あなたのすきな本は何ですか?

桔梗です
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いろいろな想いを残してくれたお気に入りを紹介しています

夜の蝉 北村薫

2008-02-26 21:51:28 | 北村薫
夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
北村 薫
東京創元社

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人の悪意の恐ろしさを書いた二篇「朧夜の底」「夜の蝉」
やさしく清々しい「六月の花嫁」

「夜の蝉」が一番よかったかな 姉妹の葛藤と愛が軸になってるが 
ずしりときたのは お姉さんの恋敵の行動
自分の欲しいものを手に入れるためなら何でもする 人を騙し陥れる『お化け』になってでも…
理性も常識も自分のプライドをも吹っ飛ばして感情の赴くまま生きる こういう人間も世の中にはたくさんいるんだろう
コワイ こわいと思う
その人がじゃない そういうふうに生きられる人がちょっと羨ましいと一瞬思った自分がだ

心に残ったところ

『内に何かを秘めない人はいません。何をどれぐらい表にし裏にするかは人によって違います。どんなにしてもいえないことというのは誰にでもあるのです。ある意味では、その割合こそが、動かしようのないその人らしさを作るのでしょう』

『結局、物事を見るのは自分なのだ。基準は自らのうちにある。』

『要はいう人の心しだいであったかくなるのが言葉じゃありませんか』

『あづさゆみ春になりなば草の庵を早く訪ひてませ逢ひたきものを』

容疑者Xの献身 東野圭吾

2008-02-20 14:27:23 | 東野圭吾
容疑者Xの献身
東野 圭吾
文藝春秋

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読むまではミステリーだと思ってました
でもテーマは「愛」だと思う
自分の大切な人を守る 無償の愛

でもやっぱりミステリーなのかな…
最初から犯人はわかってるんだけど 思いがけない展開と予想外のラスト

冷静で理知的な湯川教授がやっぱりカッコいい

犯人の石神の想いはあまりに切ない
好きな人のために ここまで自分を犠牲にできるんだろうか

愛した人の幸せを願って ひたすらそれだけを願って

でもその想いを知ってしまったら 相手はそんな十字架を背負ったまま 自分だけ幸せになんかなれやしないんじゃないか?

そもそも 何をもって幸せとするんだろう…

朝霧 北村薫

2008-02-19 21:07:24 | 北村薫
朝霧 (創元推理文庫)
北村 薫
東京創元社

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この本も やはり北村薫さんらしく やさしい

だが『走り来るもの』の中の リドル・ストーリーにはぞくりとした

愛する妻の目の前で 浮気相手の男の言い出した賭けに乗る夫 
彼は目の前までライオンを引き付けて銃で撃ち倒さなければならない 
倒せれば賭けは夫の勝ち 
打つのが早すぎればライオンは倒せないし 遅すぎれば襲われるが 
その前に浮気相手がライオンを撃ってくれると言う 
だがその場合賭けには負ける

さて 結末はいかに
「わたしは引き金を引いた。弾は…。」

女は残酷だ いや 時に残酷になれるってことか


『朝霧』に出てくる和歌もよかった

「朝霧のおほに相見し人故に 命死ぬべく恋ひ渡るかも」
ほんの少し許り出逢うた人だのに、其人の為に、命がなくなる程、焦がれ続けていることだ と言う解釈

切ないな 
現代の女の子達はメールでいとも簡単に好きと言ってしまうであろうに 
昔の人は ただ好きという想いも伝えるのは困難だったんだろう 
どれだけ多くの想いが胸に秘められたまま葬られてることだろう

