どうも、こんばんは。え? 誰だ、って?死神ですよ。ええ。そう、あなたを迎えに来たんです。え、冗談?冗談なんかじゃありません。僕は執務に忠実な、ただの死神です。ああ、ええ。お気持ちはわかります、みなさん、初めはそうおっしゃるんで。でも、待てません。言ったでしょう、僕は執務に忠実だって。加えて言えば、僕は冗談言ったり、ふざけたりするタイプじゃないんで。…で . . . 本文を読む
それは、月の光が辺りを青く照らす夜でした。
僕が夜道を歩いていると、その人は、ちょうど羽根をたたんでこちらを振り返ったところでした。
ものすごく 白い。
それも、青に近い 白さ。
そんな風に僕がその人に見とれていると、
何事もなかったようにその人が微笑んで、
今日から此処で暮らしてゆくので、泊まる処など世話して . . . 本文を読む
「報告は以上です。」そう言い捨てると足早に立ち去ろうとする彼の横顔を、私は黙って見送った。君は随分と変わった。言ってもせん無いことだとわかっていても、同じ言葉が口をつく。いつからだろう、君が変わった、と、感じるようになったのは…けれど、それは、初めから予定されていたことなのではないのか…?君を送り込むと決めたときから、あの方は、すでにわかっていて&h . . . 本文を読む
カイと同室になって驚いたのは、彼の寝起きの悪さだった。
目覚まし時計が鳴っても起きない。
耳元に置いてやっても布団にもぐってまだ寝てる。
そのうち音のうるささに、こちらが根負けして止めてやるのだ。
いよいよ起きなきゃまずい時間に布団を剥ぎ取ると、
こちらに向けて長い両腕を躊躇なく伸ばしてくる。
まるで 「起こしてくれ」 とでも言うように。
いくら俺の方が年が上でも、背 . . . 本文を読む
ねぇ、ヒョン、知ってた?
宇宙がはじまったころ、あたりは塵ばかりで、
それらが集まってひとつの、さいしょの星ができたんだ。
その塵が、今の僕たちの元なんだよ。
でもね、
その塵の、ほとんどが、
ダークマターっていう
目に見えない物質なんだって。
だからかな。
だから、僕らの心も、見えな . . . 本文を読む