなきゃと思い
何でも治してくれるという医者を訪ねる

相手が遠ざかる理由を 自分の中に探してしまっていた依子は そこでふと気づく
『私には何の関係もない。そうだ。私とは何の関係もなかったのだ。』
遠ざかるのは相手の勝手な都合で 自分には何の関係もない
それなのに自分のせいだと背負い込んでただけなのかもしれない…

拘ってたことを流して 歩き出すのに必要なのは“自信”
ちゃんと自分を信じてあげたら 何があってもきっとまた前に進めるし 怖くなんかない
そう思う

派手な女の子や優秀な女の子 くるくると要領良く世渡り上手な女の子でなく 
普通の女の子が 地に足をつけて懸命に生きてる姿に共感を覚えるし とても眩しい
フツーの人生だって すっごくキラキラしてるよ!と思える そんな本だ


◇◇◇

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