恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

若狭endで、蘭はどうなったか?

2014-07-19 16:03:09 | ヤンデレ天国~華麗なる西園寺家編

ヤンデレ天国~華麗なる西園寺家編~/HOBiRECORDS

 

 

 

町外れにある古びた洋館。
何時からそこに建ち、誰が住んでいるのか…。
気味悪がった人々は1人も近づくことはない。

ある日のこと。
主人公は錆び付いた門前に立ち、チャイムを押す。
彼女を出迎えたのは、
館の住人である双子の青年達だった。

西園寺蘭 CV櫻井孝宏
24歳。冷徹で高圧的な性格。
感情を余り表に出すことがない。
自分と弟以外の人間に興味はない。

西園寺若狭 CV羽多野渉
24歳。社交的で人懐っこい性格。
感情の変化が豊か。
主人公には病的なくらい懐いている。

主人公
西園寺家の住み込みメイド


Youtubeが削除されてしまいました。
ただ妄想の方は続けて行きたいと思います。


☆☆☆☆☆

若狭endでは、蘭がどうなったかというのが謎ですが、それを妄想していたら一つのお話になりました。ただし、ヘビーな内容になりましたので、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
 私的にはヒロインのことを想いながら、自らの運命を受け入れて死んで行く蘭を気に入っています。

ヒロインの名前は玉井美緒と名付けます。
 蘭と若狭に「どっちを選ぶのか」と詰め寄られたヒロイン。思わず、以前から親しい若狭を選んでしまう。

☆☆☆☆☆

美緒「若狭さんと一緒にいたいです」
若狭「やっぱり美緒ちゃんは、僕を選んでくれたんだね」
蘭「美緒…。」

 ショックのあまり俺は呆然とした。この頃は美緒と気持ちが通じたと感じる時が増えていたからだ…。
 その時、美緒に笑顔を向けていた若狭が突然俺に近づき、その瞬間体中に激痛が走った。そして、俺は崩れ落ちるように倒れた。
 美緒の悲鳴。俺は体を動かそうとするが、全く自由が効かない。若狭はポケットから手錠を出して、俺の手首にかけた。

若狭「スタンガンだよ。兄さん。」

 若狭はさも愉快そうに笑う。

美緒「蘭さん、大丈夫ですか? 若狭さん、どうして?」
若狭「動けないけど、意識はあるから大丈夫。僕たちの会話もちゃんと聞こえてるよ」

 若狭は乱暴に俺を引きずると、俺の部屋に連れて行き、黒檀の机にもたれかけさせた。そして、机の足に手錠を渡すと俺のもう一方の手にも手錠をかけた。
 その間、美緒は「やめて!」と叫びながら、ついて来て、「手錠を外してあげて」と若狭に懇願した。

若狭「美緒ちゃん、なんでそんなことを言うの? 兄さんは僕たちにとって邪魔なだけじゃないか」

 いつもの無邪気な笑顔で若狭が言った。美緒は俺の顔を覗き込んだ。

美緒「蘭さん、大丈夫ですか?」
蘭「ああ、まだしびれて体は動かせないが…」

 美緒が俺の体を擦ってくれる。

若狭「美緒ちゃん、なぜ兄さんのことを心配するの? 僕を選んでくれたはずだろ?」
蘭「美緒! 後ろ!」
美緒「!」

 若狭は美緒の手首を掴んで手錠をかけた。そしてもう一方の手にもかけながら言った。

若狭「美緒ちゃん。君にも手錠をかけないといけないみたいだね。僕を選んでくれたのに、兄さんの相手をするなんて、ひどいじゃないか」

 最後の言葉は甘えるように言った。俺は心底肝を冷やした。努めて冷静に話しかける。

蘭「若狭! 俺はともかく、彼女にまで手錠をかけることはないだろう。早く離してやれ。」
若狭「もう兄さんの命令は聞かないよ。今まで散々俺に命令して、偉そうに」
若狭「美緒、愛しているよ」

