雷の季節の終わりに恒川 光太郎角川書店このアイテムの詳細を見る |
異世界ファンタジー
異世界といっても現実とまるっきり違う世界じゃなくて
今でも日本のどこかにあるんじゃないかと思えるような
千と千尋の神隠しのように うらぶれた苔だらけのトンネルを抜けると広がっていそうな空間です
中盤『トバムネキ』がでてくる辺りだけ急に現実的な描写になって 現実に引き戻される感があるのが残念だけど
そこだけ時間の流れが違うかのような『穏(おん)』という世界にどっぷりはまります
現実に見えてるのが全ての世界でなく 認知されていない空間には何かがあるんじゃないだろか
ふとした瞬間の揺らぎとか光とか よーく意識してみるとこんな世界への入り口が見えるんじゃないだろうか?
そんな錯覚さえ覚えました
空を飛ぶトンビやカラスが『風わいわい』に見えてしまいそうです
「夜市」に続いて二冊目ですが とても興味深い作家さんです
『「知っている」と「思う、感じる」はまた別の話』
『きっと人の振る舞いは何もかも演技なのだ。それが許せぬ自分は子供なのだろうか。』
『その日、私の胸の中の特別な場所に居座った穂高は、以後消えることはなかった。』
ドカッと居座られてしまう瞬間ってあって多分それは一生抱えてくんだろな
『悪さをしたのは風わいわいに憑かれているからだ、と決めつけたがる。繋げてしまうのですね。』
繋げてるのは自分の勝手な思い込みなのかもしれないけどでもやっぱり繋いじゃう