地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

おおお、木村剛さん効果でヒット激増だぁ!!

2005-12-20 06:44:38 | マスコミ、企業
と言うわけで、久々に木村剛さんにお送りしたTBが彼の記事にて採用されまして、有難うございます!
やはりプロ中のプロの方のご説明が加わると、あのようなあっしの拙駄記事でもちょっと立派に見えちゃって、感無量でございました。

さて、拙日記にも書かせて頂いたが、あの利益返還の動きがここへ来て小康状態な気がするが。
毎日株価やらアナリストレポートやらのチェックと共に欠かしていないのが、みずほとJ-COMに関する記事なのだが(あの情報端末BBと言うのは各企業ごとにニュースが時系列でざぁ~っと出るので便利なのである)、『利益を返還しました』と言う記事にはまだぶつからない。

日記にも書いたが、要は世論がここまで来てしまうと、もうどうしようもないのであろう、と思う。つまり今さら返したって誰も「おお、結局返して良くやったぁ!!」なんて誰も誉めてくれないでしょ?世論はもう「返して当たり前」になっちゃっているわけで。。
当事者のみずほだって、誰ももう「ああ返してもらって本当に良かったね♪」なんて思わないよね。

もっと言えばあの朝日やら日経でも書かれていたけど「寄付はどうよ?」って奴。
これも新聞が書いちゃったからはっきり言ってここで寄付に動いても、もう誰も「おお!なかなか偉いやんけぇ」なんて思わなくなっていると思うんだよね。
寄付をするなら大新聞の世間におもねる百戦錬磨の記者諸氏の一歩先を行かないと効果は無かったと思うな、いまさらだけど。
(決して寄付する必要なんて無い、って言っているのでは無いので念のため。あくまで寄付と言う行為に付随する一種の宣伝効果が全く望めませんね、と言う事なのであしからず)

かつてトマト銀行が出来たときのあるコメントだけはずっと覚えている。それは、『もう2番手は出ませんね』と言うもの。つまりトマトが出ちゃったら、その後セロリ銀行だとかじゃがいも銀行ってネーミングは駄目ね、ってコメントだった。

その辺まできちんとした戦略的プロデューサーが各証券に付いているのなら、まだ可能性はあるけれど、証券会社にそんな広告代理店的要素のかけらもあろうはずも無いので、それは望めないだろうね。
やはりここは、証券マン独特のダラダラ作戦で時間を稼いで、世間がもう忘れちゃった頃に『やっぱりかえすのや~めた』ってのが正解でしょう。
だって返したってそれらの極限のリスクの結晶が何にも役立たないんだし。そりゃあみずほは多少救われるかも知れないけれど、あそこは非上場会社だからね、利益が減って配当が減って困るのは基本みずほホールディングだけですから。(まあそうなるとみずほホールディングの株主の方は少々迷惑するかもしれぬが)
一般の株主、すなわち投資家の方々には、返されようが返されまいが何ら関係がありませんから。
それだったら、リスクの結晶の利益を6社がそれぞれ社内で役立てて個人や法人のハートをつかむ一助にするなり、口座獲得くじ引きキャンペーンでもやって、当たった人には「ビジネスクラスで行く、スイスのプライベートバンクを巡る6日間の旅」にでも使った方がよっぽどインパクトがあるよ。
どうせならどっか1社くらいそういう事をやらないかなぁ、とちょっと期待したりしているが。

木村氏の拙記事のご紹介記事に寄せられているTBをずっと読んだが、当然私の論調が気に入らない方も居るわけだけれど、それはそれで良いと思う。
ただ一つだけ気になったのは、この部分です。(本来ならばその方のBLOGのコメント欄にでも行って、きちんと書くべきでしょうが、まあ勘弁して下さいな、さらに一応ここからは”ですます”調になります)
「金融関係者は、自由という、ちょっと歩き回っただけでは、どこに柵があるのか分からない檻の中で、自分たちがプレイしていることを忘れてしまったのではないですかね」
はっきりと申し上げましょう、金融関係者にとっての柵の外は「刑務所」ですから。これだけは忘れようにも忘れられません。金融業界と言うのはずっと護送船団方式で守られてきた歴史があって、それが崩壊後も結局は余り変わっていないのは皆さんがご存知のところ。むしろ護送してくれる官庁の存在が薄れている今、ゆえに余計その手の事には物凄くナーバスです。ちょっと間違えば(特にこれは対個人投資家において顕著ですが)すぐに社内の売買監査だのコンプライアンスだのってのが飛んできます。これは本当に異常なくらいです。
つまりそういったスタンダードに照らし合わせても、今回の件はそれには引っ掛かっていない、って事が根本にあるわけで、ゆえに利益を返す必要なんて無いよ、と言うのが一般的証券マンの心情なのですね。
サッカーの試合に乗じた例を言えば、相手のプレイヤーが怪我をしてその隙にゴールを入れたのではなくて、相手の凡ミスに乗じて得点をした、と考えるべきだと思っています。それはどの世界でも一緒でしょう、と。

本日はこれにて。


3 コメント

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やまどらさんへのお答え (小鬼)
2005-12-20 07:35:54
「CB発行会社にとってのCB価格の意味とはなんでしょう?

