恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

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ハルくんの独り言(本編15話)~その3

2015-11-18 07:08:23 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編15話)~その2へ


☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

☆☆☆☆☆
ハルくんの独り言(本編15話)~その3

2人で他愛もない話をしながら歩いた。

佐々木と2人だと時間はあっという間に経ち、すぐ教会についた。


春樹「じゃあ、佐々木、ちょっと待ってて! すぐ渡してくるから」

百花「うん」



☆☆☆☆☆



結婚式のスタッフに花束を渡した時に、思い切って聞いてみた。


春樹「すみません。今日の式を少し見学させてもらってもいいですか?」

スタッフ「見学?」

春樹「はい、作ったブーケの具合も気になりますし…」

スタッフ「ああ、そういうことか。種村さんには無理を言って青いバラを手配してもらったし…。
そうだな、後ろの方なら邪魔にならないだろうし、好きなだけ見ていってくれてもいいよ」

春樹「ありがとうございます。あ、それと…」

スタッフ「まだ何か?」

春樹「ブーケを運ぶのを手伝ってもらった友達もいるんですが、その子にも見せてもいいですか?」

スタッフ「ああ、もちろん。」


スタッフは笑顔でうなずいてくれた。


☆☆☆☆☆


俺は急いで待たせていた佐々木を呼びに行った。

俺が呼ぶと、佐々木はきょとんとした顔でついてきた。


百花「勝手に入っちゃって大丈夫なの? もう、配達終わったんでしょ?」

春樹「配達はね。ちょっと頼んで、覗かせてもらえることになったんだ。佐々木、興味あるんじゃないかなって」

春樹「後ろの方で、こっそり見学させてもらおう」

百花「うん!」


☆☆☆☆☆


結婚式が始まった。

佐々木は食い入るように花嫁さんを見つめてる。

俺はそんな佐々木をちらちらと盗み見た。


(あ~、やっぱり佐々木は可愛いなぁ)



一護と付き合ってるわけじゃないと聞いて、内心喜んでしまったけど。

こんなに可愛い佐々木のことは、一護もやっぱり好きなんだろう。

一護の様子をみてると分る。

子供の頃よりずっと仲良さそうだし…。


……俺と佐々木はどうだったんだろう?

みんなは、俺が佐々木ととても仲良くなってたんだよって言ってくれるけど。

それって……。

まさか、恋人?……いや、そんなワケは無いよな。

子供の頃の約束を思い出したからって、俺の願望を押し付けちゃダメだ。

佐々木は覚えていないことなんだし。


その4へつづく



ハルくんの独り言(本編15話)~その2

2015-11-17 06:53:05 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編15話)~その1へ


☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

☆☆☆☆☆
ハルくんの独り言(本編15話)~その2

俺の言葉に佐々木が不思議そうに聞き返す。


百花「約束?」


佐々木はあの時のことを忘れてしまったみたいだ。


春樹「…覚えてないなら、いい」

百花「えっ、なに?教えてよ!」


俺はもういいと言うのに、佐々木は何度も聞いてくる。

俺は少し声を荒げた。

春樹「…いいってば!しつこいぞ!」


あんな…子供の頃の約束を持ちだしたって、佐々木は困ってしまうだろう…。

覚えているのは俺だけでいい…。


春樹「じゃあ、俺これ届けに行かないとだから」

百花「あ、うん。気をつけてね」


そういう佐々木の顔が一瞬寂しそうに見えた。


俺は少し迷ったが、佐々木も一緒にブーケを届けに行くか尋ねた。

佐々木の顔は途端に明るくなった。


百花「えっ、いいの?」


俺は一生懸命言い訳を口にした。


春樹「男1人でこのブーケ持って歩くのはさすがにちょっと恥ずかしいし」

百花「ふふっ、そっか」


本当は佐々木ともう少し一緒にいたいからなんだけど。

そこに気づかれないようにと、言い訳がましく言い募った。


春樹「佐々木が隣にいてくれる方が助かる。プレゼントなのかなって思われれば、まだ恥ずかしくないし」


佐々木は俺の言葉に納得してくれたのか、「わかった」とでも言うように頷いた。



春樹「じゃあ、着替えてくるからちょっと待ってて?」

百花「うん!」


佐々木の弾んだ声を背に自分の部屋に向かう。

佐々木との約束。

その思い出は佐々木の顔いっぱいの笑顔と一緒に俺の記憶の中にある。

佐々木が引っ越してすぐの頃は、いつもあの約束を思い返していたっけ。

だけど、佐々木と会えなくなって、その月日が長くなるに連れ、だんだん思い返すことも少なくなっていた。

心の奥深くにしまいこんで、なるべく考えずに済むようにとしてきた。


病室で目を覚まし、佐々木がこの商店街に帰ってきたと知ってから、また、あの約束のことが思い浮かんだ。

だけど、他愛もない子供の頃の約束なんか佐々木には言い出せなかった。


そっか…佐々木はもう忘れちゃってたのか…。



その3へつづく


ハルくんの独り言(本編15話)~その1

2015-11-16 09:11:19 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編14話)~その5へ


☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

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ハルくんの独り言(本編15話)~その1

退院して、一週間が経った。

勉強の方は教科書や参考書を見ながら頑張ってる。

問題を解く度に、「どれも初めてだ」と思うのに、なぜかすらすらと解けている。

やはり皆んなが言うように「初めてではないから」なんだろう。

勉強と同じように他のことも自然に思い出せればいいのに。

例えば…佐々木との思い出とか…。


そんなことを考えながら店番をしていると、佐々木が入って来た。


百花「こんにちは」

春樹「あれ? どうしたの、買い物?」

百花「ううん、ちょっと近くまで寄ったから…ハルくんどうしてるかなって」


春樹「ははっ、何だよそれ。昨日も会っただろ?」

百花「それはそうなんだけど…」


やっぱり佐々木はあんまり元気がないな…。

なんか佐々木を元気づけるようなことはないだろうか…。


春樹「あ、そうだ…これ、見て?」


俺は奥から青いバラのブーケを持ってきた。

佐々木は目を輝かせてそのブーケに見とれている。


春樹「今から、近所の教会に届けに行くんだ。
すごいよな、青いバラのブーケなんて。
お嫁さんがどうしてもこれがいいって特注してきたんだけど…うちでも取り扱ってないから、卸業者当たって大変だったよ」

百花「すごい…初めて見た!」

春樹「うん、目引くよな。花言葉はね…奇跡の愛だって。不可能ってのもあるけど」

百花「すごい、なんかロマンチック!」



佐々木は興奮したように叫んだ。

子供の頃から佐々木は表情がくるくると変わるのが可愛い。

佐々木の言葉に少し苦笑して付け加えた。


春樹「でもね、今日の新郎新婦はお見合い結婚だって聞いてるけど…」

百花「きっと、お見合いで奇跡的に出会ったんだよ! ステキだな!」


佐々木の目、本当にキラキラしている。

女の子って、そういうのが好きなんだよな。

佐々木がため息といっしょに「結婚式かぁ…いいなぁ」と何度も繰り返した。

俺は佐々木も憧れているのか聞いてみた。


百花「もちろん。女の子だったら、誰だって憧れるよ」


(そっかぁ…)


俺はずっと昔のことを思い出した。

小さな女の子と小さな男の子の他愛もない会話。


春樹「そういえば佐々木。昔、大きくなったらお嫁さんになりたいって言ってたな」

百花「そ、そうだったけ…なんか、子供が言いそうなことだよね…」

春樹「覚えてないのか?」


佐々木は笑って誤魔化している。

俺は小さく呟いた。

春樹「…もしかして、約束も忘れちゃった?」


俺の頭の中にあの日の佐々木の姿が浮かんだ。

ちっちゃな佐々木が顔いっぱいの笑顔で叫ぶ。

百花『やったぁ!約束だよ?』

俺はちょっと頬を赤らめてうなずく。

春樹『うん、約束!』


あれは…子供時代の佐々木と別れた最後の日の思い出だ。


その2へつづく

 


ハルくんの独り言(本編14話)~その5

2015-11-06 08:35:29 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編14話)~その4へ


☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

☆☆☆☆☆
ハルくんの独り言(本編14話)~その5

土手で佐々木と2人、川面を眺めながら、座っている。


俺はこの沈黙が気まずくて、このストラップを外してしまおうかと呟いた。


百花「ダメだよ、外さない方がいいよ」


佐々木は強くそう言うけど…。

このストラップは大事なものだったのかもしれない。だけどそう思うと余計悲しくなる。

だから、やっぱり外してしまおう。

佐々木にもそう告げた。


春樹「いつか思い出せたら…その時に、またつけるよ」


その時、佐々木の携帯にも俺と同じ四つ葉のクローバーのストラップが付いているのに気づいた。


春樹「あれ? 佐々木の携帯についてるの…俺のとお揃い?」

百花「あ…これはね、クラスで課外授業に行った時に、みんなで作ったの。だから、同じものがいくつもあるんだよ」


そっか…だから佐々木の携帯にも同じストラップが付いていたのか…。

話題を変えようと、俺は佐々木にクローバーが好きなのか聞いてみた。


百花「うん。幸福を呼ぶって言われてるし」

春樹「ははっ、そうだよな。ありきたりだけど、持ってるだけでラッキーになれそうじゃない?」


そう言って佐々木に笑いかけると、佐々木は驚いたように何かを言いかけた。


春樹 「どうかした?」

百花「ううん…何でもない」


「なんでもない」と言いながら、佐々木はとても辛そうだ。

ここ数ヶ月間の記憶が無い分、俺は不用意に佐々木を傷つけるような言葉を言ってしまっているんだろう。


春樹「…なんか俺、みんなに悪いことしてる…みんな悲しい顔するから…。佐々木にも、悲しい顔させてる。ごめんな」


百花「そんなことないよ! みんな、ハルくんのことが大好きなんだから」

春樹「…ありがと」


佐々木は優しいからそう言ってくれるけど…。

やっぱり今のままじゃ駄目だ。

何とかして今までの記憶を取り戻そう。


俺のためじゃなく、みんなのため……いや、佐々木のために。


ハルくんの独り言(本編14話)おわり


ハルくんの独り言(本編15話)~その1へ

 


ハルくんの独り言(本編14話)~その4

2015-11-05 08:07:59 | 吉祥寺恋色デイズ 種村春樹

ハルくんルート本編をハルくん目線から妄想してみた。
o(〃^▽^〃)o

ハルくんの独り言(本編14話)~その3へ


☆☆☆☆☆
種村春樹
身長:177cm 体重:60kg 血液型:A型 特技:勉強・空手 性格:明るいしっかりもの。 優しくて明るい爽やか少年。小さなころからしっかりもので泣いているとお花をくれた思い出がある。
4月25日生まれ

☆☆☆☆☆
ハルくんの独り言(本編14話)~その4

ほんの数ヶ月とはいえ、記憶を無くすのは変な気がする。

浦島太郎ほどではないけど…。

授業は知らない所を習っているし、見覚えのない持ち物が増えてるし…。

見知らぬ物の中でも気になるのは、カバンに付けてあるストラップ。

中に四つ葉のクローバーの押し花が入ってる。

何の変哲も無いストラップなのに、これを見ると…なんだかとても切ない気持ちになってしまう。

なぜだろう?

じっと見つめていると、眼の奥からじわりと涙が浮かんできそうになる。

だから、なるべくこのストラップのことは見ないで済むようにポケットの中に隠すようにしている。


☆☆☆☆☆

この頃時々、土手でボーッとするようになった。

ここは昔からみんなとの遊び場だった……。

そう、佐々木がいた頃から…。

だから、ここで水の音を聞いていたら、忘れてしまった数ヶ月の記憶も思い出せそうな気がしてくる。


俺はまたあのストラップを取り出して眺めた。

やっぱり、これを見つめていると悲しい。


その時、声をかけられた。


百花「…ハルくん? こんなところで何してるの?」

春樹「あ…佐々木か。偶然だな」

百花「…何見てるの?」


俺はストラップを佐々木に見せた。

佐々木なら何か知ってるかもしれない。

佐々木はストラップをじっと見つめた。


春樹「俺、見覚えないんだよな…だから、最近つけたのかなって」

百花「う、うん…最近だと思う」


佐々木は俺の隣に腰掛けた。

俺は佐々木に聞いてみた。

りっちゃんが言ってた『思い出さないと後悔するってことに、このストラップが関係してる』のかを。



百花「どうしてそう思うの?」

春樹「なんか…うまく言えないけど、これ見てると悲しくなるんだ…」


佐々木は黙りこんだ。

川のせせらぎだけが2人の沈黙を破っていた。


その5へつづく