地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

最近の市場など

2006-04-26 05:40:56 | 正しい金融知識
さあ、今日も頑張って行って見よう。

最近の市場は本当に難しくなって来ていると思う。
明日テクニカル専門のアナリストが来るので、また話を聞いて頭を整理したいと思っているのだが。
さて、昨日とあるブローカーから非常に秀逸なレポートが出て、ロンドンがどこから仕入れたのか送ってくれたので、楽しんで読むことが出来た。
それは現在ちらほら噂されている信用規制の強化に関してであるね。

海外の投資家は基本マル信(信用取引を各社色々な呼び方で呼ぶが、私はこれが歴史的に一番しっくり来るのでこう呼ばせていただく)は余り関係ないので、きちんとこの辺をマークしていないのは結局私の怠慢以外の何物でも無いのだが。
一応そのレポートによれば、現在噂されている規制強化は、
~委託保証金比率を30%から40%への引き上げ
~代用有価証券の掛け目を80%から70%への引き下げ
のようだ。

ネット系証券がかなりの勢いで、しかも昔に比べてかなり低額のコストでマル信を普及させている影響もあって、このところのマル信は非常に活発であると思う。
当然相場が上昇を続ければ買い残が増えていくわけで、そこに来ての規制強化はそれらのポジションのクローズを促さざるを得ないだろう、と。
このレポートの秀逸なところは、セクター別銘柄別に極めて冷静に現状を分析しているところだと思う。

業種別では、例えば、<信用残高>/<売買代金>を調べて、鉱業が316%、鉄鋼が325%、海運が356%と言う数字をはじき出し、それらは規制強化がかかった時には要注意よ、と言っている。
ちなみにこれらの数字は、
東証1部  123%
東証2部  683%
マザース  231%
JASDAQ  396%
大阪1部  171%
大阪2部  868%
ヘラクレス 201%
となっており、如何に小型系市場でそれが高いかがお分かりいただけるだろう。

もちろんこれらだけを取ってこれらの市場がどうこう言うわけでもないし、あくまでも各人のご参考にして欲しいだけなので、これらがもたらす結果に関しては小鬼は一切責任を負わないので、そこんとこヨロシク。


次にあるお客さんと良く話すのが、中近東の証券市場である。
これだけOILが高騰を続けているのだから当然彼の国々は好調だろうと普通は考えるわな。
いつだか聞いたのが、確かOIL価格が29ドルだか39ドル以上の部分は全てアラーの神の思し召し、と言う考えがあるそうだし。
実際特にDubaiなんて今すごい建築ラッシュでしょう。人口島を作ってそこに色々作ってるらしいし。
ところが昨日何気なく、WTIの価格とサウジアラビア証券取引所のインデックスの表を比べて驚いた。
物凄い逆相関なのであるね。つまりこれだけOILが上がっているのに、彼の国の証券市場は結構な勢いで下落している。
ついでだから、サウジ、アブダビ、クエートの市場 VS WTIのOIL価格のグラフを並べてみた。
それがこれである。
ちゃんと見えるかなぁ。
白線~WTIプライス
赤線~サウジアラビア証券取引所指数
黄線~アブダビの指数
緑線~クエートの指数

一部連動しているけれど、今回の3月から始まった再度のOILの上昇には、早々に3つのインデックスとも脱落しているのが見て取れる。
そのお客様曰く、この辺のお金の流れをきちんと追わなければいけない、と。
ちなみに小耳に挟んだ情報によれば、彼らは引き続き日本株やBrics株に強気なようだ。これらのいわゆるオイルマネーの動向にも注意を向けておく必要があろうって。


さて本日最後の話題は、久々の私の本業、ユーロCBのローンチの話。
LTH、リンク・セオリー・ホールディングス社、ユニクロの息の掛った会社であるね、がCBを発行した。主幹事はメリルロンドン。
色々と書いてあるが、まあ通常のユーロCBの一つと考えて良かろうと思う。
本日値決めはされなかったようで(スイス時間18時半現在で)、明日値決めってパターンもちょいと珍しいかな、と。
本日のグレーでは結構良い値段が付いていて、+3とか最高オファーベースで+5ってのを見たなぁ。