想いが伝えられるというのは幸せなことだな

ナイン・ストーリーズ サリンジャー

2008-02-15 19:34:26 | ★さ・た行の作家
ナイン・ストーリーズ (新潮文庫)
野崎 孝,サリンジャー
新潮社

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友達の影響で再読

もうちょい若い頃読んだときはよくわからない話もあったんだけど
今読み返すと ちょっと違う味わい

出てくる子供たちが魅力的 子どもっぽくなく理知的でやさしい
そして痛いくらいに繊細で純粋で壊れやすい人たち 

はじめてCoccoの歌を聴いたときに感じたのと似た空気感
ただよう狂気と哀愁が切ない

「エズミに捧ぐ」が一番よかったな
「小舟のほとりで」の母子もよい

言葉の力 池田晶子

2008-02-15 19:17:51 | ★あ行の作家
本ではないのですが
中学3年生の国語の教科書に掲載されている
池田晶子さんの「言葉の力」という文章です


言葉を信じていない人は、自分のことも信じていない。
しかし、自分を信じていない人生を生きるのは、とても苦しくて大変だ。
言葉ではああいったけれども、本当はそうは思っていない。
そんなふうにしか生きられない人生は不幸だ。
言葉と自分が一致していない人生は不幸だ。
だから、本当の自分はどこにいるのかを、人はあちこちを探し求めることになる。
しかし、本当の自分とは、本当の言葉を語る自分でしかない。
本当の言葉においてこそ、人は自分と一致する。
言葉は道具なんかではない。
言葉は、自分そのものなのだ。
だからこそ、言葉は大事にしなければならないのだ。
言葉を大事にするということが、自分を大事にするということなのだ。
自分の語る一言一句が、自分の人格を、自分の人生を、確実に創っていくのだと、
自覚しながら語ることだ。
そのようにして、生きることだ。
言葉には、万物を創造する力がある。言葉は魔法の杖なのだ。
人は、魔法の杖を使って、どんな人生を創ることもできる。
それは、その杖をもつ人の、この自分自身の、心の構え一つなのだ。


ぐさりときました
私は言葉を大事に使っているだろうか…

あかんべえ 宮部みゆき

2008-02-13 16:55:42 | ★ま・や行の作家
あかんべえ〈上〉 (新潮文庫)
宮部 みゆき
新潮社

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江戸オタクの友人からの推薦第二弾

単純におもしろかった
おりんちゃんがとても純粋で可愛らしい
それに比べて 大人たちのなんと欲深いことか…
己の欲のために幽霊と成り果てた人たち
欲のために亡者になりつつある女達

おつたさんもおたかさんも 
幸せになりたかっただけなのにね…
こわいなぁ…

チョコレートコスモス 恩田陸

2008-02-12 17:38:05 | 恩田陸
チョコレートコスモス
恩田 陸
毎日新聞社

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おもしろかった~!!

中学のとき演劇部だったので ちょっと思い出す
演じるって 感情の再現だから日常のようなんだけど でもやっぱりそれは非日常的行為なわけで…
今思えばそれが楽しかったんだろう 面白かった

「ガラスの仮面」と似てるという評もあるが でも面白い 続編とか書いて欲しい 主人公の飛鳥の成長をぜひ見たい!!

作中に出てくる戯曲『欲望という名の電車』も面白いんだよね 私のような30代後半女性にはちょっとイタイ話かもしれないが…人のふり見て我がふり直せって感じか

こころのチキンスープ ジャック・キャンフィールド

2008-02-12 17:35:32 | ★さ・た行の作家
こころのチキンスープ―愛の奇跡の物語
ジャック キャンフィールド,マーク・ビクター ハンセン
ダイヤモンド社

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友人が「読んでみて」とオススメしてくれた本

またいわゆる自己啓発ものかな…と思ったけど
『夢や欲しいものを手に入れるにはこうしなさい』みたいな 押し付けがましいことは書いてなくて
とてもやさしい本でした

あたたかいお話がぎゅっと詰まってる

そんな感じ

あなたには帰る家がある 山本文緒

2008-02-12 17:34:20 | ★ま・や行の作家
あなたには帰る家がある (集英社文庫)
山本 文緒
集英社

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なんというか 女のどろどろっとした部分をえぐり出すのが上手な作家だなぁと思う

平凡な専業主婦として生活する女
結婚しながらも仕事を持ちバリバリ働く女

そのどちらも山本文緒は幸せいっぱいには描かない

こわい
読むと幸福だと思っている自分の中にも 闇が存在することを気づかされてしまうような気がする

あ わかる この気持ち
って 追い詰められた主人公達の気持ちに寄り添う自分にちょっとぎょっとした

いや でも 私は基本的に幸せだと思ってるんですけど…

東京奇譚集 村上春樹

2008-02-12 15:30:44 | 村上春樹
「ノルウェイの森」が吐き気がするほど苦手でしばらく村上春樹さんは遠ざかっていたのですが…
年末年始の暇つぶし用に友達が貸してくれたので

これが結構おもしろかった

一番おもしろかったのが「品川猿」
主人公のみずきは一見幸せだ
中の上くらいの家庭に生まれ経済的に困ったことはない 成績も中くらい 容姿も人並み 私立の女子高に通い そこそこ恵まれた結婚をし 仕事もフツーの事務職をフツーにこなしてる

世間にはこんな人うじゃうじゃいるだろうってな感じの女のコ

でも じつは人生何もドラマチックなこともなく 親に愛された記憶もなく 今のだんな様も不満はないが愛してるわけじゃない

そんな現実を見ない振りして心にしまいこんで私は普通に幸せだと思い込んでいるのを何故か『猿』に見破られてしまう
猿にってのが いかにも村上春樹

そんな人生 確かに不幸じゃないけどつまんないだろうなぁ…

あと コレは覚えておこっと思った言葉
『かたちのあるものと、かたちのないものと、どちらか選ばなくちゃならないとしたら、かたちのないものを選べ。』

月の裏側 恩田陸

2008-02-12 15:28:53 | 恩田陸
月の裏側 (幻冬舎文庫)
恩田 陸
幻冬舎

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怖かった
読んでる間中 じっとりと湿っぽい空気がまとわりついて じわじわ恐怖が迫ってくる感じ

