kirekoの末路

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恋愛短編感想

2008年12月18日 00時54分33秒 | 小説の感想と批評
今回は苦手な恋愛にスポットをあてる@kirekoです。

>今日の感想と批評

今回の動機「みんなあんなに頑張ってるのに俺が頑張らないでどうすんの」
というわけで、ジャンル恋愛からパッパとkirekoが読んだのを拾っていきます。
(いつもより、ちょっとばかし省エネモードです)

■企画の意図は、こちら
http://blog.goo.ne.jp/kireko1564213/e/7e03a0212eb392c37028780a1c7f63d9

*感想テンプレ

■(タイトル+小説直リンク) ジャンル(ジャンル) 作:作者名
:あらすじ(小説家になろう投稿時に書いてあるあらすじ)
:読める判定(kireko個人が読めるか読めないか)
:好き嫌い判定(kireko個人が好きか嫌いか)
:感想(kirekoの感想)

*感想テンプレ終わり



============はい開始==============


雨のち ジャンル 恋愛 作:はじめ ふみ

:あらすじ
雨、湿気の多い日、くせっ毛女の子の憂鬱。

:感想
くせっ毛の気になる女の子が主人公の話。
どうも恋愛作品というと、最初からジェットコースターのような刺激的な展開が多いが、こういう一見素っ気なさそうで素朴で、短い話をちゃんと恋愛に持っていく事こそ、書き手の腕が試されるものだとkirekoは思う。さて感想に入っていこう。とても短い話だが、一人称でまとめられた内容はスムーズに進み、心情の描写も軽く、その恋愛を意味する表現もまた上手だと思った。kirekoも、かなりクセのある髪質なので、序盤のくせっ毛に対する思いや、周囲から言われた事の感じ方というのは、非常に共感があった。中盤以降は、同じ悩みを持つ者同士が、合意の上でスキンシップすると言う感じなのだが、ここが個人的に一番気に入っている。互いに髪を触れるとき、男の悩みを聞いてから、髪を触らせた主人公と男との会話
「ゴワゴワだ」
「だろ? そっちの方がぜんぜんいい。綺麗な髪だよ。羨ましいな。俺なんて雷様だ」

この言い回しは面白かった。「雷様」なんてのは想像させる言葉選びであったし、くせっ毛を持つ者、ツヤツヤに憧れる者として、非常にわかりやすい台詞だったと思う。ほどよい短さで、きっちり纏められていること、ほのかに匂わせる恋愛の予感を上手く捉えた表現、その後の彼女らがどうなったのかも想像すると、短編としてかなり面白い部類に入るとkirekoは思う。個人的に秀作!

:読める判定 くせっ毛の人は是非 :好き嫌い判定 好きだね



スメル ジャンル 恋愛 作:市松ざんげ

:あらすじ
私はあなたの部屋の匂いが好き。

:感想
煙草を吸う女性と、その匂いを嗅ぐのが好きだという男性、そんな二人の話。
内容を語るにはとても短い文章と内容なので、恋愛作品としての旨味や、主題であるだろう切なさについての情報が少なく、伝わる部分は薄いものの、この二人に何があったのか、そういう想像を促す仕掛けがしてあるのは、何となく受け取れる。本文中で態々(わざわざ)とか、其(そ)れとか、寄越すとか、恋愛物に必要なのか?と思われる漢字が使われているものの、文章の短さもあり、基本的に読み詰まる事はなかった。あと、匂いについて本編では語られているが、グレープの匂いのする男の部屋というのは、なかなか面白い設定だなと思った。芳香剤か何かなんだろうけど、どうせ好きな女の吸う煙草の匂いで部屋が充満するのに、何でわざわざ芳香剤なんかかけるんだろうか、と疑問に思った。たぶん、その辺が短い本編で語らなかった「すれ違い」を覗かせるヒントのようなものなんだろうけど、そのすれ違いがなんなのか、個人的に気になった。

