Keep Your Stick on the Ice!

カナダで出会った生きている英語

It's a blast.

2007年03月16日 | Weblog
 Torontoの西には、カナダで7番目に人口の多いMississaugaがある。反対に東にはPickering、Ajax、Whitby、Oshawaというような市が順番に並んでいる。Whitbyに住んでいるJulieが家を買ったということで、先週末はホームパーティーがあった。懐かしい、12号線へと続くBrock通りの近くだった。さてその帰り道でのこと、tobogganingというそりの話になって、Beverlyが"It's a blast."と言っていた。"blast"とは「とびきりすばらしいもの」という俗語だが、その後で僕が"Driving is my blast."と言ったら、「"blast"の前には必ず"a"を使わなければいけない」と彼女が直してくれた。こういう時、カナダ人は不定冠詞"a"を「エイ」と発音する。高校生の時にそう習って、疑問に思っていたが、これに限らず「エイ」と発音される場面はけっこうある。さて、"blast"はスピード狂の言葉かと思っていたが、そうでもなく、Julieが"My party was a blast."と言っていた。それを聞いたChristianは「そんなのは80年代の英語だ」と言い、JulieはJulieで反論していた。言葉はやっぱり人と一緒に生きていて、一筋縄では行かない。

What's their name?

2007年03月15日 | Weblog
 中学校で"everybody"など"every"があると「単数扱い」と習うが、カナダ人とこのことを話してみると、彼らは「扱い」どころではなく、本当に単数の名詞だと思い込んでいる。いや思い込んでいるのは僕らの方であって、"every"は"each of all"の意味であることをよく認識しなければいけない。しかし、このややこしい話は実は英語の文法そのものの中で破綻を来しているようにも思われる。単数だから、正確にはhisやherで受けなければならないのだが、男女が分からない場合や、混じっている場合がある。"his or her"がよく使われるが、最近の英語では"their"で受けるのが一般的になりつつあるという。確かに僕の辞書にも口語としてならば"their"は"his or her"と同等だと書かれている。ちなみに"her or his"とは誰も言わない。さて、生活のいろいろな場面で赤ちゃんに会うことがあるが、話をつなげるために何か会話をしたい。そんな時、日本語だったらあまり問題にならないが、英語だと性別が分からないといろいろ困ったことになる。当てずっぽうで間違えてはなおさらだ。例えば、名前を聞くにはどうすればいいのか。"What's its name?"でいいかとChristianに聞いてみたら「動物じゃないんだから絶対駄目」とのこと。普通は"What's their name?"と聞くらしい。"their"の後に単数名詞が来るのが不思議に思えるが、これが現代の普通の英語。では、"How old is they?"かと思ったら、これも駄目で、正しくは"How old are they?"とする。赤ちゃんが一人でもそれ以上であっても。

Ages ago.

2007年03月14日 | Weblog
 テレビを見ていたら、降りるべきバス停を寝過ごした男が、近くにいた乗客にそのことを確かめると、"Ages ago."なんて言われてばかにされている場面があった。「とっくの昔に」という意味の強調された面白い表現だ。数年前のことを"I met him ages ago."などとも言えるが、そのテレビの例ではほんの数分前のことを"ages ago"と言い表している。つまり非常に主観的な言葉であることが分かる。"age"は基本的には「年齢」を意味するはずだが、月齢でも、週齢でも、日齢でもいい。"Stone Age"などとすれば「時代」となる。複数形にすれば、他にも"for ages"などのように、漠然と「長い期間」を表す口語になる。

Pictured is a dried self-pollinated ear from ...

2007年03月13日 | Weblog
 遺伝学のジャーナルを読んでいたら、また倒置と思われる表現を見つけた。"Pictured is a dried self-pollinated ear from the heterozygous plant."というような一文が載っていたが、意味は取っていただけるだろうか。"self-pollinated"や"heterozygous"という単語がjargonかもしれないが、それほどproprietaryな表現でもない。ポイントは"ear"で、辞書には載っていないし、日本語で正しくはどう言えばいいのか分からないが、これはトウモロコシの穂を意味する。店で売られているあの棒状の一塊のことである。それに対し、一つ一つの粒のことは"kernel"と呼ばれる。遺伝学の特別な言葉ではなく、なぜあれが「耳」なのか判然としないが日常会話にも出てくる。さて、ここでは"picture"が動詞として使われ、受動態の過去分詞が文の先頭に置かれている。プレゼンテーションで、"Pictured here is ..."つまり「ここに示した写真は」というような言い方も耳にするので、覚えておくと便利そうだ。

People wake up earlier to cash in on daylight.