無意識のうちに他者と同化することを避ける多様性こそが 生物としての正しい戦略のはずなのに

なぜか私たちは 常に『ひとつ』になりたがり 誰かに服従することに 憧れや安らぎを抱いてしまう
意識を いや無意識さえも 他人に支配され『盗まれる』ことに心地よさを感じてしまう

だからこそ 人は簡単に 騙されたり洗脳されたりするんだろうなぁ

もちろん 人は何かに属さなければ 生きていけやしない 何かに従ったほうがラクだろう

でも 私は 『盗まれる』のなんかまっぴら御免だ
私の意識や思考は私のもの 誰にも支配なんかされたくない

いかにも恩田陸って感じの本だったが ラストがどうもしっくりこないというか 失速してる感があるので
☆ひとつ減点ってとこかな…

ぬしさまへ 畠中恵

2008-02-12 15:27:45 | 畠中恵
ぬしさまへ (新潮文庫)
畠中 恵
新潮社

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江戸おたくの友人が
「しゃばけ」シリーズ3冊を貸してくれた

なかでも 2冊目のこの本がよかった

短編集になってるのだが
仁吉の恋の話が ぐっときた
恋しいというキモチだけで千年
気の遠くなるような時間だ 
好きな人のそばで 好きな人の幸せを見守りながら
何の見返りも期待せず過ごす千年か
せつないなぁ…

空のびいどろの話もよい
人のやさしさに じんわりするお話

ななつのこ 加納朋子

2008-02-11 22:19:19 | 加納朋子
ななつのこ (創元推理文庫)
加納 朋子
東京創元社

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とても優しい雰囲気のミステリー
連作短編集だが 最後の話を読むとひとつのストーリーがふわっとできあがってくる

文中に出てくる若山牧水の短歌
『白鳥は哀しからずや空の青 海のあをにも染まずただよふ』
このうた すき

作中の少年はやてのセリフ
『海が青く見えるのは…空を映しているからなんだ!』
科学的にはホントは違うけど 子どもの感性ってこんな感じだよなぁ いいなぁ

そして秀逸は「白いたんぽぽ」

たんぽぽの色を白く塗った少女は 人よりすこぉし脆くて感受性が鋭く 大勢でわいわいやっている外側で独りポツンと座っていたりする
周りのオトナは家庭環境のせいで健全な子どもに育っていないと決め付け 白いたんぽぽなんかないと否定する
主人公の駒子はそんな繊細な少女の心に寄り添い 白いたんぽぽを見てみたいという
花を通して少女と駒子は心を通わせていく

『明日咲く花の色は、きっと誰にもわからないのね』
その通りだと思う

駒子は文通相手の作家に言われる
『あなたは白いたんぽぽの花に似ていますね。ありふれているようで、本当は滅多に出会うことができない、つまらない既成概念や価値観や常識を、その存在だけで控えめに、あっさりと否定してしまう。』

とても素敵な女の子だ。

いのちのパレード 恩田陸

2008-02-11 22:15:14 | 恩田陸
いのちのパレード
恩田 陸
実業之日本社

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大好きな恩田陸さん 最新作
今までの恩田作品とまたちょっと違った味わいのものもあったカンジ
正直 好きな話もあれば よくわからなかったのもある

特によかったのは

『蝶追いと春、そして夏』:情景が目に浮かぶようでキレイ

『SUGOROKU』:この中では一番恩田作品っぽくて好き

『夜想曲』:昔好きだった星新一を髣髴させる
     本が書ける人ってホントにこういう声が聞こえるんじゃなかろかと思った

空飛ぶ馬 北村薫

2008-02-11 22:13:48 | 北村薫
空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
北村 薫
東京創元社

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日常の中のミステリー
ミステリーと言うほどのものでもないが
人間の優しさとか卑しさとか怖さとか
ひっくるめてさらっと描いてある

「赤頭巾」が秀逸
グリムもアンデルセンも小川未明も好き
それらが絡んでくるから なお好きなのかも…

それにしても自分が女子大生のときって
こんなに清らかで真っ直ぐだったかなぁ…
主人公も博識で穏やかで魅力的な女の子だが
友達の正子ちゃんがもっといい
頭の回転が速くクールな感じなのに 実は情が厚そう

その正子の印象的なセリフ
『キミもね、一回本当に押さえつけられてごらん。人生変わるよ』
うん、変わると思うよ