地球の裏からまじめな話~頑張れ日本

地球の裏から日本頑張れ!の応援BLOGです。
証券関係の話題について、証券マンとしての意見を述べていきます

議論しましょう~その2

2006-02-21 06:28:16 | マスコミ、企業
昨日の記事において、密度の濃いコメントやらTBやらリンクを有難うございました。
私は本当に法律も苦手なら国語やら読解も苦手なので、散々考えさせていただきました。
今日は前半はその続きで・・・

まずはdaizouさんや小株主さんがおっしゃっているように、私とじぇいさんの論点には若干のすれ違いがある、ってことです。

『小鬼さん(日経太田氏)がおっしゃっているのは、証券市場という狭い範囲での法令順守という話であり、それに対して、じぇいさんが、日本における法制度という非常に広い概念で反論されており、論点が違うのではないかという気がします。』
それには小株主さんも『内容としては多少違うものの、議論がかみ合わないのではと言うことでは同じ意見です。』
と言う事でした。

確かにじぇいさんは大きな法律全般を指しておっしゃっているのでしょうし、それに対して私は証券市場に限った法律論をかざしている感じで、これは論点整理が必要ですよね。
またそれに対して、びろんさんは、
『議論の適用範囲の違いで論点が異なっているという点はそうだと思います。
ただ、じぇいさんの論調は証券市場という狭い範囲に対してもそうだという前提で述べられていると思います、これは日本の一般の人の見方としてある程度のパーセンテージがあるのではないでしょうか。』
とおっしゃっていらっしゃいます。
本当のところはじぇいさんのご登場を待つしかないのかなぁ、と思いますが。

ここで私が特に証券市場に限ったことでもう一つ言っておきたいことがあります。
それは、一般的には「疑わしきは罰せず」とよく言われますが、こと証券市場に限りますとこれは「疑わしきは行動せず」って事です。
何かどんな小さなことでも、客観的に見て疑われそうな懸念がある場合は、昨今の証券会社はその行動を取りません。仮にそれで大事な顧客を失うことになる可能性があるとしても、です。

前にこんなことが弊社で起こりました。
ある外人の顧客の中小型株ファンドが、非常に小さい銘柄に注目して、それを買い始めました。たまたま買い始めた時期が月末に近く、例えば31日まである月の、29日から買い始めました。ところが29日30日と出来高が少ないために思った以上の株数が買えなかったのです。31日も従来通り非常にケアーしながらのオーダーを出したのですがやはり思うように買えず、仕方が無くそのオーダーを最後は成り行きに変えて、執行しました。結果的にその31日はまあまあの株数が買えました。
月があけて翌1日も同じように注文をだして、結局2日の日にようやく彼が想定していた株数が買えました。

さて、この状況だけを考えれば、全く普通の取引ですよね。ところがたまたま31日の立会いの終盤に、それまでの指値オーダーを成り行きに変えて執行したため、思った株数は変えましたが値段が上にぶれてしまったのです。それは出来高が薄い銘柄ですから当然の成り行きとも言えます。

さて、これに対して当局から「待った」が掛ったのですね。
「それは明らかに引け際の買いあがり、引け値形成、及び月末の値段形成の疑いあり」
との事でした。

顧客も当該セールスもそんな意図は全く無いわけです。単にその銘柄が面白そうだから買ったまでで、両者に取ってみれば言い掛かりだと思えたはずです。
しかしながら私自身が各関係部署と相談した結果、
「今後この銘柄の受注は禁止、さらに同じ顧客で仮に違う銘柄で同様の事が起きた場合、この顧客との取引は一切禁ずる」と言う事になりました。

このケースは「疑わしきはとりあえず罰せず、でも次は罰するよ」になっていて、「疑わしきは行動せず」ではありませんが、それでも皆さんにはどう映るでしょうか?
私個人的にはこれは致し方のないことだと映ります。
どんな理由があろうとも、客観的に見て疑わしく見えてしまう事象ですから、これは罰せられなかっただけお前はラッキーと考えるべき、と映ります。
例え本人やその関係者にその意図が無くても、市場の現実ってのはこんなもんなんですね。

これが今回の議論の何がしかの答えになっているとは思いませんが、市場でのルール厳守の現実がこうなのです。
恐らくこの程度の事が一般社会で起こったとしたら、きっとたくさんの人が、そんなことで顧客との取引関係を見直すきっかけにするのはおかしい、と思うのではないか、と。