2007年03月12日 | Weblog
 欧州や北米などではdaylight saving timeといって、夏の期間、時計が1時間進められる。日本では現在、採用されていないので、海外に行ってこの切り替わる瞬間を体験するのは一つの夢だった。たいていの場合、4月第1日曜日の午前2時が、午前2時にならずにいきなり午前3時になる。そして10月最終日曜日の午前2時が、午前2時にならずに標準時の午前1時となる。コンピュータはよくプログラムされていて、この瞬間は一見の価値がある。いろいろと複雑な問題が起こりそうだが、特にこれといった事故は聞いたことがない。ところが今年は20年ぶりにこの期間が変更になり、3月第2日曜日からに拡大され、"mini-Y2K"などとも呼ばれている。コンピュータは正しくパッチが当てられていれば何の問題もないが、僕のVCRなんかはDST自動調整機能を持っているにも関わらず、当然だが時計が1時間遅れたままだ。そろそろ月曜日になるが、何か問題は起こるのか。新聞には"Whatever trouble results after 2 a.m. Sunday, blame the U.S. Energy Policy Act passed two years ago, which Canada reluctantly agreed to conform to."と書かれていたが、日本人にはあまり知られていないカナダと米国の微妙な関係をもうまく書き表している。そこには"People wake up earlier to cash in on natural daylight."というDSTのコンセプトも書かれていた。"cash in on"とは「じゅうぶんに利用する」という口語である。週末の貴重な1時間を失ったが、これから待ちに待ったdaylightを享受できる。きのうはCanada geeseの群れを見たし、Torontoにもようやく春の気配である。

I put my foot down.

2007年03月11日 | Weblog
 セミナーの前に、Steveがちょとした話をした。以前のセミナーが長引いた時、次に会議室を予約していた人が苦情を言ってきたのだが、さらに、机や椅子の配置も元に戻すようにと言われたようで、そのことの徹底である。最後に"I put my foot down."と言って、みんなを笑わせていたが、僕には意味が分からず笑えなかった。こんなことはよくあるのだが、今回は何と言ったか聴き取れたので、メモして後でChristianに聞いてみることにした。普通、足は2つあるのに"feet"と言わず"foot"と言っていたことが気になったが、これは説明を聞いて納得した。"put one's foot down"とは「断固たる態度をとる」という意味で、「あの時はたまたま遅れただけで、我々はいつも片付けている」と苦情に対して反論した時の気持ちを表していたようだ。しかしなぜ、みんなの笑いを誘ったのか、もはや分からない。この表現は片足で地面を叩くような仕草を想像すればいい。親の子供に対する態度としても、しばしば使われるらしい。

She's the matron of honor.

2007年03月10日 | Weblog
 Jenniferが自分の結婚式の写真を持ってきていて、僕も覗かせてもらった。こっちの結婚式がどのような形で行われるのかよく知らないが、新婦にはbridesmaid、新郎にはbest manと呼ばれる付き添い役がいることぐらいは知っていた。それを確認する意味も含めて、「そのいつも一緒に写っている女性は誰?」と尋ねてみると、彼女の親友らしく"She's the matron of honor."と返された。この"matron of honor"が何度聞き返しても聴き取れない。一つの単語から成っているのか、複数から成るのかも分からなかった。聞き慣れない単語が一つ入るだけでこんな事態になる。新婦に付き添う女性は未婚か既婚かで"maid of honor"あるいは"matron of honor"と使い分けられるそうだ。"matron"は「品のある既婚女性」のこと。political correctnessによりいずれはこの区別は廃れるかもしれないが、女性はなにかと未婚か既婚かで区別されてたいへんだ。

It's like torture.

