おもしろケアマネ全員集合! (監修:アヒルとガチョウの2人)

主任介護支援専門員・社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士の男2人が『笑い』と『気づき』の情報を共同発信いたします。

俺も短編小説を書いてみた!   【ガチョウ】

2015年08月12日 | その他

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 ワチキも仕事から帰宅後、2時間掛けて短編小説を書いた! 


【題名: 火花バチバチ】

 ギラギラとした太陽が照りつける中、今年もセミが盛んに鳴いている。各地では盆踊り大会が開催され、少子高齢化もあって夏祭りは、以前のような賑わいを感じさせない。

 1男1女に恵まれた山田は、毎年恒例の家族旅行で、千葉の海岸に出掛けた。毎年、夏は海に山のレジャーを楽しみ、春や秋には自宅の庭先でバーベキューを行っている。今日は、ご近所さんとのバーベキューであり、職場で課長をしている山田は、部下の家族を数組ほど招待してのバーベーキューも珍しくなかった。山田の勤める職場は、大手電器メーカーであり、このところの炊飯器爆買いツアーによる恩恵を十分に受けていた。また年1回は、家族で海外旅行にも行き、愛車はドイツ製のメルセデス(Sクラス)である。また、食材の準備や片付けは、妻が嫌々行っている現実があった。

 一方、その斜め前に住む自営業を営んでいる家庭があった。夫は家庭を顧みずに、朝は6時から夜は10時まで自宅兼工房で黙々と働いていた。日曜日だけは趣味多彩に没頭するのが、唯一の楽しみである。その趣味といったら本人しか楽しめないものばかりで、家族は呆れるほどであった。しかし、趣味という道楽を楽しむものの、大切な記念日は欠かせない男であった。景気に左右される自営業であるものの、趣味と特別日以外にはケチケチしている鈴木であった。食事にも拘らず、味にも拘りがない。妻も料理が苦手な方であるが、食に興味のない鈴木は、妻に文句は言うことはしなかった。しかも、妻の料理は呆れるほどらしいが、鈴木にとっては呆れることもなかったのである。栄養十分とは言えない鈴木は、酒も飲まず特に太っていることも無く健康体である。

 山田は職場では部下に厳しい課長であり、仕事もできる優秀な男であった。そして、家族を大切にしている山田は、バーベキューや家族旅行で美味しいものばかり食べている。そんな山田は、職場の健診では、中年太りのメタボリックシンドロームと指摘されていた。そんな中年男の山田は、当然のように職場の若いOLからは嫌われている。また、職場の熟年社員からは、少し煙たがれる男であった。そんな山田は職場の評判は聞こえないふりをして、もしかしたら部長になれるかもしれないことを糧にしているのであった。

 そんな山田が、ご近所仲間を集めてバーベーキュ―を行った。斜め前に住んでいる鈴木も当然誘われて、世間話をする。鈴木は特に、肉にもビールにも興味ない。ご近所とあって、ただ参加するだけである。3人の子供に恵まれた鈴木は、子供の誕生日や節句には、大盤振る舞いをする。妻の誕生日や結婚記念日も、同様にしていた。これは鈴木の自分だけが趣味で楽しんではいけないという、ある種の自責の念でもあった。また、子供の成長に伴って、こづかいも必要になってくると、子供には必要な金額は与えていた。しかし、元来ケチなところがあって、セコさもあった。

 山田の妻と鈴木の妻は、小学・中学の子供の習い事の保護者会で役員をやっていた。山田の妻は、夫の大手電器メーカーの好景気もあって、その振る舞いには鼻につくところがあった。一方、不器用であるものの、鈴木の妻は控えめの性格であり、依頼されたことは黙々と対応していた。自然に上下関係ができてしまい、山田の妻は鈴木の妻を見下すところがあった。