毎日同じ道筋を使ってジャリを運ぶトラックがたまたまある日、道にそれをばら撒いてしまった。トラックの運ちゃんは当初からそんな意図は全く無かったのに、結果としてばら撒いたのは事実で、その周辺の方々はそのジャリを一生懸命片付ける運ちゃんを見れば、もしかしたらみんな手伝ってキレイにすると思うのです。誰も「へい運ちゃん、今回は何も問わないけど、次回これをやったらもうこの道はお前は通れなくなると思えよ」なんて言いますか?
それほどまでに証券市場ってのは疑ってかかられるわけなのです。
みなさんがコメント欄でおっしゃって下さったように、一般社会と証券市場ではその法律の利き方というのかな、それが違うのは事実です。
それだけがんじがらめにされているのですから、それを守れば何かあった時それが法律の範囲内であればやっても良いでしょう、と考えてしまうのです、と言うのは少々傲慢でしょうか。


~~~~~前半終わり

後半は一言だけどうしても言っておきたいことがありました。

『東京証券取引所の西室泰三社長兼会長は20日、都内で講演後、粉飾決算の疑惑が浮上しているライブドアの株式上場廃止の可能性に関する記者団の質問に対して、「検察や証券取引等監視委員会の発表の中身による」と述べた。
ライブドア前社長の堀江貴文被告などが粉飾決算の容疑で再逮捕された場合に関する記者団の質問に対しては、「できれば起訴・告発の方が重いと思うが、発表のなかで信じるに足りるのであれば上場規定に抵触する」と語り、起訴・告発のほか再逮捕でも上場廃止にする可能性があることを明らかにした。』

みなさんこのニュースを耳にされたか目にされたかと思う。
私は本日このニュースを見て真っ先にしましたよ、果たしてライブドアがまだ取引時間の短縮を受けているかどうか、をね。
そしたらいまだに受けているのですね、午後の最後の1時間だけの取引ですよ。
東証が上場廃止を示唆し、さらにマスコミがそれを煽るのであれば、東証はライブドア社の立会時間を通常通りにとっとと戻すべきでしょうが。
前に書いたように、仮にライブドアが上場廃止になっても、その株券の価値は会社が存続する限りは、あります。
ありますが、上場廃止後の株券の処理と言うのは結構骨が折れるわけです。一体どこに株券を持っていけば良いのか、マスコミはそういう大事な事をちっとも示唆してくれませんわな。これには主幹事証券等が一生懸命になるべきだと個人的には思うのですがね。
つまり、上場廃止を示唆するのであれば、その未来を決める東証は、それであればきちんとした立会い体制をライブドアに対して取るべきだと思うんですよね。
仮にそれがいよいよ現実味を帯びてきて、またまた連日ストップ安になった場合、東証には本当に責任が無いと思われますか?
通常の銘柄同様、きちんと朝から引けまで立会いを行って結果そうであれば、それは仕方が無いかもしれませんが、たったの1時間しか立会いをやらないで仮にそうなった場合、いつまでも「システムの不備」なんて神通力が通用するんですかね?
何故にマスコミはそういうところをきちんと糾弾しないのか、百歩譲って私がマスコミに対してなんら感じることは無い人間であったとしても、やっぱりこれは解せないのですなぁ。
どう思われます?これは別にお前が吼えるべきことでもなんでもなくて、極めて自然でしょう、って思われますか・・・・・・?





4 コメント

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抽象的過ぎるかもしれませんが (daizou)
2006-02-21 18:48:37
今回の議論の中でポイントの一つとなるのは「公正」ではないかと思います。



実体の見えない(見えにくいというべきでしょうか)証券市場の信頼性の基盤となっているのは、そこで行われている取引が「公正である」と客観的に判断できるという点にあると思います。



そしてさまざまな文化や背景を持った企業や個人が参加する市場において、この客観性を担保するのが明文化された法律や規則であると思いますし、これらの法律・規則に従っている限りにおいて、その取引は客観的に「公正である」とみなされるのだと思います。



小鬼さんが挙げられた事例は、取引の当事者の主観的判断からは「公正である」ものに対して、客観的な基準を当てはめてみたら「不公正である」と判定された例ではないかと考えます。



この視点でJ-COMの問題を見てみると、各証券会社がとった行動は客観的な基準に当てはめた場合には「公正である」と判定されるものに対して、某大臣が「俺様の主観的な判断では不公正だ」としてしまったうえに、その利益を返還(寄付)させてしまうという本来あってはならない異常な事態であると言えるのではないでしょうか。



またライブドアの上場廃止論にしても、法律や東証の規則という客観的な基準からは、現状ではまだ上場廃止を論ずることができないのに、一企業に過ぎない某証券取引所の社長さんが「俺様の主観的判断ではライブドアは上場廃止だ」といっているようなものではないでしょうか。



