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地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

敵対的買収に関して~村上龍氏のメルマガ参考

2005-06-29 06:12:17 | 買収防衛
村上龍氏主宰のJMMと言うメルマガをお読みになっている方はたくさん居ると思うが、私もその一人である。
私とD社同期入社、今でこそ日本株ストラテジーの世界ではすっかり有名になってしまったKと言うのも必ず龍氏の質問に答えるメンバーに入っているって事も手伝って、私も読むようになった。
これって週1回だか月1回だかの割合でちゃんとメンバーが集まってしっかりミーティングみたいのを開くそうですね。

今回のお題は「日本では敵対的買収は盛んになるのでしょうか?」であった。
各社各分野からのえり抜きのエキスパートたちのご意見は概ね同じであり、かつ私自身もそれに深く賛同した。
さすがに勝手にここで抜き出すわけにも行かないので、もしこの号を欲しい方がいらしたらご一報を。転送いたしますので。

とは言いつつも、まあKの意見を少々ここに散りばめさせていただいても大丈夫であろうと勝手に判断して話を進める。

Kも言っているが、まずこの「敵対的」とは一体誰に対して敵対的か、と言う大前提がある。
これは現在の解釈では、現経営陣に対して敵対的な行為である、と言うのが一般的である。
では、現経営陣にとって敵対的な買収計画と言うのは、その会社に働く従業員や株主にとっても果たして敵対的なのであろうか、とKは投げ掛ける。
この間のニレコのポイズンピル問題での裁判所の判決理由を思い出していただくと、あのポイズンピルは結局現経営陣の保身を完全に排除された形になっていない、と言うのがその大半を占めるモノであった。

いくら買収検討委員会みたいのから社長を排除しても、その委員会の検討結果に対する拒否権が社長を筆頭とする現経営陣にある限り、それは完全に排除された事にはならない、と言うものだったはずだ。
仮に、このニレコと言う会社(私個人的には悪くないと思う)が、実はひどいワンマン経営の会社で、それによって従業員の士気が非常に低かったとしたら、果たしてどこかがこのニレコに対して敵対的買収を仕掛けた場合、それはそれら従業員に対しても敵対的になるかと言えば、決してそうはならないはずだ。
またそのワンマンぶりによる士気の低下が株価の低迷につながっていると仮定すれば、この株主に対してもこの買収は必ずしも敵対的にはならない。
つまり、敵対的買収「超」罪悪論みたいのがライブドア問題で提起されたようにマスコミは過熱したが、きちんと冷静に考えてみれば、敵対的買収行為そのものは実は現経営陣がそう感じるだけのモノなのかもしれない。

グリーンメイラー的やり方はなかなか浸透しないと思われるが、しかしながら「通常の買収行為」そのものは決してなくならないと私は思う。
ここであえて「買収行為」としたのは、Kの調査によると、M&Aの90%は友好的買収行為であって、敵対的買収行為自体は全体の10%程度であるそうなので、そうした。

と言う事は、今回のライブドア事件によって敵対的買収を仕掛けられる事を恐れてポイズンピルを慌てて導入した企業たちを考えてみると、果たしてそれは本当に日本企業お得意の、従業員あっての会社、そのもっとも大事な従業員を守る!と言う意気込みで策定されたのかどうか、少々首をかしげる例もあるのかもしれない。
つまり世の中で起こっている大部分の買収行為自体は実は友好的買収であると言う事実にも関わらず、あえて敵対的買収を恐れるあまり慌てて策定したと言う事は、実はそれは誰よりも現経営陣がそれを恐れているから、と言う事が言えよう、と。

何度も私はここで繰り返してきたが、様々なアプローチにて割安感のある会社は狙われるが、その割安感が例えばPBRの1倍割れであるとすれば、それはそのような状態を改善しようとしない、或いは出来ない、現経営陣の重大な責任であって、それをポイズンピルにすり替えてはいけないのである。
或いは内部留保すなわちキャッシュばかりジャブジャブと溜め込んでそれをその会社のさらなる発展のために有効に使えないのはやはり現経営陣の怠慢である、と私は言い切る。
大証がその内部留保に対して村上氏から指摘を受け、大証は最初はいざと言うときの危機的状態の連鎖を断ち切るためにはそれ位のキャッシュ必要である、とコメントしていたが、それはそれで公開企業である以上はきちんと市場にアピールしておくのが本来の姿だろうと思う。
突付かれてから「実はそのキャッシュは・・」と言うのは正直説得力に欠ける。