2007年03月09日 | Weblog
 博士号を取ったばかりでイギリスからやって来たMehdiは、何の恥じらいもなく、自分が疑問に思ったことを周りに質問する。僕もしばしば何の脈略もなく唐突に、ゲノムのことや、コンピュータのこと、さらには僕が化学科出身であることを知ってか、化学のことまで聞かれる。それがあまりに基本的で間抜けな質問であることが多く、さらにChristianは30分に一度は何か聞かれるとのことで、"It's like torture."と言っていた。訳せば「拷問のようだ」であるが、これは苦悩を強いられる状況一般に使える表現らしい。注意点は無冠詞で使うこと。僕はMehdiのその態度を評価し、僕の知る限り、丁寧に説明してあげているが、Christianは「奴は頭がいかれている」といつも陰口を叩いている。とはいえ、30分に一度、2人の笑える会話が耳に入ってくる。

Remember, the walls have ears!

2007年03月08日 | Weblog
 僕が勤務する病院の職員のノート型パソコンが盗まれたらしい。車の中に置いておいたというから、窓やドアなどを壊して物を盗む車上荒らしだろう。ここTorontoでは被害にあった人の話をよく聞くから、注意しないといけない。問題はそのパソコンの中にあったデータで、診療および研究のための患者のプライベートな情報が多数納められていたようで大騒ぎになっている。データが読み取られて悪用されるようなことはそうそうないと思われるが、この事実は全ての患者に書面で知らされたようで、不必要な不安をあおっているようにも思われる。職員に送られてきた電子メールには"Remember, the walls have ears! Use discretion when discussing patient information both within and outside patient care areas."とまで書かれており、担当者が過敏に対応している様子がよく分かる。"Walls have ears."とは「壁に耳」だが、実際に使われる時には定冠詞が付いたり、"these"が添えられたりするようだ。いきなりproverbを口にするのも唐突だから、この例のように"Remember"と言ってから切り出すのはいい手かもしれない。

Attached to the key ring is ...

2007年03月07日 | Weblog
 なくなったキーホルダーを探しているJenniferから送られてきた電子メールに"Attached to the key ring is my photo copy key with my name and room number on it."という表現があった。このような文を時々目にするが、文法的にどう理解すればいいのか分からなかった。つまり、どれが主語でどれが動詞なのかがはっきりしない。動詞は"is"だろう。だとすると"attached"という過去分詞が主語になるのか。そんな話は聞いたことがない。いろいろ聞き回って、これが倒置であることを教えられ、なるほどと思った。つまり"my photo copy key"が主語で、分離してしまっているが"is attached"が動詞と考えられる。"attach"以外にも"include"や"enclose"を使った同様の表現を見かける。それらの動詞を強調するため、また頭でっかちにならないように主部を最後に持ってくるのだろう。僕の辞書には古風な表現として"Enclosed please find a check for $100."というのが載っているが、これはまた文法的な解釈に苦しまされる。

I might as well break them in.

2007年03月06日 | Weblog
 また靴を履きつぶしたので、新しいのを買おうかと思ったが、それももったいない。日本から持って来たテニスシューズがそのままなので、それを履くことにした。テニスをしている時には気付かなかったが、ずっと履き続けているとくるぶしが痛くなってくる。履き慣らさなくてはと思ってもう何ヶ月も経つので、そういう問題ではないようだ。この「履き慣らす」は英語で"break in"というらしい。ESLで"I might as well break them in."という英文が出てきて、"break in"は「押し入る」というような意味だから何かと思ったが、このthemは新しい靴を指していて、「履き慣らす」という意味になる。受け身にして"They need to be broken in."とも使われるが、靴のことだと分からないと怪しい英語に聞こえる。それにしても、せっかく靴を持って来て、ラケットはこっちで新品を買ったのだが、この3年間でテニスはたったの一度だけだった。

You were on a wild-goose chase.

2007年03月05日 | Weblog
 そろそろ引っ越しの準備でもしなければと本棚を整理していたら、Lindsayに教えてもらった"send off on a wild-goose chase"というメモが出てきた。「無駄な追求をさせる」あるいは「迷わせる」という意味である。職場のピクニックで、場所が変更になった知らせが僕には届かず、"I was sent off on a wild-goose chase."と苦情の電子メールをRosaに送ったら、"I do apologize that you were on a wild goose chase."という返事がきた。彼女の原文にはhyphenがない。もう2年半も昔の話で、その間全く使っておらず、すっかり忘れてしまっていた。ところでカナダにはCanada goose、日本名はカナダガンと呼ばれるやや大型でかっこいいwild gooseがいて、"a wild-goose chase"とはいうものの、五大湖畔にでも行けば市内でも見ることができる。春になると米国から見事なV字型の編隊飛行でやってきて、繁殖期となる。雛たちを連れて歩く姿はそれはそれはかわいらしく、近寄るとすごい声で威嚇される。今年はそんな姿を見ることなく帰国かと思うと残念である。ちなみに、gooseの複数形はgeese、mooseの複数形はmooseであって、ヘラジカが何頭いようがmooseと言うのが正しい。当初はそんなこと知らず、「Algonquinでmoosesを見て来た」としゃべっていたが、誰一人として直してはくれなかった。

You gotta love having options in the morning.

