地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

東証手口非公表はやっぱり問題だろうって

2006-01-31 06:15:14 | ライブドア問題
拙日記にて先ほど触れてきたが、この東証の手口非公表が結構色々な問題の諸悪の根源である、と私は常々思っている。
今日の朝日の記事、拙日記でも触れたがあのライブドアが現在のライブドアオートを買収する際に、公表はその発表日の引け後だったにも関わらずその日の出来高は前日までの10倍以上に膨れ上がっており、東証が自ら証券取引等監視委員会に調査を依頼した、と言う記事である。
これなんぞは東証が手口を公表していればもっと話が身近にそしてストレートに我々の知るところとなった気がする。
もちろん拙日記で触れたように、仮に私がライブドアオートの株式を色々と操作出来る立場にあったなら、決して系列証券会社を使ってそのようなデリケートな日に売り買いなんぞしなかったとは思うし、きっとそれが事実であればその担当者は例えばライブドア証券を使って派手にオート株の売り買いなぞはしていないだろう。
しかしながらもしかしたらそんなことはもっと簡単に万人の知るところとなっていたかも知れないであろう事は容易に想像が付く。

ちなみに「東証 手口非公開」でググッてみると、当BLOGがいくつかヒットするわけであるが(笑)、もう一度その簡単な歴史を調べてみたら以下のようなことが分かったのでここに記しておこう。

手口情報を巡る主な動き  
1990年    株価の急落局面で先物悪玉論が台頭
1991年03月 東証、立会場事務合理化システムが稼働(全銘柄の手口情報を配信開始)
1992年02月 大証、株価指数先物の日通し手口を開示
1999年04月 東証、立会場を閉鎖
2002年12月 東証取引参加者のワーキングパーティーで手口問題を議論
2003年02月 東証、市場運営委員会で手口非開示の方針を決定
2003年06月 東証、手口情報の配信を終了

ちなみに手口非公表に当たっては様々な意見があったのだが、その時の様子が以下のNIKKEI BPから伝わってくる。(ちょっと長いよ)

『株式売買手口の情報を巡り割れる証券業界 2002年7月10日

東京証券取引所の株式売買手口の情報公開を巡って証券界が割れている。インターネット専業のDLJディレクトSFG証券(東京都千代田区)が完全公開を求めているのに対し、投資信託会社は完全非公開を主張。現状維持を求める証券会社もあり、議論は混迷している。

売買手口とは、どの証券会社がどの銘柄にいつ、どれだけの売買注文を出したかを示す情報。証券会社は東証の売買端末を操作すると、取引時間中にこれらの情報を見ることができる。売買手口は東証の取引参加者である証券会社の取り決めで、証券会社しか利用できないことになっている。

だが、この取り決めは形骸化している。売買を取り次ぐ証券会社の担当者が、大口顧客である機関投資家の求めに応じて手口を伝えるのは当たり前のことになっている。そればかりか、市場の情報提供会社は証券会社から入手した売買手口を有料で提供している。

DLJは売買手口が公開されなければ、「機関投資家と個人投資家の情報格差はなくならない」(國重惇史社長)として、完全公開を求めて譲らない。 機関投資家のような特定顧客を持たないDLJにとって、情報格差の存在は個人投資家の裾野を広げるうえで不利に働く。そこでDLJは6月から、情報提供会社フィスコ(東京都文京区)に依頼して、ネットを通じて取引時間中と取引終了後にまとめた一部銘柄の手口を有料で提供し始めた。

しかし証券界には、売買手口が個人投資家に「悪用」されて株価形成の撹乱要因となるという反対論が根強い。

野村アセットマネジメント(東京都中央区)など投資信託会社9社は6月、東証に対して、証券会社への手口公開も取りやめ、完全非公開を求める意見書を出した。売買手口が公開されると市場の撹乱要因が増え、売買コストの上昇につながる恐れがあると主張する。

例えば、機関投資家から売買高の少ない銘柄を大量に買いたいという注文を受けた証券会社は、株価変動を抑えるために長い時間をかけて注文を市場でさばかなければならない。ところが手口を見て特定の証券会社が特定の銘柄に継続的な買いを入れていることが分かると、個人投資家が高い値段で売り買いを繰り返して株価を吊り上げることも可能になる。そうなると、機関投資家は高い価格で株式を買わなければならず、売買コストに跳ね返るというわけだ。市場関係者によると、こうした行為が頻発しているという。

東証は業界内の議論だけでは、結論が出ないとして、今夏に機関投資家を対象にヒアリングを実施する計画だ。「情報格差をなくすためには、売買手口を完全公開にするか、完全非公開にするかのどちらかにしたい」(株式部)という。

しかし、現実には売買手口は証券会社を通じて広まっている。今さらそれを完全非公開にできるとは考えにくい。実際、完全非公開を求める投信会社に対して、大手証券会社の間からも疑問の声が上がっている。

出来高の少ない銘柄を市場で売ろうとした場合、買い手がいなければ売るのは難しい。売買手口が完全非公開になれば、いちいち買い手を見つけ出さなければならず、結果的に市場に特定の銘柄を売るという手の内をさらけ出すことになる。そうなれば、かえって売買コストが上がることもあり得る。

手口が分かれば、売りたい銘柄を買っている証券会社に直接売買を持ちかけることによって市場外で取引を成立させることが可能になる。その結果、「売買コストを抑えることができる」(準大手証券会社)。

