地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

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ライブドア問題の考察

2006-01-18 08:47:43 | ライブドア問題
さて、大勢の方に拙BLOGをご覧頂いたようで、まあ元々のこのBLOGの発端もライブドアだったので、やはりこのニュースが続く限りはこれに対する考察を続けることが私の義務であろうと考えるので、多少トンチンカンなことも書くかも知れないが、ご勘弁いただき、引き続きお付き合い出来る方にはお付き合いいただきたいと思う。

今日は自分のブルーンバーグにキーとなる記事を送っておいて、家でそれを参考にしながら記事をアップする予定だったのだが、何故かブルーンバーグにアクセス出来ない。残念ではあるが、記憶なりネットでの記事を参考にしながら本日の記事をまとめたい。

さて多くのメディア、昨日の段階で私が書いたように非常にお粗末な記事を垂れ流していたことがお分かり頂けただろうか?
昨日のメディアの書き方は、
「マネーライフ社との合併」がその後のバリュークリックの株価の急騰を招いた、と言った論調がほとんどであった訳であるが、本日の報道はその後の株式分割及び決算の黒字化に伴って株価が結局約50倍に跳ね上がったことに触れていた。
しかしメディアの記者諸氏、ちょっと調べるのが遅いよ、それは。そんなもの過去の値動きを普通に調べればすぐに分ることだって。

さて、本日の報道のメインポイントは「株式分割」と「時価総額」だろうか。
ざっと見ても、本当に各社、ライブドアのやることはどんなことでも悪であるぞ、と言う感じで、全く坊主憎けりゃ袈裟まで憎いって感じだ。
ただそれに乗じてこの株式分割やら時価総額経営やらがなんだか「悪」のイメージを持たれるのは、単に証券関係者のみならず、一般上場企業も困るはずである。
また、ライブドア株のストップ安に連動してあたかも市場全体が暴落したような印象を受ける記事も散見されたが、これも厳密には100%正確であるとは言い難いことにも注意しておく必要がある。

そこで本当は東京からもらった資料の出番になるのだが、残念。

おおお、と言いつつ最近導入したウイルスソフトを一時停止したらアクセス出来た!!

一つは、2001年以降に10株以上の株式分割をした会社(東証1,2部だと思う。JASDAQ銘柄リストは別にある)のその後の株価のパフォーマンスリスト。
この表自体を直接貼れない私のPCスキルに泣けるが、当該会社はのべ33社ある。
ここで「のべ」と書いたのは実は2001年以降ライブドア本体は3回分割をしているのだね。(以下”本日=1月16日終値のこと)
また間違いなくこの資料は分割後の株価を分割前の株価とアジャストしているはずなので、例えば1000円の株を1:10に分割すれば1株100円になるけれど、この1000円と100円を比べているのでは無いことは直感的にお分かりいただけるだろうが、念のため。

それはちなみに、
03年8月20日 1:10 そこから本日までの株価は+1159.5%!
04年2月20日 1:100 この日から本日までは 69.7%
04年8月20日 1:10       ”     32.4%
のパフォーマンスとなっていて、これは物凄いパフォーマンスだ。ゆえにこの分割によって一見株価が急騰したようにも見えるが、これは何ら悪いことでは無い。
株式分割自体は流通する株数を増やして多くの投資家に自社の株を買っていただきたい、と言う企業側の願いであって、しかしこのパフォーマンスを見る限りはそれを諸悪の根源である、と言いたいマスコミ諸氏の気持ちも分らないでは無い。
ただ、そのリストの残りの30社のその後のパフォーマンスを見てみると・・・
実はそのうち17社の株価のパフォーマンスは、分割日から今日までを見た限りではなんとマイナス!なのである。

つまりマスコミはあたかもこの株式分割が一種の錬金術の一助を担っているような書き方をしているが、一般的には実はそうとは言い切れないのである。
また追加補足をするなら、あのライブドアマーケティング社だって、実は分割日から本日までの株価を見てみれば、なんとマイナス78.2%のパフォーマンスなのであるよ。
確かに分割発表直後に限ってのリストがあればそれは全然違う結果が出るかも知れない。
しかしながら私はこのマスコミの言葉巧みな、しかもにわか知識を振りかざすような論調にはどうしても我慢が出来ないね。。
あくまでも分割をしようがしまいが、如何に多くの投資家に自社の株を買っていただくか??その結果が株価の高騰である、と考えるのが極めて普通だと思う。

だってね、もっと言えば、ライブドアの株ってのはネット投資家専門の株のようなイメージを持っている人も少なくないと思うけれど、一度四季報とかで大株主をご覧頂ければ分るけれど、錚々たる超世界的有名外資系ファンドなんかだって、堂々と買っているんだよね。彼らが株を買う理由ってのは、単に分割をしたから、或いはするから、とかそんな単純な理由ではないことをはっきり断言しておこう。
もしかしたらライブドア社はきちんとしたIR等を当該外資系に対して行っているかもしれない。そういったきちんとしたファンダメンタルな理由が無ければ彼らはまず大株主になるほどは買わない。

最後にもう一点。
今日(17日)の相場はあたかもライブドアのせいで下がったような論調になっているけれど、まあきっかけはその通りだろうけれど、何人もの特にテクニカルアナリスト達は先週くらいから相場全般に対する警鐘を鳴らしていたことを付記しておく。
特にエリオット波動分析によれば、16500円どころでいわゆる、3-3と呼ばれる波が終息、そこから3-4波に入るだろうとの予測であったのだが、結果的にその通りとなっており、この下げはテクニカル的に十分に説明可能であるのだね。
まあその手の説明は結局後講釈としか見られないケースが多いけれど、一応証券マン的見地からはこの下げはライブドアが無くてもあった、と言っておこう。
また例の消費者ローンのアイフルの子会社に対する最高裁判決、そしてヒューザーに対する証人喚問と、マイナス材料には事欠かなかったし。

ちなみにご参考程度に、このエリオット分析によれば、下値の目処は15000円近辺でこれは月末辺り、その後は横ばいで、夏頃には3-5の波動になって17000~18000円、そしてそこらをピークに今度は大きな波の4波が来て、11月ごろまで相場はだらだらと再び15000円前後を目指す、と言う感じの意見である。11月には米国中間選挙があり、さらに米国株は11月ごろ4年ぶりの安値の波動が来るので、そこらで日本もボトム圏に入ろうか、と言う事らしいが、信じる信じないは貴殿次第なので、わたしは一切責任は持ちません。

ライブドア社は17日出来た株数がたったの80万株程度、そして売れ残りは2億6千万株程度あるようなので、しばらくはストップ安が続こうね。
でも今日80万株出来たって事は本日買っている人が居るってことには注目しておきたい。

株式ってのはね、新聞記者たちがほざくほど単純では無くて、やっぱりリスクを取った人がリターンを得る世界で、それをそれこそ後講釈のような感じで錬金術はどうのこうのってのは正直リスクを取ることをきちんと理解していない連中の負け犬の遠吠えのように聞こえる。
もちろん本当にライブドア社に不正があったのならきちんと捜査するべきだし、それが本当なら市場を欺く重大な行為であることに間違いは無い。
間違いは無いけれど、その尻馬に乗っかって、江戸の敵を長崎で・・じゃないけど、フジの敵をここで取ろうってのが見え見えなのは、カッコよくないなぁ。