恋、ときどき晴れ

主に『吉祥寺恋色デイズ』の茶倉譲二の妄想小説

話数が多くなった小説は順次、インデックスにまとめてます。

小説を検索しやすくするためインデックスを作りました

インデックス 茶倉譲二ルート…茶倉譲二の小説の検索用インデックス。

インデックス ハルルートの譲二…ハルくんルートの茶倉譲二の小説の検索のためのインデックス。

手書きイラスト インデックス…自分で描いた乙女ゲームキャラのイラスト記事


他にも順次インデックスを作ってます。インデックスで探してみてね。



サイトマップ






人気ブログランキングへ

疑惑~その12

2016-09-29 06:26:19 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。

『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


疑惑~その12


〈譲二〉

百花ちゃんの目から一筋の涙がこぼれた。


譲二「ごめん…泣かないで…」


俺はオロオロして百花ちゃんの顔を覗き込んだ。

彼女の頭をそっと撫でる。

だけどどうしていいかわからなくていつもよりぎこちない動きになってしまった。


譲二「言い訳がましいけど…百花ちゃんもみんなも玲さんとは仲良くなってて、せっかく和気あいあいとしているのに余計なことを言って水をさしたくなかったんだ…」


百花ちゃんは俺を見上げて言った。


百花「玲さんとは仲良しになりましたけど、私の一番は譲二さんです」

譲二「ありがとう。わかってるつもりだったのに、ごめんね」

百花「譲二さんは私にとって一番大切な人なんです」

譲二「うん」


その言葉があまりに可愛くて、俺は百花ちゃんをギュッと抱きしめた。

温かくて柔らかい。


譲二「クロフネを移転しようと思ったもう一つの理由はね…」

百花「もう一つ?」

譲二「俺のヤキモチ」

百花「?!」

譲二「バカみたいだろ? いいオジサンのくせしてね。百花ちゃんが玲さんと仲良くしてるのにヤキモチを妬いたんだ…」

百花「…嬉しい」

譲二「え?!」

百花「だって…譲二さんにヤキモチを妬いてもらえるなんて…嬉しいです」


涙のあとをつけたまま、百花ちゃんはニコニコと微笑んだ。


譲二「え?…そうなの?」

百花「そうです。譲二さんは大人で…冷静で、ヤキモチなんて妬いたりしないかと思ってました」

譲二「俺だってヤキモチくらい妬くよ…。だってこんなに可愛い子が俺の恋人なんだから…」


それからしばらくは、他愛もない恋人たちの言葉とキスの音だけが部屋に響いた。

☆☆☆☆☆

頬の火照りが残った百花ちゃんを抱きしめたまま、俺は言った。


譲二「シェアカフェをどうするかはもう少しじっくり考えてみるよ」

百花「悩むことがあったら何でも言ってくださいね」

譲二「うん。焦ってもいいことはなにもないからね」

百花「リュウ兄や桃護さんたちにも安心するように言わないといけないですね」

譲二「そうだね。みんなには余計な心配をさせてしまったから、俺からちゃんと謝るよ」

百花「はい…」


百花ちゃんはトロンとして瞼をつぶると、俺の胸に顔を埋めた。


百花ちゃんと話し合ったことで俺の迷いは吹っ切れた。

もう少しシェアカフェを頑張ってみよう。


そして…遠慮ばかりせずに、一度玲さんともじっくり話し合ってみよう。

そう俺は決心した。



『疑惑』おわり

 次は『悪意』になります。


疑惑~その11

2016-09-28 06:31:01 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。

『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


疑惑~その11


〈譲二〉

譲二「それで…俺が貸し店舗を探しているのを見たんだね?」

百花「はい…ごめんなさい」

譲二「そうか…。いや、謝るのは俺の方だ。ごめん。内緒にしてて」

百花「どうして黙ってたんですか?」

譲二「とりあえず物件を探しているだけで、まだ移転するかどうかは決めかねていたから…」

百花「移転…って、やっぱりクロフネの方を移転させるつもりだったんですか? …どうして?」


(一番の理由は……百花ちゃんを玲さんに奪われるじゃないかと不安だから…)

