ちっちゃいチャニョル・2

2014-09-23 | ちっちゃい・シリーズ

朝、目が覚めると、目の前にちっちゃいチャニョルが寝ていたので、

ああ、これはまだ夢の中なのか、それとも現実なのか、

と、はっきりとしていない頭で考えていると、

「おっはよー!」

と、大きな声の、大きなチャニョルがドアを開けて入ってきました。

 

隠す隙も与えられず、ちっちゃいチャニョルは、彼に見つかってしまいました。

 

驚くかと思ったら、別にそうでもなく、

「あれ、なに、これ」

と、まだ寝ているちっちゃいのを摘まみ上げる始末。

 

ああ、よせよ、乱暴に扱うなよ!

と、取り返すと、僕の手の中で、ちっちゃいのが震えているのが伝わってくる。

「今の、なに?」

「チャニョルだろ」

「チャニョルは、俺だろ」

「これも、お前だろ」

「いや、違うだろ…」

 

そんな会話をしていると、メンバーが次第に集まってきました。

ああ。タオがいなくてよかった。

あいつがいたら、かわいぃぃ~って、ぎゅうぅぅ~ってされて、

こんなちっちゃいの、すぐ潰れちゃう。

 

「まず、その手の中に隠しているものを見せてよ」

スホひょんが冷静に言うので、そっと、ベッドの上に、ちっちゃいのを乗せました。

みんな、ベッドの周りに跪いて、そっと、ちっちゃいのを見守ります。

だれも手をあげたり、声を荒げたりしません。

良かった。と、僕は思いました。

きっと、ちっちゃいのにも、僕らが味方だ、って、伝わったはず。

 

「昨晩、道で拾ったんだ」

そう言うと、

「得体の知れないものを拾ってはいけません、って、あれほど…」

「言われてないです」

「そうだけどさ、そこは常識的にさ」

「だって、犬や猫に持って行かれたりしたら、可哀相だと思って」

「だからって、お前が拾ってどうするの?」

「育てます。ちゃんとお世話するから、お願い」

「そんな上目遣いしても、ダメ」

「だめ?」

「だめ、です」

そんな僕たちのやり取りを、ちっちゃいのは黙って見ていました。

 

「…待った、なんか言ってる」

と、ディオが言うので、ちっちゃいのに顔(耳)を近づけると、

「…」

なにか言っているのはわかるのだけれど。

なにを言っているのかはわからなくて。

とりあえず、朝ごはんを食べよう、とスホひょんが言いました。

 

カイが、ゆっくりと近づいてきて、

僕の手の中のちっちゃいのを優しくそっと撫でながら、

「きっと、おうちに帰りたがってる」と、言いました。

ああ、核心だなぁ、と思ったけれど。

「どうやって、おうちを探すの?」と、きいてみました。

すると、

カイは、じっと僕の瞳を見つめて、

「かえしたくないの?」と、言いました。

それも、核心を突いてる。

この子は、いつも、そういう子なのです。

ダイレクトに、ひとの心に入ってくるのです。

「わかった。ジョンイン、おうちに帰してあげよう、な」

そう僕が言うと、カイは嬉しそうに頷きました。

 

そうです。きっと、このちっちゃいチャニョルの仲間だって、彼を探していることでしょう。

 

でも、

とりあえず、今は朝食を。

 

 

 



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