地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

ひたすら・・・放置していてすみませぬ!

2006-03-29 05:10:00 | 正しい金融知識
いやはやお詫びの言葉も出ませぬ、ほんとごめんなさい。
毎日たくさんの方々にお出でいただいているにも関わらず、ここの主がこの体たらく。。

まずはコメント欄のほと様。
これって実はおっしゃる通り凄い情報なのですよ、有難うございます!
実は前にも書いたかもしれませんが、証券マンってのは非常に怠け者が多くて(もちろん自分を含みます~笑)、四季報をきちんと読みこなしている奴なんて余り聞かないのです。もちろん人によっては違うかもしれませんが、あの商船三井の話をロンドンの連中にした時には、ほぼ全員から「他も調べてくれ~」と要請があった訳です。
それにしてもやっぱり個人的にはファイナンス情報を堂々と四季報にて書いちゃうって言う神経がどうも理解できないのですなぁ。
これってもちろん四季報予想、って域を出ないのかも知れないのであるけど、それにしてもなぁ、、、ファイナンス情報ってのは証券会社の中でももっともインサイダーに近い場所にあるので、そりゃあ近年チャイニーズウォールが厳しいんだから(笑)。

ただこれは公表されている訳ですから、この情報をどう使おうがそれは投資家の勝手です、念のため。

~~~
いや正直この頃相場が余り面白くないし、これって言った興味の湧くニュースも無いのでなかなか書く気が起きないのは事実なのであるね。
仕事も年度末でそれなりに事務的な事が結構あるしね。
ただ、相場を結構じっくり考える時間もあるので、それはそれでありがたい訳で、この頃は結構クゥエートとかあの辺の中東のマーケットの流れにちょいと注目していたりする訳で、それにしても今度機会があったらご覧になると良いけど、クゥエート市場のチャートってのも凄く教科書どおりって言うか。
昨年は棒上げ状態で12月手前まででほぼパフォーマンスは1.5倍、その後下押して、直近ダブルトップを付けて現在は下降局面。それにしてもあんなチャートを見るとやっぱり彼の国も、当たり前だけどオイルの恩恵をきっちり受けているってのが良く分かる。29ドルだか39ドル以上のオイル価格はアラーの神の思し召しとか言われているようであるけど、あれだけ相場が上がれば景気も良いし、そしたら金利も上がっていくわなぁ、と。
世界的金利上昇はほぼ既定路線であると思うけど、それをきっちり織り込みに行くのがいつ頃からなのか、その辺は議論も分かれようけれど、やはり今年の相場を考えると素直には行かないよな、ってのが見えてくる。

なんて下手な相場講釈はこの辺で。

私は偉そうだけど、少しでも多くの方々が相場に対して正々堂々と対峙して欲しい、との願いも込めてこのBLOGを書いている。
発端はライブドアだけどね(笑)。
例えば新規公開株に関する例の誤発注問題。
東証が誤発注に関しての一定以上の公表を決めたようだけれど、それは私にはどうでも良い。まして証券会社の誤発注に対して投資家がいくら稼ごうが、これも私はある意味正しいアーブだと思っているからこれも問題視はしない。
ただちょいと残念なのは、今はどうか知らないけれど、初めから誤発注を狙って、新規公開株に対して1円とか2円の指値を入れている投資家が居る、って事だ。

証券会社、特にネット系は、それらのオーダーを入れられちゃうだけで、システム負担だぁ!とか騒いでいるけれど、そんなことも私は知ったこっちゃ無い。そんなものはその証券会社が稚拙なシステムを使っているからで、それは東証同様私は投資家の責任だなんてこれっぽちも思わない。
ただ私が感じるのは、その発想と言うか、本来投資ってそういうものじゃないでしょ、と言う事だ。
