金沢ミステリ倶楽部の例会を振り返ります。
第9回例会は2009年1月17日に開催され、アガサ・クリスティーの『鏡は横にひび割れて』の感想を語り合いました。
参加者は9名でイギリスのミステリということで、フォートナム・アンド・メイソンのダージリンがウェッジウッドの紅茶ポットで入れられて出されました。
スイーツも用意され、ガトー・ド・ボワという、奈良のお店の日仏交流150周年記念ガレット・デ・ロワコンクールで優勝したガレット・デ・ロワでした。
この「王様のお菓子」と呼ばれる、フランスの伝統菓子は、上田早夕里『ショコラティエの勲章』(これもおいしいミステリでした)にも出てきました。
『鏡は横にひび割れて』は結末がわかっていて再読してみると、クリスティのあまりのプロットのうまさ、伏線の多さに驚きました。
これは『アクロイド殺し』『そして誰もいなくなった』も再読の価値ありです。
各自のクリスティおすすめ作品は
2票 『パーカーパイン』『アクロイド』『オリエント急行』
1票『ナイルに死す』『そして誰もいなくなった』『ゼロ時間へ』『ABC殺人事件』『鏡は横にひび割れて』「夜鷺荘」
クリスティについて各自思いを語った後、ポワロとマープルでどちらが頭いいかという話をしました。
今回のクリスティを選んだ担当は
ポワロはジグソーパズルを組み立てる時にピースを選り分けするように10調べて1の結論を下すが、
マープルは1を見聞きして10をわかる、セントメアリーミード村の人々を観察して比べて見ているから今で言うプロファイラーで、マープルの方が頭がいい、と言い、その場の一同はなるほどと感心しました。
栗本薫さんの伊集院大介の探偵法はマープルだと思ったという意見もありました。
その後『オリエント急行』について小説・映画入り乱れて感想が話し合われました。
担当はポワロが二つの解決を示したのはポワロの弱さで、それが『カーテン』につながるのでは(そんな昔から考えていたとは思わないが)、またマーブルの方が厳しいので、マープルだったら罪を許さなかったはずだと言いました。
女性は厳しいけど、男性はおおらかなところがあるという意見も。
ドラマティックでうまく書かれているので全員犯人という結末が納得できるが、今の日本ミステリでこの結末だったら壁に投げられるだろうという意見もありました。