もっとましな嘘をついてくれ ータイ歌謡の日々ー

タイ歌謡について書いたり、うそをついたり、関係ないことを言ったりします。

出荷時の状態に戻しますか

2022年08月29日 19時07分17秒 | タイ歌謡
 還暦過ぎてなおアニメを見ているジジイなんてダメに決まってるんだが、見なくたってダメ人間なんだから、それなら見たっていいってことになる。
 21世紀になったのはもう、ふた昔もまえだというのに未だ「異世界もの」のアニメが跡を絶たない。ひと頃下火になったかに思えたが、やはり現世でダメな者が転生して秘めた能力(または与えられた等ボーナスチャンスがあって)を発揮してヒーローになっちゃうという、新手のドラえもんみたいなドラマツルギーが安直で、そんなことでいいのかよと思いもするが、アニメに文句を言ってみても始まらない。つまらなければ見なきゃいいだけだ。
 それでもときどき面白いのもあったりするんで、3話くらいまでは見たりしてて、還暦過ぎたジジイのすることではないが、なんか見ちゃう。面白けりゃ良いってもんじゃないと母親は言っていたが、面白い方が良いに決まってるからね。じっさい今期も「異世界おじさん」ってのが異世界もののパロディーになってて面白い。異世界のお約束をぶち壊してて笑っちゃった(追記:9月2日の発表ではCOVID-19の感染拡大により、またしても放送休止だそうだ。制作会社の社員が4人という小さな会社だそうで、ワンクールの途中で終わる可能性も出てきた)。
 異世界ものも勇者になってばかりじゃ似たようなストーリーになってしまうのか、最近はヴァリエーションが増えててゲーマーとか薬局なんてのは幾つもあるみたいで、試しにいろいろな職業でググったら、これがあるある。まだアニメになってはいないが、漫画やライトノベルなら異世界の商人もの、異世界の農民もあったし、まさか宅配業者はないよな、と思ったら、これもある。歯医者もある。当然コンビニもあるよな、と思ったらやっぱりある。介護士はないよな、と思ったら、意外にこれもあった。パティシエはもちろんある。まさかの蕎麦屋もあった。てことは、うどん屋もあるよな、と思ったらやっぱりある。うっそ。なんでもあるのかよと思いつつ「異世界 パパ活」のワードでググったら「異世界パパ活おじさん」ってのが本当にあってたまげた。さすがにこれはどうかと「異世界 統―教会」でググったが、これはまだないようだ。
 誰か書いてくんないかな。爆殺された教祖が転生しちゃってんの。異世界はまだ統―にウブだろうから壺も珍味も売り放題だぞ。おれはそんな話を読みたくないが。

 人生のリセットボタンを押して生まれ変わって活躍したい。そう思う気持ちもわからないではない。でも、アニメを見てると魔法で召喚されたり、事故で死んで転生したりしてて、死ぬのは痛いしハードルが高い。死んでみたけど転生できませんでしたっての、ありそうだ。「マジで? 転生とか信じちゃってたの?」と閻魔様に笑われたりするのもイヤだが、その閻魔様が本当にいるかどうかも甚だ怪しい。転生を目指して死んでも、たぶん死に損だと思う。
 けれども。死ななくても人生リセットできる方法はあって、じつは難しくない。
 どこか外国に移住しちゃう。これだ。