さて、私がとっても疑問に思って、ロンドンとのECMの人間とも話していて彼も良く分からなかったのが、グリーンシュー。
「本社債の発行総額
110億円及び幹事引受会社の権利の行使により下限額2億円として追加的に発行され・・・」

つまりグリーンシューの下限は2億円だけれど、上限に縛りが無いんだよな。
基本今後開催される取締役会において決定されるらしいけど。
私が知りたかったのは、そうは言っても上限って何か縛りがあるべ?
って事だったのだが、ECMの人間も、東証上場とかでは発行総額の何パーセントとか決まってますけど、ユーロでは確か無いんですよね、と。
これは明日もう一度確認することにしているが、経験上私も知らない、ECMも知らないって事になると、それは決してポピュラーでは無いはずで、本日ドタバタやってた連中が熟知しているとも思えない。
つまり(もちろんこんな事は無いと思うが)、会社が「おお、そんなに受けがいいのなら、そんじゃ110億なんてけちな事は言わないで、ついでだから500億くらいやっちゃおうぜ」って事があり得ないのか、って事が疑問なのであるよ。
だとしたら110億で大体ダイリューション10%程度くらいだと思うけど、基本グレーだってその辺を織り込んでの値段のはずだから、それが蓋を開けたらダイリューション30%でした50%でした、とかなっちゃったらどうすんだろう、と。

マーケットはあらゆる意味で難しくなってきているね・・・


コメントへの私の意見など・・

2006-04-25 05:08:42 | 正しい金融知識
さあ、この頃ずっと放置していたのでガンガン行くぞ!

まずは人気ブロガーの貞子ちゃんから頂いたご質問から。
「NY市場の出来高に関して公表されているのでしょうかどうでしょうか」
と言うご質問である。
これは公表されていると思います、何故ならブルーンバーグ等で簡単に出て来ますので(としか答えられないのだが)。
ちなみに今日その貞子ちゃんのコメントがずっと気になっていたので、自分なりにダウとNASDAQの両方の出来高ってのを調べてみた。
正直NY市場の出来高と言うのを意識している証券マンはそんなに多くない気がする。インデックスが上がった下がったにはみんな興味があるけれど、出来高が多い少ないを論じるコメントにはほとんどお目にかかったことが無いってのがその根拠なのだが、まあ根拠としてはちょっと薄いけどね(笑)。

さて、どうせならデイリーよりも2000年辺りからのマンスリーベース、そして月間平均でも出して見ようじゃないの、って事で出してみた。

ダウ平均(BIL)(06年は3月まで)(カッコ内は月平均)
2000年  52.08(4.34)
2001年  60.43(5.04)
2002年  67.68(5.64)
2003年  56.49(4.71)  
2004年  55.90(4.66)
2005年  63.97(5.33)
2006年  19.00(6.33)

大体ダウの月平均の出来高は50億株程度、一日辺り2-3億株って所だろうか。
まあダウ構成銘柄ってのは30社しかないし、それを考えると立派なボリュームと言えようか。

そして次なるはNASDAQ。

NASDAQ(BIL)(06年は3月まで)(カッコ内は月平均)
2000年  358.70(29.89)  
2001年  437.30(36.44)
2002年  411.00(34.25)
2003年  278.50(23.21)
2004年  230.20(19.18)
2005年  239.70(19.98)
2006年   92.60(30.87)

単位は変わらぬ10億株。つまりこちらは月平均で200-300億株の商いをこなしているわけで、一日辺り20億とか30億をこなしている。
貞子ちゃんがちらっと書いていたのはこのNASDAQの出来高の事だろうと推察する。
こちらは構成銘柄数は3157銘柄ある。ダウの100倍であるね(と言ってももちろん時価総額等が全然違うからね、単純には比較できないよ、念のため)

