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胡蝶の夢、巨匠の夢

2009-09-11 | 映画
今日も映画の話。

なんか映画ばっかりだなあ。本当は落語も書きたいんだけど、新しいCDを買ったり独演会に行くのは、ちょっと財政的にタメラってしまうからなア…。
(つまらんいいわけでした)


DVDで、フランシス・フォード・コッポラの『胡蝶の夢』というのを観ました。
日本の封切りは去年だったかな。まだ新作です。

でも、コッポラも今年七十歳になるんですねエ。『ゴッドファーザー』で出てきたときは「33歳の新鋭監督!」とかいうコピーがあったけど、そのコッポラが七十歳だもの。『ゴッドファーザー』の封切りをリアルタイムで覚えているこっちが年とるワケだね…。

今や若い人たちには、娘のソフィア・コッポラのほうが馴染みが深いかもしれないなあ。



この『胡蝶の夢』は、七十歳の言語学者が主人公。でも、七十にしてはやけに老けている。この映画を作ったときコッポラは七十ちょっと前だけど、自分と同世代をこんなに「おじいさん」に描くなんて、ずいぶん自虐的だなア…と感じました。
全編ルーマニアでロケしてて、時間空間も前後しまくってるし、文芸映画というか芸術映画というか、ヒットはハナから考えていないって感じの作りです。特にアメリカじゃ受けるわけない。

コッポラといえば大借金で苦労しているってイメージが強かったんだけど、調べてみたら今やワイン実業家として大富豪になってるんですね。
(ルビコンワインって知ってますか?そのオーナーだという)

映画製作の借金で苦労した巨匠が、ワイン作りで大成功するなんて…。
夢がウツツかウツツが夢か。まさしく「胡蝶の夢」ですね。


コッポラはもともとUCLAの映画科出身の映画青年なんですよね。
『地獄の黙示録』なんてモロ学生映画のノリですもんね。百億円使って自主制作映画やりました…って感じだけど、興行的にはコケました。

『地獄の黙示録』の封切りのときもかなりの騒ぎだったなア。
筑紫哲也がテレビ朝日の日曜夕方6時からのキャスターをやっていて、そこにコッポラ本人が出演した。当時若手監督だった長谷川和彦(知らないだろうなア、みんな)が、けっこういきがって色々いってた。

封切り後、日本の批評家からも批判が多かったけど、それに滅法ムカツイタ立花隆が雑誌『諸君!』で、擁護する一大論文を書いた。
ふだん手に取ることもなかった『諸君!』を私は思わず買ってしまいましたよ。
それを、当時朝日新聞で「映画批評」を書いていた蓮見重彦が「そんなに、ムキになりなさんな」っていつもの皮肉な調子でたしなめたりして…。

いやア、懐かしいなあ。
今や筑紫哲也も『諸君!』もなくなり、長谷川和彦はめっきり名前を聞かないし、立花隆もすっかり年とったし、蓮見重彦はその後東大学長になって、今やラク隠居って風情だし…。

こりゃ、コッポラが七十になるワケだ。



『ゴッドファーザー』はもちろん好きだけど、コッポラで最も好きなのは『カンバセーション』と『ランブルフィッシュ』です。この二本とも学生映画上がりって風情がたっぷり。でも『地獄の黙示録』みたいにケバくなくて。
70年代、80年代には、こんなアメリカ映画がたくさんあったよなあ。
『カンバセーション』には美青年のハリソン・フォードが、『ランブルフィッシュ』にはブレイク直前のミッキー・ロークが出てますよ。
お好きな方には必見です!
(早く『レスラー』DVDで借りられないかなあ。ミッキー・ローク、復活おめでとう!って言いながら、焼酎オヤジと二人で涙ぐみたいよ…)


で、コッポラの『胡蝶の夢』ですが。

これは、二十代からずっと「言語の源流とは何か」を研究してきた老言語学者が、それが果たせぬことをはかなんでいたが、雷に打たれたことにより若返り、また研究の時間を得る…というようなお話です。
一種の奇譚だけど、映像は凝ってるしアカデミックだし恋愛映画でもあるしホラー要素もあるし、一見の価値はありますよ。

でも、コッポラほど富も名声も得た人でも、やっぱり「もういちど若くなりたい」と思うんだなア…というのがヒシヒシと伝わってきて。

すなわち、胡蝶の夢、巨匠の夢。



ご退屈さまでした。



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