 ずいぶんまえの話だが、年長の知人が「ぼく、50歳になったら死ぬんです」って、にこやかに言った。昔こまどり姉妹が幸せそうな表情で体調の悪さや次々と襲う不幸を語り、「あたしたち、もうすぐ死ぬんです」って毎年の正月番組でウットリと多幸感に満ちた表情で言うのが恒例だったが、あれからもう40年は経っている。今でも言っているのだろうか。
 それはそうと、この年長の知人とは当時知り合って間もなかった頃ではあったが好感を持ったので、あと数年で死ぬというのは残念だと思った。それは残念としか言いようがない。とはいえまだよく知らない人ではあるので、「死ぬなんてダメだぞ」とか「自殺は罪です」なんて根拠があやふやなことを言っていいものか躊躇った。だってそれまでに「死んじゃおうかな」などと思った事がおれにはなかったし、周りにもそんな事を言う人はいなかったので、じら、いや自ら命を絶つということについて考えたことなどなかった。あったとしても5秒かそこら。考えてないに等しい。
 いっぽう死にたいと言う人は、自分の命の事でもあるし、真剣に考えているはずで、それも5秒や10秒では済まなそうだし、なんと言っても、その知人はばかではないのだ。言う事にいちいち知性が感じられるし、物識りでもあった。本の著作も数冊あって、その世界では有名な専門家でもあった。それを「親より先に死ぬなんて親不孝というものです」とか言ってみても、それは世間で広く言われているだけのことで、その根拠すらわからない。だから、説得なんて烏滸がましいんだが、好きなおじさんが死んでしまうというのは寂しいことなので、その旨は伝えた。知り合って間もないとはいえ、仲は良かった。彼はおれの書く与太記事が好きで、当時は相当にメチャクチャな文体だったので、毀誉褒貶どちらかだった。どっちかっていうと毀と貶ばかりだったが、たまには好きな人もいたのだ。執筆依頼めいた提案でなん冊か本を書いたが、自分の名義で書いた記名もので奔放な文体で書いたものは全部最終会議でボツになった。文体がメチャクチャすぎるという理由だった。今になって思うと、出版されなくて本当に良かったと思う。恥ずかしすぎる。
 それはともかく、死なれると寂しいって話だった。こう言うのが精一杯だった。「寂しくなっちゃうじゃないすか。あと、仲の良い人に死なれると、すっげぇ凹んじゃうんすよね」
 まあ、寂しがられるうちが華なんだし、そこから衰えていく自分がイヤだったというようなことだったのだと思う。詳しくは語らなかったが。
 で、説得するのは諦めたあとで与太話をしていて、なぜタイに住むようになったのか、という話になったときだ。
 ああ、そうですね。べつに、どうしてもタイでなくてはいけないって訳じゃなかったんだけれど。まあ色々と機会が巡ってきたとしか。ちょうど、ひっどい女と、やっと離婚ができて、もういろいろイヤになってたんで、こっちに逃げてきたって言う方が近いんじゃないかな。で、逃げてみたら、これがいいんですよ。もう人生のリセットボタンを押したみたいに、これまでの人間関係がスッキリ切れちゃった。どうしても連絡を取っておきたい少数の人だけ連絡して。たまに会いに来てくれたりするんですけどね。それって期間限定で地獄の釜の蓋が開くようなもんで、だからそうだな、これって死んでみたのと同じかもしれないですね。ねえ! ◎◎さんも死ぬのやめて、一切の人間関係を絶って、どっかよその国に行けば良いんじゃないすか。タイもデタラメで楽しいっすよ。
 あー……。と、彼は言った。そうか。そうですね。それなら死ななくてもいいかもしれないな。
 真剣な顔で頷いて、彼は日本に帰って行ったのだが、数ヶ月してまたバンコクに来た。コンドミニアムを買うという。バンコクに住みます。見た事のない笑顔で、そう宣言した。
 けっきょく、自殺はやめたという発言はないまま50歳の誕生日も過ぎ、毎日楽しそうに暮らしていた。きっかけを失うと、死ねないよね、と明るく言っていたことはある。よく一緒に遊んだ。おれの結婚式に出て挨拶もしてくれた。
 でも彼は、やがてバンコクでの人間関係に疲れ果てて日本へ帰ってしまうのだが、静かに日々を送っているようで、他人との関わりを避けて、まるで隠遁生活である。
 最後に会ったのは10年ほどまえで、本当だったら、あなたをうちに泊めるべきなんだろうけど、誰も泊めたくないのです。この家に人を招くことも今ではないのです、というようなことを言った。おれが居るのもイヤなのかな、そう思った。もう誰にも会いたくない、と彼は言った。震災のあとで、「この震災の被災者に何かをしたい、って言ったり、実際にしてる人がいるでしょ。あれ全員信じられないんですよ」と、暗い目をして静かに言っていた。こんなに静かに絶望している人を見た事がなかった。激しく絶望した人ならなん人かみたことがあって、そういう人たちは漏れなく自殺した。自殺した友人は多い。50歳くらいまではそういった人の葬式には出ていたが、震災のあとで自殺した福島の知人たちの葬式には行っていない。溜息で済ませてしまう。
 あのときの助言のせいで彼が自殺を止まったのかどうかもわからないが、自殺をやめて、それが良かったかどうかなんて、おれにはわからない。
 もし、おれの助言のせいで死ぬのをやめたのだったら、余計な事を言って彼の人生の邪魔をしてしまったのかもしれない。