このように少なくとも情報端末で出来高は簡単に出てくるのだが、売買代金が出ないんだよなぁ。
明日にでもBB社に聞いておきますので、今日はとりあえずこれでご勘弁ね。


さて次なるはアマポーラ様のコメント。
『東証と日本証券業協会は発行済み株式数の5%を超える誤発注を対象に東証が注文自体を取り消すことが出来るルールを検討中。五味長官は約定取り消しにかかる手続きなどの詳細についても詰めるべき課題があるとした上で、「十分に必要な検討を行うことを期待する」と述べた。』

この記事、ほんとかよ?と思うものである。
私はアマポーラ様がコメント欄に書かれている内容に諸手を挙げて賛同いたしますね。

「発行総数が10000株程度の銘柄でも、たった501枚の板に出くわして売買を行ってしまい、その板が運悪く発注ミスによるものであれば、見抜けなかった貴方が悪いとして(笑)無効にされてしまうという事ですよね。」
まさにこのルールはそうなるのでしょうね。恐ろしいですね、しかし。
まともに勝負している投資家の中に、どこかのアホがポロって発注しちゃってそれが5%を超えてたら全部チャラってどうよ?
もっと言えばこれって意図的にナンボでも出来ちゃうって気もするのだが。
つまり「あ~今日はこの銘柄ちっとも上手くいかねーなぁ、しゃあないから5%以上の注文を出しちゃって相場が混乱し始めたら「すみませ~ん、誤発注でしたので白紙にしてクダチャ~イ」って事が可能になっちゃうのかなぁ。
もちろんそいつがその意図的誤発注をするまでの約定は出来ているのだろうけれど、その意図的誤発注によって生じるであろう混乱を逆手に取ってやられを取り返す事だって可能だろうに・・
だとすると恐ろしいぞ、これは。

「東証と証券業協会がコストを負担して、5%を超える枚数の注文が通らないようなシステムを作って欲しいと考える私の方がおかしいのでしょうか...?」
全くの正論です!おっしゃる通りです!おかしいと思う人が居たらそれはまじで危ないです。
あのJCOMで一種懐かしの奉加帳方式で集めた資金でも使ってそういうシステムを作るのが本当でしょう。

この「5%」ってのも何だか気になる数字だなぁ、と。あの5%ルールと何か絡みでもあるのかなぁ、と。一気に5%を超える株数をゲットしようとした向きには、ものによっては「誤発注」ってことにして騒ぎを起こすな!的な使い方もしようと思えば出来るような・・

次回はね、会社法改正についてちょっと書こうと思っているけれど、これを解釈すればするほど一体どうなるんじゃ日本の株式市場!!って思えると思うよ。
5月1日に施行しちゃって良いのかなぁ、とちょっとビクビクですな。





東京出張報告など

2006-04-23 20:19:34 | 正しい金融知識
またしてもこのBLOG、放置プレイですみませぬ。
東京から帰ってきてからの事や、東京で思ったこと・出来事などは拙さるさる日記の方をご覧頂きたい。
何故かあの軽い乗りの日記は書けるのであるが、どうもBLOGはそれなりに準備して頭の中で構想を練らないとなかなか書けずにほんと申し訳ない。
いや、そうやって構想を練ったり捻ったりしても結局書いていることは大したこと無いのは皆様ご存知の通りであるが・・・

さて、東京へはこちらの顧客2名のリサーチトリップのアテンドであった。
3月ごろから彼らの方からその意向を聞いており、また彼らからは訪問したい企業の候補先をもらい、それで東京本社の方でアポ取りをしてもらい、行ってきた。
実際問題、時期的に決算を3月末で無事終えて、これからその発表作業をする企業が多く、かなりの企業がいわゆる「Quiet Period」中であったため結構アポ取りは難航した。
企業としては決算発表前に一部の投資家のみにその内容を知らせる訳には行かず(これはアナリスト等に対しても同じである)、ゆえに決算を通過しその公表までをQPとする所がほとんどなのであるね。
もちろんこれは基本3月決算の企業の話であるので、2月とか8月決算企業は今回は関係なかった。
また3月決算企業であっても、今回の決算の内容には触れず、と言う事で訪問をアクセプトしてくれた所も幾つかあった。

