ほんとに。まったく。あなたって、そういうところ、ありますよね。
ひとのこころがわからないところ。
「その荷物、全部抱えて行くんですか」
「…ああ。そうだよ」
「ひとりで?」
「ああ、そうだ」
「知ってますか?ぼく、わりと、力持ちなんですよ」
「ああ、そうなの?でも、だいじょうぶだよ。これは、ヒョンのお仕事だからね」
そう言って、すたすた . . . 本文を読む
「僕は捨てられたんだ」
あらためて言葉にしてみると、心に突き刺さる。
タオが、僕に寄ってきて、「フナ、かわいそう」と言って抱きしめてくれる。
「タオも、捨てられたんだ」
意地悪な僕の言葉に、タオは動じることなく、「ぼくは、これで2回目だ」と言った。
1回目が誰になのか、聞かなくても、わかる。
でも、それとこれとは少し、違う。
「…うそだよ . . . 本文を読む
「スホヒョンの話、聞いた?崖から、ってやつ」
チャニョルが、ゲームの手を休めず、話しかけてきた。
「うん。きいた」
ぼーっとテレビを見ていた俺も、そのままの姿勢で答えた。
チェンから聞いたとき、ずいぶんと、キツイ話だな、と思った。
崖から落ちそうなメンバーのうち、スホヒョンが誰を助けるか、なんて。
答えなんて、聞く前からわかる。
秘蔵っ子のマンネか、世界のダンサーか、 . . . 本文を読む
カイの背中を見送った後、ぼんやりと視線をリビングの中に反転させると、
「あ~あ。やなこと聞いちゃった」
そう言って、チェンが、リビングのソファのかげから出てきたので、驚いた。
「なんだ、いたのか」
「出て行くタイミングを失って。最後まで、聞いちゃいました。」
ギョンスまでいた。
「そうか」
「そうか、って。なんだろ、その冷静さ!まぁ、そういうところ、ありますよね、あなたって」
「そ . . . 本文を読む
あれから、しばらくの間、ふてくされたように、こちらが話しかけても返事もしない。
あの日、カイが質問してきた日。
せっかく、本心を言ったのに。
「カイ、君を選ぶよ」って。
「その後、僕は他のみんなの後を追う」
って言ったのが、おもしろくなかったんだろ、きっと。
まぁ、仕方ないか。
その真意なんて、おまえはわかるはずもないし . . . 本文を読む
ぼくが事務所に入って、はじめてジュンミョニヒョンを見たとき、
こんなにも綺麗な人っているんだ、と驚いた。
そして、こんなにも優しい人がいるんだとも。
ジュンミョニヒョンは優しい。
ぜったい、怒鳴らない。
ぜったい、裏切らない。
みんなに、等しく、優しい。
だから。
「もし、ぼくらが吊り橋なんかを渡ってて . . . 本文を読む