妖怪大魔王・コバ法王日記

オートバイを分解して磨き、正確に組み立て独自理論でラインを探り、ストップウォッチと頭脳で感性を磨き、日々の想い語ります

友人のVTR整備記 ・ <キャブレター編>

2014-06-27 23:23:08 | 整備&セッティングの基本・妖怪講座

6月15日、以前から 整備をしている友人のVTR
今日は キャブレターのオーバーホールだ。

前回、少しだけ試乗させてもらった時に、エンジンの不機嫌さが気になっていたのでキャブレターのオーバーホールを提案したのだが、そのメニューが採用されたのだ。

キャブレターのオーバーホールは定番メニューの一つだから、余裕一杯で自信はある。
まして、同じVTRを持っているのだ。


しかし、燃料タンクを外してエアクリナーボックスを外してから気付いた事がある。
「 僕は、VTRのキャブレターをオーバーホールした経験は無い! 」
少しだけ動揺したが、友人の前では隠しておいた。

「 V型エンジンのキャブレターは少し面倒だったなぁ~」
「 でも、VFR750 のキャブレターのオーバーホールの時よりは楽だろう 」
「 CBX1000 の時の様に、エンジンを移動させる必要も無いだろうし ・ ・ ・ 」

エアクリーナーボックスを外した後は、見た事の無い光景での作業が続く。
でも、思った通りそれ程の難易度ではない様子に安心しつつ、サービスマニュアルも確認すると ・ ・ ・

「 無い! 4つある筈の部品(ノックピン)が 2個しか無い 」


外したキャブレター関連の部品や床を確認するが、落下している様子もない。
聞くと、過去に 2度ほど キャブレターの整備に出した事があるとの事。

「 もしかすると、その時に脱落させたまま組み立てているのかも知れない 」

この部品は無くても組立ては出来る。
でも、この部品は他の大切な部品同士を、正確な位置関係で組み立てるために必要な部品だ。
オーバーホール(完全整備)と云うからには、部品を欠落させたままでは組立てられない。

ストックしているホンダ車用の部品庫の中から、使えそうな部品を探すと、エンジン用のノックピンを探し出した。
でも、長さが長過ぎる。
迷わず、旋盤を使って長さ合わせて切断とテーパー加工をする。
決して純正部品の様な仕上がりではないが、十分に位置決めには使えるレベルだ。


外したキャブレターは汚れているので、そのままでは分解はしない。
少しでも触りたい友人が喜んで(?)キャブレターを水洗いをしてくれた。


キャブレターは色々な部品が組み合わさっているが、それぞれの部品が正しく機能するからエンジンも機能する。
中には細かな通路が開いた部品もあるし、キャブレター本体の内部にも細い通路がたくさんある。
外せる部品を全て外してからキャブレター専用のクリーナー漬けにする。


すると ・ ・ ・ 普通ではありえない色の液体が本体から流れ出てきた。


思った通り、内部の通路(回路)に汚れが溜まっていたようだ。
という事は、細かな通路が開いた部品の多くに汚れによる詰まりがある筈だ。

ここは、何でも経験したい友人に、細かい部品の更に小さな通路の掃除を任せよう。
(老眼には、苦手な作業の一つだから ・ ・ ・ )
専用のツールとクリーナーを使って、部品一つひとつ、通路の一つずつクリーニングだ。

その作業を任せている間、キャブレター本体の通路のクリーニングをして、最後はエア(コンプレッサー)を使って入念に汚れを吹き飛ばす。
それから、クリーニングを終えた部品を一つひとつ丁寧に組み上げていく。
ゴム製のダイヤフラムには、薄くグリスを塗布して表面保護と柔軟性を確保させ、ゴム部品のついたチェックバルブもきれいにしよう。

キャブレターの組立てを終え、エンジンに装着して、ケーブル類を元通りに組立て、エアクリーナーボックス、燃料タンクも装着完了。
エンジンは、3度目のセルモーターであっけなく始動。
最初に時折出ていた咳もやがて止むと、明らかにエンジン音が変化している事に気付いた。

確認の為に試乗に出て行った友人も、今回は意外に早く帰ってきた。

「 ??? どこか不調箇所があったのか 」

友人の感想を聞くと、そうでは無かった。

「 全然! 違う 」
「 走り始めた直後から、違いがはっきりと分かったよ! 」
「 ハーレーみたいなエンジン音だったのに、ハーレーじゃあなくなったよ 」
「 今まで、(妖怪ガレージで)やってもらった整備の時にはあんまり変化が分からなかったけど、今回は違ったよ 」

最後の感想にはちょっとがっかりしたが、それだけ今回の作業の成果が大きいという事だろう。
僕も満足だ。

何故なら、これで僕の VTRのキャブレターを整備する時に備えた練習ができたからだ。(♪)


* * * *



【 以下、友人の感想文 】


バイクメンテナンス イン 妖怪ガレージ H260615

メニュー

キャブのオーバーホール

成果

1.以前してもらったオーバーホールがとても残念だったということがわかった。

2.今回のオーバーホールでその残念さは、5mと進まないうちに解消されたことを実感できた。

3.その残念さは、バイクが帰ってきてからすぐに感じたのでクレームをだし、遠路はるばる(40kmくらい?)クレーム対応にこられ試乗した上で、お店の人から「こんなもんじゃないかなあ」の一言に納得するしかなかった分解整備の出来ないライダーな自分にも責任があるのかという疑問を持てたこと。

具体的な変化点
 1)アクセルを開けた時の息苦しそうなふけ上がりの解消
 2)エンジンブレーキ時の妙な抜け感の解消
 3)キャブの怪しさに気づいていた自分への自信
 4)OH等の重要なメンテナンスを出す時の難しさの再認識
 5)清掃はあらためて大事だなあとおもい知らされる。

以上は、個人的な感想です。

 








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