 パソコンは、初期状態に戻すだけでなく、システムの復元を実行して復元ポイントの状態に戻して危機に晒される前の状態に戻すことができるが、いち度壊れた男と女の関係に復元のコマンドはない。再起動しても壊れた状態で起動し直すだけだ。出荷時の状態に戻して関係をリセットしても、感情と記憶は消えないから、もう会わないのが良い。あんなに好きだった状態には戻れないのだ。他にできるとしたら、電源を切ることだけ。
 ああ、それは男女だけじゃないな。人と人の関係は、みなそうだ。一方的に壊される場合もあって、原因もウイルスだけとは限らない。己のバグで壊れることも多いのだった。
 そして、おれたちは言う。「何にもしてないのに、壊れた」
 そんなわけがない。パソコンは往々にして何かをしたせいで壊れる。でも、人間関係は何もしてないのに壊れることが縷々会って、まあそれは「何もしてないから壊れた」ってことなんだけどね。どうしたって壊れる関係ってのは、あるのかもしれない。
 そうして、ひとはおおよそ決まった時間にスリープ状態になる。
 目が醒めて、知らない間に状況が回復している事はないんだが、目を醒ます度に「これでいいか」そして「これでいいや」と思ったりしてしまう。どうでもいいことについては、特にそうだ。最適化ってやつかもしれない。

ซ้ำซ้ำ - Paper Planes「Official MV」
 ペーパープレーンってグループの曲で「ซ้ำซ้ำ(サムサム)」って曲だ。意味は「またまた」とか「繰り返し」って感じ。聴いてみたら、けっこうヘヴィーなイントロで、へえ、と思ったところでブレイク気味に入ってくるヴォーカルが細い。え? って虚を突かれたあとでドラムスがフィルインしてきて、突然のダウンビート。縦乗りのロック。タイ歌謡か! ってツッコんじゃうけど、タイ歌謡だね、これは。ドラムスが巧い。たいしたもんだ。でも歌詞が女々しくてぜんぜんロックじゃない。ていうか、どこに需要があるのか。
 いちおう歌詞を訳しておくが、正直つまらない。

わかってるけど 苦しいのに なぜ君を好きなのか
あなたは私をひどく傷つける なぜおれはそれを許してしまうのか

彼女への愛情が強すぎるからだろうか
おれはバカだと 人は言う
涙が溢れる日まで 心を沈ませて
息が詰まる
目を開けて 自分の愚かさを見た方がいいのか

彼女に負けて 心は傷ついている
結局 踏まれているのは自分
何度も繰り返す心の傷は これで終わりと決心するのに
結局 また傷つくのはおれだけ

でも結局 心は痛いことを覚えていない
どんなに忘れたくても あなたの写真は鮮明になるばかり

結局 傷つくのはおれだけだ

ずっとこのたわごとに引っかかっていた
逃げ道があるのはわかってるけど どうにもならない
おれは戻っていくのか もうわからない
あなたが何度 おれを傷つけても
何も学んでないようだ
それとも おれは痛みに恋をしているとでもいうのか