 若狭は俺に見せつけるように美緒を抱きしめて、キスをした。

蘭「若狭! やめろ! 俺の前でするな!」

 無駄なのは分かっていたが、手錠のかかった手首をもがいて抜け出そうとした。こすれた手首が痛んだ。

若狭「僕は兄さん思いだからね。アハハハッ。麗しの兄さんにも美緒の悦ぶ顔をみせてあげるよ。兄さんはそこでゆっくり楽しんで」
美緒「若狭さん、やめて」

 若狭は美緒の手錠を片手だけ外し、俺のベッドに連れて行くと、ベッドの柵にもう一方の手錠をかけた。

蘭「やめろ!  おまえが選ばれたんだから、お前の部屋でも美緒の部屋ででもすればいいだろ! 俺のベッドを使うな!」
若狭「うるさい!」

 若狭は鬼のような形相で俺に近づくと俺の顎を蹴り上げた。嫌な音がして、口から血がポタポタ流れる。歯の1、2本折れたようだ。美緒が悲鳴をあげる。

若狭「美緒ちゃん。怖い思いをさせてごめんね。兄さんのことは放っておこう。それより可愛い顔を見せて」

 若狭は美緒をベッドの上に押し倒すと優しくキスをして服を脱がし始めた。

美緒「…若狭さん…やめて…」

 美緒の白い体が露わになる。

若狭「美緒ちゃん、可愛いよ…。恥ずかしがっている顔もとても可愛い」

 美緒の喘ぎ声が聞こえる。若狭が美緒を抱いている間、耐えられなくなると俺は若狭に皮肉を投げかけ挑発した。若狭はその度にイライラしたように俺のところに来ると殴ったり蹴ったりした。
 俺の左の顔面は腫れ上がり、左目は見えにくくなった。肋骨にもヒビが入ったのか、呼吸するたび痛みが走る。


☆☆☆☆☆

 

 いつの間にか、俺は意識を失っていたようだ…。頬を叩かれて目を覚ます。

若狭「兄さん、目を覚ませてよ。寝ているんじゃ面白くない」
蘭「美緒は? 彼女はどうした?」
若狭「安心して。自分の部屋で休んでもらってる。閉じ込めたから、出て来られないよ。」
蘭「そうか…。彼女は大丈夫か?」
若狭「僕が美緒ちゃんに暴力を振るうわけないじゃない。僕は彼女が大好きなんだから。」
若狭「それより」

 若狭は鋭く光るナイフを持ち出して、俺にみせた。

若狭「フフフッ、兄さん、これでどこを傷つけて欲しい?」
蘭「や、やめろ!」

 若狭は俺の頬にナイフを軽く当てると引いた。

若狭「うーん…いい切れ味。兄さん、昔の侍がなぜ切腹をしたか知ってる?」
蘭「なんのことだ?」
若狭「人間はね。お腹を切ってもなかなか死なないんだ。その上、とても苦しい。アハハッ。だから侍は、自分がとても勇気のある人間だということを示すために、わざわざお腹を切ったんだ。」
蘭「…」
若狭「でも、さすがの侍も何時間もお腹の痛みで苦しんで死ぬのは嫌だから、介錯(かいしゃく)人が首をはねて即死させたんだよ」
若狭「だからね。お腹を傷つけられて死ぬのは本当に苦しいんだ」

 若狭は俺のシャツをまくり上げた。

蘭「やめろ!」

 若狭の腕めがけて足を蹴り上げる。ナイフは部屋の角へと飛んでいった。
 手錠で拘束された手首が痛み、ヒビの入った肋骨も痛んだ。

若狭「何をするんだ!! 兄さん」

 若狭は俺を平手打ちにした。俺は今の動きでかなり体力を使い、肩で息をしている。
 若狭は飛んでいったナイフを拾った。無言で近づくとナイフで俺の腹を刺す。
 腹部に鋭い痛みを感じた。

蘭「…こんなことをして、…俺がいなくなったら会社はどうするつもりだ?」
若狭「俺が兄さんの代わりを務めるよ」

 うめき声の合間に答える。

蘭「…お前に…出来るものか。」
若狭「やってみないとわからないさ。それより兄さんは自分の心配でもした方がいいんじゃないの? 惨めだよね。好きな女の子には振られて、苦しみながら死んでいくなんて。」
蘭「うるさい…」
若狭「そうだ。この屋敷の庭に、今は使ってない離れがあるよね。僕たちはこれからはそこに住もうと思っているんだ。この屋敷は僕と美緒ちゃんの楽しい思い出がいっぱい詰まっているけど…。この屋敷には兄さんとの思い出もあるからね。」
若狭「兄さんのことなんか美緒ちゃんには早く忘れて欲しいから、この屋敷にはもう住まないことにしたよ。だから、兄さんはこの屋敷でずうっと1人。死んでからも1人。人嫌いの兄さんには最高でしょ?」