:読める判定 あっちゅーま :好き嫌い判定 続きが少し気になる



プライド ジャンル 恋愛 作:衣緒

:あらすじ
浮気ばかりを繰り返す彼に怒った少女は…。

:感想
15歳の少女が、浮気癖のある男の前に起こした凶行という話。
少し不安定な男女の恋愛話には、浮気のしたとかしてないとか、そういう誤解が生じる話がつきものだと相場が決まっているが、この話は実際浮気現場を見て、知っていてながら、あくまでも冷静に復讐を遂行し、それでもなお浮気癖のある男と付き合おうとする、そんな主人公の行動や気持ちが面白いかどうかで、感想は変わってくると思う。金属バッドで憎き相手の女の顔と体を痛めつけ、ゴミ袋に詰めて「使用済み」と書いて裸で投げ出す冷徹なる残虐性、止めに入った男への執拗な復讐心(己へのプライド)は、想像するとなかなか怖いものだと背筋がヒヤッとした。恋愛物というより、もうこれは一種のサスペンスホラーだ。そういう展開については面白いなと思うものの、女性の力とはいえ金属バッドで思い切り顔面を叩いたら、たぶん一発で卒倒してしまうんじゃないかという疑問と、やや主人公について語られている部分が少なく感じる。タイトルにも、この話の動機にもなっている「安くみるな」というプライドに関しては、もう少し本文中で触れても良かったんじゃないんだろうか。15歳の少女にここまで行動させるには、それなりの背景、理由が必要だと思う。

:読める判定 恋愛というよりスリルもの :好き嫌い判定 恐ろしい



俺と彼女 ジャンル 恋愛 作:たくや

:あらすじ
俺と俺の彼女のストーリーを書いたので読んでください。よろしくね

:感想
もはや何もいうまい。
好奇心の沸く挑戦的なあらすじだったのに、飛び込んでみたら誤字脱字の多い日記だったという罠。

:読める判定 \(^o^)/ :好き嫌い判定 \(^o^)/



それは一つの不幸から始まった ジャンル 恋愛 作:七人

:あらすじ
今思えば、俺と彼女は「被害者」と「第一発見者」――たった、それだけの関係だった。

:感想
事故にあった見ず知らずの女性に語りかけるうちに、その人の事が好きになってしまった男の話。
恋愛要素云々より、ある一つの不思議な話に近いが、その書き方やオチまでの展開は、少し昔のドラマの脚本を思わせるほどロマンティックであり、また小説として想像できる内容だった。被害者女性の家族に「彼氏」だと勘違いされつつも、眼の覚めない見ず知らずの女性を覗き見し、語りかける内に、いつしか恋心が芽生えてしまうという、ちょっと妄想めいた男の主観が面白いかどうかが、この話を読む鍵になってくるだろう。後半はご都合主義的な解釈が幾つかされているが、彼女が目覚めた時の不安、消えようと思い雨の中を歩く主人公の気持ちなどは、描写の短さに対して想像できるものがあったし、その後追いかけてくる彼女と、投げかける不思議な同調の言葉は、なんとなく読んでいる側に安堵を与えた気がする。ただ、やはり問題点も多く見える。薬漬けの未青年が運転する改造車に轢かれてしまった女性を見て、主人公が「赤い敷布団をしいていた」という表現を思い描くというのは、読んでいて綺麗すぎるかなと思った。また後半出てくる、恋の目覚めに気付いた主人公のモノローグ中の「記事に誤りが多くなったり」というのも、最序盤で「インタビュー」という言葉がなかったら、主人公が何をやっているのかわからない読者も居るんじゃないんだろうか。想像させる表現、設定解説の不満足、後付的にもってくる描写の必要不必要、そういう細かい部分まで気を配れれば、もっと話として完成度が増したと思う話だった。

:読める判定 読める :好き嫌い判定 たまに気になる部分あり



=========終了=============

>ふう

見返してみて恋愛物の感想は、やはり苦手だなと思う。


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