このJMMでは大部分の方が買収行為自体は今後の資本市場にとっては必要である、と答えているが私も全く同感である。

日経の社長100人アンケートによると、日本の企業経営者で株式持合が悪いとする意見は5%強にすぎず、7割以上が持合を容認しているそうだ。
これなんかKもソフトな言い方で苦言を呈しているが、正に現経営陣の保身そのものではないか。
つい最近までこの「持ち合い罪悪論」に日本市場全体が支配され、その解消がガンガン進み、ようやくその日本的「なあなあ」主義みたいなものから脱却できたと思っている矢先にこれである。
とりあえず買収防衛を考慮に入れつつ、実は各業界にてこの持合が着実にまた進んでいる、何て事になったらなんだか結局日本っていう国はいつまでも変われないのね、と思われるよね。
外人の持ち株比率はいまや過去最高になっているって事は、そういった日本的悪習が自浄努力によって徐々に減ってきたのと反比例していると思うのだけれど、ここで再び「持ち合い」ですか、と。
そういう持ち合いに使うお金はもっと別のところに使うべきでしょう、って私が株主なら思うけどなぁ。

自社の株が安すぎて許せんので、IRを強化して日本中世界中の投資家を対象に行脚して歩くぞ、とか、どうすれば従業員の意識を高めてそれを市場が評価してくれるようになるのか考えよう、的な会社があるとすれば、それは「買い」だと思うね。
自社株の安さを買収の脅威に置き換えてその対応策に熱中しているような企業は正直、誰も買収しようとはしないし、投資家も株を買わないって。

ニレコ新株予約権発行差し止めに関して

2005-06-03 04:39:45 | 買収防衛
昨日このBLOGがメンテナンスだったのでせっかくの記事をアップできませんですみません。
とりあえずはさるさるに書いておいたのだが。
例の過去記事の「過度の買収防衛策について」って言うので触れたが、ニレコの新株予約権が東京地裁によって発行差し止めとなった。
それに対してニレコ側は本日異議申し立てを行った。

今回の地裁での争点となったのが、日経によると以下の部分らしい。
(1)独立性の高い社外者が防衛策発動の是非を判断する仕組みが充分か否か?
ニレコは確かに買収者が現れた場合、特別委員会を開いてそこの勧告を最大限尊重する、としており、さらに特別委員会から社長をはずしている。
しかしながら地裁は「取締役会が勧告に従わない余地が残る」とした。
確かにいくら特別委員会が色々とご注進を行っても、取締役会が最終的に是非を判断するのであれば、いくら「最大限尊重する」と言ったところでその線引きがきちんと無い以上、余地は残るだろう。

(2)どんな場合に防衛策を発動するかの条件。
ニレコ側はこれには、買収者が高値での株買取を要求した場合、会社資産を処分して一時的な利益を得た場合に加えて(以上はニッポン放送問題時に既に高裁が示した一つの判断基準である)、従業員や顧客、取引先などの利害関係者の利益にならない場合も防衛策発動の条件とした。
それに対し地裁は「取締役会の恣意的な判断を防止する判断基準としては広すぎ、明確性を欠く」とした。

さて、これらの判断に対して記事は、
『M&Aに詳しい石綿学弁護士は、「経産省の指針に比べて地裁は防衛策を取れる範囲を極めて限定している」と指摘、別の弁護士も「許されるのが有事と同じ条件ならば、事前型買収防衛策を導入する意味が無くなる」としている。』
としている。

はっきり証券マン的見地から言おう。
過度の事前買収防衛策、それも特にこの新株予約権に関しては必要ない。もともと事前にそんな防衛策を導入する意味なんて正直無いと思うよ、別の弁護士さん。
これはコメント欄にて、YOU.53様もおっしゃっているが、私もいざと言う時にきちんと臨時株主総会なりを開いてその是非を決めるのが筋だと思う。
せめて、それが難しいのならば、イーアクセスタイプの、予約権を発行してそれを信託しておいて、いざって時にそれをその時点での株主に割り当てるのが極めて公平であろう。

この地裁の争点には株主間の不公平さが議論されていないように記事からは感じるが、本当に大事なのはその部分だと思うのだが。
何度も言うけれど、ニレコのケースは明らかに同じ株主であっても、3月末までになった人とそれ以降の人では歴然とした不公平が存在する訳だ。
もっと違う切り口で言えば、この防衛策導入のニュースによって、3月に株価が乱高下した訳で、これ自体が既に株価波乱要因となっているわけで、その段階で既に常態ではなくなっている。
ましてやいつ買収者が現れて防衛策を発動するか分からない未来を考えた場合、4月以降の株主にその新株予約権が割り当てられないのなら、間違いなく4月以降株を買うのはリスクを伴う。
さるさるでも書いたが、今後例えニレコが画期的な発明をしようが世界的特許によって時価総額が10倍になる見込みが出ようが、4月以降はそれらとは全く異なる次元でのリスクが存在する限り、まともな長期投資家は株を買えない。
つまりニレコはこの防衛策によって自ら自社の株価に対して足かせをはめてしまっているのだ。

