チャオ・ダル・マーレ  CIAO dal MARE    (旧キッチン・マーレ)

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ヘチマと沖縄

2015-09-06 | グルメ色な日記

今年二度目の梅雨のように、まだ夏の終わりだというのにどんよりと雨の多い毎日でテンションが下がる。そして天候不良で野菜がとんでもなく高い!

年に一度は沖縄に行かないと元気が出ない!という二女との恒例の沖縄旅行に行っている間に、関西ではこんな変な天気になってしまっていた。私は今年二度目の沖縄だったが、ピーカンではなくても空が青くて高い南国は人間を元気にするよね。

ヘチマ、というと、私にとっては夏にしか食べられないごちそう野菜のイメージなんだけど、日本でそれを分かってくれるのは沖縄人だけかも。沖縄と台湾は地理的にも数百キロぐらいしか離れていないから、食べ物や文化がとても似ている。台湾ではスープや炒めものにして夏の恵みとしてありがたく食べるヘチマ、私の実家でもツルムラサキと共に毎年家庭菜園で作っていた。

私達より一足先に沖縄に行った甥からのお土産はヘチマだった。↑皮を剥き、種ごとスライスして油で炒めてスープにする。瓜のような柔らかい代物ではなく、柔らかいけれど弾力のある食感で(タワシになるぐらいだからね)、これは何に似ていると聞かれてもとても表現できない。私はこれを食べて育ったから大好きだけれど、娘達はとっても苦手。

沖縄の言葉でヘチマは「ナーベラー」。↑これは本島の北部、本部(もとぶ)にある「食事処やまちゃん」のヘチマみそ。スパムや豆腐と一緒にみそで炒めてある。2年前に本部滞在中に知り合ったオーナー、やまちゃんは娘達が大好きになった優しいおじさん。すっかり女らしくなった二女との再会に感激してくれ、料理やドリンクがどんどん出てきた。このナーベラーはいくらでも食べれる美味しさだった。

こちらは豆腐チャンプルーと島らっきょうの塩漬け↑。娘が一番食べたがっていた島らっきょうの天ぷらは残念ながら売り切れだった。やまちゃんの料理はなんでも美味しい。帰りには「また帰って来いよ〜!」と厨房から叫んでくれた。「うん、また来ま〜す!」と娘も叫んでいた。

ファーマーズ・マーケットに並ぶ野菜の安さには驚く。

この冬瓜の見たこともないでかさと安さにはたまげた。「ママ、買って帰る?」冗談でしょ。嫌だよ、重すぎ〜

↑本部から見る伊江島。

8月28、29日が沖縄では旧盆だとは知らなかったもので、那覇に到着してからランチ場所を探すのも大変だった。休業の店が多く、ようやく地元の人で一杯の沖縄そば屋を発見。正統な選択で、私は細麺のソーキそば、娘は平麺の三枚肉そば。そして沖縄の炊き込みご飯、ジューシー。沖縄そばは麺は固めのラーメンのよう、スープはカツオと豚がベースでものすごくあっさりしたもの。豚骨スープなんかを想像すると大違い。

 

今回は那覇はほぼ素通りして北上したが、行く先々で、計画したわけではなく偶然に珊瑚染め、紅型、琉球藍、といった染色工房を訪ねるクラフトの旅になった。

↑浜に打ち上げられた死んだ珊瑚を横に切断し、その断面を薄い布で包んで植物の染料をつけて染めていく独特な琉染↓

琉球の藍は徳島の藍とは全く違う植物だそう。

 

特注で木のサンダルを作ってもらえる工房も名護で発見。くすのき、せんだん、でいごの木の中から好みの木、デザイン、鼻緒を選ぶ。足が大きい二女は日本では合う靴がなく、彼女の膨大なシューズ・コレクションは、欧米に行った時にこの時とばかりに見境なくまとめ買いするがゆえ。さすがに下駄は欧米では売っていないわけだから、浴衣用の下駄をずっと欲しかった彼女は嬉々としてデザインを選んでいた。職人気質のおじさんともすっかり気が合い、翌朝には出来上がったサンダルを手に、ここでも「また来ますので、よろしくお願いします!」と言っていた。

観光客にはBlue Seal ブルーシールのアイスクリームが有名だけど、昔小学校の前に売りに来ていたアイスクリンが沖縄人には愛されている。眺めの良い立派なアイスクリン・レストランを発見。生のハイビスカスを添えてくれていた。

↓歩行者もいない道路沿いに、パラソルの下でアイスクリン屋さんが客待ち。売れてるの?と気にしていたら、え?走行中の車が滑り寄り、運転手が買ってる!島内をドライブしていると、実はアイスクリン屋さんが大きなドライブスルー・ビジネスなんだと分かってきた。

初めて沖縄市(昔のコザ)に行った。今回の旅の目的の一つは、この街で開催されるオレンジレンジや夏川りみといった沖縄ミュージシャンが出演するとてもローカルなコンサートに行くことだった。英語の看板が氾濫する基地の街コザは日曜の夜というのもあって、ゴーストタウンの怖さでちょっとビビった。tattoo だらけの大きな海兵隊員たちがたむろしていて、アメリカでもこんなにヤバそうな街にはそんなに行ったことないよ。

↓この街で入った食堂のメニューにも季節料理として、ほらこの通りヘチマ。アメリカ兵のために、とっても正しい英語で説明してある。

↑この¥マーク、よく見ると変。=とYの組み合わせじゃない?

最後の食事は空港で、ゆし豆腐そばとばくだん、そしてもちろんオリオンの生ビール。娘は島らっきょうの天ぷらを最後まで食べたがっていたけど見当たらず、今回は断念。ゆし豆腐とは豆乳ににがりを入れただけで枠に入れて固める前の柔らかいおぼろ状の豆腐。そのまま醤油をかけたり味噌汁に入れたり、このように沖縄そばのトッピングにしたり。台湾の豆乳スープにも砂糖味、塩味のゆし豆腐状のものがある。

そしてばくだんとは、魚のすり身の天ぷらの中にジューシーが入ったものでボリューム満点。

B級グルメの沖縄だけれど、行く度にいくつも新しい発見がある大好きな島。失業率日本一、離婚率も日本一なのに出産率も日本一、肥満率も日本一、というおかしな県。テレビを見ていたら、笑えるコマーシャルばかりで、これもまた日本一だろう。自分の一日の摂取カロリー数を書いたTシャツを着た大勢の人達を相手に、「沖縄県のスローガンを覚えてますか?1キロ減らそうですよ〜」なんて言ってるから、なんて微笑ましいの。大らかで優しい人達、また来年も帰るからね。

次回のレッスン:

  • 9月25日(金)、30日(水): アジア料理@三宮教室
  • 10月2日(金): アジア料理@豊中教室
  • 10月4日(日): 第4回ワイン教室@梅林寺