きりのみやこ

ソプラノ歌手「みやこ」の音楽する日々

グルベローヴァのノルマ

2008年02月21日 | 音楽のこと
もともとすごい人だとは思っていた。
エディタ・グルベローヴァは、スロバキア生まれのソプラノ歌手である。

コロラトゥーラだが、非常に深い、幅の広い声を持ち、ものすごい高音にも丸みがあり、そしてまた、ものすごい難しいフレーズも軽々と歌いこなす。

あのテクニックは、いったいどこで、どのようにして得たものなのか?

そして今回、2006年に収録されたベッリーニ作曲のオペラ「ノルマ」を観た。

「圧巻」である。
こういうののことを、神業、というのだ。
何かがとりついているとしか思えない!!

何がすごいって、彼女はまず、もう60歳を超えている。(1946年生まれ)
もともと、高声の歌手は、寿命が短い。
50を超えると、次第に高音を出すための筋肉が衰えるといわれているくらいだ。
のどは、消耗品のはず、である。
彼女のような売れっ子オペラ歌手は、当然多くの公演をこなしてきている。

なのに彼女の声には、まったく疲れが感じられない。
2時間半を超えるグランドオペラの、ほぼ出ずっぱりの役を難なくこなす。

これは、彼女の技術がいかに卓越しているかの証明である。
つまり、まったく無理なく歌っているのだ。
必要な筋肉をしっかり鍛え、脱力すべきところはしっかりと力が抜けている。

「ノルマ」の公演の、ドキュメンタリーも観た。
以下が彼女の言葉である。

『結局人は孤独
どうやってその暗闇を克服するか。それが人間の格を作るのよ』

天才と呼ばれることへの代償を
努力と苦労で支払って、
歌手として、何より人間として、成長し続けてきたのだろうと思うと、
彼女の言葉がとても重かった。


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