優秀なる特別委員会の面々の皆様、及びニレコマネージメントの皆様、異議申し立てなんてしている場合では無いと思いますよ。
少なくとも証券マン的見地から見た場合、このニレコ株をお客様には勧められません事をここに書かせて頂きます。
もちろんこれは「売り煽り」をしているのではありません、今後を考えるとお客様には御社の株式の長期保有をお薦めすることが出来ない、と申しているのです、どうぞ誤解なきようお願いします。
例えどんな優秀な技術があろうと、どんな増益見通しがあろうと、どんなポテンシャルがあろうと、この買収防衛策にこだわられている限り、長期投資は極めてプリミティブな理由にてお薦めできないのです。
ご再考をお願い致します。

予定通り、TBSの不思議な防衛策について

2005-05-20 08:09:55 | 買収防衛
が~ん、途中まで書いたところでPCがスタックしたぁ。。でもめげずにもう一度(偉いっ)。

さて最初にさるさるで書いたように、私の元ボス、N証券出身のAさんとの議論での話から。
まずはニレコの防衛策に関しては、私が記事で結論付けたようにニレコがあの策を変更しない限り長期投資には向かない、と言うのにはAさんも賛成だった。同時にイーアクセスのようなスタイルであれば一般投資家にも問題は無いよね、と。これで多少はほっとした(笑)。
そして例のMSCBに関してであるが、実はこれは「有利発行にはならない」と言う結論が出ているそうだ。毎日転換価格が修正されるものですら、多少の色は付いているものの、やはりOKである、と。
金融機関が何か新しいことをやろうとするときは必ず金融庁にお伺いを立てる訳だが、このMSCBに関する金融庁の回答はいわゆる「NO ACTION LETTER」、すなわちその案件に関しては金融庁はアクションを起こしません=問題なし、となっているそうで、私は正式な見解が出ている事を知らなかった(汗)。
これによりライブドア問題の時に展開してきた私の意見も決して間違っては居なかったと言う事になって改めてまたほっとした。
まあ、そうでなければどの道どっかで突っかかっていたはずだし、またMSCBに関しては業界では何度も書いてきたように別に不思議でも何でも無いことだったので自信はあったが。
問題は、果たしてどの程度のマスコミ関係者が本当にその商品の仕組みなりを理解していたか、と言う事だと思うし、まあそれはさんざん書いてきたことなので、これ以上は書かないが。

~~~
さて、日テレも防衛策を発表したようだが、本日のお題は昨日示唆していたTBSの「不思議な」防衛策。
TBSのプレスレリースは24ページにわたるもので、正直熟読はしていない。ただ商品自体は理解していると思うので念のため。
以下記事の抜粋であるが、

『NPIは新株予約権の取得で6億円をTBSに支払う。新株予約権行使の場合、(TBSの調達)総額は最大800億円。行使期間は6月6日から2006年6月30日までの約2年間。
行使価格については、TBSはNPIとの契約で3つのケースに分けた。
敵対的買収者が現れた場合は、その時点から直前の6カ月間の平均株価に10%割引した価格とする。
また、買収者が現れない平時のケースでは、通常は行使価格を4000円と時価よりも高めに設定。
3番目のケースとして、行使期間中に買収者が現れない場合、行使期限の1カ月前にNPIが自らの判断で権利行使し、TBSの株式を時価で取得できる。』

と言うモノだが、特にマスコミの皆様、宜しいですか(笑)。

まず新株予約権1個につき1万株が付いてくる。そして予約権の総数が2000個なので、生まれる新株の総数は2千万株になる。
予約権1個の値段は30万円(つまり1株あたり30円)で、その総数が2000個、ゆえに日興プリンシパル(以下NPI)は総額6億円を払ってこの予約権全部を買う。
「新株予約権行使の場合、総額は最大800億円」の意味は、通常この予約権のストライクプライス(行使価格)は1株あたり4000円なので、4000*2千万株=800億円、と言う事だ。
(しかしながらこのレリースをよ~く読んでみると、上限修正価格が4500円に設定されているので、恐らく最大は800億でなくて900億であると思う。さらにレリースには<最大800億円規模>となっているのでここは間違いだろう。)

後は読んでいただければお分かりになると思うが、3種類の行使価格決定要因がある、と言う事だ。
つまり、
1.敵対的買収者が現れると、行使価格は4000円ではなくて、一気に時価の90%になり、ゆえにNPIはそれにより常時時価の10%ディスカウントで2千万株までTBS株を買える。