このように客観的基準を司るべき行政と市場のトップが己の主観的判断を振りかざすような国に対しては、やはり海外の方も投資したくないと思ってしまうのではないでしょうか。

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全くもって同感です。 (n-tyan)
2006-02-22 03:44:03
>つまり、上場廃止を示唆するのであれば、その未来を決める東証は、それであればきちんとした立会い体制をライブドアに対して取るべきだと思うんですよね。



全くもって同感です。



LDの超希釈分割が成された時点で、システムの限界を超える取引は予想できたはずです。それを今回のLDショックを機に取引全名停止したのは何の言い訳もできないと思います。言い訳をするくらいなら、LD株式分割の段階で異議を唱えて分割に物議を醸す事もできたはず。後付けは苦しい言い訳に過ぎません。



近日、「魔の30分」と言われていてもそれを是正しようとしない姿勢、またLD取引を即日決済で行うという足かせをかせながらも取引時間を1時間に限定する姿勢。



後日、LDの上場廃止如何に関わらず、現在のこうした煮え切らない東証の対応は物議を醸す事と思います。株式市場を運営する側としての公平性に問題があると今の時点で僕は感じています。



近い将来、東証が上場…、という運びになった際には、僕は即日整理ポスト入りを心の中で声を大にして叫びたいと思います。
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ドリコム (COLE)
2006-02-22 14:30:45
先日は私のコメントを取り上げてくださりありがとうございました。



マスコミについて、もう一件面白い(というか腹の立つ)ことがあります。

ライブドアに関しては、既にご存知のように「違法ではないけれどズルイ行為」(ズルイという表現は曖昧ですが、ちゃんと調べもせずに株を買う投資家をひっかけるような行為。違法ではなくてちゃんと調べれば分かるので、調べない方が悪い行為)が、強制捜査前から例えば山根さんのブログで指摘されていたにも関わらず、マスコミは知らないか、知ってても報じずにいました。

それが強制捜査後は一転、違法行為は当然として「違法ではないけれどズルイ行為」まで叩きまくっています。



ところがその一方で、日付と社名を伏せたら「これってオン・ザ・エッジのマザーズ上場時の目論見書ですか?」と思うような、全く同じ「違法ではないけれどズルイ行為」をしている企業を「第三世代のIT企業」として持ち上げています。ちなみに第一世代はソフトバンク、第二世代は楽天、ライブドアだそうです。

腹が立つのを通り越して「この人たちの頭の中はどうなっているのだろう?」と不思議に感じています。





東証についても言いたいことは山ほどあるのですが、長くなりますのでYahoo掲示板に書いたもののアドレスをURL欄に書いておきます。





n-tyanさん、



> 近い将来、東証が上場…、という運びになった際には、僕は即日整理ポスト入りを心の中で声を大にして叫びたいと思います。



私が市場に魅力を感じることは、己が正しいと思った行動を実現できる点です。

世論や選挙結果が私が間違いだと思う方向に向かっても、私に出来ることはあちこちに書き込むくらいしかありません。

東証の即日整理ポスト入りも、心の中で叫んでも実現はしません。

だけど、株を買わない、地合いが悪いときは真っ先に空売りする、という行動を取ることは出来ますよ。
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Unknown (n-tyan)
2006-02-24 05:42:19
COLEさん



ご返信ありがとうございます。



>私が市場に魅力を感じることは、己が正しいと思った行動を実現できる点です。



なるほど…。単純明快で、最も適切に市場を表現した言葉ですね。とても印象に残りました。



>だけど、株を買わない、地合いが悪いときは真っ先に空売りする、という行動を取ることは出来ますよ。



今般の出来事でそれをとても深く実感しました。LDショックと踏んで、同業種の別銘柄に注力したのですが、連想売りでLDほどではないですが、ほぼ同じ運命に…。キャッシュでのノーポジションが一番の正解であったと実感しましや。先ごろ生まれて初めて信用口座を開設しましたが、まだまだ初心者なので慎重に信用取引をしようと思っています。「空売り」は自分にとってはまだまだ先の話です。現物でのホールドポジション・ノーポジションで、十分に自分なりのセオリーを磨いて、空売りにも挑戦してみたいと思います。
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