売買手口を完全非公開とすることはもはや現実的でない。であれば、必要な議論はどういうルールで情報を公開するかということになるはずだ。市場関係者の間では「東証は情報を公表する代わりに情報料の収入を見込んでいるのではないか」という見方もある。東証がどの程度の情報料で公開することがいいのかという議論も必要だ。この問題は3年以上も議論されてきた。結論を急ぐべきだ。』
~~~~~

このような議論を経て結局2003年6月に東証は手口の非公開化に踏み切ったわけであるが、果たしてこの議論なり証券界(特に機関投資家やら投信)のなんて自分勝手な言い草よ!
自分の業界ながら改めてあきれ返ってしまったわい。
特に太字で書いた部分ね。
ここまで個人投資家がしっかりと市場に入ってきた時代にこんな議論がつい数年前にあったなんてことを振り返ると、冷や汗もんだね、証券界と東証の判断は。
このエゴは一体何なんだろう、って思う。

まあとにかくこのような議論を経て東証が踏み切ったわけであるが、それにしても例えば私がずっと書いてきているMSCBの発行に絡んだ、なんとも言えないグレーな株価の動きやら、或いは普通のファイナンスに絡んでの、値決め前の不可解な株価の動きやらがまだまだ散見される市場であることは事実で、これなんかは上述したように決して手口の公開だけで分かるような問題では無いかもしれないけれど、手口が公開されれば何らかの市場参加者の監視の目が光るわけで、きちんとしたバッファーになるのではないか。
今の世の中、ネットでの情報がとにかく早いわけであるが、これは取りも直さず参加者がほぼ無限大であることに起因するわけで、何かおかしな動きがあればこんなのはすぐにネットで話題になるだろうから、とにかく手っ取り早い。
プラス、この記事でDLJの社長さんがおっしゃっているように、投資機会と言うのはそれが一日何千万と言う手数料を業者に落とす投資家であろうが、ネット経由のミニ株投資家であろうが、平等でなければ本物ではないだろう。

例えば出来高の薄い銘柄に関しては、外人や大手機関投資家などは「出来高シバリ」的なオーダーを置いてくることが多い。
日頃10万株しか出来ない株式へのオーダーがトータルで100万株あれば、その投資家は「出来高の1/3まで」と言う様な置き方を言うが、それを受けている以上は、証券界も機関投資家のコストアップに繋がるなんて寝ぼけたことを言える時代では無いだろう。

特に昨年2月から始まった一連のライブドアに絡む動きでは、もしも手口が公表されていればかなりの部分がガラス張りになって、それなりに非合法的なやり方は未然に防げたかもしれない、或いは反対にそれらをさらにすり抜けるためにもっともっと複雑怪奇になっていた可能性もあるだろうが。

しかしながらこの手口の公表ってのは隠すような情報でも何でも無いと思うし、それが公表されていた頃は逆に我々自身それを積極的に使っていた覚えは実は無い。
たまに何かが取り沙汰されたらそれをチェックしてみる、とか、或いは一部それを気にしている投資家が居たのは事実ではあるが、その情報を元に大金が稼げるような情報では無いと個人的には思っている。まあ知的好奇心やら、やたらと勝手な妄想や憶測を膨らませるのには絶好のアイテムではあるがね。

言って見れば、プロ野球の結果が報道されて「○○ VS XX は、3対2で○○の勝ち」って時に、両チームのピッチャーやら誰が勝利打点を打ったかなんてのが全く報道されないのと同じで、結果は事実だけれどその中味が知らされない、その両チームなんて全く関係ない人にはあっても無くてもどうでも良いけれど、その両チームのどちらかを応援している人には欠かせない情報、って感じだろうか。

そんなもん、別に非公開にして、さらなる疑心暗鬼な憶測を呼んでそれで株価が動いちゃうとしたら、そんなバカバカしいことは無くて、全く持って本末転倒であることをご理解頂けようか?
これからも声を大にして言って行こう、手口を速やかに公開せよ、ってね。



ライブドア株を組み入れていたファンドの開示姿勢

2006-01-28 23:47:04 | ライブドア問題
昨日はBLOGはサボってしまったが、今日土曜日何もすることが無いのでのんびりと見付けた記事に関して書こう。

何度かBLOGなり拙日記にて触れていたけど「世界的規模のファンド」。
ついにある情報ベンダーがファンドがどの程度ライブドア等を組み入れていたのかに関する記事を出した。
恐らくベンダーオリジナルな記事なので、世の中全体には出回っていないと思われるのでここで勝手に紹介してしまおう。

『ライブドア株が16日と比べて80%値下がりし、新興市場全体も大きく下げた結果、ライブドア株を多く組み入れていたとみられる「JF中小型株オープン」が17日、18日、23日に各5%超値下がりするなど、小型株投信の基準価額も大きな打撃を受けた。HP上で基準価額の下落要因を説明する投信会社はみられたが、ライブドア株という個別銘柄の保有に関する情報はなかなか開示されなかった。

<小型株投信が多数組み入れ-フィデリティやJPモルガン>

ライブドアは昨年末の時価総額が7711億円と東証マザーズ全体の1割強を占め株式の流動性も高かったことから、小型株を投資対象とした投資信託などが組み入れていた。なかでも昨年末時点で発行済み株式の6.88%にあたる7218万9537株を保有していたフィデリティ投信の動向が注目されている。
同社は昨年7月末までにライブドア株をそれまでの5.13%から9.14%まで買い増しした。株価は11月から上昇基調となり、12月末には7月末より5割高くなったが、その12月末までに売却を進め、保有比率を6.88%まで引き下げた。ライブドア株が組み入れ上位10位以内のファンドは「フィデリティ・日本小型株・マザーファンド」、「フィデリティ・日本バリュー・マザーファンド」。
フィデリティ投信は17日にライブドア株の保有状況を開示。さらに24日にはコメントを公表。ライブドアグループは経営陣の逮捕でブランドイメージが大きく損なわれたことを考えると、今後の事業展開に深刻な影響が出る可能性は否定できない。上場廃止の可能性も含め予断を許さない状況で、今後の展開を注意深く見守り、必要な対応を迅速に取る、としている。
JPモルガン・フレミング・アセット・マネジメント・ジャパンも昨年末までに発行済み株式比でそれまでの5.66%から6.86%まで買い増しした。昨年11月末時点でライブドア株を組み入れ1位としているのは「JF中小型株オープン」。

<野村やメリルなども保有表明>
フランクリン・テンプルトン・インベストメンツは2本のファンドでファンドの純資産総額の0.36%程度保有していると18日に表明。野村アセットマネジメントは20日に「ライジング・ジャパン・オープン」などで保有していると公表。興銀第一ライフ・アセットマネジメントは24日に、「DIAM成長株オープン」など6ファンドで保有していると発表。メリルリンチ・インベストメント・マネジャーズも24日に「メリルリンチ日本株式オープン」など3本で保有していると公表した。
フィデリティやJPモルガンを含めたこれらの会社から、その後の対応についての発表はない。モーニングスターの朝倉智也代表取締役COOはフィデリティ投信について、「ライブドア保有に関する情報の開示を求めたが、開示は従来通りと突っぱねられた。個人投資家に対する説明責任を果たしていない」と痛烈に批判。
前日に行われた同社の「ファンドオブ ザ イヤー 2005」の受賞ファンドに運用成績面からフィデリティ投信のファンドがノミネートされたものの、同社の真摯でない対応が受賞に値しないと判断し、外した。

<すでに全株売却-大和、三菱UFJなど>
ライブドア株は17日以降ストップ安(制限値幅いっぱいの下落)比例配分(午後2時40分で全銘柄の売買が停止された18日は気配値のまま終了)が続いていたが、25日は7営業日ぶりに全株一致で売買が成立。当日の売買高は4億2160万株に膨らんだ。この日ようやくまとまった株数を処分する機会があったといえ、その後売却したと発表する投信会社が出てきた。
24日に計10本の投資信託でライブドアを保有していると発表した三菱UFJ投信は、25日に155円で全株を売却したと26日に公表。大和証券投資信託委託も25日、計6ファンドで保有していた全株式を売却したと発表した。新光投信は「ジャスダックオープン」など4本で保有していると24日に公表した後、27日に全株式を25日までに売却したことを明らかにした。
ライブドア問題が起きてからの公表はしていないが、月次レポートなどから保有が推測されるファンドもある。昨年末時点でSBIアセットマネジメントの「ニュージャパン・インデックス・ファンド」が組み入れ比率0.65%、MFSインベストメント・マネジメントも「MFS日本株ファンド」で組み入れ比率5位にしていた。コメルツ投信の「レオス日本成長株ファンド」も17日時点で1.59%組み入れていた。
半面、保有していないことを表明したのは国際投信投資顧問、朝日ライフアセットマネジメント、三井住友アセットマネジメント、第一勧業アセットマネジメント、日本投信委託、東京海上アセットマネジメント、富士投信投資顧問、安田投信投資顧問など。
各社の情報開示姿勢はまちまち。いち早く保有していると開示した会社、保有の事実を売却してから公表した会社、さらに保有の有無すら開示しない投信会社も多い。日本中の注目を集めて急落したライブドア株が自分の保有する投資信託に組み入れられているかどうか、個人投資家が知る必要はないという考えのようだ。』

しかし良く調べてあるなぁ、と。
本来の報道のあり方と言うのを考えた場合、堀江氏がどうしたとか広報の女性がどうしたとか、なんてのは、まあ多少の興味本位はあって良いと思うが、本当に知りたい情報ってのはこうあるべきだろうと思う。

これだけ個人投資家動向が注目を集めているわけで、当然直接株式投資を行わないまでも、ファンドを買っている人間は相当数増えているはずだから、この手の報道がもっとなされてしかるべきだろうね。

投信各社もインデックスと言う指標を考えた場合、ライブドア株を組み入れざるを得なかった事は十分理解出来るので、単に各社のファンドが組み入れていたからと言ってそれを非難の対象には出来ない。
また各社の開示姿勢をこの報道は問題にしているようだが、基本従来どおりの開示しか出来ないとしても、それも仕方の無いことのように思う。つまりこの問題は、やはり市場にとっては個別問題だ、と言う事である。
社会的にはあれだけ世間を騒がせてきたヒストリーのある会社だから、まあ大きな社会問題として取り上げるのは構わない。もちろん大半がどうでも良い事柄を大きく見せたり、まことしやかな方々がどうでも良いことを述べたりしているだけであるが、市場はライブドア問題は個別としてとっとと切り離して行くべきだろう。
しかしながら東証なんかがどうも世間に迎合しようとして、根幹があのような態度をとっているから話が終わらない。

モーニングスターの方がフィデりティの姿勢を批判しているようだが、でもこれは少々お門違いな気がするなぁ。
ファンドってのは、その売りがどうであれ、とにかくパフォーマンスが良ければいいのであるね。全体のパフォーマンスを考えた場合、ファンドの中味にライブドアが入っていようが無かろうが、我々がガミガミ言うことでは無いだろう。
パフォーマンスが良ければみんな買うし、悪ければ買わない。
各社とも下手にライブドアの組み入れていたからパフォーマンスが悪化しましたぁ・・・なんて言えないでしょうが、だってみんなプロなんだから。仮にファンドのパフォーマンス説明で、ライブドアのためにそれまで良かったパフォーマンスが一気に悪化して皆様にご迷惑を掛けております、なんてのがあったら私は同じ同業のプロとしては軽蔑するね。