2.平時のケースでは、行使価格は4000円。現在のTBSの時価は1800円どころだから、通常このあたりの株価が続く限り、NPIはこれを行使する事はあり得ない。
平たく言うと、これを行使して2000万株ゲットするには、4000*2千万株=800億円掛かるわけだが、時価が1800円であれば2千万株を買うには360億円あれば充分なわけだから、ゆえにそんな馬鹿げた方法をわざわざ使う事はないですね、と言う事だ。

3.結局敵対的買収者が現れず、この予約権が終わりを迎えようとしているとき、その終了1ヶ月前からNPIはこの権利を行使できる。
この記事の抜粋では書いていないが、その際の行使価格は、平成19年6月1日以降。毎週金曜日にそれまでのTBS株価の終値の平均値に修正される。これはライブドアのMSCBと同じスタイルの、まあMS予約権とでも言おうか。
この際の上限修正価格が4500円になっているので、仮に平均値が5000円とか1万円になっているならば、NPIは大もうけを出来る事になる。しかし、基本時価近辺で結局2千万株買える、と言う事だ。

さて、ここまで書いてお気づきになっただろうか?
そう、『敵対的買収者が現れようが現れまいが、いずれにせよNPIはTBS株の約20%を最終的に買える』のだ。
これはなにを意味するのか、実はここが私のもっとも不思議に思ったゆえんなのだが。
つまり、TBSはNPIに資本参加を求めた、と言う事が出来る。それはそれで良いけれど、じゃあ例えばNPIはあのMr.アートの北尾氏率いるSBIと何が違うのか、と言う事。
NPI、まさに何でも投資出来る会社である。ベンチャーキャピタルとも言えるし、要はプリンシパル・インベストメント、って意味は「何でも屋」って事である。
フジテレビの件ではここが動いたってあったけれど、また「日興」の名が付いているから変な噂も無いだろうし、でも私には分からない。だって悪意な見方をすれば、そうやってゲットしたTBS株をいつまで持ってるんだろう?って疑問プラス、そうやってゲットした株が儲かるならば例えばその後第三者に転売だって出来ちゃう、その相手が例えばライブドアであってもね。
明日のことすら碌に読めないこの時代、2年後に何が起きるかなんて誰にも分からないじゃないのかなぁ。

ちなみにレリースでは「第三者割り当てによる新株予約権発行の目的」として、
『NPIとの包括的な財務アドバイザリー契約を締結することと致しました。
NPIとの間で「プロジェクト提携委員会」を設置し、当グループ内外で進行する放送事業やコンテンツ開発、流通当に関連したプロジェクトに共同して取り組む検討を始めました。以下省略』

ライブドアが駄目で、ソフトバンクが駄目で、でもSBIならちょっとは良くて、そしてNPIなら全然OKさ、ってその論理、私の目から見れば基本自分の会社の20%を切り売りしちゃうに当って何が違うのだろう。
ライブドアにはさんざんビジョンが無いだのネットとテレビの融合なんてどうのこうの、って言ってたマスコミの最先端のTBSだけど、じゃあ本当にNPIにそんなノウハウや人材が揃っているのかなぁ。。
これらに関しては言いたい事はまだまだあるけれど、とりあえずそれは置いておいて。

最後に、一般株主への影響である。
3種類の行使どれを取っても影響はある。約20%のダイリューションが単純に発生するので、その時点での一般株主はその影響を受ける。
実際はその他株式分割プラン等を用意しているようなので、その辺の絡みはもう一度この24ページを熟読して再度確認するが、単純にこの予約権行使だけを考えれば、結論はきわめてシンプルである。
NPIはこの予約権購入に6億円を払うわけだから、買収者が現れない最後の段階では私はこれを行使してくると思うので、2年後の今月今夜頃の株主の方は若干のケアを要すると思う。

とりあえずこんな感じで一旦終わります。



出てくる出てくる買収防衛策

2005-05-19 06:22:34 | 買収防衛
株主総会シーズンが迫ってきているのも手伝って、各企業の買収防衛策の策定が次々になされている。
数日前の日経が軽く「企業が表明した主な買収防衛策」として、簡単な表にまとめていた。

<新株予約権>
松下電器、イーアクセス、ニレコ
<授権枠の拡大>
NEC、東京エレク、横河電機、JAL、藤倉化成、電気興業
<役員枠の縮小>
NEC、JAL、キッツ、電気興業
<議決権行使の基準日変更>
パイロット、電気興業
<株式持合い>
新日鉄、住金と神戸鋼

ってな感じだ。
例えば役員枠の縮小ってのは、サラリーマンにとっては最終ゴールがますます狭き門になる訳で、一概に良し良しとは言えないが、でも近頃変に膨れ上がってる経営陣をすっきりする形にするってのは市場からは評価されると思う。
