「不滅」、、、この”馬鹿げた小説”は、時間軸を弄繰(いじく)り回しているから、まるでストーリーが【螺旋的(な)発展】を繰り返していくような錯覚に僕を陥(おとしい)れる。
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不滅 (集英社文庫) |
菅野 昭正 | |
集英社 |
【螺旋的発展】とはヘーゲルの思想だ。ヘーゲル(1770年・独:シュトゥットガルト)は 「事物の【螺旋的発展】」という洞察を提示している。
どういうことかと言うと、、、、事物が発展していく様子は、 あたかも螺旋階段を登るように進んでいくように感じる。それを横から見れば右肩上がりに上昇していくように見える。しかし、俯瞰して見てみると円を描いて元に戻ってくるように見える、、、そのような洞察をヘーゲルは 【螺旋的発展】と定義した。
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精神哲学―哲学の集大成・要綱〈第3部〉 (哲学の集大成・要綱 (第3部)) |
Georg Wilhelm Friedrich Hegel,長谷川 宏 | |
作品社 |
(↑色々言われているが、僕には読みやすかった)
僕には、クンデラの語り(≒小説)が、”螺旋的”に展開(発展)しているように感じてしまうのだ。ページを繰るたびに、ストーリーは進んでいるかのように感じるのだが、実は、行ったり来たりで、しかも、時間軸が無茶苦茶で、過去の人物と創作上の人物が交差して語られていくから、俯瞰して見てみると円を描いて元に戻ってくるように見える(≒読める)のである。
もう、手におえない!そんな風に感じる人も多いのでは、、、と思われる。でも、これがクンデラなのだ。
僕は、もう、クンデラの手法には慣れてしまったんで、「ああ、今回も、そうきましたか!」とニタニタしながら読んでしまう。「でも、僕は決して退屈などしませんよ!途中で投げ出したりしませんよ!だって、これが、あなた(クンデラ)のやり方なんだから、、、随分と慣れてしまいましてね、、逆に(あなたに)惚れ込んでしまったのですから、、、。
でも、あなた(クンデラさん)の知的水準があまりにも高すぎるから、僕みたいな凡人には、こうして読書メモを書いて読んでいないと、どうも、頭の中ではわかっているのですが、感想を文字に落とすとなると、、メモを書いていかないと、ついていけないんです。この「不滅」、途轍もなく面白いですね、タマラナイですよ!」と、僕は「不滅」を楽しんでいる。
「不滅」という小説が”優れた読書案内”となる、と前述したが、それについては次回にでも書いてみたい。ただ、それら紹介されている小説の中に、この「不滅」という作品を解く鍵となる小説が1冊潜んでいるのだ。だから厄介なのだ。
「存在の耐えられない軽さ」が「アンナ・カレーニナ」の焼き直しであったように、「不滅」という小説を読解するには、もう一つの小説を読破しなくてはならない。そんな気がしている。本日まで、p447/591通過。
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