市場は常に様々なリスクに覆われていて、そしてそれらを最小限に抑えながら最大限のゲインを取って行くのが彼らの仕事なのだから、それを1銘柄のせいにするような人は居ないはずだろう。
だからライブドア株に関するファンドの開示姿勢で世間が騒ぐ必要は無いし、ただ上記のような事実を淡々と述べてくれればそれで良いのであろうと思う。

だからSBI系のファンドも保有していたようだ、と言う記事を見ても、私は(本当はちょっと笑いたいのだけれど)笑わないぞ、だって個別問題だし(笑)。


Brand Premium(拙日記と同じお題だけど・・・)

2006-01-27 09:14:24 | ライブドア問題
拙日記にざっくりしたことは書いたが、本日のヨーロッパ(恐らくアメリカもそうだろうけど)はもう「SONY・SONY・SONY!」一色であった。
第3Qの決算(引け後に発表)が想像以上の好決算で、一気に盛り上がった。

ざっくり書くと、通期の営業損益を200億円の赤字から一気に1200億円の黒字へ上方修正、中味をざっと見てみると、ソニー生命の運用益が500億、PSPが結構好調を維持して100億、あとはエレクトロニクスが良くなって700億、と言った内容だ。
またエレキの部分700億のうち、為替の円安分が300億、Bravia(液晶テレビね)が200億、後はVaio、半導体のところで200億、と言った感じだそうで。

とにかく目玉はこの液晶テレビ「Bravia」。もちろんテレビ自体はまだ赤字のようだがこれが売れているそうで。
アナリスト氏曰く、テレビに関しては「プラズマの松下、液晶のソニー」で勝ち組が確定した、と。
ついこの間まで液晶と言えばご存知シャープだったわけで(亀山第2工場への設備投資も話題になったのは記憶に新しい)、しかしながら氏曰く、シャープ、ビクター、パイオニア、ついでに言えば韓国のサムソンが相対的に苦しい立場に追いやられた感があると。
サムソンはプラズマ、液晶の両建てでやっているため結局2兎追うものは・・状態だそうで、シャープのアクオスも随分話題にはなっていたけれども有楽町のBカメラでは昨年のモデルの45インチが28万円と言う極めて廉価で売られており、つまりこれは自らブランドを傷つけている行為だよね、と。

またソニーの常に話題になるコンテンツ分野であるが、音楽配信に関してはこれは素人でも分かる(つまり私でも分かる)ように、アップルに完全に十八番を奪われているし、また映画も昨年はパッとしたものが無かったのだが、ただ映画に関してはご存知「ダヴィンチコード(トムハンクス)が決まっているようで、これはスパイダーマンのように老いも若きもに受けるものでは無いだろうが、まあそれなりのヒットが見込める、と。

さて、日記にも書いたけど私が毎朝必ず電話で今日の相場概況をお伝えさせて頂いてる氏は、もうハイテク系に関してはそんじょそこらのアナリストも全く歯が立たないくらいの知識の持ち主。当然ソニーなんかは氏のもっとも得意とする会社であるのだが、電話での氏の開口一番は「ソニーにCongratulations!のメールを送った」と言うものだった。
ソニーのトップの外人さんとは近々に1対1の面談をするそうで(汗)、私なんかもう相場概況を話すどころか反対にいつもご意見を伺っている始末なのである。。

氏さらに曰く「ソニーのコンテンツのところの資産価値をきちんと計算してくれる人が誰も居ない。その部分をどう見るかってかなり重要である。また今回の件でのこのBrand Premiumをどの程度に算出するかによって、今後ソニーをどこまで買えるのか、或いはどこで売りなのか、と言う結論が出る」と。ははぁ~~、と言う感じであるなぁ。
ちなみにアナリスト氏にもそれをぶつけてみたけれど、「コンテンツのところの資産価値計算ってほんと難しくてね・・・」であった。

前にもちょろっと書いたけれどこの投資家氏の持論は「これからの日本に残るのはコンテンツ、ソフトの部分」であるので、今後の様々な投資対象を考えるに当たってはこの辺の価値計算と言うのが非常に重要になることは論を待たない。
しかしながらこの手のモノはその前提の置き場所によって結果がどっす~んと違ってくるであろうことは簡単に想像出来る。
またいくら音楽がPCにダウンロード出来ようが、動画やテレビ番組が簡単に録画出来ようが、やっぱり欲しい人はそれでも音楽CDなり映画のDVDを買うだろうし、ってことでそうなるとソフト部分に伴う価値観ってのも杓子定規で計れないのは分かる。
しかしながらこの辺の価値観を一定の算式にして計算出来るとしたら、その辺は今現在も株式市場で使われているPERやPBR、果てはEV/EBITDAとかに匹敵する尺度にもなるかも知れないので、もし考えた人が居たら私に一報入れるように(笑)。

さて、長々とソニー復活の日に関して書いたが、やはりここで関連付けて書きたいのが、ライブドアなんだよな、しつこいけど。
このブランドプレミアム、これをどう見るか、どう育てるか、ってのが企業にとっても外部の我々にとっても非常に重要であることが認識できた日であったのだね、今日は。
ソニーのブランドなんてもちろん一朝一夕に確立されたものでは無くて、一時期はソニー製品以外は雑魚、的な論調があって、その後その神話が崩れて今日まで来て、そして再び復活した、と言う言ってみれば紆余曲折を経ている訳で、それなりの時間と企業側の努力がそれを築いているわけだ。

現在の大手企業のIRチーム(Investor's Relation)の重要な仕事にはどうも、如何に各証券会社のアナリストに自社のきちんとしたレポートを書かせるか、と言うのがあるようで、当然アナリストの評価が良ければその会社の株価に影響があるわけだから、その辺を非常に意識しているようだ。ソニーも例外では無いようで、ロンドンにもIR室を置いており、常時投資家サイドとソニーをつなぐ役割を果たしている。
ソニー自身の長い低迷期、このIRチームの努力は尋常では無かったはずで、それに加えて本体の努力の結果、今日という復活の日を迎えた訳である。

新興企業に関して個人的な意見を言えば、やはりこのIRに対する取り組みが遅れていることが挙げられると思う。海外でプレゼンテーションを行えばそれなりの費用もかかるし、また海外IRってのは継続的にやらないとなかなか投資家の認知を得られないのだね。頭の固そうな老舗企業なんてのが結構地道にそれをやっていたりして、その辺に差を感じたりすることが多い。

実は私は手前味噌かもしれないけど、あのライブの一件が出るほんと数日前にふと、ライブドアの海外IRなんてのを提案したら面白いかもなぁ、なんて話を同僚にしたら「でもホリエモン、国内の○○とか言ってプレゼンやってたみたいですよ」って話を聞いた。
また彼自身が良くも悪くも広告塔となってあの会社の認知を一気に高めたのは紛れも無い事実で、やはり彼は彼なりに「ライブドア」ブランドのプレミアムアップに尽力していたのだろうな、と思う。
結果的に、と言うか、或いは彼がメディアに頻繁に出始めた頃から、ライブドアのブランドイメージはどっちかって言うと悪いほうに傾いていった気がするのだが、現在取り沙汰されているフジテレビによる買収とか、或いは外資による買収が起こった場合、果たしてライブドアの名前を存続されるのかどうかに私は非常に興味がある。
マイナスプレミアムを負っているけれど、認知度は高い。
マイナスを消したいから、認知度を諦める。
この選択になろうけど、でもフジなんかバッチリ広告代理店が付いているだろうから、ライブドアのマイナスプレミアムをプラスに転化出来たら、私は誉めてやっても良いかな、なんて偉そうなことを考えているのだかね。

古畑任三郎 ライブドアショックの謎をとく??

2006-01-26 03:40:13 | ライブドア問題
そういえば数年前に日本経済がガタガタしていた時に流行ったのが、
『日本経済クエスト』。
これはドラクエを模したもので、ドラクエを知らないと全く面白くないかも知れないが、知っているとかなり面白いモノであった。ちなみに私がPCを覚えたての頃、楽しくて仕方が無かった時に作成したHPがあるのだが(汗)、そこにこれを載せてあったので、ここにリンクをしておく。
こちらのページの一番下の「日本経済クエスト」からお入りいただくとそれが読めるので、気になる方はどうぞ(笑)。

さて、それと同様に出回っている(だろうと想像されるが)のが、この古畑~シリーズのようで、誰が原作か分からないのでもしも何か言われたら削除すると言うのを前提にここに転記させていただこう。

『古畑任三郎 ライブドアショックの謎を解く』

え~~~古畑です。今回の事件はあのマネックスの松本氏がGSの手先となって市場操作したという疑惑についてです~~
すでに明らかになっているように、ライブドアの証券取引法違反が発覚した翌日、前場まではそれほどライブドアショックの影響は無く、前場を終えた段階では+引けでした~~。と・こ・ろ・が・です。なんとマネックスが~

え~~~非常に由々しき問題なのですが、なんと場中にもかかわらずLD関連銘柄すべての信用の掛け目をいきなり0%にしてしまったそうです~~~。証券関係者の話ではこの決定はどう考えてもおかしいという意見ばかりのようですが~~え~~とにかくそんなバカのことをやってしまったものですから`~追証を払えない投資家が続出して、株を現金化する動きが活発になり~え~後場に入ると日経平均は暴落し、大引けには400円以上値下がりして取引を終えました~~。

ここで疑問が2つあります~~~。

ひとつはな・ぜ・マネックスはこんな非常識なことをしたのでしょうか~~という点ですが~~え~~~松本氏は早期に投資家に注意喚起する目的だったと(笑)~~言っています~しかしこれは注意喚起というよりも、追証を納めろ、できなければ持ち株を売れ!といっているに等しいんですねハイ~当然多くの投資家はとりあえず持ち株を売ることにしたんです~~。

もうひとつの疑問は、掛け目をいきなり0%にしたことによって、日経平均が400円以上も値下がりするほど大きな影響力が果たしてあるだろうかという点です~~。これについては松本氏自らいい情報を提供してくれています~~。
かれのblogです~~~。1月18日つまり掛け目を0に変更した日の翌日ですが~~松本氏はGS系ヘッジファンドのJM氏と面会したと書いているんです~~。GSといえば、松本氏も過去に務めていたことがある証券会社ですが~~JM氏は米在住で、めったに日本にヘ来ないそうです~~。何のために、松本氏と面会していたんでしょうか~~。

そうです~これが今回の事件を紐解く最大のポイントでした~~。まずこれが、今泉君に調べてもらった、1月16日の日経先物プットの手口情報です~~。これによれば、GSは16日にプットを6000枚仕込んでいます~~。プットのみを~~売りだけですハイ。

さらに~証券関係者の証言から、1月17日の後場、掛け目を0にしてからすぐに、外資系ヘッジファンドからの猛烈な空売りが観測されています~~。まるで、掛け目を0にするのを知っていたかのようなタイミングです~~。追証に伴う投売りと、他の証券会社も追従するかもという連想売り、さらに外資の空売りと、ライブドア関連銘柄のストップ安が、この市場操作には必要十分な条件でした~~。すべてが同時に起こってはじめて大きな利益になると~~考えたのでしょう。外資とグルになって、混乱に乗じて個人投資家を食い物にした仕業、許されるものではありませ~ん。

ただしこの犯罪において、松本氏は掛け目を0にしただけです~これでは不法行為に問えませ~ん。しかも、掛け目を0にしたことと値動きとの因果関係を証明できませ~んから、松本氏は疑われても決して逮捕されない立場がはじめから約束されています~~。

わたしはこれほど完璧な証券取引法違反を知りませ~ん。

以上 古畑任三朗でした