(ごめん…単に俺の嫉妬心のせいなんだ)


もちろんそんなことは百花ちゃんには話せない。


譲二「最初にシェアカフェを思いついた時はいい考えだと思ったんだ」

百花「はい」

譲二「玲さんにお父さんの店を継がせてあげられるし、クロフネだって今までどおりに続けていける」

百花「はい」

譲二「だけど一緒にやっていくうちに、そんな生やさしいものじゃないってだんだんわかってきた」

譲二「玲さんに気を使いながら営業して、だけどトラブルがあると玲さんに腹も立つ。どんな些細なことだとしてもね」

譲二「それは玲さんも同じだと思う」

百花「そうですね…」

譲二「だからやはり俺と玲さんの店は分けてしまった方がお互いにやりやすい」

百花「でも、それなら玲さんに謝って店を出て行ってもらうことも…」

譲二「それはできない…」

百花「どうして?」

譲二「玲さんはここで開店するためにお金もかなり使っただろ? お客さんにも認知されて、常連さんも少しずつつき始めている」

譲二「今が正念場だ」

百花「だけどクロフネだって…」

譲二「そうなんだ…クロフネにだって常連さんがいる。だから、貸し店舗を探し始めたといっても、クロフネを移転させるという覚悟はまだ固まっていないんだ…」

百花「そうだったんですね…。でもそれならなおさら、私にも相談して欲しかったです」


百花ちゃんは伏し目がちにつぶやいた。


百花「私…クロフネが他所へ行くかもしれないということよりも、譲二さんが私に何も言ってくれなかったことがショックでした」

譲二「ごめん…」

百花「もう何回も言いましたよね? ひとりで抱え込まないで私に相談してくださいって」

譲二「そうだね…。俺の悪いクセだね…」

百花「私…まだまだ頼りないかもしれないけど…。譲二さんの力になりたいんです」


百花ちゃんの目から一筋の涙がこぼれた。

 

その12へつづく


疑惑~その10

2016-09-27 06:42:41 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。

『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


疑惑~その10


〈譲二〉

百花ちゃんが帰ってきた後、それとなく様子を窺うと少し元気がない。

やはり感づかれてしまったのかもしれない。


(まずいな…)


百花ちゃんにクロフネの移転先を探していることを伝えなかったのは、「これ」という物件がすぐに見つかるとは思えなかったからで、別に隠すつもりだったからじゃない。

移転先も決まらないまま「シェアカフェを解消したい」なんて言い出すのは無責任に思えたのだ。


☆☆☆☆☆


百花「譲二さん…お話があります」


百花ちゃんにそう言われて、ドキリとした。


譲二「改まってどうしたの?」

百花「……」


話があるとは言うものの、なかなか切り出せないようだった。


少し緊張気味の百花ちゃんをリラックスさせるため、昔のようにラム入りココアを入れて二人で向き合った。


譲二「それで…話って何?」

百花「あの…」


百花ちゃんはなかなか言葉を言い出せずにいたが、俺は気長に待った。


百花「…譲二さん、また私に隠していることはありませんか?」


鼓動が早鐘のように打ち始めた。


譲二「それは…この頃俺が時々出かけている件についてかな?」

百花「はい…怒らないでくださいね」

譲二「うん」

百花「今日、私、リュウ兄と剛史くんと一緒に譲二さんの後をつけたんです…」


(やっぱり…)

(リュウだけじゃなく百花ちゃんとタケもいたのか…)

 


