僕の友達が住んでいる東町に行くのにはすごく迷う。
友達の家に行こうとするのにふと気がつくと何故か地区の外に出ている。
目印を覚えておくのにいつの間にか東町に入る入り口の付近に戻ってしまう。
だから約束の時間にいつも遅れるんだ。
でも、帰るときはなんだかわからないうちに東町の入り口のラーメン屋の前にたどり着く。
この事を友達に言うと
「そうかな~。僕はすごくわかりやすいところだと思うんだけど」
と言った。
でも、友達のうちを出てうちに向かうと
「スポッ!」と言う感じで地区の外に出てしまう。
そう言えばお母さんも言っていた。
「あそこを通って車で市役所に行こうとするといつも迷うのよね。だから本当は近道なんだけど通らないことにしているのよ」って。
不思議なところだな~。
・・・そしてそれから何年もたち、僕は大人になった。
大学生になり、就職をし・・・そして結婚をした。
新居はかつての僕の友人が住んでいたあの東地区で見つけた。
ある不動産屋に行った時に僕らの出した条件に驚くようにぴったりの物件があの地区にあったのだ。
実家にも近く即決めた。
住む事になってあれだけわかりにくかった道がよくわかる事に気がつく。
やはり子供だったから、道が覚えれなくて迷っていたのか。
僕の奥さんになった人も
「道もわかりやすくて住みやすいところよね」と喜んでいる。
ご近所の人も皆いい人ばかりだ。
ただ、少し気になった事もあった。
僕の前に物件を見に来た人は不動産屋さんの話によるとなかなか家にたどり着く事が出来ず、「こんなわかりにく所は嫌だ」と言って結局見ないまま帰ったらしい。
僕らが見に来た時はそんな事はなかったのに。
新居に住んでから数ヶ月、かつてこの東町に住んでいたあの僕の友人が訪ねて来てくれた。
彼は高校生の頃、お父さんの転勤で引っ越して今はここに住んでいない。
来ると言っていた時間をかなりまわってから彼がたどり着いた。
「いやー!参ったよ!ちゃんと道を覚えていると思ってたんだけどなんだか迷っちゃって!」
着いた早々彼がそう言った。
見覚えのある風景で目印もちゃんと確かめているのにふと気がつくと地区の入り口に戻ってしまうらしい。
かつての子供の頃の僕のように。
それでも楽しい会話で時間はすぎ、僕は彼を駅まで見送りに行った。
そして彼を送った帰り道、地区の入り口にあるラーメン屋の前で立ち止まった。
そうだ。いつも子供の頃彼の家に行こうとするとこのラーメン屋の前に戻ってしまっていたっけ。
ラーメン屋の向こう側にある電柱からが東町になる。
電柱を一歩またぐ。
僕はその時、どこからか声が聞こえたような気がした。
「お帰りなさい」と。
空耳に決まっているが僕の頭にふとある考えがよぎる。
町が住むものだけを受け入れているのか・・・。
そして外からの進入を拒んでいるのか・・・。
僕は首を横に振った。
まさかな・・・。
ふと下を見るとマンホールがウィンクをしたような気がした。
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この前、いつもの道を通って図書館に行こうとするとかなり迷い、そのときに思い着いた話。
本当は別冊に書こうと思ったんだけど「ほくろクラブ」が途中なのでとりあえずこっちに。
行く道は本当にぐるぐる回って迷ったんだけど、帰り道真っ暗になってどこを走っているのかがわからなくなったのに、吐き出されたような感じでスポッと私の住んでいる地区に戻ってしまった。
境目はいつもラーメン屋だ。
町も意思を持っている。
なんとなくそんな感じがした。とても静かな通りなのだ。あまり私の住んでいるところのように立ち話をしている人もみかけない。
わたしのように騒々しい酔っ払いはスポッと吐き出されてしまうのかもしれない。
ここを通ると昔読みかけてそのままになった、江戸川乱歩を思いだす。
小学生の頃、図書館で読みかけて怖くなって読むのをやめてしまったのだ。
日が落ちかけている道を歩いている小学生が消えてしまう・・・そんな行があったような。
なんていう題名だったのがわからないけど、暗くなる前に帰らないととしばらくは夕暮れの町を歩いているたびに思いだし、帰り道を急いだような気がする。
少年探偵団だったのかもしれない。
探してちゃんと最後まで読んで見たいと思っている。
本誌ぺんきっきより
なんとなく本誌にかいてしまって2重になるけど一応こちらにも。
ほくろクラブはちょっと休んだままだけどきっと近いうちに続きを・・・