~~~~~~~~~~~~~

と言うモノである。
私は正直この話の真偽はどうでも良い。どうでも良いと言うのはここで古畑氏(?)が言っているように、これらの因果関係は全く証明することが出来ず、ゆえに事の真偽は関係者のみぞ知る、と言う事でこれをどうこう議論しても仕方が無いのであるね。
私がここで言いたいのは拙日記で先ほど書いたように、機動性なのである。
仮にGSがその情報を活用してPUTを6000枚自己で仕込みに行ったとしたら・・
このような機動的な運用は日本の少なくとも機関投資家には馴染みが薄いはずだ。即断即決の慣行が無い。
外資系ってのはボトムアップであろうがトップダウンであろうが、そこにきっちりとした論理があればすぐに動けるのだろうと思う。
そしてそれを我々には馴染みが無いので「ハゲタカ」呼ばわりしてしまうのだろうと思う。そしてそれをアングロサクソン流と言う事で片付けてしまう。

確かに一般事業会社の例えば設備投資に関してはそれなりの時間が必要であろうと思うけれど、こと金融の世界においては即断出来なければ置いていかれる。なんたって市場は24時間必ず世界のどこかで開いているわけで、そこにグローバルに展開出来る企業がこれからも生き残っていくのだろう。
東京の仇をロンドンで打って、そしてニューヨークでさらなる追い討ちを掛ける、くらいの考えがないとならないのかな、これからは。
東京での仇を次に東京が開くまで待っていたのでは話にならないのがこの世界な気がする。
もちろんこれが良いか悪いかは別問題であるけれど。

例えば今日の東証、明日からはライブドア株の立会時間を1時間にして、しかも自己売買の禁止(つまり証券会社は顧客からの注文の取次ぎのみ)、さらには買い付け代金は即日入金、と言う異例尽くめのアクションを決めた。
言い分は常に同じで「ライブドアの影響でシステムに云々かんぬん」
結局全て後追いなんだよね。
そこに機動性を売りにしている外資系やら外人投資家は「ふざけんな」って思っているはずで、そうして徐々に彼らのマネーが逃げて行って・・・なんて構図が考えられる訳ですな。

そう考えると日本ってのは本当にアジアの1国に成り下がってしまったように感じるのが寂しい。
このライブドア問題で我々が今後学ぶことはとてもたくさんある気がするけれど、こと前向きな考え方を推し進めていかないと必ず日本は置いていかれる。
それでなくてもこの間書いたように既に日本のハード部門ってのはほとんど外に出て行っちゃっている。残るはソフト部門、コンテンツ部門であろうことは論を待たない。ライブドアはやり方は結局違法であったわけだけど、でも会社はきちんと残っているし個人的には償いをしながらもその特色を生かして存続していくことを希望している。
いつまでもホリエモンがどうのこうのではなくて、ここで少し考え方を前進させようではないか。
アナリストがこの間言ってた一言を思い出す。
「ライブドアって会社はマーケティング力は高いんですけど、それを金にするのが下手なんですよ・・・」



ライブのその後はどうなるのか・・風邪で頭ぼけてますが

2006-01-25 03:17:06 | ライブドア問題
さて既に取り沙汰されているようであるが、今後のLD社である。
新社長が決まり、現行残っている役員達で会社を切り盛りしていくことになろうが、確かにその前途は多難であろう。
とにかく日本中の古典経済人が躍起になって潰しにかかっているようにすら映るわけで、東証も完全に自社のシステムトラブルから目を逸らせようとの意図が見え見えの扱いをしている現状である。
東証のHPでは自らのトラブルを詫びる項目が無く、ひたすらライブドア株に絡めたTOPICという形でそれらの記事の冒頭にてお詫びを軽く1-2行述べているに過ぎないのは残念だ。
しかも、私が拙日記にて書いた、仮に上場廃止になったらその株主達はどうすべきか等のページが見当たらない。

ここではっきり述べておくべきは、上場廃止と倒産とは違う、って事である。
企業が倒産してしまったら、それは基本株券は何の価値も無くなる。
ただ、倒産とはいわゆる会社更生法を申請してそれが適用されるケースが一般的で、もしその後会社が不死鳥のように蘇ってまたまた上場なんてことになれば話は別であるがね。

