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■「不滅」 ~読書メモ(2)

2013-11-05 | 欧州文学

昨夜「隠された記憶」(DVD)を観た。奇妙な作品だった。ネットで”隠された記憶・解釈”とグーグルしてみると、いろいろな感想で溢れている。中には”神の視線”と評している人もいるが、それは深読みし過ぎだろう。

そもそも、”神”の視線を人間が推測できれば、それは、もはや”神”ではない。抽象的な意味でも神の視線などあり得ないのである。

神が存在していると証明できれば、それは”神”が人間の知能で認知推測できることになり、もはや”神”ではないのである。神は人間を超越しているからだ。だから、人間には”神”は見えないのである。神の存在は証明できないのである。

と、”神”のことが気になる。それは、今読んでいる「フロイス」の本の影響かもしれない。日本人の認知する”神”と西洋人の認知する”神”とは全く違う。更に、以下に紹介するフロイスの「ヨーロッパ文化と日本文化」を読めば、本当の日本人の姿が見えてくる。

ヨーロッパ文化と日本文化 (岩波文庫)
ルイス フロイス,岡田 章雄
岩波書店

 或いは、クンデラの馬鹿げた小説「不滅」のせいかもしれない。意識的に時間軸を弄(いじ)りまくり、読者を煙に巻こうとしている。そういう意味で馬鹿げている。が、彼の手法に慣れていれば、、、ああ、そうですか!、と軽い気持ちでパラパラを読んでいる。

不滅 (集英社文庫)
菅野 昭正
集英社

ただ、不滅の中の小節に「第十一戒」なんて出てくると、「十戒」を知らないと話にならないのである。つまりが、聖書を読んでいないと道に迷いそうになる。そこで寄り道して、改めて、聖書を読んだりしてみる。

するとどうだろう!世界は「十戒」のうちの第「四戒」に従っているではないか!いや、現代社会の倫理観は「十戒」にある。これはどういうことだ?そして、クンデラは「第十一戒」なんて書いている。「第十一戒」とは、「嘘をつくな!真実を言え!」だそうだ。

 

日本では、週刊誌が”みのもんた”を叩く。ドブに堕ちた犬を叩くのが日本のマスコミだ。陰湿極まりない。ホリエモンの時もそうだった。”みのもんた”のことなど、もう許してやればいいのに、、、と思うのだが、、、。

僕はそれら週刊誌のタイトルしか読まないが、彼らマスコミの文脈からは「嘘をつくな!真実を言え!」というクンデラの「第十一戒」に依存している気配を感じてしまう。

仮にそうであれば、”みのもんた”が元気なときに大いに批判すれば、彼らもカッコいいのだが、、、駄目だな、、、、日本のマスコミは。質の劣化を自己表現しているだけに過ぎない。


僕はクンデラを自宅で読み、ルイス フロイスを通勤時間に読み、そして、休日には「隠された記憶」という奇妙な映画を観ていた。そして、毎朝、NHKの「ごちそうさん」を見ている。すると、頭の中に多くの摩訶不思議な人間たちが闊歩するようになってしまい、不思議な感覚に陥っている。そこに強烈なパンチを浴びてさせてくれるのが、キムラ緑子だ。

 

陽気な「ごちそうさん」の雰囲気が、東京ヴァージョンから大阪ヴァージョンへ移動したら、陰険な生活空間が展開されているのだ。陰湿な家庭に放り込まれた杏ちゃんの戸惑う表情が「不滅」に続かないことを願いたい。

しかも、宮崎美子、いいねぇー、少し意地悪そうで、、、でも、お姉さん役のキムラ緑子が強烈!寒気がするほど見事な意地悪な演技!朝から気分が悪くなる。昔の嫁いびりは、ああだったのだろうか。それこそ、「不滅」だったのか?

「不滅」の読書メモを書いているつもりで、脱線ばかりしてしまった。ぺこり。 

 

クンデラの「不滅」、本日、p300/591通過。

 

p.s.

月末あたりに、「隠された記憶」の映画評を書いてみたい。これは実に頭を活性化させる映画であり、面白い作品だと思う。

 

隠された記憶 [DVD]
ミヒャエル・ハネケ
タキコーポレーション

 


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