彼ら投資家には丸4日付き合い、その間に訪問した企業は15社であった。
ある程度時間が経てばそれら訪問した企業名をここに書いても良いのだろうが、何となくまだまずい気がするので具体名は書かない。
訪問した我々の顧客はさる大銀行のFMであったが、彼らの訪問希望企業はほとんどいわゆる「中小型銘柄」であった。

今回正規の通訳も帯同したので、実質的に私がやることと言えば当該企業を訪問した際受付で担当者を呼んでもらう事と、後はミーティング中のメモ取りくらいであったのだが、それでもすごく勉強になった。
正直ほとんどノーマークの企業、また他社を含めたアナリストカバレッジのほとんど無い企業ばかりであったので、ある意味新鮮で非常に面白かった。

どの企業も海外安定株主には当然の事ながら興味があるわけで、相手はそれなりの方々が出て来てくれた。
社長さんのお話を伺った所も幾つかあり、後は大体役員クラス(と言ってもどの会社もまだ若いので、役員さんも非常にお若い)との会合が中心であった。

(1)自分の会社のビジネスモデルを詳細に隙無く詰めているのか。
(2)自分らのフィールドのマーケット規模をきちんと把握しており、あとどれ位のシェアが取れるのか、競合相手とのシェア争いにはどうやって勝って行くのか。
(3)外部環境の変化、例えばコモディティーだとか金利だとか、に対しての考え方や自社への影響。
(4)自社の経営計画の策定法や、その進捗状況は、きちんと公表通りに行っているのか。

大体その辺の所がまずは私も知りたかったし、顧客もその辺を中心の質問が多かったわけだ。
まだ新しい会社だし、また顧客も基本中長期投資が基本であるから、今回の決算がどうだこうだと言うのは余り関心が無かった。

さて、その辺の質問に対する会社側の回答、及び私の印象は、
さすが(1)に関しては各社非常に真剣に考え尽くしており、その中でも飛びぬけた会社が幾つかあった。しかしながらそれら特に飛びぬけた会社のバリュエーションはどこもかなり高い、と言うのが印象的で、これは裏返せば投資家も良く分かっているって事なのだろうと妙に感心した。
四季報を眺めても、或いはベンダーの情報を取っても、やはり百聞は一見にしかず、だと思ったのであるが。

私が唯一問題だと思ったのは、やはり(4)の所である。
中期計画等が甘い会社がいくつかあった。もちろん各社考え抜いて計画を立てているのではあろうが、余りに計画変更を安易にやるなぁ、と言う会社があった。
もちろん一部上場ピカピカの会社でも計画の下振れなんてのは起こりえるけれど、それらの会社の場合と小さな会社の場合とでは株価に対するインパクトが大きく異なるわけである。
まだ誕生して間もない会社だからこそ、その辺は市場にそっぽを向かれないようにすることが重要であろう。
現在の株式市場、特に1部以外のマーケットが非常に難しいのは、その辺に大きな問題があることも原因だろうね。例えばライブドア買った会社の金曜の動きとか。

