*大好きな安房直子さんの『鳥』というお話をそのままカイスホに置き換えてみました。
耳のお医者さんはベッキョンかな。チャニョルでもいいな。
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「先生!
大変です!
僕の耳にとんでもないものが入り込んでしまったんです、すぐに取り出してください!」
土曜の午前の診察が長引いて、遅めの昼食を取りうつらうつらしていた僕の腕を揺すって叫んでいるのは初めて見る少年だった。
あれ? . . . 本文を読む
世界の果ての
金の森と
銀の森に
それぞれ少年が住んでいました。
ふたりは出逢うことは決してなかった。
けれど
生まれたときから、
お互いの存在を知っていたのです。
ある、星が泣く夜、
彼らはそれぞれ、自分自身が住む森の、一番先まで歩いて行きました。
. . . 本文を読む
君を初めて見た時、心臓が凍るかと思った。
違うな…初めてじゃない、二度目に見た時だ。
そりゃ、夜中に初めて会って、
「あなたの命の期限が迫りました」
って言われた時も凍るかと思ったけど。
昼間に事務所で会った二度目の方が、驚いた。
でも、もしかしたら、俺はあの時寝ぼけてて、今回会うのが初めてなのかも…
そう思って、観察し . . . 本文を読む
びっくりしたよ、お前が仕事を辞めて地上に降りたってきいて。
びっくりしてとんできたんだ。
そりゃ、大騒ぎだよ、トップセールス誇ってたお前が、
変な契約交わしてそいつの寿命延ばしてやっただけでなく、
そいつが契約破った時点で、ペナルティーがお前にだけ科されるだなんて。
でも、元気そうでなにより。
それに、変わったな、お前。
以前は、にこりともしない、お堅いエリートだったのに。
&nb . . . 本文を読む
どうも、こんばんは。え? 誰だ、って?死神ですよ。ええ。そう、あなたを迎えに来たんです。え、冗談?冗談なんかじゃありません。僕は執務に忠実な、ただの死神です。ああ、ええ。お気持ちはわかります、みなさん、初めはそうおっしゃるんで。でも、待てません。言ったでしょう、僕は執務に忠実だって。加えて言えば、僕は冗談言ったり、ふざけたりするタイプじゃないんで。…で . . . 本文を読む
それは、月の光が辺りを青く照らす夜でした。
僕が夜道を歩いていると、その人は、ちょうど羽根をたたんでこちらを振り返ったところでした。
ものすごく 白い。
それも、青に近い 白さ。
そんな風に僕がその人に見とれていると、
何事もなかったようにその人が微笑んで、
今日から此処で暮らしてゆくので、泊まる処など世話して . . . 本文を読む
「報告は以上です。」そう言い捨てると足早に立ち去ろうとする彼の横顔を、私は黙って見送った。君は随分と変わった。言ってもせん無いことだとわかっていても、同じ言葉が口をつく。いつからだろう、君が変わった、と、感じるようになったのは…けれど、それは、初めから予定されていたことなのではないのか…?君を送り込むと決めたときから、あの方は、すでにわかっていて&h . . . 本文を読む
星をひとつ拾いました。 それは青い青い星でした。 そっと手のひらに乗せてみると、ひんやりと冷たかった。 家に帰って、テーブルの上に置いて眺めていると、その青い光に吸い込まれそうになった。 突然、ドアをノックする音がして、開けていないはずなのに、目の前に、ひとりの男の子が立っていた。 「それ、ぼくのだから、返して」 突然現れた少年は、ぶっきらぼうにそう言うと、手のひらをこちらに差し出して . . . 本文を読む
ジュンミョニヒョンからは、花の、甘い香りがした。
そして、指先から、白い花が、こぼれる。
そんな現象を初めて見たときは、信じられなかった。
なにかの見間違いだと思おうとしたが、食事時で、メンバー全員が、見ていた。
パンに手を伸ばし、それに触れた瞬間、白い指先から、白い花がこぼれた。
白い花は次から次へと零れ落ち、食卓に残され、言い訳を受け付けない証拠として残った。
その日から、ヒョンは、 . . . 本文を読む