単に上場廃止とは、取引所での株券の売買が出来なくなることであって、会社はもちろん存続しているわけだから、その会社が利益を上げれば価値は上昇するだろうし、また配当なんてこともあり得るわけだ。しかし問題はその価値をどうやって計るのか、どうやって実現するのかってことなのであるね。
くれぐれも書いておくが一部のBLOG等には「株券紙くず」みたいな書き方をしているところもあるようだが、少なくとも現段階での事実は、「監理ポストへの割り当て」であるから。
もちろんその後の捜査の進展によっては上場廃止基準に抵触する事柄も出てくるかも知れないし、そしたら東証は容赦なく上場を廃止しよう。
しかしその段階でも会社が存続している限りは株券には何らかの価値がある。

まずは個人的には、これだけ上場廃止が行われているのだから、これはきちんとした仕組みをもう一度整備する必要があるのではないか、と考える。
新規公開を予定している会社の株価の価値を証券会社は決めて、それを持って公開値段としているのだから、その反対もしかりであろう。
仮にそうなった場合、果たして証券界は個人投資家をそのままほっておくのだろうか?これは私自身を含めてきっちり議論されるべき問題であると思うが、如何か。

また、外資系によるMAの話なんてのもちらほら出ているようだ。
これは十分に有り得る話だろうね。
ざっとブルーンバーグで調べて見ると、流動資産だけで約900億、その他資産(なんだか知らない)が約900億、それに対して負債は計40億程度しかない。
時価総額が現在1850億程度であるからそのPBRはそろそろ1倍の水準に来ている訳だ。つまりこの会社の解散価値と同程度まで株は売り込まれていることになる。
また色々な外資系の名前が出るたびに「はげたかはげたか」の連呼が始まりそうだが、仮にMAの話が出た場合は果たしてどうなるのかかなり興味がある。
買収する側としては一旦上場廃止になって、そして完全な相対でMAを提案して、それで会社の中味や体制を整えて再上場、そしてライブは再度復活へ、ってなシナリオがいいのだろうが。

私自身がどうもこの5連続ストップ安を見ていて不思議に思うのは、結局毎回最後はきちんと株が比例配分されていることだ。
つまり初日のストップ高から買い手が(微々たるものではあるが)存在している、と言う事なのである。
手口情報非公開のこんにちでは、その買い手が誰なのか全く分からない。分からないけど毎日100万株程度の商いは付いているわけで、その辺も実は興味津々。
恐らく上場廃止が完全に射程圏内に入っているから、まともなところはいくらPBRが1倍まで来た云々言ってもなかなか手を出せないだろうことは想像が付く。
どこかが頑張って買い支えているような感じでも無いし。

いずれにせよこうなってしまった以上は、いよいよ日本の懐の見せ場な気がするんだよなぁ。頑張って這い上がってくるかもしれないLD軍団を我々はきちんと迎え入れてあげられるのかどうか。私はそれに賭けたいね。

さて、もう一つ、これは外人記者の書いた英語の文章でしかもひどく難解なものだったのだが、それを読んで見たのだが・・・
「ライブドアとエンロンを比べるなんてバカらしい。ウォールストリートが如何にすばやくエンロン問題を個別の問題として処理したか、がポイントである。
それに対してTOKYOはどうか?今後もトレーディングボリュームの極端な増加に耐えられるのか?LTCMのようなケースはどうだ?石油価格の更なる大暴騰が起きたら?石油が80ドル、いや100ドルになったらどうする?日本が頼り切ってる中国経済が突如悪化したら?或いは再び未曾有のテロが起きたら?ドルが暴落したらどうなる?」

外人は大体同じようなことを言っている。何でこの問題だけこんなに日本中が大騒ぎをするのだ、と。市場の一種の常識で考えればこれはやはり個別の案件としてきっちり切り離されるべきであったのだろうし、実際例えば冒頭で書いたように三井住友のケースは完全に個別で処理されちゃってるから、1ヵ月後にはあんな大規模な増資が出来るんじゃなかろうか。あれだって独禁法違反って完全に法を破った訳でしょう?いやだからと言って法を破っていいって事ではないよ。ことではないけどこの扱いの違いにやっぱり愕然とするし、個別に切り離せなかったと言うより日本の古典連中がそうさせなかったのだろう、ってのはちょっと穿ってるかなぁ。


ライブドア、個人的には非常に残念

2006-01-24 05:11:06 | ライブドア問題
さて、本日風邪にて会社を休んでしまい、ゆえに報道にはほとんど触れていないけれど、それでも逮捕は予測されていたようで、その記事は読んだ。
基本頭があまり回っていないので、取り急ぎ拙日記にて「直後の感想」めいたものを書かせていただいたので、こちらにもそれを転記しておく。

尚、今回の一連の報道にて、またまた木村剛さんがTBを送ってくださって、彼の記事にてのご紹介の栄に浴し、光栄です。
以下、拙さるさるからの転記でございます。
~~~

当然今後はLD社に対する株主代表訴訟が予測されるし、またCXに対しても契約解消によって仮に損失が大きく出た場合にやはり代表訴訟のリスクは付きまとうだろう。

結局旧態依然とした経済界の勝ち、と言う図式で少々個人的には残念である。
今後報道なり東証に求めたいものとしては、LD社が上場廃止になった場合、株主達はどういう行動を取るべきか、と言う事であろう。これをきちんと説明した話は聞かない。

通常は会社が倒産しない限りは、その会社の株式にはそれなりの価値があるわけで、しかしながら上場していないという事はそれらの流動性が保持されていないと言うことだから、株主が仮にそれを売りたい場合はどうすれば良いか、と言うのが焦点である。
類似会社方式等により証券会社には一応その株価算定のモデルのようなものはあるけれど、果たして主幹事がそれらのリスクをきちんと投資家に対して取ってくるのかどうか。
仮に再生機構みたいのが太っ腹で、LDの再生を引き受けるような場合(再生機構だって旧態依然側だろうからまず望めないだろうけど)、LD社の将来の再上場の見込みもあろうから、株主はそれまでじっと待つと言うことも出来よう。

とにかく(風邪で頭が回ってないけど)、東証も偉そうに監理ポスト移行だなんだをふんぞり返って言うだけではなくて、そうなって上場廃止になったらその後はどうすべきかの指針をきちんと示すべきだ。これは各マスコミにもきちんとして頂きたいね。
CXも一体どうやってあのLDの持ち株を処理するのか分からないけれど、仮に処理出来るとしたら不公平であろうね。片や処理出来ない個人投資家がたくさん居たとして、でもCXにはあれだけの株数を処理する方法があるのだとしたら、これは我々はきちんと監視していく必要があろう。

最初はヒーロー扱い、それでもって一気に梯子をはずすこのやり方、新興企業に対する度量の小ささみたいのを如実に現している気がして、やっぱり残念だな。CXが「提携相手だから俺達が助ける」位の事を言えば一気に見直したんだけどね。

~~~
今後とも色々と調べて突っ込んでいかねばならないことがまだまだあると考えている。
特に上場廃止後の株券の取り扱い、要は「じゃあ具体的にどうすりゃいいんだよ?」って事などを含めて、調べて行きたいと思う。
恐らく上場廃止は今の勢いを考えると、LD本体のみならない可能性もある。
この一件にて仮に個人投資家が、株式市場に対して愛想を尽かしてしまうのは非常に宜しくない。
今や東証は外人と個人で持っているようなもんで、これで個人が愛想を尽かして、さらに外人もGIVE UPしてしまったら一体日本の市場に何が残るのか。
この問題、単に堀江氏が逮捕されたから終わりではないのだね。

普段余り回転の宜しくない拙頭脳、風邪にてさらにその回転が鈍ってはいるけれど、それでも自分なりの責務を果たすべく頑張っちゃいますので、今後とも何か情報等がございましたら遠慮なくコメント欄でもメールでも頂きたいと思うので、よろしくお願いします。

尚、コメント欄のコメント、もちろん読んでますが、お返事はもう少々お待ちくだされ!!