何回やったんだ 心は痛いのに覚えてない
それはおれの手の中で まだ握られている割れたガラスの破片のようだ
おれは十分やりつくした やっと帰ってきた
彼女がおれをだましていたとしても
何回さよならを言うと 彼女は嘘泣きで涙をこぼす
おれは動けなくなり おれの心臓は麻痺してしまう
深く 変化を望んでいる それでも彼女の考えを変えたいんだ
きっと誰も愛せない

結局また傷つくことになる

 なんか、ただ泥沼な感じ。昨今のウクライナみたいなもんか。ウクライナへの募金は、赤十字がまだマシなのかな、と思って、そっちにしている。
 何言ってんだ。ウクライナなんてダメだろ。そもそもウクライナって国自体がロクでもないぞ。ゼレンスキーはプーチンと同じくらいロクデナシだし、その大統領を選んだのはウクライナの国民だ。募金なんかするこたねぇ、って主張はわかる。国民の僕党に投票したんだから、爆撃されたり射殺されても文句は言えない。投票しなかった人だって、それを不服として国外に脱出したわけじゃないし、それが民主主義というものだ。黙って殺されてなさい、ってことだ。何も間違ってない。
 自民党を選んだ日本と同じだ。いや、おれ自民党なんて選んでないもんねって言ってもダメ。民主主義で、そうなっちゃったんだから従うしかない。いやいや。おれは投票してない、って人もいるだろうが、投票しないってことは無自覚にせよ多数決の結果に手を貸すことになってるから、関係ないってことにはならない。むしろ自民党に投票したのと似たようなことになってる。日本は今、目に見える形で物理的な攻撃をされていないが、今の政権のせいで攻撃されたら「そりゃ国民自ら選んだ結果だからしょうがないよね」ってことだ。わかる。それはわかる。
 わかるけど、やっぱり蹂躙されてるウクライナの一般の人々は、かわいそうじゃないの。安全な東アジアにいて、そもそも悪いのはCIAだよね、とか分析してても戦災に遭った人は救われない。撃たれたら生きていても痛いし、飢えはツラい。だから何か足しになればと、少しの金を送ったっていいよね。武器を送るとゼレンスキーが横流しして面倒なことになってるが、赤十字に募金なら、そんなにゼレンスキーの私服を肥やすことにならないかな、と。多少は回っているかもしれんが、まだ他の募金よりは良いような気がした。東日本大震災のとき、赤十字と自衛隊は、わりと信用できると思ったんだ。

 そういや最初はアニメの話だったんだ。しょうがないから、最後に好きなアニメの動画でも貼っておくか。
 正味4分前後のアニメだから観ていて疲れることはないと思う。まあ、こういうくだらないのが嫌いな人にはツラいかもしれないんで、ツラかったらやめたらいいと思う。もう10年も続いてるアニメだ。
ポンコツクエスト~魔王と派遣の魔物たち~第十七章「老人」
 声優はほぼひとりでやってる、というより声優の他に監督・企画・脚本もひとりでこなしてる。四天王(5人いるけど)の声だけゲスト声優だったんだが、最近主人公の片割れ「カクさん」の妹、「スミ」が登場して、東山奈央さんが綺麗な声で罵詈雑言吐き散らしてて凄い。

 ツッコミが毎回凄くて、「競走」という回ではミノタウロスに競歩をさせるレースで、競走牛の名が「牛うらら」と言ったら、そんなんじゃダメだ。おれのは凄いぞ、その名も「激弱カスの助」だぁ! と発表した所でツッコミが「なんだそりゃ」でも「弱そうだな、おい」でもなく「激弱カスの助じゃねぇか!」ってツッコミで、これには笑いながら感心してしまった。
 けっこうな回がYoutubeで公開されているので、興味のあるかたはご覧になるといい。

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