前回のブログの
「グーグル会長シュミット氏の新刊をアサンジ氏が酷評」
の訳注欄で、補足したい点があります。
訳注欄では、アサンジ氏の書評のタイトルの
「The Banality of ‘Don’t Be Evil’」
について次のように説明しました。
「タイトルに含まれている表現の Don’t Be Evil(邪悪なまねはするな)は、もちろんグーグル社のスローガン。
The Banality of ‘Don’t Be Evil’
(「邪悪なまねはするな」の陳腐さ)
というタイトルの趣旨は、
「『邪悪なまねはするな』という斬新なスローガンを掲げるグーグルだが、その会長の執筆したこの書籍には斬新な点はまったく見当たらない」ぐらいの意でしょう。」
しかし、ネットでアサンジ、シュミット関連の話題を検索しているうちに、あるサイトを見つけたのですが、サイト主によると、このタイトルの元になっている表現は、ドイツ生まれの米国の思想家ハンナ・アーレント女史のある著書に基づいているとのこと。
私はまったく気がつきませんでした。
ハンナ・アーレント女史のその著書とは、
『Eichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of Evil』
邦訳は
『イエルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告』
(大久保和郎訳、みすず書房、1969年、新装版1994年)
となっています。
副題に the Banality of Evil(悪の陳腐さ)が使われているのですね。
アサンジ氏の書評のタイトルは、このアーレント女史の表現 the Banality of Evil と、グーグル社のスローガン Don’t Be Evil を組み合わせたものというわけです。
もっとも、私の最初の説明が完全にまちがっているというわけではありません。その通りに通用すると思うのですが、もともとアーレント女史の言葉をもじったものであることに気づかなかったのはお恥ずかしいかぎり。
この点に気づかせてくれたあるサイトとは↓
Uncharted Territory
http://unchartedterritory.blog.fc2.com/blog-entry-234.html