あくまでもその株価が高いか安いか、それを各人が判断して買ったり売ったりするのが投資の基本であって、新規公開株に対して初めから誤発注狙いの注文を入れるのはカッコいいとは言えないわな。
そうじゃなくて、少なくともこの拙BLOGを訪れてくださる投資家の方々には是非とも正々堂々と戦って欲しい、とちょいと思ったので。
結局抹香臭い説教タレ臭い話になってすまぬ、と。

あと、今週末、MSCBやら企業の買収防衛に関してのその部署のプロの意見を聞く機会がありそうなので、それに関しては必ずここで報告するので、楽しみにしているように。
では本日はここまで。


最近の起債(CB)について

2006-03-20 06:41:18 | CB教室
またまた非常に間が空いてしまい申し訳ない。
先週までは強烈に忙しく、自分の席すらを暖める暇が無かったのだが、今週からは少々時間が出来そうなので、少し相場やら何やらに思いをめぐらせる時間も出来そうなので、また頑張ってアップする予定であるので、どうぞみなさま見捨てずにお願いします。

さて、その先週の強烈に忙しい最中に2本のCBの起債があった。
13日(月)の商船三井、そして14日(火)の武蔵精密である。
商船三井はユーロ、そして武蔵はアルパインであった。

弊社ロンドンの後輩がいつも起債があると詳細なレポートを送ってくれるのだが、それには私の印象なんかのヒアリングも入っていて、しかしながら奴の文章力と言うかまとめ方には脱帽する。

<商船三井>
同業の川崎汽船(9107)が04年3月2日に300億円、05年3月15日にも同じく300億円CBを発行しているが、それに次ぐ海運業界の起債。また当社のエクイティファイナンスとしては、1990年以来約16年振りとなる。
当債はコールオプションが付与されただけの極めてシンプルなスキームながら、アップ率仮条件レンジは37~42%と高めに設定されている。
アウトライト系の投資家の中には、当社今期PERは市場コンセンサスで10倍弱と同業2社と同様に低水準にあるが、今後の持続的な成長に対して懐疑的な見方を示す投資家もおり、直近の下落幅程度以上の株価上昇は見込みづらく、参加を見送った先も一部あり。
また一方でヘッジ系の投資家であっても買いに走るレベルではなく、手許の試算ではクレジットスプレッドを20~30bp程度、借株コストを25~50bp程度(本日既に場中で起債の噂は流れていた模様だが、急いで借株を手当てする動きは特に見られず)、100日平均ヒストリカル・ボラティリティ36%程度に対してインプライド・ボラティリティを30%台前半に見た場合、募集価格に近い理論価格が導き出せるが、「2月に入ってからの金利上昇局面を受け日々厳しい条件となっていった」との感想も主幹事から聞かれた程のややタイトな条件設定。
ただこの水準ではインプライド・ボラティリティを35%弱程度まで見る必要があることを考えると、ヘッジ系の投資家であっても決して買いやすい水準とは言えない。
ただ2月中旬からの当社株価下落幅が本債のアップ率と同レベルであったことや、結果としてヒストリカル・ボラティリティが上昇したことで、投資家としても何とか買えるプライシングレベルとなったとの声も一部聞かれたこともあるが、久しぶりの大型起債に対してややタイトなプライシングには不満を持ちつつも、この新発債に対して枯渇感の強いマーケット下、多くの投資家に「買わない」という選択肢はなかったとも言えよう。結局、ロンドン時間7時ローンチ、13時35分プライシングというタイムスケジュールのブックビルディングにより、「200件程度、8倍強」(主幹事)の需要を集め、仮条件レンジ(37~42%)の上限(42.05%)にてプライシングされている。このややタイトにも映る条件設定であっても成功イッシューとなったことに対して、「CBマーケットが最も強かった頃のような起債」との声もマーケットからは聞かれた。
