東京昆虫記

東京の自然環境に棲む昆虫たちの生態写真
.My Real Insects Photo Style in Tokyo.

雑木林の大物

2022年07月07日 | クワガタ
7月上旬で、トンボ以外に物凄く気になる昆虫がいる。それはいつの世代でもトップクラスの人気種、雑木林の王者 ミヤマクワガタだ。生息地は平地より標高がある夏でも風通しが良く、コナラ、クヌギ、イタヤカエデ、タブなどが生え、適度に管理が行き届いた明るい雑木林を好む。特に大型クラスはシーズンスタート直後に出会える可能性が高く、猛暑が続く8月には減少するので今しかない。

Nikon D800E+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
沿岸部のフィールドで良くお会いするKさんをお誘いして水辺から雑木林の各フィールドを楽しんだ。

Nikon D800E+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
ここも殆どのコナラがカシノナガキクイムシの被害に遭われていて、穿入した痕跡の木クズ(フラス)が目立つ。その影響により樹液が出ている木も多く期待できそうな様子にあったが、クワガタどころかカナブンやハチの姿もない状況。ただ、クワガタが集まる樹液場は毎年変わり、カシノナガキクイムシとの関係性も今のところ良く分からない。一本一本丁寧に見て行くのと、蹴り落としを繰り返して行くしか方法は無いく、東京都のミヤマクワガタの樹液採集は、とにかく体力勝負で、熱心症にも十分注意して挑まなければならない。夜間に行う光に集まる習性を利用したライトトラップとは、またひと味違い、出会えるまでの努力と苦労を含めた過程が樹液採集の楽しさだ。昨年、一昨年は以外とすんなり採れたのに、いくら林を進んでもクワガタからのコンタクトがないまま、体力だけが失われていった。今年は雨が少なく早くも猛暑だからダメなのか?それともまだ早いのか?もしかしたら誰かに先行されて採られた後なのか?そんな不安がよぎる中、休み休み蹴り落とし作戦を続けると大きめの物体が落ちた。デカミヤマか?それは...

シロスジカミキリ

Nikon D800E+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
全長70mm 日本最大のカミキリムシ。東京都で見たのは初めて。全国的に減少傾向にあるようでミヤマクワガタよりも希少種とされている。樹液が出る原因としてこのシロスジカミキリを代表とする、クヌギ、コナラなどを食害するカミキリムシの仲間が、産卵や脱出した痕から流出した樹液にカブトムシやクワガタが集まっていた。しかし、シロスジカミキリの減少とともに樹液場が減ってしまったとされている。しかし、近年カシナガキクイムシの被害により樹液場は再び増加傾向にある。ただ、シロスジカミキリもカシナガキクイムシも里山の管理者からは樹木を食い荒らし、やがて枯らしてしまう害中として厄介者扱いだ。

Nikon D800E+AI AF-S Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
以前、葛西臨海公園でシロスジカミキリが大発生しているとの噂を耳にしたけれど、今でも健在なのだろうか。そう考えるとミヤマクワガタが生息する山地から沿岸部にまで広く生息している事になるので、希少種と言うよりも、好みの樹木の状態に合わせて、局地的に生息して多産する生態なのかも知れない。十数年ぶりにシロスジカミキリと出会えた事が嬉しく、興奮冷めやらぬまま、本命のミヤマクワガタを求めて、コナラをキックしながら林を進んで行くと、再び大型の何かが落ちた感触を掴んだので確認に急いだ。すると...

ミヤマクワガタ ♂

Nikon D800E+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
苦労した甲斐あり。ようやく本命に出会えた。
しかも大型のデカミヤマ。デジタルノギスで計測した結果 68mm。

Nikon D800E+AF-S Nikkor 20mm f/1.8G ED
この大顎と体型は大人になった今でも、シーズンになれば絶対に出会いたくなり、いつの世代からも人気を誇るカッコ良さがある。地方じゃない、紛れもなく東京都のミヤマクワガタだ。

撮影日:7月2日


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