 若狭は楽しそうにニッコリ微笑んだ。腹部が鈍く痛む。

若狭「じゃあね、兄さん」

 扉が閉まり、若狭の去っていく足音が聞こえた。意識がまた朦朧としてきた。


☆☆☆☆☆

 あれからどれくらい時間が経ったのだろう。部屋に差し込む日は陰り、薄暗くなっている。
 もう随分出血したのか、だんだん体が冷えて来始めている。顔はますます腫れ上がり、左目は閉じて見えなくなっていた。
 軽い足音がして、扉の開く音がした。若狭がまた戻って来たのか…。

美緒「蘭さん?」

 こんな状態でも、美緒の声を聞くと胸が躍る。

蘭「美緒!大丈夫か?」
美緒「私は大丈夫。」
蘭「大丈夫って…、お前まだ手錠をされているじゃないか…」
美緒「若狭さんがどうしてもはずしてくれなくて…」
蘭「若狭はどうした?」
美緒「おばあさまから電話があって呼び出されたの」

 美緒は俺の手錠を外そうと、黒檀の机を持ち上げようとしている。

蘭「その机は…黒檀で出来ていて、…とても重い。…女のお前の力で持ち上げられるものじゃない。…無駄なことはやめておけ。」

 これだけの言葉を発するのでも、ひどく疲れた。
 美緒が小さな悲鳴をあげた。

美緒「蘭さん、どうしたの?この血!」
蘭「ああ…。若狭に腹を刺された」

 美緒は俺のクローゼットを開けるとタオルとバスタオルを取って来た。手錠をかけられた不自由な手で俺の止血を試みる。

蘭「もう随分失血してしまった…。今更やっても無駄だ…」
美緒「でも……。蘭さんごめんなさい。私が若狭さんを選んだばっかりに…。蘭さんがこんな目にあって…」

 美緒はポタポタと涙を流した。

 

☆☆☆☆☆

蘭「もう泣くな…。」
美緒「…ごめんなさい。ごめんなさい」

 美緒の謝る言葉を聞いていて、俺はあることに思いいたり、笑い出した。笑うと、腹の傷がますます痛んだが、笑わずにはいられなかった。

美緒「どうしたの?」

 美緒は涙で汚れた顔で不思議そうに問いかける。

蘭「俺は若狭に勝ったなと思うと…、おかしくなって」
美緒「どういうこと?」
蘭「俺は、後数時間もすれば…、死ぬ。…長くても明日の朝には死んでいるだろう」
美緒「やめて!」
蘭「俺が死ぬのは…お前のせいだ。」
美緒「え?」
蘭「お前が俺ではなく、…若狭を選んだせいで死ぬ。お前は俺を殺したも同じだ。」
美緒「ごめんなさい…」
蘭「お前は俺への罪の意識を一生持ち続け…、俺のことを忘れないだろう…。俺は…お前が死ぬまで…、お前の心の中を…俺だけで占め続けることができるだろ?」
美緒「…」
蘭「若狭はお前を拘束したり…、抱いたり…、美緒の体を…独り占めしているつもりでも…、お前の心は…俺のものになる。だから、美緒が俺を選んでも…、若狭を選んでもどっちでも俺の勝ちだ」

 そこまで話すと息が切れた。少し休むと俺は言った。

蘭「美緒…。俺に顔を見せてくれ…。死ぬ前に…お前の顔を目に焼き付けておきたい…」
蘭「左目は開かないし、右目の視力も落ちて来ているから…もう少し近づいて…。そう」

 美緒は涙を流していた。

蘭「…最後まで…。俺はお前を笑わせて…やることは…できなかったな…」
蘭「…美緒、俺の最後の命令だ…。俺に笑顔を見せてくれ…」
美緒「こんな風に?」
蘭「まるで泣き笑いだな…。」

 美緒と見つめ合う。

蘭「…さあ、そろそろ行け。…若狭がこんなところを見つけたら…。」
美緒「でも…」
蘭「…いいから…行け。せっかく…お前の笑顔を…焼き付けたのに、俺の目の前で…若狭がお前をいじめる様子を…俺にみせたいのか?」
美緒「…さようなら、蘭さん」

 美緒は名残惜しそうに振り返りながら、去っていった。扉のしまる音がした。
 今まで張っていた気が抜けて、腹部の痛みがぶり返す。
 …まだ、あと数時間は死ねそうにもない。

☆☆☆☆☆
 若狭endなのに、蘭目線で甘くて(?)切ないラブストーリーになっちゃいました。
 蘭の死でヒロインの心の中を独占できるというのは、蘭endでの蘭の告白から取って来ました。まさにこちらの展開ではそうなっちゃいますよね。
 蘭をかなりひどい目にあわせましたがw、これくらいのエピソードがあると、本編若狭endでのヒロインの絶望感も際立つかと。



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