また取締役の改選時期をずらす、ってのもこれは各企業がニッポン放送問題から学んだ重要で簡単な、しかし非常に有意義な方策だろうと思う。
上記企業の他にも、東芝、テレビ東京、TBSなんかも新たな策を発表している。

テレビ東京のケースはこんな感じだ。
『テレビ東京は17日、敵対的買収に対する4種類の防衛策を導入するため、6月24日の株主総会に定款変更を提案すると発表した。買収者の持ち株比率の引き下げを狙って発行株式総数を引き上げるほか、株価を上げる効果がある自己株取得ができるようにする。
 また、買収者が多数の取締役を送り込む場合に備えて、取締役の定数(25人)を現在の実数15人に近い20人に引き下げ、取締役の任期が一度に集中しないよう任期の規定を変更する。
 同社の株式は筆頭株主の日本経済新聞社など安定株主が50%程度を保有しているとみられるが、「万が一の敵対的買収に備えたい」と説明している。』
これなんかはまあ詳細は見ていないのであまり突っ込んだ事は言えないけれど、まともで軽い感じで良い。

ちなみに松下電器のも見てみたが、これも極めてまともではあるのだが、でも実際考えてみれば松下電器の時価総額ってのは約3兆9千億円にのぼるわけで、その半分を買収するにも2兆円が掛かる。
そう考えると東芝だとか松下だとかNECだとかって言う老舗大企業かつ時価総額が巨大な会社の防衛策には何だかそこはかとない余裕のようなモノが感じられて、ゆえにどうも現実的な気がしない。

さて、私のフィールドからあーだこーだウンチクを垂れられることがあるとすれば、それは防衛策に今後も各社導入を検討するであろう、新株予約権のところである。
その切り口から、イーアクセスの新株予約権を見てみる。
ご存知この会社はまだ新しく、ADSL絡みで急成長を遂げている(今回の決算は悲惨であったが)。
設立後わずか5年で東証一部上場を果たした会社であるね。
松下の時価総額の約4兆円に対してイーアクセスの場合のそれは約850億円。しかしながらPBR(例のここでは何回か出しているが、株価純資産倍率ね)は約3倍ある。
つまりこの会社の現在の株価は、その解散価値の約3倍まで買われていることになり、そういう意味では買収する側にとっては割安感があるとは言えない。
但し、時価総額的には割とお手頃なお値段なので(笑)、この業種に食い込むには「買っちまえ」って所も現れないとも限らない訳だ。
東証へのイーアクセスの今回の「企業価値向上新株予約権の導入について」と言う14ページにわたる投げ込み記事を読むと、実際その辺の危機感が多少滲み出ている。

このイーアクセスの新株予約権のざっくりとした条件を見てみると・・
「第1回企業価値向上新株予約権(eAccess Rights #1)」!。
『新株予約権は180万個を発行。発行価格は1円で発行総額は180万円。予約権1個につき1.5株の株式と引き換えられる。この比率は1.5株から最大で2株の範囲で取締役会が変更できる。このため、仮に予約権が行使された場合、270万-360万株の新株が発行される計算になる。現在の発行済み株式は約136万株。
新株予約権は1株につき1個が与えられる。イー・アクセスは6月10日付でこの予約権をミナト・ライツマネジメントという中間法人に割り当て、ミナトは予約権すべてを三菱信託銀行に信託譲渡する。信託期間2015年6月22日まで。予約権の権利行使は6月23日から信託期間内は可能。
買収者が現れた場合、同社の社外取締役から構成される委員会が新株予約権を発動するか消去すべきかを決定する。予約権の行使価格は、要件が満たされた日の直前の金曜日までの5営業日終値の平均値の5分の1とする。』

となっている。要はあらかじめこの新株予約権ってのを発行してそれを信託しておき、いざ買収者が現れたとき、その行使を決めた段階の株主にそれを割り当てましょう、って事である。
それにしても、企業価値向上ってコトバ、今年の流行語大賞になるんじゃないの(笑)?と言うか、新株予約権に「企業価値向上」って修飾語を付けるってのは非常に重箱の隅をつつくようだが、個人的には良しとしない。これじゃあ買収者が現れて予約権を行使すること=企業価値向上、って言ってるみたいだし。
まあいい。

私がここで言いたいのは、数日前のニレコが決議した新株予約権との違いである。
ニレコの場合は今年の3月末の株主に予約権を割り当てる、って事になっていたため、その後長期投資家にとっては投資しにくくなろう、旨を書いた。
今回のこのイーアクセスの場合はその弊害を排除したと言っていい。
