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貧しいやもめと年老いた父親の話

2010-08-17 | いのち
今朝の新聞で、埼玉県に住む76歳の男性が、自宅で熱中症で亡くなっていた…という記事を読んだ。

発見したのは48歳の長男である。

長男は無職で、父親と二人暮しだった。

二ヶ月に一度入る父親の十数万円の年金が、二人の収入の全てだった。

生活保護を一度申請したが審査で落とされた。

その後は電気、ガス、電話も止め、ひっそりと暮らしていたらしい。


76歳男性死亡、熱中症か 電気料金10年間払えず(朝日新聞) - goo ニュース


こういう記事を読むと、いよいよ日本も、「聖書のたとえ話」のような社会になってきたなア…と、思う。







ある町に、貧しいやもめの男が、年老いた父親と住んでいた。

やもめには仕事がなく、話を聞いてくれる人もいなかった。

ある日、二人の住むあばら家の前を町の役人が通りかかったので、やもめはひれ伏して頼んだ。

「お願いです。私のうちにはもう食べるものが何もありません。わずかで良いですから、食べ物をめぐんでください」

すると役人は、周りの人々を呼び集めて、たずねた。

「この男が、食べ物をめぐんでくれと言っているが、どうしたら良いか」

すると人々は、やもめを罵りながら、口々に言った。

「とんでもないことです。その男はどんな仕事も半日も続かない怠け者です」

「どこも悪いところはないのに、病気だ病気だと触れ回っています」

そしてある者は「男の父親も怠け者で、嫌われ者だった。きっとバチが当たったに違いない」と、囁いた。

役人は、やもめに言った。

「お前には働ける手と足があり、口もきけるではないか。町中を回って、まず仕事を探しなさい」

それからやもめは町中を歩いたが、「年を取りすぎている」とか「怠け者だから」という理由で、誰もやとってくれなかった。

やもめと年老いた父親は、いよいよ貧しくなり、雨水を飲んで、ようやくしのいでいた。

ある夏の夜、やもめが町で食べ物を漁ってから家に帰ってみると、父親が死んでいるのをみつけた。

しばらくして、れいの役人がやもめの家の前を通りかかった。役人は周りの人々に尋ねた。

「あの年老いた父親と暮らしている男は、今はどうしているのか」

「私たちがすすめた仕事を断っているうちに、飲み水もなくなり、父親は死にました。やもめもどこかにいなくなってしまいました」

役人はそれを聞くと、二度とやもめのことは尋ねなかった。







聖書なら、ここでイエスが登場し、「全てを救い、赦す」奇跡を表すところである。

でも、現実の私たちは、「落ちかかった」ら最後、なすすべがない社会に住んでいる。











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