ライブドア問題~分割と時価総額と財務諸表と

2006-01-22 02:46:10 | ライブドア問題
どうも自分の頭の中が若干混乱気味なので少し整理してみたいと思う。

ライブドアの件に関して、仮に同社が違法な行為を行っていたのであればこれは証券マン的見地からも当然許されない行為であり、それはきちんと罪を償う必要がある。

しかしながら現在の報道を見る限りでは、決算報告書の虚偽記載に関してはそれは非常に分かりやすいので良いとして、投資事業組合と本体との関係云々、また正式合併公表前に既に本体と表裏一体の投資事業組合が事実上被買収企業の株式を買い取っていたと言うケースにおいて、当初は散々風説の流布が言われていたけれど、果たしてこの場合の本当の問題点は一体どこにあるのか、私自身良く見えない。
法的に見てどうなのか、この辺はきちんとした答えが出て来よう。

私が何よりこれらの件で問題にしたいのは、分割やら時価総額経営に関する世の中のご意見である。それらを証券マンから見たらそれはどう映るのか?
世の中特にマスコミの垂れ流し記事の大半は、違反行為と同列にこの辺のやり方をも、さもやはり違反であるかのように錯覚させる書き方をしているように見える。

また、現在話題になっている会計士の方のBLOGもざっと目を通させていただいたが、彼は時価総額経営云々は虚業の錬金術に過ぎない旨をおっしゃっているが、ではそれは私にはどう映るのか?

その辺の事をもう少し僭越ではあるが書いてみたい。

まずは分割であるが、これは我々からすれば、やはり「何が悪いの?」と言わざるを得ない。
きちんと企業には認められた資本政策であり、これを使って株主に対して報いるってのが基本的な考え方であるのだから。
ちなみに株式分割ってのは昔は無償増資と言われていて、私が証券会社に入った当初は「おお、○○社、無償だって!」みたいな言い方をしていた。
この分割なり無償てのは、昔から市場にとっては株価が反応する結構大きな話題であった。特に単位株が大きかった、すなわち基本最低単位が1000株がほとんど、って時代の「1割無償」ってことは株主は1000株持っていれば100株を貰え、また100株は取引単位ではないので、証券会社が当該企業に「買い取り請求」と言うのを代行して、その100株分は株主は現金で貰えたわけであるね。
堀江氏はこの分割を巧みに利用して、自社株数を激増させたわけで、また結果的に百円単位で買える株にしたため、株主数が激増して、被害を拡大した、と言われているが、果たしてそこに因果関係があるのかどうか、この辺の感覚が私は世間とはちょっとずれるのだ。
つまりどんなに分割をして株数を増やそうが、あくまでも株価は結果として上がっている訳で、基本分割しても当該企業に魅力を感じる投資家が少なければ株価は簡単には上がらない。
むしろ本当に株価を上げたければ、株式数が極端に少ない方が効果的であろう。
かつてYAHOOジャパンが上場したときの株数、数字は忘れたけど極端に少なく、結局品薄現象を引き起こして連日株価が高騰したのは、私がドイツに居た90年代の終わりごろだったと思う。
もちろん分割後、新株が印刷されるまでの間のタイムラグを利用して品薄現象を引き起こし云々、の報道も知っている。しかしあくまでもそれは制度上の問題点であって、仮に意図的に利用したとしても、結果的にそういうシステムになっているのだからこれは仕方が無いだろう。
これは分割では無いけれど、ある企業が大きな増資をした場合、その株券が出来て来るまでの間に、新株マーケットが立つケースがある。最終的にその新株は旧株と同じになる訳だけど、それまでの間、投資家はそこで売買が出来る場合がある。もちろん最初に「売り」を出来るのは新株をもらう予定者だけになるが、別に「買い」から入るなら誰でも出来るはずである。またこの旧株マーケット(と言うか通常のマーケット)と新株マーケットには実は多少の値段差が生じるので(これは基本流通量の違いによる)、その両者でのアービトラージをする投資家が居たりする。
受け渡しはその新株の正式発行日になるので、1ヶ月先とかになる。ちなみに記憶では、大きいところでは、NTTドコモが増資したとき、そのマーケットが立っていた、と思う。(確かドコモだったよなぁ)


確かに100分割!とかはマーケットにインパクトがある。それは今まで誰もやって来なかったから、ってのがそのインパクトが生じる理由だと思うが、それが諸悪の根源で中味のない錬金術と言う論法は少々証券マン的見地からすると短絡的に思えてしまう。
しつこいけれど株価の動きは基本その需給関係、すなわち売り手と買い手のバランスによって決まるわけで、そして各人が売り手になるか買い手になるかは各人のその会社に対する評価で決まるわけだ。
分割をすればそれだけ発行済み株数が増加するわけで、理論的には株式の希薄化(ダイリューション)が起こるので理論株価は下がる。それを分かっていつつもさらに当該企業に魅力を感じる投資家、つまり買い手に回る投資家が多いから、結局株価は上がる訳であって、分割=株価上昇を単に結びつけて、結論は派手な分割=悪の根源、と言う論調には納得できないのである。


時価総額。
果たしてこの時価総額を上げることがどうしていけないのだろうか。
どんな会社だって自社の株式の価値を高めるべく日々努力しているわけで、これは否定出来ない事実でしょう。
一般企業の経営者や社員の方たちは実は想像以上に自社の株価に敏感で、もちろんその会社が正しい方向に伸びていけばそれらは数字やら結果やらを通して投資家に認知されて株価が上昇するわけだ。
ストックオプション制度なんてのは、まさに「一生懸命やって会社が儲かれば株価が上昇するから、そしたらこのオプションを行使すれば一種ボーナスが手に入るぞ。行使価格を現在の株価よりも高い水準に設定するけど、それ以上の株価になるようみんなで頑張ろうぜ」ってことで、結局株価が高くなりゃ時価総額だって上昇するわけで、堂々と自社の時価総額を前面に出すことが何故いけないのか、不思議であるね。
マスコミは連日のLDのストップ安によって「LD時価総額xx億低下」「グループ全体での時価総額xxx億を失う」って書いているけど、それは事実だから正しい。
ただゆえに時価総額を前面にしてそれを売りにして来た姿勢をこき下ろすのはどうか。

この件でその会計士の方のBLOGのNo.2から少々抜粋させて頂くと、
『テレビに顔を出してはコメントしている大学教授、証券マン、証券アナリスト等、この人達は株とか企業の実態を本当にご存知なのでしょうか。疑問ですね。
(中略)
ホリエモンは、会社経営の基本は企業価値を高めることだ、というのですが、これについては全く異論はありません。ご説ごもっともです。
ところが彼の言っている企業価値とは、いったいなんでしょうか。どうやら株式時価総額と言われているものらしいのです。
(中略)
しかし、ここには大きなトリックがあり、ごまかしがあるのです。それは、企業価値イコール株式時価総額としていることで、この2つは似て非なるものなのです。このすり替えこそ、ホリエモン・マジックの中核となるものです。』

我々証券マンやアナリストの仕事はその会社の財務諸表を分析することだけでは無い。
会計士氏のご意見はもっともなのだが、我々の視点から見れば、時価総額の多寡だって立派な企業価値の尺度になる。もちろん「イコール」ではないかも知れないが、時としてそれがイコールとして捉えられる時もあるだろう。
また我々は、本業での利益やら、利益の伸び率、果ては配当性向やらPERやPBR、同業他社比較での競争力、その他業態によってはそれらのプロダクトの循環的要素、そして当該会社の次なる戦略やらを勉強して、そしてそれらを投資家の意見とすり合わせて将来の予測を分析して、ではこの株は現在高いか安いかを判断しているのであるね。
では氏の言う企業価値とは一体何なのか、ここに示されていないのは少々残念であるなぁ、と。