当債は野村及び大和のジョイントディールで「スプリットオーダーの確認等で時間が掛かった」(主幹事)こともあり、アロケーションがロンドン時間17時過ぎとなった模様。そのため本日のロンドン市場でのセカンダリー取引は非常に限定的となっている。

一部割愛しているが、まさにこの通りの動きとなった。

そして
<武蔵精密>
昨日の商船三井(9104)ユーロ円CBに続き、2日連続の野村主幹事株絡み外債。また野村ブックランナーのアルパイン円CBとしては05年9月1日ローンチのアビリット
(6423)債以来となる。
アルパイン円CBとしては初めてCoCo条項を付与していることや、アップ率レンジを27~37%と高めに設定していること等を勘案すると決して割安とは言えない条件設定。
ローンチ後1時間程度経過したところで当債に当社大株主ホンダ(26.2%保有)が保証を付けているといった噂がマーケットに流れ、120/100や79/69といったレベルで聞かれていたクレジット気配値が突如22/17といったレベルにまでタイト化したことで状況が一変。業者も様子見姿勢を強めグレープライスが全く見られなくなった。
元々昨日の商船三井債とは違い、借株の手当てが非常に難しい銘柄(一部では5~6%との声も)ではあるものの、当社業界や今後のエクイティストーリー、そもそもの低PERから来る割安感等がアウトライト系の投資家にも好感される起債ではあったが、この思い違いとも取れるタイトなクレジット気配値が起因する部分も大きく、「ブックは150件程度、10倍程度」の需要を集め、アップ率レンジの上限にてプライシングされている(ロンドン時間13時10分プライシング)。通常であればアウトライ系の投資家はアップ率の高さを敬遠しがちであるが、(昨日の商船三井債と同様)この1ヶ月で株価が急落していることでアウトライト系の投資家であっても買えるプライシングレベルになったとの声が聞かれた。また、商船三井債が本日募集価格を割って推移したこと(店頭終値で102.25/102.50)で投資家からは当債に乗り換える動きも一部見られる等、比較感からも買いやすかった、とも。
「多くの投資家層は重なるものの、昨日の商船三井債とは違い当債はUK大陸のアウトライト系の投資家を中心に広く販売された」とのことだが、「予想外」のホットイッシューでもあったと。またホットイッシューとなった結果アロケーション額が少なくなったことから、一部投資家にアロケーション後直ぐに売却する動きも見られたが、タイトなクレジットを信用した投資家がセカンダリーで購入に動いた模様。主幹事も「明日になって問題にならなければ良いが」と漏らしていた。
手許の試算ではクレジットスプレッドを80~100bp程度、借株コストを400~600bp程度、100日平均ヒストリカル・ボラティリティ45%程度に対してインプライド・ボラティリティを35%程度に見た場合、アップ率上限を前提に募集価格に近い理論価格が導き出せるが、主幹事も「本来であれば仮条件の上限を目指せれば良い」と言うようなプライシングレベル。「特殊要因」のタイトなクレジット気配値により結果として高いグレーマーケットプライスが見られたが、仮にクレジットを25bp程度まで突っ込んだ場合であってもインプライド・ボラティリティを40%近くまで見る必要があることを考えると、実態を反映していないグレーマーケットレベルと言える一方で引き続き需給関係が良好な証左とも捉えられよう。
また、グリーンシューも「全額行使の予定」と。