発行会社の視点で時間軸を追うと、基本は、

1.いろいろな条件(償還期限、転換価格、クーポン率等)を各アレンジャーと詰める

2.発行

3.株価が上昇すれば転換、しなければ償還

というだけのことになり、「発行後に価格がどうなるか」によって損益が生じるのはアレンジャーだけ、との理解で正しいでしょうか。

しかし、発行後に第2回、第3回と重ねて発行をする時は、その時点の1回目発行のCBのボラティリティ等が影響して発行条件が変わってくる、だからCBの価格は発行会社にとっても重大な関心事となる、との理解で正しいでしょうか。



~~~

やまどらさま、公約通り(笑)、お答えになるかどうか分りませんが、とにかく書いてみますね。



非常に鋭い所を付いたご質問だと思います。いまさら聞けないシリーズではありません(笑)。

まずアレンジャーの意味はここでは主幹事と置き換えます。昔の起債では主幹事の次にアレンジャーと呼ばれる副幹事みたいのが居たことがありまして、混同を避けますね。

さて、発行後の価格によって損益が生じるのは基本そのCBを買った投資家です。主幹事が多少の玉を抱えていればもちろんそれは主幹事の損益にも影響しますが。



この手の話は余り表に出てきませんが、びっくりするくらい発行会社と言うのは自社の株価はもちろん、そのデりバに対しても非常に敏感に追っています。「株価が上がっているのに何でCBは上がらないんだ?」「パリティーが120を超えてきたのに何故転換が起きないのだ?」などなどの話がしょっちゅう私にも飛んできました。

確かに発行後のCB価格がずっと104だ105だで推移している場合、発行会社にとってはなんの損得も発生しません。ただ、会社はイメージを物凄く大事にします。つまり発行価格が発行後90とか85とか極端なパー割れなんかを起こしていると、それは当然CB投資家の当該会社に対するイメージが悪化しますから、それらの投資家の印象を発行体は極端に心配します。

3で指摘されている通り、基本上がれば転換、下がれば償還な訳ですが、もう一つ発行体にはチョイスがあります、それが買入消却ですね。CBが85とかしている場合、発行体が買ってそのCBを償却してしまうのです。彼らは100とかで発行してますから、15の差益が出ちゃうんです。それは彼らの損得になりますし、主幹事もほんとのコストは84ってことになればそこで1PTの利益です。じゃあその利益を誰が負担したことになるのかと言えば、これはCB投資家です。本来なら投資家は怒るべきなのですが、そのような状態にあるCBの需給が締まる話なので、実はその買入消却ってのは意外と受けが良いのです。それをきっかけに上昇すらしますので、このケースで損益が生じるのは、主幹事、それに発行体双方ですよね。



2回3回目の発行に関してもっとも重要なのは「前回の転換価格」です。

2回目の発行時、前回の転換価格を上回っている所で値決め出来そうならば問題は無いわけです。何故ならあくまでも最初のCBから転換されるべきでしょう、と誰もが考えますよね。2回目の方が下だったら1回を買った人はどうすんの?ってことになります。

その際、プライシングモデル等で、1回のCB値段が例えば110で、2回は102って感じであれば良好で、でも1回が90しかしていなくて2回が102だったら、ちょっと節操無いんじゃないの?きちんと1回を転換させるくらい株が上がるよう業績の伸ばせよ、ってなる訳ですね。(もちろんそのような逆転発行はあります。ただ大概両方とも主幹事は一緒ですから、運営は苦労します。そのようなケースで発行に踏み切るってのは結構政策的要素が強いのです)



ちょっと焦点がぼけてしまいましたが、如何でしょうか・・・?
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よくわかりました。 (やまどら)
2005-12-21 23:26:03
ご回答ありがとうございます!大変よくわかりました。



小鬼さんのご説明は平易でわかりやすいです(^^) 簡単なことでも難しく言うことで自分のプライドを満たそうとする方が金融業界には多いような期がしますが、小鬼さんのような人は貴重では?!

ところで「CB解説本」の発行はどうなっていますか?ぜひとも発行していただきたいです。心待ちにしております。





さて、図々しくも次の質問をさせていただいて構いませんでそうか?





転換価格決定のスキームと、発行体にとっての主幹事選択のポイントについて、です・・・



すいません、根本的にCBの転換価格決定のスキームがわかっていないので、めちゃくちゃなことを言うかもわかりません。ご了承くださいませ。



さて、

CB=社債と株式のコール・オプションの同時保有、ということだから、その価格は社債の格付け(社債の価値)とコール・オプションの価格、及び株価に依存する、と認識しています。



然らば、コール・オプションとしての価値、即ち転換価格も重要な価値の要素となるかと。これは、Black-Scholesの公式を用いて計算されましょう。



そこで、発行時に変動し得る未確定な要素は、ボラティリティσだけだと思います。



これらを踏まえると、CBの価格形成&転換価格決定スキームでは、

1.幹事会社がその時点で持っているσで、転換価格の仮条件を一旦算出し、

2.投資家が、独自のσから独自の妥当な転換価格を設定し、割安である限り、購入のbidを入れる

3.投資家同士が競合し、妥当なσから妥当な転換価格が形成される。

であるべきなのかなと思います。



しかし、仮に発行前(公表前)に転換価格が最初に決められているとするならば、もっと単純にCBの価格そのものが上がったり下がったりするだけになるのかと思います。



然らば、

主幹事会社の選定においては、設定する転換価格が大きなポイントとなる、と考えます。いかがでしょうか。



もちろん、もうひとつの要素として、スプレッド分(一般に2.5%程度?)の多寡もありますが。
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Unknown (小鬼)
2005-12-30 07:53:22
と言う事で、やまどらさま、勝手にご質問及びその答えを本日の拙BLOGの記事にさせて頂いちゃいましたので、どうぞ拙記事をご覧下さいませ!!
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