恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

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一人で無理しないで~その4

2016-05-21 08:23:36 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。


『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


一人で無理しないで~その4

〈百花〉


その日一日気もそぞろで過ごした。

先生から当てられて答えられず、冷や汗をかいた。

講義の間中、時計はなかなか進まなかった。


それでもなんとかその日の講義も終わり、私は急いで帰った。


☆☆☆☆☆


クロフネの戸を開けて入ると、厨房から「おかえりなさいませ」という声がした。


(この声は?!)


百花「滝沢さん!! 譲二さんの看病に来てくださったんですか?」

滝沢「はい。紅一様から譲二様の様子を見てくるよう言われまして」

百花「お医者さんには?」

滝沢「茶倉家の主治医に連絡を取りまして、往診に来てもらいました」


(よかった…譲二さん、お医者さんに診てもらえたんだ…)


百花「ありがとうございます。」

滝沢「いえ、お礼を言うのはこちらの方です。譲二様は自分の体調管理には無頓着なところがありますから、佐々木様が連絡をくださって助かりました」


百花「それで、お医者さんは何と?」

滝沢「熱はないようだし、喉の炎症も大したことはないそうです。軽い風邪のようだが、ただ…」

百花「ただ?」

滝沢「かなり疲れが溜まっているようだと。ですから、なるべくあと3日くらいは安静にして、ゆっくり休むようにと言うことです」

百花「そうですか…。クロフネに帰ってきてから随分と無理していたからですね」

滝沢「紅一様も、『茶堂院のことは心配しなくてもいいからしばらく休むように。体調が治るまで会社には来るな』とのご命令です」


滝沢さんは真面目な顔でそう言ったが、目は可笑しそうに笑っていた。


百花「はい」


(滝沢さんでもこんな表情をするんだ)


譲二さんのことも紅一さんのことも、本当に大切に思っているのだとその表情から読み取ることができた。


滝沢「紅一様の命令ですから、佐々木様からもゆっくり休むように言い聞かせてあげてください」


百花「はい。わかりました」




滝沢さんは喉が渇いたという譲二さんのために厨房でホットレモンを用意していたのだった。

慣れない厨房で戸惑う滝沢さんを手伝ってホットレモンを作った。


そして、ホットレモンの載ったお盆を運ぶ滝沢さんと二階に上がる。


滝沢「これは佐々木様が持って行ってあげてください」

百花「滝沢さんは?」

滝沢「私はもう帰ります。佐々木様がいらっしゃれば安心ですから」


滝沢さんは微笑むと階段を降りていった。


百花「ありがとうございます」


そう声をかけて、滝沢さんの後ろ姿に深々とお辞儀をした。

 


その5へつづく