本来ならば東芝や松下のように、いざ買収者が現れてから、それが企業価値向上に結びつかないと判断した場合に一挙に新株予約権をも発行するぞ、ってので充分なはずなのだ。
ところが例えばイーアクセスの場合は上述したように時価総額が850億、ウカウカしていればあっと言う間に半数以上を牛耳られてしまう、と言う危機感があったのだろう、と読める。ゆえに前もって発行だけはしておいて、信託財産として預けておく、と言うスタイルをとったのだろう。
百歩譲ってニレコもこのスタイルでよかったのではないか。
恐らくニレコはジャスダックから何か変更を求められる気がするが、それはそれできちんと追いかけねばなるまいね。

TBSの不思議なスタイルの予約権発行に関する考察は、あしたにでもね。





過度の買収防衛策についての考察

2005-05-14 01:37:15 | 買収防衛
ジャスダック銘柄にニレコという会社がある。
制御・計測機器の製造および販売、設備を行う会社であるが、ここが出した買収防衛策に関して観察してみたい。
ざっくりとした流れは、ニレコが3月14日に「セキュリティープラン」と呼ぶ買収防衛策を発表、1株に付き2株の新株を割り当てる、いわゆる新株予約権の無償発行を決めた。
しかしながらジャスダックは4月21日、東証同様各上場会社に対して過度の防衛策は如何なものか、との通達を出し、それは間接的にこのニレコの新株予約権をさして居た。
そして5月9日付けでこのニレコの大株主であるSFPファンドという所が、東京地方裁判所に新株予約権の発行差し止め仮処分の申し立てを行った。
とまあこんな感じである。

全くもってどこかで見たような光景であるが(笑)、唯一前回と違うのは「まだ買収者が現れていない」って事だろうか。

手元にあるニレコが出した恒例の投げ込み記事をつぶさに検証してみる。
ちなみにこれらの資料は全てニレコのHPから誰でも入手出来るので、ご興味のある方は上のリンクからどうぞ。
まずは3月14日の「企業価値向上に向けた取り組みについて」である。
細かいところはもちろん除き、この新株予約権の箇所に焦点を当てる。

『平成17年3月31日最終の株主名簿または実質株主名簿に記載または記録された株主に対してのみ、その所有株式1株に対して2個(つまり2株)の新株予約権を割り当てる。』

これは、今年の3月末までに名義書換をした株主には、将来買収者が現れた時に、1株に対して2株の株を割り当てますよ、と言う事である。
ちなみにこの新株予約権の行使に際して払い込むべき額は1円である。
どう言う事かと言うと、仮に私がニレコ株を1000株持っていていざ買収者が現れてこの行使がなされる時、2000円を払えばあと2000株買える、と言う事である。
仮にその時点でのニレコ株が100万円であろうが何であろうが、あと2000円払えば私は一気に1000株から3000株の株主になれるのである。
流行のコトバで言えば、ダイリューション(希薄化)は、現在出回っている株数を100とすれば、それが一気に総数で300になる訳であるから3倍になるのだ!
もちろんゆえに理論的に株価は1/3になるけど。
ちなみに覚えている方もいらっしゃるだろうが、ニッポン放送が発行しようとしていた新株予約権はダイリューションが1.4倍規模だった。
(通常この希薄化は例のCB~転換社債によって発生するが、通常の率は大体20-30%程度である事はライブドア問題の時にさんざん述べた通りである)

ちなみにこのプランでは同社株が20%まで買い進まれるとその行使がなされる仕組みになっているので、
こうなると市場で密かに株を集めていた買収者は、総株数の1/5をようやく買ったと思ったらこの予約権が行使されることにより、実はそれは総株数の1/15にしか達していないと言う事を知る羽目になる、と言う事だ。
1株1円のコストの株がジャブジャブ出てきたら、それを市場価格で買い増そうなんて、考えるのも億劫になりそうな事が発生する訳だ。

『ニレコは同プラン導入の理由を「PBR(株価純資産倍率)が1倍を割り込んだ状態が続いており、今後法改正で買収されやすい状況が予想されるため、今のうちから導入しておく必要があると判断した」(山田秀丸社長)と説明。「将来の敵対的買収への脅威を排除することが目的であり、決して経営権維持が目的ではない」(同)と強調した。
 また、導入にあたり、小幡績慶応義塾大学助教授、弁護士の中川秀宣氏を「特別委員会」に招へい、同社の山田社長と3人で、新株予約権発行やその消却に関する意思決定を行うことで、外部による判断を取り入れることとした。』

これに対して東証は、
『「市場運営者としての立場から、ニレコの導入した策は、基本的には認めない」(土本部長)としている。』