~~~~~
さて、商船三井はさすがに大型でしかも時期的に3月末で余り買い進まれるような展開は続いていないが、武蔵の方は割りと堅調な動きが続いている。
また、さらに突っ込んだ意見があって面白かったので、それをご紹介しよう。

まず何故この時期にこの大型起債か、と言う疑問に対してマーケットで言われているのは、
「武蔵は払い込みが4月だけれど、商船三井は3月。つまり野村が最後の最後、リーグテーブルでの1位獲得のための逆転ホームランを放ったのだろう」
と言うのが一般的。この起債のお陰でEQファイナンスにおいては野村がどうやらテーブル1位を確実にしたようだ。

銘柄感から言うと、これら船舶会社の需給が逼迫しているというのは従来から言われていたので、それに伴うファイナンス、との見方がもっぱらではあるが、ただ市場では、でもこれから船舶はどうなのよ?って意見も結構ある。反対に武蔵はホンダ系の部品会社で非常に優良な会社であるというのは誰もが知っており、まあ「ホンダの保証が付く」なんてガセネタが流れたようだけれどそれを本気で信じた向きがあったとすればそれは素人であるね。そんな噂を意図的に流した向きがあるんじゃないかなぁ、と邪推しているあっしであるが、それにしてもその噂に伴うクレジットスプレッドの上昇はやっぱり素人くささが伴うと思うな。

さて、最後にこれは皆さんも時間があったら調べて見るといいと思うが、とんでもない話。私自身全くノーマークであったし、実は証券関係者のかなりの人間もノーマークであったであろう事実が出てきた。
社内のある人間が、この商船三井に代わる投資対象として川崎汽船のCBを勧めたところ、ある投資家が「それは買いません。何故なら四季報を見たことがありますか?」と言われたらしい。
それでもって彼が急いで四季報を見てみると・・・

まずは商船三井のページをめくってみよう。
四季報には「ファイナンス」と言う項目があるのだが、なんとこの商船三井に関しては、「06上、転社500億予定」と書かれているではないか!!!

そして川崎汽船のページをめくってみよう。
「06上、転社300億予定」と書かれている!

しかしファイナンス情報ってのはこれはインサイダーをもっとも疑われる情報であるはずなのに、そんな堂々と四季報に書いてあって良いのか?と。このニュースは結構我々業界関係者にはインパクトがあって、みな一様に驚いた。
もしかしたら皆さんはご存知だったかも知れないが、だとしたら我々の怠慢であろうね。

あるロンドンの外人にこれを教えたらすぐにメッセージの返事が返って来て曰く
「小鬼、早く全部のページを調べてくれ」

ふざけるなっつーの、せめて交代でやろうぜ、と返事をしたのは言うまでも無い。
こんなところに転がっているのですなぁ、重要な情報が。。

ついに退場か・・

2006-03-14 05:37:50 | ライブドア問題
1年以上に渡って世間の注目を浴びていたライブドアであるが、結局市場からの退場宣告をされて幕を閉じた。
私もずっと追いかけて来たけれど、やっぱりなんだか釈然としない終わり方であったなぁ。
TBされた記事等から「万引きで死刑宣告された」って記事にぶつかったけれど、まさにそんな感じであるね。
我々証券マンはほとんど一様にこれは一企業の問題、と割り切って来たけれど、それにしてもそれ以上にあくどいことをやっている大企業なんかはある意味目が逸らされて助かったところも多いんじゃないかなぁ。なんだかそういった風潮にはすごく危惧するものがあると思う。

この所市場側の強硬な姿勢が目立つ。
ご存知の通りJPの東京が指導を受けたり、我々のようなところにまで、市場からヒアリングなんかがある。引け値関与だのなんだのってね。明日そのヒアリングを受けている顧客と話し合って来るけれど、私に言わせれば、確かに結果だけを見ればそのように映る可能性は否定しないけど、それって余りにもナーバス過ぎない?って感じである。

我々証券市場に携わる人間がここもとの動きに対して感じていることをモロに反映しているアンケート結果(毎月ある情報ベンダーが行っているアンケート調査であるが)が出た。
その中での問い。

「2月に入っての株価の下落の要因は何だと思うか?」
~トップの回答が、バリュエーションの低下(34%)、日銀の量的緩和の解除観測(24%)で、その次が、ライブドア事件、新興市場の混乱(21%)となっているのだが、その問いに関するコメントではライブドアの事をあれこれ言うコメントはほとんど無い。
また「株式市場の乱高下の理由は何だと思うか?」
~この堂々の1位が、東証のシステムトラブル・「魔の30分」との答えが35%を占める。
これらに関するコメントで面白いと思ったものをピックアップすると、