もう一つすごく印象的だったのは、女性の活躍であろうか。
決して差別でも何でも無くて、私は有能であればそこに男女の差なんて無いって思っているが、それにしても驚いた。
ある企業の経営企画のトップとか、ある企業のNo2くらいの役員さんとか、どちらも女性でしかも私より全然年下の方で・・
さらに凄いなぁと思うのは彼女らのプレゼンテーションはもとより、私がこちらへ帰ってくるともうメールが入っていたって事であろうか。
本来なら私がお会いした方々にメールにてお礼を差し上げるのが当然であるが、それらの方はその先を行かれていた、と言う事である、お恥ずかしい。
もちろん社に戻ってお会いした方全員(1社2名でも30名以上になって、もちろんお礼の中味も変えるし結構大変であった。しかし一昔前なら全て手書きのお礼状だった事を考えれば楽な世の中になったものよのう・・)にメールを書いた。
社長自らお返事を下さるところもあれば、いまだにお返事の無いところもある。
実はこの辺は私のその会社さんに対する印象と割とマッチしていたのだね。
いや、お返事を下さらなくて当たり前、って感じに思っていたので、私が出すより早くメールを下さっていた事にまず驚き、次にお返事が来るってことに驚いたってのが本音だから、返事が来ないからと言ってその会社はねぇ、なんて偉そうな事を言う気はさらさら無いけどね。

現在の相場は本当に難しい。ましてや新興系は特に厳しいから個人投資家の方々も大変だろうと思うし、機関投資家も現在パフォーマンスのいい所なんてほとんど無いはずだ。
インデックスだけは堅調なのに良く見れば大型株指数のみが堅調であって、中味は本当に一握りの大きな銘柄が動いているに過ぎない訳で、それじゃあパフォーマンスも何もあったものではない。
ただ、私は私なりにこれらの訪問を終えて、改めて日本と言う国に魅力を感じたし、またそこで働く人々の熱意にも惚れた。
ストラテジスト、チャーチスト系は、目先は別としても超長期で見た場合の日本に対してはほとんどが強気だ。
これから我が国の相場は長い目で見た場合、もっともっと面白くなる。その間に私が訪問してきた会社さん達も大きくなってくれることを拙に望む。

MSCB及び買収防衛策に関しての整理とか~1

2006-04-01 22:06:54 | 正しい金融知識
本日は前回宣言したとおり、直近の表題の動きに関して非常に参考になるミーティングがあったので、それに関連しながら拙意見などを述べさせて頂こうと思う。

初めに私の半専門であるCBに絡む、このMSCBの現状に関して。

ご存知のようにライブドアがリーマンを主幹事として行ったあのMSCBによってこの商品は一気に世間に認知された、と私は考えている。
しかしながらこれ自体はかつてはアメリカ辺りでも行われていたようで、それを見た機転の利いた人間が日本の法令に照らして導入してみた、って感じのようだ。
私自身90年代にロンドンに駐在していた時に、その当時はそれはレッサーCB、と呼ばれていたのを覚えている。レッサー=Lesser、いわゆる、Less&Lessって事であるね。
当時の法令ってのはある意味まだまだザルで、ようやく株主代表訴訟がどうのこうの、って言われ始めていた程度、だと覚えている。
これらのレッサーCB、当時それをやる会社は極めて限られていた・・つまり本当にこれによって資金を注入してもらわなければ倒産してしまう・・と言う会社だ。
「株主代表訴訟をやるならやって下さい。どの道こうでもして資金を入れなければいずれ倒産してしまうんですから。」と言うある会社の役員の方が言ったとか言わないとか言うコメントを強烈に覚えている。

さて当時居たロンドンの会社は大手でもあり、その当時の引受のヘッドに「何で家はやらないんですか?」と聞いた事があるのだが、当時のそのヘッドの答えは
「世間で一応一流と定義されている我々がそういうのをやるわけにはいかんのだよなぁ」というものだった。
つまり余り評判の良い商品では無かった、と言う事だ。また法的な根拠も随分あやふやな箇所があったであろう事も想像がつく。

さてそれでもこのMSCBに関する各社のプロジェクトは徐々に進行していたようで、気付けば当たり前になっており、そしてそれに拍車を掛けたのがライブドア、って感じなわけだ。