その11へつづく


疑惑~その9

2016-09-26 06:39:09 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。

『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


疑惑~その9


〈譲二〉

物件を見せてもらった後、不動産屋さんの店でしばらく話し込んでしまった。

慌ててクロフネに帰ってみると既に桃護さんは帰っていて玲さんの店に変わっていた。


玲「おかえりなさい、マスター」

譲二「ただいま。百花ちゃんはもう帰ってきた?」

玲「ええ。でもまた出かけたわよ。リュウちゃんたちとカラオケに行くってね」

譲二「リュウ達と? ハルやタケ、りっちゃんなんかも一緒に?」

玲「そうよ。いっちゃんはいなかったけど、早番だからカラオケ店に直接行ったらしいわ」

譲二「そうか…」

玲「百花からは何も聞いてないの?」

譲二「えっと…」


俺は慌てて携帯を確認してみた。


『ハルくんたちとカラオケに来てます。

夕ごはんは食べて帰ります。

あまり遅くならないようにするので心配しないでください。

          百花』


譲二「あ、メールが来てたよ」

玲「そう。…でも心配ね。若い子たちの中で百花は紅一点だし」

譲二「え? いや…でも百花ちゃんとあいつらは昔からの幼馴染だし」

玲「そんな風に思えるなんて、マスターは人がいいのね」

譲二「ハハ、お人よしに見えますか?」

玲「それがマスターのいいところなんでしょうけどね」


(玲さんがこんなことを言い出すのは俺にヤキモチを妬かそうとしているのか?)


それが妙に気にかかったが、単に玲さんへの嫉妬心からくるものなのかもしれない。

だから、気持ちをなだめつつ曖昧な笑みで返した。

そして他に気になることがあったので、玲さんとの会話は適当に終わらせた。


俺が気になったのは今日一軒目の店舗を見せてもらった後、通りに出た時にリュウらしい人影をみたからだ。

一瞬だったから見間違いかもしれないが。

その同じ日に百花ちゃんとあいつらが集まるというのは偶然だろうか?


貸し店舗を探していることがバレてしまったかもしれない。


その10へつづく


疑惑~その8

2016-09-25 06:32:46 | 譲二の~勝手に3年後編(吉祥寺恋色デイズ)

前にも書いたけど、吉恋本家の譲二ルートの3年後編には色々と不満がある。

久しぶりに吉祥寺に帰ってきた譲二さんとのラブラブな話のはずなのに、新キャラの紹介に使われてたり、色々とモヤモヤするものがあって、私の思う『勝手に3年後編』を書いちゃいました。

『譲二の勝手に3年後編』の始めの部分は本家の『譲二3年後編』とほぼ同じです。

そして、時々本家のエピソードに重なるものも入れながら、少しずつ離れていき、玉の緒ワールドの譲二さんの話になってます。

航くんは出てきませんが、本家の『譲二3年後編』では出てこなかった、懐かしいあの人とかあの人とか出てきます。


だから、ネタバレも少々あるものの、譲二ルートの3年後編とはまた別のお話と思って下さい。





☆☆☆☆☆


疑惑~その8


〈百花〉

いつものカラオケ店の部屋に入り、飲み物を注文しているうちに一護くんもついた。


一護「で? マスターが何に出かけてたのかわかったのか?」

百花「うん」

竜蔵「不動産屋らしい男とよ、商店街にある貸し店舗を見に行ってたぜ」

理人「貸し店舗?! どういうこと?」

剛史「クロフネか玲さんの店、どっちかが入る店を探しているんだと思う」

春樹「でもジョージさんの性格から考えて、クロフネの移転先なんだろうね」

一護「ちぇっ、また振り出しに戻るのかよ」


みんな私に気遣ってか押し黙る。

息苦しい沈黙を破るようにリュウ兄が言った。


竜蔵「ジョージも水臭せぇよな。シェアカフェが続けられそうにないなら俺らに相談すればいいのに」

春樹「俺たちに相談して余計な心配させたくなかったんだろうな…」

一護「それで、百花はどう思ってるんだ?」

百花「どう…というか…。何も話してくれなかったことが…ちょっとショックで…」

理人「百花ちゃん…」

百花「でも…。私、譲二さんに直接聞いてみるよ」

剛史「そうだな…それが一番いいかもしれないな」

一護「ピーピー泣きながら聞くんじゃねぇぞ? マスターを困らせるなよ?」

百花「うん。ありがとう。一護くん」

一護「って、なんか目から流れてっぞ」

百花「うん…。でも大丈夫。みんなもありがとう」


その後はいつものようにカラオケをみんなで歌った。

みんな、あえて明るく振る舞ってくれて、その優しさが嬉しかった。

 

その9へつづく