「東証のシステム問題はシリアスな問題。後場開始時間の延刻解除が無理であれば、せめて大阪の先物市場と13:00スタートで協議できないものかと思う。5月のシステム増強では、その改善は株価押し上げ要因になるのではないか」

「日本の市場(取引所)の異常事態を早期に回復させないと世界の笑い者であると思われる」

「東証の責任者のコメントはどこか他人事のようなコメントで、市場を守るという気概が感じられないのは私だけか」

「個別銘柄の発注ミスに付け込んで儲けた金が半強制的に回収される割には、こうやって先物・現物のパッケージ売買のシステムの脆弱さに付け込んで儲ける金は野放しになっていることに関しては大変憂慮している。」

「乱高下が激しいのはシステムトラブルによるものだと思うが、その場合東証だけが悪者ではない。毎日起こっていた大証の約定遅延も立派な乱高下要因である。そんな状態を何ヶ月も続けるボンクラ経営者を野放しにしている株主も同罪。東証ならば証券会社だが、大証なら持ち株の40%を占める外人投資家か。今度の株主総会が荒れることは容易に想像出来る。」

なんていうコメントがほとんどで、なんだかんだライブドアをダシに使ってきた東証に対してはマーケットのど真ん中に居る我々が如何にそれが姑息なことかは分かっている、と言うのがせめてもの救いかも知れない。

ライブドア被害者の会のHPを今日じっくり見る予定が時間が無くて見れなかったので、明日じっくり見てみようと思う。
同時にCXの損害賠償に関する記事に関しては、確かに犯罪を犯したのはライブドアであろうから、それは正当化できるのだろうけれど、なんかなぁ、と。
確かにあの時は提携以外にニッポン放送を守る術が無かったけれど、結局こういう結果かいな、と。

マスコミは、上場廃止後は相対による売買しかなくなる、と書いているがこれはひところの無知さ、すなわち上場廃止になれば株券は紙くずだぞぉ!と言うのからは進歩したのかなと思うけれど、それにしてももっと調べて具体的にどうすりゃ良いのか書けないものかね。

ちょっとまだ頭の中がまとまっていないので、じっくり考えてまたこれに関しては書こうと思うので、宜しくお願いしますね。

近頃の話題~その1

2006-03-09 05:49:14 | CB教室
どうにもこうにも忙しく、また若干の休暇なんかも入って居たので更新が出来ずにすみませぬ。

さて、今日は個人的に感じた話題を少々。
本日の富士写真(以下フィルム)の大型CB起債、月曜日に発表になったさる情報ベンダーの月例アンケート調査、そして東証の株式分割に対する規制、この3つが個人的なトピックである。

まずは本日のフィルムの起債に関して今日は書こう。

なんと資本市場からの資金調達は当社にとっては23年ぶりのことだそうで、しかしいきなり23年ぶりで2000億ってのもたいしたものだ。それでもダイリューションは8%弱と、如何にこの会社のマーケットキャップ(時価総額)が大きいか分かるね。
スキーム自体はユーロ円にて発行、それをケイマンにあるSPCに売却、SPCから形を変えて発行されたものが国内投資家向けに販売されるとのことである。
ほら、海外のタックスヘイブンを使った形だよ、マスコミ諸君(笑)。

この起債における若干の疑問は2点。
1点目は、それでなくても昔から万年優良会社(つまり株価には面白みが無い)とか言われていた同社、キャッシュはジャブジャブあるだろうに何故にいきなりの資金調達?
資金使途を見ると、1000億円は設備投資、残りが投融資に充当されるらしい。
投融資においては英国インクジェットプリンター向けのインク染料メーカーの株式取得資金に使われるらしいが、これは既に手元資金にて取得済みだそうで、その穴埋めになるらしい。
まあ後ろ向きな資金調達では無いので余りとやかく言う必要は無いが、それにしてもここへ来て株式相場も若干の調整局面に入ってきているし、このファイナンスがユーロCB市場に与えた影響はそれなりに無視できない。つまりこのファイナンスのお陰でCB市場は結構軟調になったわけで、また、今後もこのような大型起債が突如出るのでは無いか、と言った憶測やら、果たして現在の資本市場からこれだけの資金を吸い取られることによるさらなる市場の翳りへの懸念等があろうと思われる。