私のような一フロント証券マンが普段PLやらBSをじっくり見るなんて事は確かにまず無い。あるとしても決算発表の時くらいだろう。しかしながらその会社の株価を考える過程においては、上に述べたようにあらゆることを検討課題としている。つまり企業活動のある期間の集大成が財務諸表に乗っかり、それが発表されるのが決算発表でそれは物凄く重要であるけど、それだけじゃないのである。仮に決算数字が悪くてもそれがすぐに売り推奨に繋がるわけでは無いし、物凄く良い決算を発表しても中味は特別利益がほとんどで本業は変わっていないとなればもしかしたら売りを推奨するかもしれない。
財務諸表分析はあくまでも「現在完了形」であり、我々の仕事はどちらかと言うとそれは元にはするけれど「未来形」なのであるね。
ゆえに、氏がおっしゃる「この人達は株とか企業の実態を本当にご存知なのでしょうか」の部分の、証券マンやらアナリストが単にテレビに出ていた人たちを指すのであれば私には関係ないが、もし一般的な話をされているとしたらそれはちょいとカチンと来るな。

我々証券マンだって、ではLD社の様々な指標はどうなのかは知っているし、それは投資家の方々も一緒だろう。
時価総額2000億を豪語していても、それだけじゃないよね、ってのは株式投資をされている方はみんな分かっているはずで、それでも時価総額が2000億になったのは紛れも無く投資家のコンセンサスが「買い」だったからに他ならないわけで、それを上手に使って経営をしている側がどうこう言われるのはどうも筋違いな気がするんだよな。もちろんそこに不正があったならば、それは全く別な話なので、しつこいけど念のため。

とりあえずやっぱりまとまりの無い文章で申し訳ないけれど、本日は以上。




明日ゆっくり書きまする

2006-01-21 09:51:29 | ライブドア問題
せっかくお出でいただいたみなさま、すみませぬ。
先ほど帰宅いたしまして、現在スイスは日付が変わって土曜日の朝、と言うか金曜の夜中の2時前でございます。
明日またアップいたしますので、本日最後の力を振り絞って書いた拙日記をご覧いただければ幸甚です。

おやすみなさい~~・・

ライブドア問題への考察~日経に突っ込むぞ

2006-01-20 07:50:39 | ライブドア問題
さてここ数日のたくさんのアクセス有難うございます。余り気の利いた意見とか、裏の方からのニュースソースってのはありませんが、まあメンタン切って勝負していくしか無いのですが、頑張ります。

さて拙さるさる日記に少し触れたように、本日はずっと出張して顧客訪問をしていたので情報端末やらネットからのニュースに触れることが出来なかったため、移動中に久々に日経をじっくりと読んだのだが、まあ言葉巧みですごいとあらためて感心してしまった。
まあ昔から日経の記事は云々を言われているし、今さら驚くには値しないのであるが、正直識者ぶった記者諸氏をはじめ、自称識者の方々のご意見のなんと素晴らしいこと。

JCOMショックの時にここで書いたように、市場の求めることとは常に「裁定チャンス」なのである。つまり値段に歪みがあればそれを是正する、それが市場の掟のようなものである。それから派生したのが例えば個別株のロング・ショートと呼ばれるヘッジファンドが好む手法であったりする。何も個別株のみならずセクター間ロングショート、いわゆるマクロなロングショートなんてのもある。
投資家ってのは青目黒目(これはもしかしたら証券用語か、青目=外人投資家、黒目=日本の投資家を言う)を問わず、常にその機会を狙っている。
結局単純に株を買う、と言う行為だって、それを買う人はそれが割安だと思っているから買うわけで、これだって広義の裁定(アービトラージ、以下アビトラ)であろう。
そういう観点から見た場合、例え山ほどの個人投資家が市場に参戦しようが、デイトレーダーたちが日々何百回も取引を繰り返そうが、それはアビトラの効果がより緻密になる効果があって、そして同時にアビトラチャンスが減ってきてる、って事であると個人的には考えている。

例えば現在では日経平均の入れ替え~なんて言うとこぞって個人投資家も参戦してくるようになった。自分なりの予測を立てて、日経平均から外れそうなモノを売って、新たに入りそうなモノを買う、と言う事だが、これなんてかつては機関投資家やらの専売特許であった訳だ。各証券会社の調査部門が色々調べて候補をリストにして、セールスはそれを機関投資家に持ってって、そして彼らが動く・・
特に日経平均をターゲットに運用している先なんてのは、新規採用銘柄をいずれにしてもポートに組み入れなければならない訳だから、どうしたって彼らは買う。それなら先回りして自分でリスクを取って・・と誰もが思うわけで、それがかつては機関投資家&証券会社で何となく完結して、そしてその後個人がそれに乗ってきて・・って感じだったのが、今じゃ機関投資家(特に国内系はいずれにせよ意思決定に時間が掛かるので、遅い)が後から乗っかってるって始末が現状だ。
こういった動きはぶっちゃけ機関投資家相手の証券マン、そして投資家自身には非常に邪魔である。がしかし市場にとってはむしろ健全なのであるね。

私も時としてこのデイトレ達やネット投資家が邪魔だ、って思うことがあるけれど、でも私だってリタイアしたらきっとネット投資家になるし、つまり投資に対しては常に万人に平等なチャンスが与えられるのは当たり前であるから、大きな声で文句は言わない(笑)。
(ただ、JCOMショックの後に新規公開してくる銘柄に、1円だの2円だのって指値を置いてくるネット投資家が急増したそうで、これはちょっと苦笑もんだけど)

さて非常に前置きが長くなったが、これは本日日経1面の署名記事、証券部の小平記者の記事に対する反論の前置きである。
記事自体が長いので、私がカッチ~ン!と来た部分を抜粋する。

『株式の大幅分割は個人を市場に呼び込み、市場の活性化には一定の効果はあった。だが、インターネットで頻繁に売買を繰り返す小口投資家を大量に生んだことは、健全な市場につながったとは言えない。』

私の前置きに賛同してくださる方ならお分かりいただけようが、頻繁に売買を繰り返す小口投資家だって、立派に市場では機能しているのである。それが健全な市場につながったとは言えないと言う、その根拠は何か?
付け加えれば、例えばVWAPギャランティー注文。これを執行するにはそれなりのシステムがあって、当該注文銘柄の約定値段をVWAPに近づけるためにそのシステムは頻繁に売買を繰り返すんですよ。インターネット経由じゃなく、小口じゃないけど、でもプログラム経由の電子取引なんだから、同じことでしょう。そちらを責めるならこちらも責めなさい。
こちらを責めることが出来ないのなら、そちらを責めるのは止めなさい、証券部。

記事は以下のように続く・・

『ゲーム感覚の売買で急騰した株価を企業買収に利用する』

私はこういう書き方がすごく嫌いだ。
一体何を根拠に「ゲーム感覚」と言い、そして何を根拠にそのゲーム感覚が株価を急騰させた、と言うのだろうか。
私は、ネット投資家、デイトレ、ライブドア関連銘柄=ゲーム感覚、てその発想が嫌いだ。散々マスコミがそういう言い方をして来たために、いまやそういう図式が完全に国民の間に刷り込まれてしまったと思っている。
ここを読まれているネット投資家の方々の中でどなたか世間に言ったことあります??「私は株式運用をゲーム感覚でやってます!」って。
我々証券マンの神聖なる仕事場をUFOキャッチャーと同義で語らないで欲しいね、全く。
それでなくたってマスコミは常に株式市場で何かあるたびに大騒ぎするんだから、それだったら少しはまともな記者を育てなさいよ、証券部。

(駄目だ、書きながら怒りが湧いてきて眠気が吹っ飛んでしまった・・・)

長くなったけどあと一つ。
「私はこう見る」の欄での漫画家の弘兼憲史氏の意見だ。

『実体が無くても有名と言う理由でIT株などが買われる現象はマネーゲームで”狂乱経済”ともいえる。株をギャンブル的に買って安易にもうけようという風潮が若者を中心に広がっていたので懸念していた。
(中略)気軽な気持ちで株に手を出した個人投資家が「損をしたくない」と焦って売ったために起きた現象(これは東証の売買停止措置を指していると思われる、筆者注)といえる。頭と体を使ってモノを作り出すという労働の原点を見つめなおすよいきっかけになるのではないか』