(注~ニレコは東証で無くジャスダック上場であるからこの東証の部長さんの発言は直接ニレコのこの方策には影響しない。)

では何故認めないのか?
3月17日のニレコ発の投げ込み記事にこうある。
『平成17年3月28日以降(つまり名義書換に間に合わないと言う事)にお買い付けの当社株式につきましては、本新株予約権は割り当てられないこととなります。従いまして、平成17年4月1日以降に手続き開始要件(つまり買収者が現れ20%以上の買占めが発覚する事)が満たされ行使可能となった場合、3月28日以降お買い付けの当社株式は本新株予約権の行使による希釈化の影響を受けることとなりますので、ご留意いただきますようお願い申し上げます。」

つまり今年の4月1日以降に株を買ってもこの新株予約権はもらえない。それでもこの会社の株に魅力を感じて投資する人が4月1日以降長期保有目的でこの株を買って持っていたら突然の買収者の出現によりそれまでの株の価値が自動的に1/3に下がってしまうと言う事が起きる可能性があるのである。
一部の善良なる投資家が著しい不利益を被る可能性があるわけだ。

ここでこの会社の株価チャートをご覧いただきたい。ニレコはHPに自社の株価チャートを載せているので、これはなかなかユーザーフレンドリーであるな。
それはここである
この予約権のニュースの発表と同時に株価は暴騰し、通常800円台だった株が最高値1200円まで買われ、そして予約権をもらえる権利が消滅する頃からまた下降線、結局もとの木阿弥になっている。(こういう形のチャートを我々は「行って来い」と呼んでいる)
元々出来高の薄い銘柄であるからちょっとした買い物ですぐ上ってしまった感があるね。

非常に長くなったが、ではこれをどう見るのか。
私は大株主ファンドによる発行差し止め仮処分申請、及び東証の意見は正しいと思う。
要はこのような方策によってある意味既に株価は歪められてしまったのである。また、来年の最終株主決定時の3月末まで、この会社に投資したい人は常に余計な心配をしながら株を買わなければならず、これは決してあるべき姿であるとは言えない。
今後この会社がどんな新発明をしようが、どんなに業績が明るくなろうが、投資家は簡単に飛びつくわけには行かなくなる。それが先ほどのチャートにてお分かりいただけるように、昨今の株価が低迷している理由であると考えられる。

この会社のPBR(株価純資産倍率)は連結ベースでたったの0.6倍である。つまりこのニレコと言う会社の解散価値より株価はさらに低いと言う事である。
この会社の株を全部買って、そしてその会社の持っている資産だなんだを全部売り払えば儲かる、って事なのである。
つまりまずニレコに求められるのは、このような対症療法的な防衛策ではなくて、もっと会社の価値向上、株価向上への根本治療なのだ。
何度も申し上げている通り、まず求められるべきはその会社を株式市場と言う切り口から見ても、魅力ある会社にすることなのだな。そのための努力を怠っていた結果がこのPBR0.6倍であると言われても、経営陣としては返す言葉が本当は無いはずだ。
熟慮の上に、慶應の助教授や弁護士さんも協力を決めたのだろうが(お2人ともすごい経歴である、HP参照)、どうかどこぞの弁護士さんのように敵前逃亡されずに今後ともがんばって下さい。

買収防衛策

2005-05-05 01:16:59 | 買収防衛
さるさるにも書いたが、JR西のボウリング大会はもう言語道断である。
ここにはこれ以上は書かないが、今回の件はマスコミはきちんと調べたね。これはさすがだといわざるを得ない。

さて、ちょっと古い記事になるが、4月30日付けの朝日新聞の以下の記事である。

『敵対的買収、「脅威」7割、32社防衛策検討 本社調査

日本を代表する大手企業50社を対象に、朝日新聞社が今月中旬に敵対的買収に関してアンケートしたところ、回答42社のうち71%が「脅威を感じる」と答えた。
既存株主を大切にするための増配など何らかの防衛策を検討しているとした企業は76%に上った。また5社が買収者を撃退するためのポイズンピル(毒薬条項)の導入を検討中とした。株式の時価総額が大きい日本の大手企業でも、企業の合併・買収(M&A)の本格化に向け、危機意識が高まっていることが裏付けられた。
 ニッポン放送をめぐるライブドアとフジテレビジョンの買収合戦がピークを迎えた時期に、東京証券取引所1部上場企業のうち株式時価総額の上位50社(3月末現在)を調査対象とした。
