あれから、しばらくの間、ふてくされたように、こちらが話しかけても返事もしない。
あの日、カイが質問してきた日。
せっかく、本心を言ったのに。
「カイ、君を選ぶよ」って。
「その後、僕は他のみんなの後を追う」
って言ったのが、おもしろくなかったんだろ、きっと。
まぁ、仕方ないか。
その真意なんて、おまえはわかるはずもないし . . . 本文を読む
「なにか隠し事してない?」
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昨晩、外食から戻って来たスホヒョンと宿舎の廊下で鉢合わせした。
挨拶もそこそこ、いやに慌てて自室へ行こうとする。
いつもは挨拶にうるさいのに。
しかも様子が明らかに変だ。
コートの中に何かを隠し持ってる…。
なんだろ…
気になったけど、眠気の方が勝ったのでその夜はそのままにして、翌朝なにか隠し事をしていないか、尋ねると、
「してないよ、 . . . 本文を読む
「ちっちゃいチャニョルについて、これ以上、騒ぎ立ててはいけない」
と、スホヒョンが、僕らに、かん口令を出しました。
だから、マネヒョンたちにも内緒です。
だけど、同時にそれは、僕らに、自分たちの無力さもわからせる結果となりました。
だって、僕らだけでは、自由に動き回ることに、制限がありすぎて。
「 おうち」だって、どうやって探せばよいのやら。
「大丈夫。この子の仲間も、 . . . 本文を読む
朝、目が覚めると、目の前にちっちゃいチャニョルが寝ていたので、
ああ、これはまだ夢の中なのか、それとも現実なのか、
と、はっきりとしていない頭で考えていると、
「おっはよー!」
と、大きな声の、大きなチャニョルがドアを開けて入ってきました。
隠す隙も与えられず、ちっちゃいチャニョルは、彼に見つかってしまいました。
驚くかと思ったら、別にそうでもなく、
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チョコレート色の夜でした。
練習を終え、宿舎に戻る道の途中、
ちっちゃな声で、僕の名前が呼ばれた気がした。
それは足元からのような気がしたので、
立ち止まって下を見ると、
ちっちゃなチャニョルが両手を僕にむけ、なにかワアワア叫んでる。
ちっちゃいから、なにを言っているのかわからない。
でも、たしかにあの耳は、チャニョルなので。
僕は手の平を差し出して . . . 本文を読む
ご挨拶が遅れました。
KOKOともうします。
別のお部屋で同じようなタイトル(12angels)で、EXOちゃんたちを応援するブログをしております。
ほんとは、そちらを始めた当初は、架空のお話を書いて載せるだけのお部屋のつもりだったのですが、EXOの記事も書いたりしているうちに、
カムバだグリパだ、そしてその後押し寄せる「現実」という名の怒涛の攻勢に、
現実とファンタジーは共存できないと . . . 本文を読む
朝、目が覚めると、記憶がなかった。
此処がどこかも、自分が誰かも。
部屋にあった鏡を覗き込んで、それが自分だと認識するのに、しばらく時間がかかったくらいだ。
まず、ここが何処であるかを把握しようと、周囲を見回したが、「部屋」であることしかわからなかった。
とりあえず、「部屋」を出た。
廊下を歩いていると、
「あれ、今朝は早いね」
と声を掛けられた。
曖昧に笑みを浮かべ、その人の後に . . . 本文を読む
真っ黒で、悪魔みたい。
初めて会ったとき、そう思ったよ。
そう言って、ルハニヒョンは笑った。
「なんだよ、それ。それはタオだろ~」
と言うと、
「どうして?タオは、会って話したらすぐ、悪魔じゃなくて赤ちゃんだ、って、わかるじゃん。
でも、お前は、しばらく印象変わんなかったもん。」
&he . . . 本文を読む
ぼくが事務所に入って、はじめてジュンミョニヒョンを見たとき、
こんなにも綺麗な人っているんだ、と驚いた。
そして、こんなにも優しい人がいるんだとも。
ジュンミョニヒョンは優しい。
ぜったい、怒鳴らない。
ぜったい、裏切らない。
みんなに、等しく、優しい。
だから。
「もし、ぼくらが吊り橋なんかを渡ってて . . . 本文を読む
「今朝から俺たち、一言も喋ってないよ」
ずっと、移動の車中でも、珍しく本なんか読んじゃって。
本から目も離さないで生返事ばかりするチャニョルにそう訴えると、
やっとこちらを見て、
「ごめん。あと、少しだから。」
そう言ってまた本に目を戻す。
「何が少しなの」
「…犯人、もう少しでわかりそう…カイが貸してくれた本、日本の作家のだけど、面白くて… . . . 本文を読む
星をひとつ拾いました。 それは青い青い星でした。 そっと手のひらに乗せてみると、ひんやりと冷たかった。 家に帰って、テーブルの上に置いて眺めていると、その青い光に吸い込まれそうになった。 突然、ドアをノックする音がして、開けていないはずなのに、目の前に、ひとりの男の子が立っていた。 「それ、ぼくのだから、返して」 突然現れた少年は、ぶっきらぼうにそう言うと、手のひらをこちらに差し出して . . . 本文を読む
ある日、罠にかかっていた鹿を助けたら、
その夜、鹿が僕を訪ねてきた。
「こんばんは。今夜は星が綺麗ですね」
と、星を閉じ込めたような瞳をした鹿がそう言うので、僕も、
「こんばんは、そうですね」と返した。
「こんな夜は、一人でいるのは、もったいない」
そう言って、ずかずかと、開けたドアから入り込むので、
ずいぶん図々しい鹿だな、と思った。
だって、僕は、たいそう自分のテリトリーというも . . . 本文を読む