きりのみやこ

ソプラノ歌手「みやこ」の音楽する日々

日本人の音楽観

2007年12月20日 | 音楽のこと
その昔よく言われ、今でも信じられているふしがある、
「日本人は技術ばかりで、音楽性がともなっていない」
という言葉。

イギリスにいるときには、聞いた事もなかったのに、日本に来ると時々そんな言葉が飛び出したりする。

まず事実はどうかと言うと、余り国籍に区切って音楽家を考える事に意味はないが、
海外で勉強、あるいは活躍している日本人は数多くいて、
優秀な音楽家もまた多い。
ヨーロッパの有名な音楽学校の成績上位を占めている日本人も沢山いる。

むしろ日本人の音楽家は平均的に見ても優秀である。
その国の学生がみんな締め出されてしまうと言う理由で、日本人を締め出しにかかっている大学まであるくらいだ。(困ったものだ・・・。)

つまり、昔はどうだったのかわからないが、今は少なくとも「日本人は音楽性がない」なんて言うのはナンセンスだと、はっきり言い切れる。

ただ、日本人の音楽性には、ある種の共通した特徴がある、というのは言われた事がある。
それは、日本人の音楽性は、「センチメンタル」であること。
直訳すると「感傷的」となるが、日本語的に言うと「お涙ちょうだい的」と、なるのだろうか?
歌舞伎や演歌の世界だ。

これはおそらく、国民性であろうと私は思う。
感情を強く外に出して人に訴えるより
感傷を出し人の同情をさそう方がより伝わりやすいのだ。

それはそれで、すばらしく良い事ではないか!
イギリス人にはイギリス人の、
フランス人にはフランス人の
ドイツ人にはドイツ人の音楽性があり、(今は言及しないが)
日本人には日本人の音楽性がある!!!

もしかしたら、日本のクラッシック音楽界は、レベルも申し分なくなってきたし、これからなのかもしれないと思ったりする今日この頃である。


文化と宗教

2007年12月13日 | 音楽のこと
クリスマスの時期になり、必然的に多くのクリスマスソングを耳にし、
また多くのクリスマスに関連した曲を歌うようになる。

宗教を文化と政治の一部として分析してしまう性分の私には、宗教心のかけらもないが、
それにしてもクリスマスの歌の数は本当に莫大で、なんとも神聖で美しいものが多い。

イギリス生活初期の頃、私は多くのイギリス人が教会に行かない事に驚いた。
西洋の人達は、皆キリスト教信者で、日曜日には必ずミサに行くものと信じていたからである。
なのにもかかわらず、クリスマスはまた、盛大にお祝いをするのでまたまた驚いた。

それはきっと、宗教が「文化」として生きている証拠だろう。
否定しようとしまいと、人の血に、キリスト教の「文化」が織り込まれているとでも言うべきか。

そこでふっと我を思う。
私の血にも、きっと神道なり、仏教なりの「文化」が織り込まれているのであろう事を。

この時期は、キリスト教文化を満喫し、
年明けには、正月を楽しみ、日本文化を満喫できる。
自分は贅沢だな、と思う。

来年初めのコンサートは、日本の歌を沢山歌おう。

表情

2007年12月06日 | 音楽のこと
先日、あるイギリス時代からの友人と話をしていて、聞いてしまったスキャンダルな話。
現在日本で活躍中のあるソプラノ歌手が、整形をしているとか。

別に私は、整形に関してここでどうこう言うつもりはないし、人様の顔形について語るのも好きではないけれども。。。
でも、整形は歌手にはご法度であると思っていた。

顔には実に沢山の筋肉が集まっている。
そして、その精密な筋肉の動きによって、細かい表情を作る事を可能にする。
整形してしまうと、やはりどうしても、一部の筋肉が不自由になってしまう、と言う副作用が起きるというのが理由。

画面や写真で活躍する女優やタレント、モデルなどと違って、
舞台に上る人間は、細かい顔のつくりの良さは要求されない。
むしろ遠くから見ても、観客の皆様にはっきりとわかるような表情を見せる事が大事。
細かい感情の機微を、「大きく表現」しなければいけないのが私達の仕事。

まぶたがいかにきれいな二重か、鼻筋が通っているかなんて事は、まったく関係ないはず。(見えないから!)

そういう意味では、すべての人が、その素質(筋肉)を生まれ持っている。
そもそも顔は個性。
表情によって、沢山の感情を生み出すことの出来る優れもの!

ますます顔の筋肉を鍛えねば、と思う今日このごろの私。