さらに私が問題だなぁ、と思うのは、東証上場にしなかった点。
私は現在の東証のCBに対する姿勢を常々疑問視していて、今回もその疑問点を回避するためにこのようなスキームが取られたであろう、と考えられるので、それを考えてますます東証は尻に火をつけるべきだ、と言う点が問題だと思っている。
同社は希薄化に対する懸念を出来るだけ抑えるために当初転換価格を非常に高く設定している訳だが、これが東証上場だと上手く行かないのだね。
つまり東証上場にすると、ローンチからプライシングまで現行法だと約1週間掛るわけで、その間のダイリューション懸念による株価の下落は基本避けられず、とすると当初想定していた転換価格を設定することが困難になるため、ローンチ即プライシングが出来るユーロでひとまず発行して、それを主幹事が全額買い取って、全額SPCに売却する、と言うスキームになったわけで、そう考えるとやっぱり駄目ジャン、東証。
補足すると今回の2000億円は、2011年満期A号、B号、そして2013年満期A号、B号の発行で各500億ずつ、の発行となっているが、この2011年モノのプレミアム(アップ率)は40%、2013年モノのそれは30%となっているのだが、恐らく当初から想定転換価格があり、そしてそこから逆算したアップ率を正当化できるような条件決定がなされたと思うけれど、これが株価が1週間放置されてしまうとその当初転換価格に届かないだろう、と言う懸念があった、と言う事だ。

さて、これら形を変えたフィルム債は、結局主幹事の野村證券の国内投資家に販売されるそうで、海外での販売は無い。
これには一応理由があって、そもそも当社は外人持ち株比率が高く(四季報ベースで50%程度)、また一方で株主数が減少していたため、ビジネス上の理由もあって、野村證券の顧客層をターゲットにした、そうである。
多少は個人投資家にも行くのかも知れないけれど、きっとほとんどが国内機関投資家を中心に販売されるのだろうね・・・

そうなると要はこれって全て野村證券の一人勝ち起債ってことになる。
発行させてまずは手数料を稼ぎ、それを全額買い取ってSPCに売却(この時点でも若干の鞘を取るのかなぁ)、SPCから野村東京が全額仕入れ、そして国内投資家に販売する段階でまた鞘を抜く。。。
全ての段階で勝てる起債だ。
これがもしも東証上場だと、当然幹事団を組むことになって、どうでもいい証券会社も「我も我も!」って感じで幹事団入りを希望して、そうなるとフィルムも付き合っている証券会社は野村一社ってことは考えられないから、色々と付き合いを考慮してそれなりのシ団が形成され、そして野村の取り分がそれだけ少なくなるわけだから、野村としては「してやったり」の起債だったことは想像するに難くない。

やっぱりたいした会社だよなぁ、と同業ながらつくずく思う今日この頃であるね。

ちょっとご無沙汰、すみませぬ

2006-03-01 09:12:23 | マスコミ、企業
ちょっとご無沙汰、すみませぬ。若干忙しくて、どうぞご勘弁を。
その忙しさの一環であったのだが、本日はずっとアナリストの方と一緒に顧客訪問をして来た。彼は建設業界をカバーしているのだが、一緒に居る中で色々なお話を聞き、何だか色々考えることがあったので、稚拙な私の考えではあるが、ここにつらつらと書いてみようと思うのだ。

建設と言えばもう言わずと知れた姉歯問題がある訳である。この問題でそれに関わってしまった方々の思いを考えると非常にお気の毒である。
しかしながらこの問題によって今後業界が変わるだろう、と彼は言う。既にこの問題でまず出てきた現象が、大手集中だそうである。どっか訳の分からない小さな会社に一生に一度の買い物を任せて良いのか、と言う動き。そういう意味ではこの姉歯問題と言うのは、せっかく小さいながらもきっちりやって来た会社に対しては甚大な被害を与えたとも言えようか。