 夏も終わった半年後、すっかりコートが必要な季節になった。朝早くから働く鈴木が起きてこない。それを心配した妻が、鈴木の様子を伺った。日頃の過労が重なり季節も寒くなったことから、鈴木は体調を崩してしまった。救急車で運ばれた鈴木の病名は、軽い心不全であった。緊急治療が施されるものの、たくさんの検査も同時に行われた。すると、タバコも吸わない鈴木には、肺ガンも見つかった。どうやら、肺の機能低下による心不全と判明したのである。しかし肺がんは、かなり進行しており、治療の効果なく死を待つ身となった。家族を残し住宅ローンを残し、こんな状況で死ねないと思っているものの、鈴木はガンの家系であることを自覚していた。そんな鈴木は、趣味にお金を使うが、ケチケチしていた。しかし予想外だったのがガン保険に入っており、その加入口数が半端なかった。

 病に臥してしまった鈴木の噂は、アッという間に広まってしまった。「人の不幸は蜜の味」と感じる者もいた。そんな辛い状況でも、鈴木の妻や3人の子供は、毎日見舞っている。いよいよという時期になって、3人の子供たちも死期を悟っている。鈴木は最期の言葉を残した。

 「自分の趣味ばかりに没頭し、どこにも連れて行くことが出来なった。本当に申し訳ない」。
妻に苦労を掛けていたことを詫びた。同じ様に、子供にも病室の息詰まる空間で、3人の子供に侘びた。しかし、妻も子供も、自分たちのことを大切にしていたことを実感し、号泣しているのであった。朝から夜遅くまで働く姿も、家族の胸の奥に届いていた。一生懸命働いて、親父の背中を見せていたようである。しかし、その翌朝に帰らぬ人となり旅だってしまったのである。

 そして、冬も終わり春になると、山田の家ではバーベーキューが行われている。山田の妻は、優しさなのか嫌味なのか分からないが、鈴木の家族を誘った。鈴木の残された家族は、夫の墓参りを理由にそれを断った。たまたま月命日だったのか、その日に行われたバーベキューが偶然なのかは分からない。鈴木の家族は、夫の死亡で住宅ローンは免責となり、住む所には困らなかった。ガン保険で900万円が入り、生命保険でも4,500万円が入った。鈴木の妻は、夫が遺してくれた保険金に感謝して、立派な墓を建てた。そんな墓参りに家族で出かけることが供養だと、家族みんなが考えていた。

 鈴木の家族が墓参りから帰宅すると、山田の家に異変が起きていた。山田が何と、くも膜下出血で倒れてしまった。直ぐに病院に運ばれた山田は、7時間におよぶ手術で一命を取り留めた。しかし、その1ヵ月後、山田の家族は、その悲劇を実感した。高次脳機能障害があり、その知的年齢は3歳児レベルである。家族の顔は分かっても、名前が分からない。自分の車の名前も分からない。職場復帰することも出来ず、会社の一方的な理由で退職に追い込まれてしまった。山田にも、住宅ローンがあった。しかし、高次脳機能障害では、団体信用生命保険(団信)で住宅ローンの免責とならなかった。

 会社も退職に追い込まれたため、住宅ローンは払えない。退職金をあてにしていたものの、社友会からメルセデス購入のため、お金も借りていた。山田の家族にも、一日一日が経過していき、住宅は任意売却となり、残債も払えず自己破産となった。悪いことは重なり、妻との共有名義であったため、妻も同じように自己破産した。住む家を失い、あっという間に時間が過ぎていった。プライドの高い山田の妻は、それを受け入れることも出来なかった。夫とは離婚し、パート勤務するものの続かなかった。1男1女は、大学進学は断たれてしまい、非行に走るようになった。夫は、緑が溢れる施設に入所し、作業所で働くものの、その理由すら理解できない。結局、家族はバラバラとなった。

 偶然、山田の妻と鈴木の妻が顔を合わせることがあったが、2人起きた出来事は対照的であった。挨拶もすることなく、山田の妻の胸中には、激しい火花が散っていた。本当の火花より、感情の火花の方が怖いものである。人生というものは、本当に切ないものである。そして今日も、夕陽が沈む。。。パチパチ


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