弘兼さん、お年はいくつか知りませんが、バブルを覚えていらっしゃいますよね。
私が甘ちゃん大学生を終えて初めて社会に入った1986年、その頃にはバブルの足音が聞こえてましたよね。
あの時の”狂乱経済”の主役は貴殿の世代近辺じゃありませんか?株のみならず土地やら絵画やら果てはマンハッタンのビルまで”ギャンブル的に買って安易にもうけよう”としていませんでしたか?
そしてあのバブルの崩壊が、頭と体を使ってモノを作り出すという労働の原点を見つめなおすきっかけになって、そしてそうやってきた結果、日本は氏の懸念するような若者の風潮を生み出す世界になってきた、とは思われませんか?
そして現在、いざ頭を体を使ってモノを作り出したい!って思ったって、大手の工場はみんな海外に行っちゃったじゃないですか。
貴殿のおっしゃる労働の原点はもはやこの国には無いんじゃないか、っていう位、こぞってでかい企業の優秀な老練な指導者達の決断によって外に出て行っちゃったじゃないですか。
どうか、これからも素晴らしい漫画をお書きになって、世間の清涼剤となられることを切に願うと同時に、これからはむやみやたらとこの手の発言は慎まれた方が、と思いますが。確かライブVSフジの時も貴殿のご意見をお見かけした記憶があったものですから、すみません、老婆心ながら。


本日は以上。


ライブドア問題の考察~その2

2006-01-19 07:00:05 | ライブドア問題
拙日記にて先ほど書いたけれど、本日のガタガタ相場の主役はライブドアではなくて東証である。
ライブドアに対する包囲網は徐々に狭まってきている感があるが、個人的にはライブドア社や堀江氏には何の興味も無いけれど、しかしそのやり方に空恐ろしいモノを感じているのは私だけではあるまい。

昨日も書いたけれど、もし容疑の内容が事実であればこれは言語道断、きちんと法に乗っ取って処罰されなければならない。
本日空恐ろしいと感じた点は以下の2点。

まずは東証の西室氏(もと東芝のドンだよね)の発言。一問一答をつぶさに読んでいないし、またそれを報道している所も見付からなかったのだが、報道を読んでみるとその言い方は、ライブドアのお陰で東証のシステムがパンク寸前になったので、14時40分で全取引を停止した、って感じで、とても感じが悪い。

西室社長は、「日本に集中して投資資金を入れていこうという動きが出るなか、個人投資家の増加や外資系金融機関のプログラム取引などが増えている。これに、ライブドア問題に端を発した不安が拍車を掛けた」と説明した。

今まで何の問題も無かったのに(と言っても前代未聞のシステムトラブルがあったのは記憶に新しいが)、ライブドア問題が拍車を掛けてシステムがパンク寸前になった、と言わんばかりの言い草であるね。
この問題、こちら海外では非常に波紋を呼んでおり、ある著名な投資家(私は毎朝この方に電話で相場概況をお伝えしなければならない責務を負っている)曰く、
『一体どういうことなの?そんな幼稚で信頼出来ないシステムだったの、東証って??』

現在東証は注文件数、約定件数共に増強を図っている最中だと言う。
注文件数を750万件から900万件に、約定件数を450万件から500万件に増強するらしいが、いつやるの?って感じだ。
本日13時半くらいの段階で約定件数が400万件を突破したので、結局最後の20分は全取引を停止した、って余りにも一種の公的使命を担った組織としてはお粗末に過ぎないか?
もちろんライブドアの件が引き金になったのは間違いないが、だからと言ってそこに責任を転嫁するような姿勢で良いのかなぁ。実際それらの出来事を「東証ってほんと駄目ジャン」的な姿勢で報道したマスコミは、私の見る限りでは無かったところに空恐ろしいモノを感じるわけだ。

さらに加えて、ライブドア社に関して西室氏は、
『西室社長はまた、ライブドアの粉飾決算報道などに関する東証へのこれまでの情報開示が不十分だとして、同社に正式に情報開示を要請したことを明らかにした。西室社長は「きょうライブドアに対し、今週金曜日(20日)までに回答するように、しっかりとした情報開示をやってくれるよう正式な文書で要請した。ライブドアからもしっかりした開示をやると聞いており、回答は公表する」と述べた。
同社の株式上場について、西室社長は「ライブドアからの回答をみて、上場廃止の基準に抵触するかどうかを決める」と語った。』

大体これって現在そういうことを地検特捜部が調べているわけでしょう?その捜査があって東証も「不備があったなら」みたいなことを言っているわけで、じゃあ特捜が入らなかったら永遠にそのままだったの?って疑問を抱いちゃうと思うのだけれど。
捜査の結果何も無ければそのまま、そして何かあって初めて東証も上場廃止基準云々って偉そうなことが言えるんだと思うんですが、私のこの考え方は間違っているのだろうか。
仮に悪意で考えた場合、ライブドア社の回答が「問題ございません」的であったら、それならOKです、って言うんですか?
捜査の結果が出ないうちに東証が「上場廃止基準に抵触するので、ライブドア社の株式を監理ポストへ移行します」なんて言えるのかなぁ。
それに東証のHPを今日見てみたけれど、そして報道も結構読んだけれど、一体どの「基準」に抵触するのかどこにも書いていないんだよね。
むやみやたらに「上場廃止」なんてのを匂わせることってのは、これこそ強権発動の強制的風説の流布じゃないの?
東証がこんなこと言っちゃって、ますます明日以降注文件数が膨らんじゃって、それでもって明日からの取引時間短縮って非常に稚拙な措置が長引いちゃったら、本当に諸外国からの信頼を損なうよ。
ああ恐ろしや恐ろしや・・・

そして2点目は、経団連会長の奥田氏の、どこかの講演会での発言だそうだが、
『あれはミスった』
みたいなことをおっしゃったらしい。これは「ライブドア社を経団連に入れたのはミスったよ」って意味なのだが、一字一句正確だとすればこれも空恐ろしい。
経団連って奥田さんのモノなんですか?って感じがするんですけど。

こうやって経済界の重鎮の方々が躍起になってライブドアの包囲網を狭めて行ってる姿を見、そしてそれを徹底的に煽って援護射撃をしているマスコミを見、そしてにわか評論家の方々が勝手な無責任なご意見を垂れ流しているのを見るに付け、一体何なんだよ?って思うのは私だけでは無いと思う。

その毎日お話をしている投資家の方とも話したけれど、良いですか、今の日本ってのはほんとハードの部分はもうほとんど中国だに行っちゃって居るわけですよ。
どんなに偉そうなことを言っても、どんなに素晴らしい会社でも、モノを作る工場は結局みんな中国に移転させているわけでしょう?だって日本国内で作ったってコストが見合わないんだから。
つまり今後日本がアジアの、そして世界を引っ張る一翼を担うとしたら、これは我が国はソフト面、コンテンツ面で飛躍するしかないって事でしょう。
つまり我々は今までに無かったようなビジネスモデルなりを果敢に作り上げていかないとならないわけで、私はそういう面では堀江氏はそこに一つの風穴を開けた功績があると思っているのだね。
法のすれすれだの脱法だの、ってフジの時は言われたけど、じゃあそれを今まで放っておいたのは一体誰ですか?って事でしょう。

私は私のフィールドから忠告するが、この問題は決してマスコミのいう事を流し読みしてはいけません。
ちなみに相場全体は大崩はしないと考えているのは私のみならず外人投資家もしかりだからね。911とかの時とは全然次元が違うので念のため。

ちなみに一つ面白いスタティスティックスをご紹介しておこう。

それは、1990年以降TOPIXが2日連続2%以上下げた日以降のリターンである。
ちなみに今回は、昨日は-2.3%、本日は-3.5%と2日連続2%以上下がったわけだが。
1990年以降そういうケースは23回あった。そしてそれが起こってから5日後の事後リターン平均は+2.87%、そして20日後になると+4.83%と、なっているのだね。その事後翌日の平均でも+0.82%。
そして3日連続2%以上安かったケースってのは実は90年以降たったの1回しかないのだね。

現段階スイス時間23時、東京時間朝の6時だけれど、シカゴの日経平均先物は15350円と、大証での引けの15330円を上回ってきている。ナスダックが安いのは昨晩のNY引け後のインテルとヤフーの決算がコンセンサスより悪かったのが原因であろうし、さて90年以降2回目の3日連続になるのか否か、そういう視点でマーケットを見てみるのも一興である。

今日は焦点がややぼけてしまったが、これまで。また明日頑張る。