ちなみに数字を検証してみると・・・
2003年度 420億
2004年度 4590億
2005年度 8877億
となっており、03年度04年度1兆円を超えていたユーロ円CBは反対に05年度はわずか900億程度にまで激減している。(但し駆け込みの商船三井等は入っていない。2月末頃までの数字)
このエクイティーファイナンス全般に関しての数字を見てみると、2004年度から05年度にかけてCB全体(国内、ユーロ、アルパイン、スイスフラン、MSCB)は概ね7000億程度減っており、反対に公募売り出し等のファイナンスが8000億円程度増えている。
まあ公募に関しては、三井住友FGやみずほFG、またJR東海、三井物産等の大型雄ファリングがあった反面、CBではたいしたものが無かったという感じで、ちなみに担当者に聞くと、決してCBになりそうなファイナンスを公募等へ誘導するような意図的な動きは無いようだ。
しかしながら金額ベースでは詳細は分からないが、いわゆる「新株予約権型」のファイナンスも増えているのはみなさん周知の事実で、これは要は第3者割り当て型ワラント、である。金額自体は微々たるモノになるが、ただそれによるダイリューションはMSCBなんかと何ら遜色は無いので、この辺の動きにも注意は必要だろう。

前に書いたかもしれないが、何故にこれほどまでにMSCBってのが盛んになってしまったのか。
一言で言えば両者の利害が一致してしまった、と言う事になろうか。
証券会社側から見ると、これは実は引受では無く、投資なのであるね。
これはどう言う事かと言うと、要は引受審査が不要なのである。これによる事務手続きやら時間やらの強烈な節約になることは想像するに難くない。
会社として投資へのリスクが取れるのであれば、基本それでOKなのである。
という事は発行側のドキュメンテーションだのなんだのってのも強烈に軽減され(例えばユーロ円CBを発行しようとすれば、当然英文の財務諸表等の提出を求められる)、さらにかなり機動的に資金調達が可能になる。当然既存株主へのダイリューションの影響はある訳であるが、それには配慮する色々な事を特に最近各社が頑張ってやっているのは皆さんもお気づきだろう。

しかしながら当然このMSCBに対する圧力もある訳で、ある人によれば年末くらいにはかなり下火になるんじゃ無いですか、と。
証券会社でもある程度大手で無いとこのMSCBを相手に起債させてそれを一括で買い受けるというのは資金的に難しいわけで、要は中小以下の証券会社からの間接的な批判も結構あるようで、一部訴訟のケースもある。
しかしながらこのMSCBとは言え、それによってマーケットの厚みが増しているのも事実で、そこから色々な進化系が生まれてきて、やがては既存株主にとってもしかしたらダイリューションのネガティブを補って余りあるモノが登場するかも知れない。
但し現状私が見ている限り、どこの起債も「既存株主様には配慮して」プレミアムを強烈に上げたり、Coco条項(Contingent Conversion)と呼ばれるいわゆる転換条項に制限を付けたり、と言うのがあるけれど、どれも結局言い訳的なモノである。これ以上私の頭ではその進化系ってのは想像できない(笑)。

協会としても研究会みたいのを作るようだが、正直今ある色々な批判的な意見に対しての答えはどれも詭弁の域を出ないように思われる。
つまり前にも書いた記憶があるけれど、どこかが大きくこれによってつまづくか、或いは何かこの現状を揺さぶる出来事が起こった場合、さ~っと潮が引くように下火になる可能性は十分にあり得る。しかしながらそれが無くなっても一般投資家には悪影響は無いだろうし、むしろ好感されるべきだろうし、要は困るのは一部証券会社(ネタが一つ消えてしまう訳で、新たな食い扶持を探す必要が出る)とこれから発行しようとしている企業くらいだろうね。
但し、これは穿った見方をすると、当然証券の現場はそれに気付いている訳だから、力のある証券会社は今後稼げるときに稼ごうとするかもしれない。
ある証券会社が中堅企業以下に大規模なローラー作戦を展開している、なんて話も聞くし。
ただしつこいけれど何となく関係者はこの商品の限界をとっくの昔に理解はしているようだから、そんなに長く続かないんだろうなぁ、と。

とりあえず本日はここまで。