2007年03月04日 | Weblog
 次のカナダ国家元首になるかもしれないPrince CharlesがMcDonald'sを批判して物議を醸しているが、世界中で絶大な人気を誇るMcDonald'sがそんなことで揺らぐことはないだろう。毎日McDonald'sで食事を取るという単身赴任中の日本人の知り合いがいて、そんな話をしたらTaraが"He'll die."なんて言っていたから、いいイメージばかりでないことは確かである。実は僕は今から7年前、カナダを独り旅した時は毎日どころか毎食、McDonald'sで食べていた。一度だけ別なレストランに入ってみたが、たまたま選んだ所が悪かったのか、その後はまたMcDonald'sだけになった。最後のVancouver国際空港では見つけられず、別な店でハンバーガーを食べたが、やはりMcDonald'sでなければ駄目だと思わされた。今では残念ながら一週間に一度、食べに行く程度である。そこでふと目に留まった広告に"You gotta love having options in the morning."という文句を見つけた。"gotta"はもはや、会話だけでなく、書き言葉でも"must"の代わりに使われているようだ。しょせんPrince Charlesが批判するMcDonald'sの広告ではあるが、カナダ国内1000店舗以上で100万人以上の人に読まれている。

You're living my dream!

2007年03月03日 | Weblog
 キリスト教の復活祭、つまりEasterを迎える頃には、カナダもいよいよ春という感じになってくる。年によって3月末から4月にかけて変わるが、New Year's Dayの次の祝日で、long weekendと呼ばれる3連休、場合によっては4連休になる。さて今年はどこへ行こうかと考えているところにJulieがやって来たので「Prairiesにドライブに行こうと思っている」と話すと羨ましがって"You're living my dream!"と言われた。これはどう訳せばいいのだろう。「わたしの夢を実現している」か。もっと気の利いた訳ができればいいのだが、敢えて日本語にする必要もない。彼女の顔を見ていれば、何が言いたかったかはよく分かる。この"live"という動詞は"my dream"という目的語を取っているから珍しいことに他動詞として使われている。さて、PrairiesまたはPrairie Provincesとは、prairie dogの"prairie"で、カナダ中西部のAlberta州、Saskatchewan州、Manitoba州辺りの穀倉地帯を指す。特に大平原が続くSaskatchewan州とManitoba州は、カナダの中でも最もつまらない所のようによく言われるが、僕はずっと行ってみたかった。全10州のうちで未だ訪れていないのはその2州だけである。Ontario州北部を東西に貫く単調な11号線を走った経験をともに持つJulieだけはこの僕の夢を分かってくれている。

Touche.

2007年03月02日 | Weblog
 渡航前に「カナダに行ったらフランス語も覚えられるね」なんて言われたことがあるが、Torontoでは不可能だし、覚える気もない。それでも、フランス語由来の英語に関しては、こっちに来てから覚えたものがいくつかある。Boston Red Soxで怪物の片鱗を見せ始めた松坂大輔だが、彼に関する記事を読んだChristianとAndrewが日本語の「先輩」と「後輩」という単語を覚えて、「俺が先輩だ」、「いや俺の方が先輩だ」とくだらない言い争いをしている。まだ大学院生であるAndrewに対して、Christianは博士号を持っているものの、ここに来てまだ1年。Andrewは6年以上も前からここにいるという難しい状況だ。Christianが「Andrewは毎朝10時になったって来ないから、俺が先輩だ」とかおかしなことを言い出したので、"Touche."と言ってやった。この"touche"は、僕の辞書によるとフェンシングの突きありの宣告らしく、討論会などで「一本参った」あるいは「まさにそのとおり!」という意味で使われる。要は、言い争いをしている時に、相手が気の利いたことを言った時に賞讃、あるいは同意を示すために発する言葉である。フランス語由来で最後の"e"にはacute accentがつくのだが、ここでは示していない。