 敵対的買収に「脅威を感じている」と答えたのは30社。19社(複数回答)が「外国企業・資本」による買収が脅威とした。外国株式を使った合併手法が解禁(07年度予定)されれば、外国企業に比べて時価総額が相対的に低い日本企業はM&Aの対象になりやすいからだ。時価総額が国内1位のトヨタ自動車ですら「買収される可能性はあると感じている」と答えている。
 防衛策を検討するとしたのは、シャープ、松下電器産業、三井住友海上火災保険、UFJホールディングス、イオン、イトーヨーカ堂など32社。具体策(複数回答)では、「増配」と「自社株の取得」がそれぞれ7社で、親密先やグループ各社との株式の持ち合い強化など「安定株主・友好的株主を増やす」(4社)などもあった。以前からの制度を防衛策として強化する内容だ。
 新たな防衛策(複数回答)は、5社がポイズンピル導入を検討中としたほか、「(ポイズンピルを含む)あらゆる選択肢を検討」などとした企業も11社。今年から来年の株主総会にかけて導入が広がりそうだ。
 そのほか、買収者が現れた時に機動的に増資できる「授権資本枠の拡大」(3社)「空席の取締役ポストを買収者に占められないための「取締役数の上限引き下げ」(2社)もあった。
 防衛策導入の狙いでは「地道な経営努力を積み重ねている健全企業をマネーゲームの対象とするべきではない」(信越化学工業)の声もあった。
日産自動車など8社は、時価総額が比較的大きいことや安定株主の存在などから「敵対的買収の脅威を感じない」と答え、6社が防衛策導入の予定はないとしている。』

このアンケートは時価総額上位50社となっているために、時価総額1兆円超えの企業がほとんどであろうから、今回のような単純な方法での買収はまず不可能だと思われる企業がほとんどなので、もっぱら彼らの仮想敵国は「外資」になろうことは容易に想像が付く。
実際信越化学の金川氏は、ライブドアによる問題が盛んだった時の日経の「企業買収を問う」と言うコラムにおいて、「当社の時価総額は1兆8千億円。欧米には10倍以上の企業もあり、株式交換なら買収は割合に簡単だ」と述べられている。
ただ、どちらかと言えばこれらアンケート対象企業群は「買収される側」と言うより「する側」なのであるから、どうして朝日がこれらの企業を対象にこんなアンケートを行ったのか、正直良く分からない。
どうせやるのなら、PBRが1倍以下の上場企業を対象にやれば、もっとこの防衛策に対する率直なコンセンサスが取れると思うのだが。

恐らくそれらPBR1倍以下企業群はやっきになって防衛策を検討していると思われる。こういう状態においてもそれを検討していないとすればそちらの方が遥かに問題だろう。
ただ、何度か書いたと思うが、防衛策よりもまずはさんざん言われている「企業価値の向上」が第1義である事は言う間でも無い。ここを本末転倒しているような企業も問題だろうと思う。
「女房が言うほど亭主はもてず」じゃないが、本末転倒企業なぞは所詮買収者も食指が動かない事をきちんと認識すべきだ。

私がこの記事を読んで唯一嫌悪感を持ったのは、やはり信越化学の言葉である。これは恐らく社長の言葉だろうと思うが(日経のコラムでも同じ事をおっしゃっていたので)、
「地道な経営努力を積み重ねている健全企業をマネーゲームの対象とするべきではない」
確かにわが国の国力その他を考えれば、資源を持たない日本にとっての製造業と言うのは大変なる価値があると私も思う。
ただ、製造業万歳だけでは今の世の中回らないと、違う世界に居る私は思う。
氏はコラムでは「防ぐための法整備が必要だ。一方経営に問題があって人材や技術を生かせていない企業は、逆に買収で経営者を交代させたほうが良い」とおっしゃっているのだが、だからそういう企業には買収者だって食指が動かないでしょう。
どうも氏は「買収者」=「諸悪の根源」のような頭があるようで、これは個人として持たれているポリシーであれば構わないと思うが、堂々と常に同じような事を世間に発信されるのはどうかと思う。
これら一連のご発言もものすごい自己顕示欲の表れであるなぁ。

さらにコラムでは
「将来の企業価値をどう見るか、裁判官だけでは難しいので、第3者機関として元経営者や学者、弁護士など有識者で構成する委員会を設置し、裁判所に助言するようにしたらどうか」

こんなことしたらもしかしたら将来でっかくなるような突飛な発想等が全て封じ込まれるだろうね。
新株予約権の司法判断に噛み付いた方々が非常に多かったけれど、それが元経営者だの、さらに弁護士!(今じゃ余り信用が置けないのだが・・いや誰とは言いませんが)だのがよってたかって裁判所に助言して、全てがぶっ潰されて終わりになる事は目に見えている。
こうした発想って本当にそろそろ改めたほうが良いと思うのだけれど。
結局仲良しクラブの発想そのままってことだし・・・。