友達の家に行こうとするのにふと気がつくと何故か地区の外に出ている。
目印を覚えておくのにいつの間にか東町に入る入り口の付近に戻ってしまう。
だから約束の時間にいつも遅れるんだ。
でも、帰るときはなんだかわからないうちに東町の入り口のラーメン屋の前にたどり着く。
この事を友達に言うと
「そうかな~。僕はすごくわかりやすいところだと思うんだけど」
と言った。
でも、友達のうちを出てうちに向かうと
「スポッ!」と言う感じで地区の外に出てしまう。
そう言えばお母さんも言っていた。
「あそこを通って車で市役所に行こうとするといつも迷うのよね。だから本当は近道なんだけど通らないことにしているのよ」って。
不思議なところだな~。
・・・そしてそれから何年もたち、僕は大人になった。
大学生になり、就職をし・・・そして結婚をした。
新居はかつての僕の友人が住んでいたあの東地区で見つけた。
ある不動産屋に行った時に僕らの出した条件に驚くようにぴったりの物件があの地区にあったのだ。
実家にも近く即決めた。
住む事になってあれだけわかりにくかった道がよくわかる事に気がつく。
やはり子供だったから、道が覚えれなくて迷っていたのか。
僕の奥さんになった人も
「道もわかりやすくて住みやすいところよね」と喜んでいる。
ご近所の人も皆いい人ばかりだ。
ただ、少し気になった事もあった。
僕の前に物件を見に来た人は不動産屋さんの話によるとなかなか家にたどり着く事が出来ず、「こんなわかりにく所は嫌だ」と言って結局見ないまま帰ったらしい。
僕らが見に来た時はそんな事はなかったのに。
新居に住んでから数ヶ月、かつてこの東町に住んでいたあの僕の友人が訪ねて来てくれた。
彼は高校生の頃、お父さんの転勤で引っ越して今はここに住んでいない。
来ると言っていた時間をかなりまわってから彼がたどり着いた。
「いやー!参ったよ!ちゃんと道を覚えていると思ってたんだけどなんだか迷っちゃって!」
着いた早々彼がそう言った。
見覚えのある風景で目印もちゃんと確かめているのにふと気がつくと地区の入り口に戻ってしまうらしい。
かつての子供の頃の僕のように。
それでも楽しい会話で時間はすぎ、僕は彼を駅まで見送りに行った。
そして彼を送った帰り道、地区の入り口にあるラーメン屋の前で立ち止まった。
そうだ。いつも子供の頃彼の家に行こうとするとこのラーメン屋の前に戻ってしまっていたっけ。
ラーメン屋の向こう側にある電柱からが東町になる。
電柱を一歩またぐ。
僕はその時、どこからか声が聞こえたような気がした。
「お帰りなさい」と。
空耳に決まっているが僕の頭にふとある考えがよぎる。
町が住むものだけを受け入れているのか・・・。
そして外からの進入を拒んでいるのか・・・。
僕は首を横に振った。
まさかな・・・。
ふと下を見るとマンホールがウィンクをしたような気がした。
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この前、いつもの道を通って図書館に行こうとするとかなり迷い、そのときに思い着いた話。
本当は別冊に書こうと思ったんだけど「ほくろクラブ」が途中なのでとりあえずこっちに。
行く道は本当にぐるぐる回って迷ったんだけど、帰り道真っ暗になってどこを走っているのかがわからなくなったのに、吐き出されたような感じでスポッと私の住んでいる地区に戻ってしまった。
境目はいつもラーメン屋だ。
町も意思を持っている。
なんとなくそんな感じがした。とても静かな通りなのだ。あまり私の住んでいるところのように立ち話をしている人もみかけない。
わたしのように騒々しい酔っ払いはスポッと吐き出されてしまうのかもしれない。
ここを通ると昔読みかけてそのままになった、江戸川乱歩を思いだす。
小学生の頃、図書館で読みかけて怖くなって読むのをやめてしまったのだ。
日が落ちかけている道を歩いている小学生が消えてしまう・・・そんな行があったような。
なんていう題名だったのがわからないけど、暗くなる前に帰らないととしばらくは夕暮れの町を歩いているたびに思いだし、帰り道を急いだような気がする。
少年探偵団だったのかもしれない。
探してちゃんと最後まで読んで見たいと思っている。
本誌ぺんきっきより
なんとなく本誌にかいてしまって2重になるけど一応こちらにも。
ほくろクラブはちょっと休んだままだけどきっと近いうちに続きを・・・