またこの問題は耐震とか免震に対する考え方をより深くしたとも言えようか。
或いはご存知のように、この耐震とか免震と言う技術は諸外国にはほとんど無い。
ヨーロッパなんてほとんど地震が無いからこの辺の技術と言うのは不要なのであるね。アメリカも西海岸は割りと地震があるけれど、内陸や東はやはり縁が無いだろう。
この所外人が日本のオフィスで働くのはもう当たり前の風景になってしまったが、彼らは極端に地震に対する免疫が無い。
前回東京で震度4程度の地震が昼間に来た時、ある部署のヘッドを任されているアメリカ人が一目散にオフィスのあるビルの10階から1階まで部下の事なんぞお構い無しに階段を駆け下り、しかし1階のドアが閉まっていたためにそこに一人うずくまっていた、と言う光景をみんなに見られてすっかり信用を無くした、なんて話(実話)を聞くと、まあ日本人から見ると少々情けない図に見えるが、ただ地震に対する免疫の無い彼らにとって見ればそれほど恐ろしいのだな、と。

実際アメリカ西海岸辺りからは日本の耐震技術を買いたいような話は無いのか?と言う質問に対しては、それは無いそうで、独自に発展している技術だけに色々とお金が掛ったりってのが結局そういう注文が無い理由だそうで。
しかしながら我々日本人はこの姉歯問題以降、お金に対して、それも耐震や免震に関しては、非常に寛大になって来た、と言う見方もあるそうだ。
それまでは我々庶民にとって家なりマンションなりを買う、と言う際には、当然値段と言うのはかなり大きな決定要因となっていたはずで、しかしそれが多少緩和されて来た、と。
水と安全はタダ、の安全とは、通常は治安状態の事を指すけれど、この頃は水も美味しいのをみんな買うし、安全も治安関係もそうだけど、この地震に対する安全価値にもその対価を払うようになってきたって訳だ。

さてさて、証券市場での最近の話題は言わずと知れたライブドアだけれど、昨年のCXとのバトルからかなり法整備なりがなされてきたのを感じるわけだ。もちろんまだまだマスコミの偏向的な見方は残っていると個人的には思うけれど、それにしてもこの手の事件を契機に、ものごとが正しい方向に若干でも進む気配のあることは良いことだと単純に考える。
この姉歯問題もその典型で、ああいった事件を契機にものごとが正しい方向に進み始める、つまりそれらが起こらなければ永遠に今までどこかおかしかった部分が矯正されなかったわけで、そう考えると少々空恐ろしいモノを感じはするが、決してそれらの問題で色々な意味で犠牲になられた方々が無駄にならないようにしなければならない、とかように思ったわけであるね。

ちょっと自分の証券マン人生を振り返ってみれば、おお、あの頃は例えば、大蔵省の証券局VS銀行局、とか、護送船団方式だとか、各社に居るMOF担だとか、ほんとくだらないことが多かったことよね。
それらももちろん特殊な事件が全てを変える原動力になったわけではないけれど、まあしかしその頃から考えれば随分と進歩したよなぁ、と思う。

しかし、残念ながら東証だけは完全に取り残されているね。
今日の日経の大機小機の記事はなかなか良かったと思うが、素直に東証の魔の30分の弊害を書いている。
3月中にシステム増強の工程表をまとめる、とか言ってるらしいけど、遅すぎる。
木村剛さんが、まあ火中の栗を拾われた西室氏には同情の余地あり、とお書きになられていたけれど、まあ木村氏が言うならそうかなぁ、とも感じたが(なんて主体性の無いわたし・・・)、うん、でもやっぱり私は証券マンとしては許せないね、この一連の東証の態度は。
って、結局ここに話が戻ってしまって本日は終わりで、すまぬ。