まず感想ひとこと 加納さんの本の中で1、2を争うくらい良かった
全体に流れる空気が好き
「黒いベールの貴婦人」
一瞬で取り返しの付かない想像も付かないことが起こるというのはある
現実にも かなりの頻度で
『違う幸福が手に入ると信じるのは愚かだろうか?』
どこにも悪意は存在しなかったのにね
「エンジェル・ムーン」
偶然と作意そこに起こる奇跡 加納さんの好きなテーマ
『言ってしまったことへの後悔に、言えなかったことへの後悔。私の場合、格段に前者が多い』
このセリフはぐっさり刺さったな
私も圧倒的に前者が多い 思ったことをすぐ口にして後悔してばかりだ
「フリージング・サマー」
在るのは善意のみ
大切な人へのすべての想い 氷漬けにして冷凍庫へ
そうすれば 覚えていられるんだろか
「天使の都」
天使は誰のところにもやってくる
許すというのは大事なこと 人を許せるかどうか自分を許せるかどうか
天使の都にあった人を幸せにする小さな嘘
「海を見にいく日」
人の痛み 見える人には見える 何も言わなくても見えちゃうんだよな これが
「橘の宿」
自分が手に入れた美しい女 女の喜ぶ顔を見るために男は一生懸命だ
好きな人の嬉しげな顔を見るのは幸せだろう
儚き夢の話
「花盗人」
花盗人にも罪はあるさ 盗んでるのは花だけじゃないからね
「商店街の夜」
絵を描く友人がいる
自ら“うつしえ”と称する彼女の絵は 本当に今にも動き出しそうだ
何かが棲んでいるのではないかと思うほど
絵でも小説でも音楽でも
才ある人が生み出すものには“何か”がいる そう思ってる
「オレンジの半分」
なんだかなぁ 紗英のやってることがどうにも受け付けない
無邪気なふりして残酷っていうか失礼極まりない
私だったら殴ってるね 自分の身内でも
「沙羅は和子の名を呼ぶ」
もしあの時違う選択をしていたら…
自分の出世のために選び結婚した女性は万事ソツなくこなし何の不満もない
それでも昔好きだった美しい女性が心の片隅にいる
ふとした拍子にひらくもう一つの世界 そして背負う十字架
どうして自分はここにいる?
選んだのは自分だ 見るのは前だけでいい わかってても揺らぐ想いかな
好きなのは「フリージング・サマー」「天使の都」「商店街の夜」