先日、ネジの講義で勉強した知識を活かすため、オートバイ用のネジ(ボルト)を購入手配して、先ほど無事に届きました。
届いたボルトは、六角穴付ボルト(キャップボルト)、材質は クロムモリブデン鋼(SCM435)で、表面処理が クロームメッキ、強度区分は 高強度(12 . 9)という仕様です。
『 ボルトの常識 』
ボルトといえば、一般的な知識では「 部品が固定できてれば OK! 」というレベルだと思いますが、僕は性能を備えた【 機能部品 】だと信じています。 確かにボルトは、他の部品と部品を結び付けて固定する器具の一つですが、単に固定できていれば良いとは言えないのです。
それは、人と人とを結ぶモノ、例えば 電話やメールとか、お中元や配達業者、または婚約指輪や紹介斡旋業者などの品質が低い場合を考えると理解できるでしょう。品質が悪いと、人と人との人間関係が悪くなり、ギクシャクした関係になって、一緒に同じ目的の為に気持ち良く行動するのが難しくなるもの。
その事は オートバイの部品と部品を結びつけている「ボルト」の場合も同じ。 ボルト以外の部品には一切手をつけず、ボルトの整備の仕方やボルトの品質が変わるだけで、ボルト以外の部品たちの動きや性能が変化してしまうのです。 特に、フロントフォーク周りのボルトは 操縦性に大きな影響を与える部品で、そのコンディションや整備内容一つで気持ち良く乗れたり、不安で楽しめない乗り味にもなるのです。
僕の場合は、乗り味や操縦性を重要視しているので、フロントフォーク周りの分解・整備の頻度は高く、整備の度に細心の注意を払ったり、ボルトの定期交換をするなど、一番大切にしているボルトなので、講義で得た知識を活かして、新しい仕様のボルトを手配したのです。
『 ボルトはゴム 』
こんな事を言っても信じてもらえないでしょうが、ボルトはゴムひもと同じなのです。 例えば、荷物を固定するゴムバンドや輪ゴム、髪を留めるヘアゴム、洋服やソックス、下着に入っているゴムと同じ様に、「ボルト」も伸びて 物を固定しているのです。 伸びたゴムが元に戻ろうとする力で固定するのと同じで、締め付けで伸びたゴムが元に戻ろうとする力で部品を固定しているのです。ボルトの場合は、その力(張力)の事を「軸力」といって、この「軸力」を適切な大きさに整える為に 締め付けトルク を適切に管理する必要があるのです。
しかし、ゴムが何度も繰り返し使えば、“伸び”で元に戻らなくなるのと同じ様に、ボルトも締め付けても適切な「軸力」を出せない事は珍しい事ではありません。ゴムがその品質や使用頻度、加えた力の大きさによって“伸び”の出る時期が違うように、ボルトも品質や使用頻度、そして加えた力の大きさなどによって適正な仕事ができなくなる時期が変わるのです。
一見、ただのネジで、見た目が変わらなくても 本来の機能を発揮できずに オートバイの操縦性能や乗り味を大きく変えてしまうので、「ボルト」は大切な 【 機能部品 】 なのです。
『 どう変わるか? 』
今回購入したボルトは、VTR250 と トラ君 の2台のオートバイの、フロントフォークを固定しているボルト。 上ヨーク(トップブリッジ)と下ヨーク(通称:三つ又)、そして アクスル固定ヒンジ用のボルトで、全て 直径 8mm の M8 規格 、長さが 30mm、40mm、そして 45mm で、予備を入れて合計 26本が届いたばかり。
ゴムと同じ様に、交換してボルトを新しくすれば、オートバイの動きは変わる。しかも、以前とは違って、今回のボルトは新しい知識で選択したボルトだから期待している。 先ず、材質は SCM435 規格の クロムモリブデン鋼。 今まで、一部のボルトは ステンレス製に交換して使用していたけど、部品側の金属材質との相性を考えて、全てのボルトを “肌の合う”鉄に替えて、靱性の高い粘りのある操縦性を期待。
ボルトの“伸び”、つまり「軸力」の低下を防ぐ為に、強度区分「12 . 9」という強度の高いボルトを採用した。 強度とは、硬さと誤解されやすいけど、繰り返し使用しても劣化が小さいという強さの事。この強度のボルトを使用すれば、ボルトの性能の低下が抑えられ、オートバイの性能低下・変化も抑えられる筈だ。
また、ボルトの表面処理は、硬度と平滑度の高い クロームメッキだから、相手部品のボルト穴の肌を傷め難く、経年劣化が少なく、繰り返し分解・整備でも安心できる。
以上、いい事づくめだと期待しているけど、交換・装着はこれから。 また報告する機会があれば、是非、ご期待あれ!